デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
3節 国際団体及ビ親善事業
13款 社団法人国際聯盟協会
■綱文

第37巻 p.187-195(DK370041k) ページ画像

昭和3年1月19日(1928年)

是ヨリ先、是月十四日、栄一、当協会事務所ニ副会長阪谷芳郎・添田寿一、理事山川端夫、主事奥山清治等ト、理事会ニ提出スベキ議案協議会ヲ開ク。是日、先ニ帰朝セル当協会理事佐分利貞男歓迎午餐会ヲ兼ネ当協会第七十三回理事会、日本工業倶楽部ニ開カル。栄一出席シテ昭和三年度事業計画案其他ヲ議決ス。


■資料

渋沢栄一 日記 昭和三年(DK370041k-0001)
第37巻 p.188 ページ画像

渋沢栄一 日記 昭和三年         (渋沢子爵家所蔵)
一月十四日 晴 寒気強カラス
○上略正午国際聯盟協会事務所ニ於テ、副会長及山川理事・奥山氏等ト共ニ、本会発展ノ事ヲ協議ス○下略


集会日時通知表 昭和三年(DK370041k-0002)
第37巻 p.188 ページ画像

集会日時通知表 昭和三年         (渋沢子爵家所蔵)
一月十四日 土 正午 国際聯盟協会協議会(同会)


国際メール 第四号・第五丁一九二八年二月一〇日 協会日誌 十四日○一月協会幹部会を開く(DK370041k-0003)
第37巻 p.188 ページ画像

国際メール 第四号・第五丁一九二八年二月一〇日
(謄写版)
    ○協会日誌
十四日○一月協会幹部会を開く。


国際聯盟協会書類(三) 【昭和三年一月十日】(DK370041k-0004)
第37巻 p.188 ページ画像

国際聯盟協会書類(三)          (渋沢子爵家所蔵)
  昭和三年一月十日
                      国際聯盟協会
    渋沢事務所御中
拝啓、過日渡辺氏と御打合申上候来る一月十四日正午開催の幹部会に関し、左記写の通り阪谷・添田両副会長に御通知申上置候間、御了承被成下度候 敬具
  左記(一月七日発送)
前略 唯今渋沢事務所より電話あり、理事会開催前、会長・副会長・貴理事及事務所の関係者を会し、先般御調成の案に付、協議し度会長の意嚮あり、来十四日正午都合宜しき趣に付、同日御留保被下度、右は電話にて御話せんと思ひしも故障あり不能なれば、書中取急ぎ得貴意候 頓首


