デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
3節 国際団体及ビ親善事業
3款 日印協会
■綱文

第36巻 p.64-69(DK360030k) ページ画像

大正15年4月15日(1926年)

当協会、インド、カルカッタニ日本商品陳列館ヲ設立セントシ、是日栄一、当協会会頭トシテ、商工大臣片岡直温ニ宛テ右ニ関スル稟議書並ニ請願書ヲ提出ス。五月一日、栄一、商工大臣ト商工省ニ於テ本件ニ就イテ懇談ス。六月二十四日改メテ請願書ヲ提出、商工省ハ七月十九日付指令ヲ以テ其設立経営方ヲ当協会ニ委嘱シ、大正十五年度ニ於テ其設立及ビ経営費補助金十九万二百余円ヲ下
 - 第36巻 p.65 -ページ画像 
付ス。是ヨリ先、請願書ヲ提出スルト共ニ、栄一会頭トシテ理事中ヨリ之ニ関スル特別委員八名ヲ指名シ、協議ヲ重ヌ。


■資料

(日印協会) 参考書類 自大正一一年至昭和五年 【会務報告 (自大正十五年四月 至同年 五月)】(DK360030k-0001)
第36巻 p.65-66 ページ画像

(日印協会) 参考書類 自大正一一年至昭和五年
                     (日印協会所蔵)
    会務報告 (自大正十五年四月 至同年 五月)
  商工業に関する件
一、四月十五日 甲谷陀日本商品陳列館開設に関する稟議書並に請願書を商工省に提出す
一、四月二十五日 大隈副会頭右商品陳列館の件に就き片岡商工大臣に面会して十分の諒解を求めたり
一、五月一日 右問題の促進旁々渋沢会頭親しく片岡商工大臣を訪問して懇談せらる
一、同日 商工省貿易課長橋本芳雄氏より右商品陳列館事業計画書並ニ補助金下附申請書の提出を命ぜらる
(写)
    稟議書
            東京市京橋区築地三丁目十六番地
             日印協会会頭
                子爵 渋沢栄一 日印協会会頭之印
  商工大臣
    片岡直温殿
 今回本協会に於て別紙趣意書○略スの通り、貿易振興の目的にて印度カルカツタに日本商品陳列館を開設し、同方面に従来輸出せられ居候ものハ勿論、是迄余り知られざる日本製品を紹介して新ニ販路を開拓し、既出品は益々其の需要を喚起して数量の増額を図り、一方内地の製造業者と連絡を取り、優良品の製産輸出に従事する様乍不及国家の為ニ努力致度と存じ、別紙○略スの通り大体の事業予算を組み立て申候
然る処前年大震災の為ニ蒙り候本協会自身の打撃と一般経済界の不況ニ基き、本会予定の拡張計画未だ具体的ニ完成不致、為ニ本協会の独力を以て右の日本商品陳列館を経営候事は資金の上ニ困難を感ずる次第ニ候。乍然即今欧米各国の経済的海外発展策ニ対抗する上ニ於て右の施設ハ当面の急務と存ぜられ、之が実績を収むべく相当の規模の下ニ経営するには実ニ別紙の如き予算額を必須とする次第にて、私かニ苦慮罷在候事ニ御座候
 時偶々貴省に於て、同方面へ日本製品販路拡張の為ニ商品陳列館開設の御計画有之候趣承知仕り候処、是は官辺に於て御経営相成り候事も元より結構ニ候へ共、本協会の如き公共の機関を御利用被遊候方が凡てニ円滑なるべく、又本協会は此の機会に於て宿昔の志望を達成し本協会の手に依り右の計画を実現致し度く、之ニ依て多年尽瘁致し来り候日印両国の経済関係を更ニ増進し、一層の親善を図り度熱望する次第ニ御座候、就ては何卒特別の御詮考を以て、右経営の一切を挙げ
 - 第36巻 p.66 -ページ画像 
て本協会に御指命の栄を賜はり度く、同時に所要経費に対し出来得る限りの御補助ニ預り度く此段奉懇請候也
                                以上
  大正十五年四月 日
   ○次ノ商工省指令書ニヨレバ六月二十四日付願ト有リ、之ハ右文ヲ書キ更メ提出セルモノナリ。(理事副島八十六談)


集会日時通知表 大正一五年(DK360030k-0002)
第36巻 p.66 ページ画像

集会日時通知表 大正一五年        (渋沢子爵家所蔵)
四月十六日 金 午前九時 副島八十六氏来約 (アスカ山)
   ○中略。
五月一日 土 午前十時 片岡商相ヲ御訪問(京橋区木挽町商工省)


