デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
3節 国際団体及ビ親善事業
13款 社団法人国際聯盟協会
■綱文

第36巻 p.440-442(DK360169k) ページ画像

大正10年5月24日(1921年)

是日、当協会第十一回理事会当協会事務所ニ開カル。栄一出席シテ、諸種ノ問題ニ関シ、各特別委員ヲ任命ス。夜、当協会主催目賀田種太郎帰朝歓迎晩餐会華族会館ニ開カレ、同ジク出席ス。


■資料

国際聯盟 第一巻第四号・第二一二―二一三頁大正一〇年七月 国際聯盟協会会報(五)第十一回理事会(DK360169k-0001)
第36巻 p.440-442 ページ画像

国際聯盟 第一巻第四号・第二一二―二一三頁大正一〇年七月
 ○国際聯盟協会会報
    (五)第十一回理事会
 時日  大正十年五月廿四日
 場所  聯盟協会事務所
 出席者 徳川総裁、渋沢会長、阪谷・添田両副会長、山川・穂積・頭本・近衛・田川・山田・宮岡・岩井各理事、杉村主事
      会議
一、法人組織に関する件。社団法人国際聯盟協会定款案は、去る総会に於て可決を見たるも、唯社員の資格喪失に関する規定を欠き居りし所、之が規定の挿入は右総会に於て本会理事会に一任せられたるに就き、会議の結果、穂積理事案
 会員の退会を承認し又は之を除名するは、理事会の権限とす。
 を第五条第二項に加うることに可決確定す。
 - 第36巻 p.441 -ページ画像 
 法人設立申請の手続きに関しては、会長一任のことと決す。
 但し実際上の取扱ひは穂積・宮岡両理事に依頼することゝなれり。
二、支部設置の件。
 本会は此度名古屋・京都・大阪・広島各地に於て講演会を開催し、又近くは神戸に於て講演会開催せらるゝことゝなり居れるが、其結果を確実ならしむる為、夫々該地方に支部を設置するの件を協議せるも、右は定款に之が明文を記載する必要あるのみならず、本会の如く国際的性質を帯びたる会としては、種々の決議若くは行動の上に於て、本部と支部との関係複雑となるべきにつき、容易に之を決定すべからざる事情あり、仍つて本件は追つて調査の上、両び考慮することゝなし、取敢へず地方に関する本会の事務受扱ひは、該地方の有力者に会長より依頼せらるゝことゝ決す。
三、時事問題に関する件。
 総会又は評議員会に於て、会員より時事問題に就き意見を提出し、本会として何等かの行動をとるやう請求ありたる時は、理事会に於て、該問題が果して本会として関与すべきものなりや否やを討議決定したる上、若し関与すべきものなりと決定したる場合には、直ちに其方法を考慮すること、又右の場合直ちに評議員会を開きて審議するも一案なるべく、調査部若くは特別委員会を任命して之が研究を委ぬるも一方法たるべし。
 何れの場合に於ても、本協会として関与すべき問題は、定款により本会は国際聯盟の精神達成を以て其目的とするものなるが故に、直接聯盟に関係無しと認めらるゝ外交問題等に関与することを避くべきは勿論、縦令聯盟に関係ある問題と雖も、内政上政争に亘る惧あるが如き案件に就ては、会員個人として意見を発表交換するは妨げなきも、協会として一致の行動に出づるが為には、極めて慎重なる考慮を費さゞるべからず。
  協会としては、当に高遠なる聯盟の理想に基き、如何なる国際案件に就ても、必ず高処より之を考察し、政党政派の上に超越することに努めざるべからず。
   但し第一回総会に於て、阪本男・亀井氏より提出ありたる五個の問題に関しては、本会理事会に於て何等かの考慮を加ふることとなり居れるに就き、右は夫々特別委員会を設け、之が調査研究に当らしむることゝ決す。
四、平和協会の申出に関する件。
 平和協会は本会第十回理事会に於て、本会よりの補助を求め来りし所、阪谷男より更に平和協会の成立、其後の事業、聯盟協会との関係等に関し、詳細説明ありたるも、杉村主事は聯盟協会は漸く組織せられたるばかりにて、今平和協会を補助することは小児が成人の世話をなす如くにて、時期少しく早きに弗ずや、との意見を述べ、会議の結果、本件は特別委員附托のことに決す。
      特別委員会任命
 仍つて会長の指命により、左の通り委員会を任命す。
イ、平和協会の申出に関する調査委員会、穂積重遠・田川大吉郎・宮
 - 第36巻 p.442 -ページ画像 
岡恒次郎(宮岡氏は平和協会との一身上の関係に依り辞任申出であり。)諸氏。
ロ、ヤツプ島問題調査委員、阪本俊篤・山川端夫・山田三良・田川大吉郎・吉井幸蔵諸氏。
ハ、軍備・労働・山東・阿片各問題調査委員、山川端夫・近衛文麿・亀井陸良・頭本元貞・姉崎正治諸氏。
    (六)招待会
 時日  五月廿四日
 場所  華族会館
 出席者 目賀田男、三浦公使、徳川総裁、渋沢会長、阪谷・添田両副会長、松井男・阪本男・吉野作造・小野塚喜平次・吉田静致・高島平三郎・関直彦・植原悦二郎・窪田文三・伊達源一郎・頭本元貞・田川大吉郎・吉井幸蔵・宮岡恒次郎・山川端夫・山田三良
   ○本款大正九年九月十五日、内田康哉主催午餐会ノ条参照。
   ○大正十年五月十八日、日露協会主催目賀田男爵歓迎会開カレタリ。本巻所収「日露協会」同日ノ条参照。