国際聯盟協会書類(三) 【明年度事業計画相談会】(DK370041k-0005)
第37巻 p.188-193 ページ画像

国際聯盟協会書類(三)          (渋沢子爵家所蔵)
    明年度事業計画相談会
              (昭和二年十二月十七日記)
山川理事、奥山主事、大熊・鹿野・木川・奈良・今城・安間の諸氏、及び青木支局主任等によりて、最近四・五日間に考究されたる明年度事業計画の要領左の通り
一、本協会理事・評議員をして本協会の事業に興味を持たしむる目的を兼ねて、左記諸問題中の適当なるものを選び研究調査会を開く
 イ、支那問題
   支那問題を聯盟其他に於て、審議せんことを主張する外国人漸次多きを加へつゝあり、右の主張に対する本協会の態度如何
 ロ、婦人児童売買問題 *
 ハ、阿片問題
 ニ、国際法典編纂問題
 ホ、委任統治問題
 - 第37巻 p.189 -ページ画像 
 ヘ、支那の聯盟経費分担金未納問題
 ト、支那無電問題
 チ、軍縮問題
 リ、国際紛争平和的処理問題
  就中
   a日米仲裁条約更新問題
   b日米不戦条約問題
   c地方的安全保障問題
 ヌ、国際保健問題
 ル、国際経済会議決議実行問題
  就中
   a輸出入禁止制限撤廃問題
   b原料統制問題
 ヲ、国際聯盟の事業として日本より何を提案すべきや
   a国際発明研究所の設立
   b世界の諸宗教団体の平和の為の協力
二、協会事務所内に常設会合所を設置すること
 イ、研究会の名称を談話会に換へて復活し、右会合所を利用すること
 ロ、協会事務員及支局員と定期に会食し、席上研究の発表をなすこと
 (右二項は既に実行し居れり)
三、婦人部の創設
 既設の婦人団体、婦人雑誌経営者等と聯絡をとり、聯盟思想の普及に努むること。聯絡をとる手段として渋沢会長に、右団体の幹部を招待して貰ふこと、爾後時々会合を重ね漸次聯盟協会婦人部創設の機運を作ること。
 それが為、団体及幹部の調査をなすこと
 (調査の結果別紙○略スの通り)
 関東と関西とは別々に行ふこと
   ○婦人部ノ設立ニ就テハ本款昭和六年一月十七日ノ条参照。
四、地方講演
 明年度に於て石井子爵には中部地方に、新渡戸理事には西部地方に山川理事には東北・北海道地方に講演旅行を乞ふこと
 地方講演の為め常置員を設くることは経費許さず、又聴衆に飽かるる虞ありて不利なり
五、国内に於ける平和運動の聯絡統一
 イ、聯絡統一を図るに本協会は最も適当の地位にあり。
 ロ、協同して事業を行ふ場合には本協会の経費の分担額多かるべし
 ハ、先づ赤十字社、Y・M・C・A、太平洋問題調査会等の幹部と会合して聯絡の方法に就て協議すること
六、学生支部の奨励
 1、講演会
 2、研究会
 - 第37巻 p.190 -ページ画像 
 3、雑誌発行
 4、展覧会
 5、聯合模擬総会
 6、講演旅行
 7、協会発行雑誌の購読
 8、国際大学聯合会(F・U・I)参加
 9、学生支部便覧の発行、学生支部通信の発行
 以上は不充分ながら従来実行し来れるもの
 10、学生研究用材料としてテキストを、成るべく年五・六回発行すること
 11、名称に拘泥せず機会を捉へ、中・女学校へ宣伝すること
七、懸賞募集
左の二種の懸賞募集をなすこと
 イ、一般向
  小説・戯曲・講談・映画・脚本等の文芸物につき、国際聯盟の主義精神を徹底せしむるが如きもの
   費用
 審査員の謝礼(三名)    一、〇〇〇円
 当選一等          一、〇〇〇円
   二等            五〇〇円
 広告費           一、〇〇〇円
  計            三、五〇〇円
 ロ、学生向
  論文
  費用 当選一・二・三等を通じて賞金 三〇〇円
八、単行本
 イ、現今の会計制度にては単行本の売行よきものあるも、予算の制限を受けて再版し難し。故に単行本の出版は特別会計にする方針を以て研究すること
 ロ、単行本は毎年四・五冊刊行する予定なるが、其のうちには聯盟の通俗解説をなしたるものを加ふること
九、機関雑誌
世界と我等を猶一層改善すること
国際知識に関しては左の諸説ありたり
 イ、廃刊説
 ロ、年四回発行説(ページ二五〇位)
 ハ、現状通り月刊説
  但しページ九六位にし、内容を改善すること
一〇、経費
 協会内部の経費、事務上の経費等は成るべく節約し、其代り聯盟精神目的の普及の為には、最も有効適切なる方法を講じて、充分に努力するの方針を以て進むこと、協会の収支は毎年一回、外務省会計課長の検査を受くること
一一、会員
 - 第37巻 p.191 -ページ画像 
 イ、四円会員を無くする説
   a特別会員    年額十二円
   b普通会員    同  一円
   c終身会員    従来通り
  其外に世界と我等購読者
   い 年額七拾銭を払ふ者
   ろ 年額五拾銭を払ふ者
 ロ、四円会員を存置する説(原案)
   a終身会員 従来通り
   b特別会員 年額拾弐円
   c第二種会員 年額四円
之に対し
    い 年四回の国際知識を頒つか月刊の国際知識を頒つか
    ろ 年四回若しくは月刊の国際知識の外に世界と我等も配布するか
   d第一種会員 年額一円
  其外に世界と我等購読者(七拾銭・五拾銭を払ふ者)あり
一二、地方支部(学生支部を除く)
 支部会計に将来一円会員を設くるや否やによりて、密接なる関係あり。原則として支部は支部員より会費の全額を徴収し、半額を本部に納付することゝするも、支部の独立し得る迄は本部の負担の大ならざる限り、当分のうち支部に対し会費の全額に相当する額を補助する必要あり。(現今は支部の会費全額に当る金額に止まらず、それ以上の額を各種の名目にて補助し居る実況なり、これ亦当分持続するの要あり。)依て各支部に対し、将来一様に右の方針に依り措置すべきことを、充分に徹底せしめ、而して毎年支部よりは、一応会費の半額を提出し、協会本部よりは臨機、右の半額及他の必要なる費用を補助するの手続をとること
 支部の増加は、聯盟の事業普及の上より固より歓迎すべきものなりと雖も、強て之が設立を焦るが如きは、必ずしも確実なる成果を挙ぐる所以に非ず。依て差当りの措置としては、民間の有力なる既設団体、殊に教育団体等に依頼して、講演等の手段により、主として聯盟精神の普及と会員の増加とに努め、以て徐ろに支部成立の機運を作ること
一三、宣伝方法
 イ、聯盟支局と聯絡をとり、可成重複を避けて宣伝に努む
   支局の宣伝は現在通り聯盟総会、理事会及び聯盟主催の国際会議等を新聞・官報等を通じてなすこと
   聯盟協会は聯盟及各国聯盟協会聯合会に関する状況・報告・意見、其他対外問題に関する事項等に就て、一般の宣伝に努むること
 ロ、新聞社との聯絡を密接にすることに努む、新聞社の幹部又は記者と定期的に会合し、聯絡に努むること
 - 第37巻 p.192 -ページ画像 
   新聞社に材料の供給をなすこと
 ハ、国際メールの発行
   発行度数当分月二回とし、地方新聞社・各地方支部・学生支部及平和団体の如き関係諸団体、並に必要に応じて本事業に興味を有する個人に供給すること
 ニ、文部省と聯絡をとり、各学校及各教育会等の諸団体に適当なる講師を派遣し、聯盟又は対外問題に関する講演をなし、其他聯盟精神の普及を計る方法をとること
   又教育団体以外の民間諸団体とも努めて聯絡をとり、可成此等諸団体の協力を乞ひ講演をなし、其他聯盟精神の普及を計る方法をとること
一四、協会事務員の地方巡廻
  地方支部・学生支部との聯絡を図る為、其他地方に於て講演・調査打合せ等をなす為、適時協会事務員の地方巡廻をなすこと
*(余白栄一鉛筆)
 昭和三年一月十四日正午、本会新事務所なる仲通十三号館ニ於テ阪谷・添田両副会長、山川理事及び奥山外事務員相会シ、本案ノ詳細ヲ山川専務理事ヨリ丁寧ニ陳述シテ後、全部原案ニ可決シ、尚来ル十九日ヲ以テ更ニ理事員会ヲ開催シテ附議決定ノ見込