日印協会書類 (一)(DK360030k-0003)
第36巻 p.66 ページ画像

日印協会書類 (一)          (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
  大正十五年六月二十五日
                    日印協会 
    (墨書)
    子爵渋沢会頭殿
謹啓愈々御清適奉賀候
陳者予て商工省に対し印度カルカツタ市に設置せらるべき日本商品館経営委嘱方交渉中の処、漸く不日右指令書に接すべき運びと相成候に付、本日午前十時より本会事務所に於て特別委員会開催仕候
 出席者 大隈委員長、児玉、三宅川
     白仁、副島各委員
  外ニ 右手技師《ウテ》(商工省担任事務官)
参集せられ、本会受命後の施設其他に就て協議旁々監督官庁の意嚮方針を聴取し、同時に本会として将来の負担となるべき事項、主務省としての希望事項等に就き説明を受け、懇請的協議の上午後一時散会仕候
館長以下の任命其他具体的諸施設に就てハ、不日更に委員会ニ於て詮衡すべきことゝ相成居候間、左様御諒承被下度、此段委員会経過御報告申上候 拝具


日印協会書類 (一)(DK360030k-0004)
第36巻 p.66-68 ページ画像

日印協会書類 (一)          (渋沢子爵家所蔵)
 商工省指令商第五二〇三号
                  日印協会会頭
                    子爵 渋沢栄一
大正十五年六月廿四日附願ノ趣認許シ其ノ協会ニ「カルカツタ」日本商品館設立経営方ヲ委嘱シ、大正十五年度ニ於テ設立及経営費補助金拾九万弐百八拾五円也ヲ下付ス、但左記命令書ノ通リ心得ベシ
  大正十五年七月十九日
              商工大臣 片岡直温 商工大臣之印

    命令書
第一条 其ノ協会ハ英領印度及其ノ隣接諸国ニ本邦商品ノ販路ヲ拡張
 - 第36巻 p.67 -ページ画像 
シ、同地方ニ産出スル有用ナル原料品ヲ本邦ニ紹介シ、及企業ノ斡旋ヲ為ス目的ヲ以テ「カルカツタ」ニ日本商品館ヲ設立シ、左記業務ヲ遂行スベシ
 一、本邦産業、貿易及経済事情ノ紹介
 二、本邦品ノ展示及紹介
 三、商取引ノ仲介及其ノ紛議ノ仲裁
 四、左記事項ノ調査報告
  (イ)本邦商品ノ品質・包装・商標・取引方法其ノ他ノ改善方法
  (ロ)英領印度及其ノ隣接諸国ニ於ケル産業・貿易及経済事情
  (ハ)関係方面ノ依頼ニ依ル産業・貿易及経済上諸般ノ事項
  (ニ)英領印度及其ノ隣接諸国ニ於ケル本邦人ノ企業状態及将来有望ナル企業
  (ホ)其ノ他参考トナルベキ事項
 五、英領印度及其ノ隣接諸国ニ於ケル本邦商品ノ競争品及有用ナル工業原料品見本ノ蒐集
 六、其ノ業務ニ関スル館報及調査書ノ発行
 七、其ノ他右設立ノ目的ヲ達成スルニ必要ナル施設
第二条 其ノ協会ハ速ニ「カルカツタ」日本商品館規程及同出品規則ヲ定メ本省ノ認可ヲ受クベシ、之ヲ変更スルトキ亦同ジ
第三条 其ノ協会ハ毎月「カルカツタ」日本商品館業務報告書及年度(政府ノ会計年度ヲ謂フ、以下之ニ倣フ)経過後三ケ月以内ニ、前年度業務報告書ヲ調製シ本省ニ提出スベシ
第四条 本省ハ第一条ニ規定シタル事項ニ関シ直接監督ヲ為スコトアルベシ
第五条 其ノ協会ハ「カルカツタ」日本商品館会計ニ関スル帳簿ヲ設ケ、収入・支出ノ予算ニ基キ出納一切ノ顛末ヲ明瞭ニ記載スベシ
 前項ノ収入支出ニ関スル証憑書類ハ之ヲ徴収シ、帳簿照合上便宜ノ方法ニ依リ編綴スベシ、若シ之ヲ徴シ難キモノアルトキハ其ノ出納ヲ証明シ得ベキ書類ヲ添付スベシ
第六条 其ノ協会ハ「カルカツタ」日本商品館ニ関スル収入・支出ノ計算書ヲ調製シ、年度経過後三ケ月以内ニ之ヲ本省ニ提出スベシ
第七条 本省ハ「カルカツタ」日本商品館会計ニ関スル諸帳簿ノ検査ヲ為スコトアルベシ
第八条 「カルカツタ」日本商品館長及其ノ次席職員ノ選定ハ本省ノ認可ヲ受クベシ
第九条 「カルカツタ」日本商品館ノ位置及規模ヲ定ムルニハ本省ノ認可ヲ受クベシ、之ヲ変更スルトキ亦同ジ
第十条 補助金ニ剰余ヲ生ジタルトキハ次年度ニ繰越シ其館ノ経費ニ使用スベシ、但次年度ニ於テ補助金ヲ下附セザル場合ニ於テハ、剰余金ノ処分ニ付本省ノ認可ヲ受クベシ
 「カルカツタ」日本商品館ヲ廃止シタル場合ニ於テ補助金ニ剰余アルトキハ之ガ返納ヲ命スルコトアル可シ、但シ其ノ処分ニ付本省ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニアラズ
第十一条 本省ハ本命令書ニ掲グル事項外必要アリト認ムルトキハ随
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時命令ヲ発シ、又ハ「カルカツタ」日本商品館一切ノ事務ニ関シ直接指揮スルコトアルベシ
第十二条 本命令其ノ他本省ノ命令ニ違背シ又ハ事務執行上不都合ノ所為アリタルトキハ補助金ノ下付ヲ停止シ、又ハ之ガ返納ヲ命ズルコトアルベシ、本省ハ之ガ為ニ生ジタル損害ニ対シ一切其ノ責ニ任ゼズ
第十三条 其ノ協会又ハ「カルカツタ」日本商品館ト第三者トノ間ニ生ジタル権利・義務ニ関シ本省ハ一切関係セザルモノトス
                           以上


