デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
6節 国際災害援助
2款 天津水害義助会
■綱文

第40巻 p.22-26(DK400003k) ページ画像

大正7年3月2日(1918年)

是日当会、ソノ募集ニ係ル金十四万二百円ヲ、外務省ニ交付シ、処分方法ヲ一任ス。栄一会長トシテ之ニ与ル。


■資料

渋沢栄一 日記 大正七年(DK400003k-0001)
第40巻 p.22 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正七年         (渋沢子爵家所蔵)
一月十六日 快晴 寒
○上略東京商業会議所服部文四郎氏来リ、東京風水害寄附金ノ跡始末及天津水害救済会ノ事ヲ談ス○下略
 - 第40巻 p.23 -ページ画像 

集会日時通知表 大正七年(DK400003k-0002)
第40巻 p.23 ページ画像

集会日時通知表 大正七年         (渋沢子爵家所蔵)
一月廿三日 午前十時 天津風水害義助会(商業会議所)


天津水害義助会報告書 同会編 第六八―六九頁 大正八年四月刊(DK400003k-0003)
第40巻 p.23 ページ画像

天津水害義助会報告書 同会編 第六八―六九頁 大正八年四月刊
    (六)会計
  天津水害義助会収支決算書
     収入の部
 一、金拾四万弐千八拾四円八拾壱銭  収入総額
      内訳
  金弐万円也           御下賜金
  金拾弐万千参百弐拾円也     寄附金
  金七百六拾四円八拾壱銭也    預金利子
     支出の部
 一、金拾四万弐千八拾四円八拾壱銭  支出総額
      内訳
  金拾四万弐百円也        外務大臣を経て天津へ送付金
  金九百六拾円九拾九銭      広告費
  金弐百八拾五円参拾壱銭     集会費
  金七拾円拾参銭         通信運搬費
  金参百参拾参円参拾銭      印刷費
  金弐百参拾五円八銭       諸雑費
   差引なし


報知新聞 第一四七三九号 大正七年三月五日 天津水害義金(DK400003k-0004)
第40巻 p.23 ページ画像

報知新聞 第一四七三九号 大正七年三月五日
    ○天津水害義金
曩に天津水害義助会に於て募集中なりし天津水害見舞寄附金は、畏くも両陛下より二万円の御下賜金あり、一般寄附金亦十二万千百二十円に達したるを以て、二日会長渋沢男爵は服部商業会議所書記長を代理とし金十四万円を外務省に交附し、其適当なる処分案を本野外務大臣に依頼せり


竜門雑誌 第三五九号・第七八頁 大正七年四月 ○天津水害義助会(DK400003k-0005)
第40巻 p.23 ページ画像

竜門雑誌 第三五九号・第七八頁 大正七年四月
○天津水害義助会 天津水害義助会に於て過般来募集中なりし寄附金は畏くも 両陛下より金弐万円の御下賜あり、一般有志家の寄附金亦十二万円以上に達したるを以て、三月二日会長青淵先生は服部商業会議所書記長を代理として金十四万円を外務省に交附し、天津在留の我同胞並に同難の支那人を慰藉するに適当なる処分法を本野外相に依頼せられたりと云ふ。因に前記寄附金の総額十二万千百二十円の内訳左の如しと。
 △十万九千四十円(東京商業会議所扱)△一万三百九十円(大阪同上)△八百二十円(神戸同上)△百四十五円(下関同上)△七百二十五円(函館同上)
 - 第40巻 p.24 -ページ画像 

天津水害義助会報告書 同会編 第四四―四五頁 大正八年四月刊(DK400003k-0006)
第40巻 p.24 ページ画像

天津水害義助会報告書 同会編 第四四―四五頁 大正八年四月刊
    (五)事業成績
      一、日本人側成績及報告
謹啓、益御清康之段慶賀の至に奉存候、陳者昨年九月当地未曾有の水災に際しては甚大の御同情を以て、多額の救護金品を水災救護会へ御寄贈被下感泣の至に奉存候、御蔭を以て救護其他に関し遺憾なく目的を達するを得、該会の存続を要せざる事と相成候に付、剰余金銀壱万弐千弐百九十弐弗参拾六仙及金壱万五千五百四拾八円五拾九銭は、総領事監督の許に適当なる慈善事業に使用すべきの条件を以て之を本民団に引継ぎ、本年四月十九日を以て該会を閉鎖解散致候間御了承被下度、右乍延引別紙報告書相添へ此段得貴意候 敬具
  大正七年九月
          天津居留民団
             行政委員会議長 深野志磨
  在東京
    天津水災義助会殿
○下略