 参考
会員の現状
  終身会員(十一月初)    五七
  特別会員(十一月初)   六八四
  通常会員(十一月初) 一、八八五
  会友  (十一月末) 六、九〇八
  客員  (十一月初)   一一二
会友の購読料支払状態(昭和二年六月末)
  一円を納めたる者   一、四七六
  七十銭を納めたる者    六八五
  五十銭を納めたる者  三、八九三
    (右は大凡の見当)
           計 六、〇五四
    国際団体

 
 会名       事務所々在地        首脳者      備考
 婦人平和協会   麹町区三番町七六      塚本はま
 基督教婦人矯風会 市外大久保百人町      守屋東
 Y・W・C・A    神田猿楽町一〇       正田淑子 山本琴 河合道子氏引退
 東京Y・W・C・A  神田北神保町一四      加藤タカ子
 Y・M・C・A同盟  神田表猿楽町一〇      筧光顕
 東京Y・M・C・A  神田美土代町        斎藤惣一
 日米関係委員会  麹町永楽町二ノ一渋沢事務所 小畑久五郎
 基督教徒世界聯盟 赤坂区一ツ木六一      津荷輔
 日本基督教聯盟  神田美土代町青年会館    宮崎小八郎
 汎太平洋倶楽部  帝国ホテル内        河井弥八
 国際教育協会   神田一ツ橋帝国教育協会内  野口援太郎
 国際平和協会   芝区今入町和合倶楽部    岡部? ?
 - 第37巻 p.193 -ページ画像 
 東京市社会課
 太平洋調査会   神田美土代町青年会
 少年団日本聯盟  文部省
 メトロポリタン記者クラブ 帝国ホテル内    指田文三郎
 大学英語聯盟   各校月番幹事
 東京市商業会議所 丸ノ内馬場先門       渡辺博士
 国際児童親善会  文部省           普通学務局 臨時