日印協会書類 (一)(DK360030k-0005)
第36巻 p.68 ページ画像

日印協会書類 (一) (渋沢子爵家所蔵)
(写)
  大正十五年七月二十三日
                日印協会
                 会頭 子爵 渋沢栄一
   商工大臣
    片岡直温殿
    御指令書御請ノ件
大正十五年七月十九日附商工省指令商第五二〇三号を以て本会甲谷陀商品館大正十五年度経営補助金拾九万弐百八拾五円也御下附相成、別紙指令書並に御命令書の写所載事項正に御請仕候也


日印協会会報 第三八号・第一二二―一二三頁 大正一五年八月 カルカツタ日本商品館の経営方受命(DK360030k-0006)
第36巻 p.68-69 ページ画像

日印協会会報 第三八号・第一二二―一二三頁 大正一五年八月
    カルカツタ日本商品館の経営方受命
 本会は七月十九日附を以て、印度カルカツタ市に日本商品館設立経営に関し、商工省より左記の通り委嘱の指令書を受領した。
   ○指令書前掲ニ付略ス。
 是より先き、本会は商工省に於て我が貿易振興の一端として英領印度カルカツタ市に日本商品陳列館設置の計画あるを聞知し、偶々本会自身に於ても予て印度の主要地に商品館を開設し日印貿易促進の実を挙ぐべく企図し、其の経営に就て折角考慮し調査に着手して居た際でもあり、且は会務拡張計画が既に実現せられつゝあつたことゝて、是非に本会自身に経営して本会多年の抱負経綸を実現せんことを翹望し猶又我が官憲に於ても此種の事業を直接経営することは運用の上に不便あり、寧ろ本会の如き日印親善を目的とせる民間団体に委任する方が凡てに円滑有益なるべしとの見地より、本会に対し内交渉の次第もありて、双互の一致に基き、正式に商工省に対し事業経営委嘱方の請願を為したのである。同時に会頭渋沢子爵は本会の理事中より左記の人々を特別委員に指命し、爾来度々委員会を催し協議を重ねて主務省と接触し、遂に今回の受命となつたのである。
  委員長 大隈信常   委員 堀啓次郎
  委員  喜多又蔵   同  児玉謙次
  同   森広蔵    同  白仁武
  同   副島八十六  同  安川雄之助
 - 第36巻 p.69 -ページ画像 
 館長以下の人選に就ては既に其の詮衡を了し、目下主務省と諸般の打合を為しつゝあり、近く発表の運びである。
   ○大正十五年以降毎年予算ニヨリ、商工省ヨリ右館経営補助金ヲ下附セラレタリ。



〔参考〕日印協会書類 (一)(DK360030k-0007)
第36巻 p.69 ページ画像

日印協会書類 (一)           (渋沢子爵家所蔵)
    昭和弐年六月一日
 東京                甲谷陀日本商品館
  子爵 渋沢栄一閣下          館長 西巌
粛啓
時下益御清祥に被為捗恐悦至極《(渉)》ニ奉存候、降而小生義去る五月八日当地着任以来、盛夏の季節にも不拘幸に無恙執務罷在候間、乍他事御消慮奉願上候、四月八日東京出立の前日御暇乞旁々参堂仕候処、御不在にて拝晤之栄を得ず遺憾ニ存候
当商品館も漸次整備致し、職員一同元気旺盛に職務に鞅掌仕居候間、是亦御安意被遊度候
五月三十日商品館開館式挙行致し、朝野の名士・実業家等千名計り招待致候処、印度人には総家族引連れ来会するものもありて来会者約千五百名に達し、予想外の盛況を呈し、第一着に成効を収め候事御同慶の至りに奉存候、猶益々奮励本館設立の趣旨達成致候様努力可仕候
内外益々多事の折柄為邦家御自愛被遊候様祈念仕候 敬具