国際聯盟協会書類(三) 【昭和三年一月十八日】(DK370041k-0006)
第37巻 p.193 ページ画像

国際聯盟協会書類(三)           (渋沢子爵家所蔵)
  昭和三年一月十八日
                 国際聯盟協会々長
                      渋沢栄一
拝啓
明十九日正午、本協会事務所に開かるゝ理事会に御臨席の御通知を拝受仕候処、昨日佐分利理事帰朝せられ候に就ては、会場を丸ノ内工業倶楽部と変更致し、同氏歓迎午餐会を兼ね、理事会を開催することに致候間、甚だ乍御迷惑同日同刻工業倶楽部迄、御光臨の栄を得度、此段御案内申上候 敬具


渋沢栄一 日記 昭和三年(DK370041k-0007)
第37巻 p.193 ページ画像

渋沢栄一 日記 昭和三年          (渋沢子爵家所蔵)
一月十九日 晴 寒気平常
○上略正午工業倶楽部ニ抵リ、国際聯盟協会理事会ヲ開催シ、山川端夫氏起草ノ本会拡張案ヲ協議ス○下略


(国際聯盟協会) 理事会 自大正一四年四月至昭和三年三月(DK370041k-0008)
第37巻 p.193 ページ画像

(国際聯盟協会) 理事会 自大正一四年四月至昭和三年三月
                   (社団法人日本国際協会所蔵)
    第七十三回理事会
                   昭和三年一月十九日正午
                   於丸ノ内 工業倶楽部
一、報告        奥山主事
         (以下三行別筆)
         神戸及京都支部提出ノ建議案の内容三越生活展、不戦条約に関する昨年末よりの調査の内容について説明
一、協議事項
  明年度事業計画に関する件
   ○以下別紙ニ計画書ノ詳細ヲ印刷セルモノヲ添付シタリ、略ス。右ハ前ニ引用セル「国際聯盟協会書類」(三)(渋沢子爵家所蔵)中ノ「明年度事業計画相談会」記事中ノ〈事業計画の要領〉ト同一ナリ。


国際メール 第三号・第六丁一九二八年一月二五日 第七十三回理事会(DK370041k-0009)
第37巻 p.193-194 ページ画像

国際メール 第三号・第六丁一九二八年一月二五日
(謄写版)
    ◎第七十三回理事会
 一月十九日会合の理事会は、都合に依り場所を変更して工業倶楽部に正午開会、出席者渋沢会長、添田副会長、林・頭本・山川・山田・秋月・宮岡・下村の理事、佐藤外務書記官○庄四郎、奥山協会主事にて、
 - 第37巻 p.194 -ページ画像 
最近帰朝せられたる佐分利理事の歓迎午餐会を兼ねたるものであつた引続き理事会に移り、奥山主事より、神戸・京都支部提出の建議案の内容、三越呉服店に於ける児童生活画展、不戦条約に関する昨年以来の調査研究の内容に就いて説明報告する処あり、後協会明年度事業計劃に関し、審議を了し午後三時閉会。


国際聯盟協会書類(三) 【(謄写版) 拝啓、客臘貴覧に供し置候昭和三年度事業計画案は…】(DK370041k-0010)
第37巻 p.194 ページ画像

国際聯盟協会書類(三)         (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
拝啓、客臘貴覧に供し置候昭和三年度事業計画案は、客月十九日の理事会に於て採用せられたる旨、同月二十三日附を以て報告致置候処、該案中の、七、懸賞募集、九、機関雑誌、一〇、経費、一二、地方支部、及一三、宣伝方法等の部に於て加除すべき部分有之候に付、玆に補正の上御送附申上候間御査収被下度候 敬具
  昭和三年二月十五日
                      国際聯盟協会
   ○一月二十三日附報告書見当ラズ。
   ○本書ニ附シタル「昭和三年度事業計画概要」ハ前掲「明年度事業計画相談会」ノ内容トホボ同ジ、今其訂正ヲ見タルモノノ中主要ナル分ヲ左ニ示ス「九」中「国際知識」以下ヲ左ノ如ク訂正セリ。
    『「国際知識」は有識階級に対して、聯盟の精神及事業を闡明する機関たらしむるの目的を以て、尚一層の改善を加ふること。而して其発行時期・頁数等は大体現状に依ること。』
    「一一、会員」ノ内容ヲ左ノ如ク改メタリ。
   「イ、現在の特別会員(年額十二円)は其儘とし、普通会員は二種に分ち第一種普通会員は従来通り会費年額四円とし、新に第二種普通会員を設け会費年額一円とすること。
     右普通会員は第一種会員に対しては「国際知識」を配布し、第二種会員に対しては「世界と我等」を配布するの外、両者の間に差別を設けざること。
     ロ、会員制度の変更は総会の決議を要するに付、本部に於て予め総会附議の準備を為し置くこと。」
   「一二」ノ末尾ニ左ノ一項ヲ加フ。
   「一二、ノ二、学生会員
     従来の会友を改め、各学校の学生にして本会に入会せんとするものは之を学生会員とすること、学生会員の会費は年額五十銭とし、本部に於て之を徴収すること。学生会員に「世界と我等」を配布すること、学生会員は本協会の経営運行に参与せざるものとすること。」
   「一三」ヲ「一三、ノ一、宣伝方法」ニ改メ、
     末尾ニ左ノ一項ヲ加フ
   「一三、ノ二、図書室の整備
     聯盟及外交問題に関する図書の蒐集及整備を図り、出来得る限り此等図書殊に内外新聞雑誌に顕はれたる関係事件、其他意見の切抜又はカード記録を行ひ、以て聯盟に於て取扱はれたる各事項、及主要なる外交問題の経過、及現状を一目瞭然たらしむる様整頓すること。
     右実行の為めには人手及経費を要するを以て、漸を追うて之が実現に努むること。」
     末尾ノ「参考」以下ナシ。
 - 第37巻 p.195 -ページ画像 


〔参考〕国際知識 第一二巻第二号・第一三頁昭和七年二月 渋沢前会長の追憶 本協会副会長法学博士 山川端夫(DK370041k-0011)
第37巻 p.195 ページ画像

国際知識 第一二巻第二号・第一三頁昭和七年二月
    渋沢前会長の追憶
               本協会副会長法学博士 山川端夫
○上略
 故人の温容に接すれば、夫れだけでも自ら感化を受けずには居られなかつたが、故子爵の談話は偉大な常識と独特の話材と美しい声量の話術とを以て、列席者に探き感銘を与へたことは非常のものである。かつて昭和三年の頃であつたと記憶するが、本会幹部の小会合にて食後の雑談中、誰れかゞ、其の頃世間の話柄として喧伝せられてゐた一説を紹介し、故人の意見を徴した。それは何でも日本の一般的不況も深刻化する一方で、楽観材料はどこにも見当らぬ、若し英米が其の頃何かと角突き合せをして居たが、此の両国が干戈の間に相見えたならば、日本は中立の立場を守り、非常に利益を受けるであらうといふ説であつた。故人は其の話を聞き終らぬ内に怫然色を為し『さういふ心掛けで日本の国が立つて行けると思ふか。他国の不幸を喜ぶといふやうなさもしい考へしか出せないといふやうなことなら、日本の国もおしまひだ』といふ意味のことを、故人の平素に似合はぬ憤然たる口調で、口早やに述べられたので、坐に居る人々も自ら襟を正すの思ひをしたことがある。さういふ調子を以て故子爵は、本会の会務の根本方針に対し、常に御指導を怠られなかつた。かゝる逸話的のことを数へ上げると際限がないし、且つ紙面の都合もあり、他にも段々、故人の追憶記事があることゝ思ふから、自分は之で擱筆する。