天津水害義助会報告書 同会編 第五四―五九頁 大正八年四月刊(DK400003k-0007)
第40巻 p.24-26 ページ画像

天津水害義助会報告書 同会編 第五四―五九頁 大正八年四月刊
 ○(五)事業成績
     一、日本人側成績及報告
○上略
      救護義捐金残額処分に関する申請書
客年九月以降に於ける当租界水災に関し、各地方の同情に因る義捐の金品は罹災居留民救護に関する各種事業に使用し、今哉本会の残務も僅少に相成候を以て、本会は本月十八日委員総会を開き、費消の残額全部を貴総領事監督の許に適当なる救済事業費に充当すべき条件を以て、之を天津居留民団に引継ぎ本会を解散致候事に決議候に付ては、何卒右主旨を以て可然御取計相煩度、残額の現金銀壱万弐千弐百九十弐弗参拾六仙五厘也金壱万五千五百四拾八円五十九銭也は、民団に引渡し候間左様御承知被下度、別紙収支決算書相添へ此段及申請候
                           敬具
水災義助会よりの義捐金と引継金の処分 天津水災救護会より残務引継後、民団に対し在東京天津水災義助会より配贈の義捐金四万二百円の換算額銀弐万六千弐百零四弗六拾六仙を総領事館を経て送付ありたるにつき、救護会よりの条件に基き民団は右配贈金と共に救護会引継残額処分に関し、左記事業費に充当すべく収支の計算を立て、避病院建築を除くの外は目下夫々工事に着手中なり。
      天津水災救護会引継金収支計算書
    収入の部
一、銀四万八千四百四拾八弗拾壱仙八厘也 総収入額
       内訳
 銀壱万弐千弐百九拾弐弗参拾六仙 救護会決算剰余金銀貨在高(商工銀行へ預入)
 - 第40巻 p.25 -ページ画像 
 銀九千九百五拾壱弗零九仙八厘  同上金壱万五千五百四拾八円五拾九銭を銀六拾四仙に対する金壱円の割にて換算(金貨にて商工銀行へ預入)
 銀弐万六千弐百零四弗六拾六仙  義助会より送附の分
    支出の部
一、銀四万八千四百四拾八弗拾壱仙八厘也 総支出額
        内訳
 銀六百零八弗五拾仙       墓地移転費
 銀壱万零八百弗         避病院敷地及墓地埋立費
 銀壱百零八弗六拾九仙      旧避病院取毀し費
 銀六千弗            火葬場修繕費
 銀弐万六千弗          避病院建築費
 銀弐百九拾九弗五拾弐仙     旧避病院家屋払下代
 銀四千六百参拾壱弗四拾仙八厘  避病院内部設備費
    二、支那人側成績及報告
通送第二六号
          大正八年一月九日
              外務省通商局長 田中都吉
東京天津水災義助会長 男爵 渋沢栄一殿
      東京天津水災義助会に関し報告の件
本件に関し今般在天津沼野総領事より支那側救済顛末、別冊写の通報告越候に付、此段及御通知候也
(別冊写) 一、支那側救済の方針
 大正六年秋季に於ける直隷省大水害に関し、東京天津水災義助会より右救済資金として金拾四万二百円也の寄附を受けたるに就ては、当天津に於ける日本側の災情と支那内地に於ける災情を考慮したる上にて、金四万二百円を天津日本専管居留地内の救助、並に復旧資金に宛て残部金拾万円を以て支那側の救済を為すこと尤も適当なるべしと認め、日本側に対して之れを民団に委任したるも、支那側の救済に就ては仮令尠からざる手数を要するも、之を我方の手にて実行すること尤も適切なりと認めたるを以て、京畿河工水災事宜督辦熊希齢並に直隷省長代理曹鋭とも打合せの上、我が方に於て高梁を買入れ放賑することに決定したり、当時直隷省内に於て水災を蒙りたる地方は別紙附属第一号の通り、殆んど全省の大部分を侵したるも、我方救済資金に限度あるを以て右罹災地方中、災情尤も重大にして且つ比較的支那官憲及び各地方慈善団・赤十字社並に外国人宣教等の救済行届かず、且つは又我国商人の年来棉花・麻等の土産品買附に比較的関係多き点等をも考慮したる上にて、任邱県・雄県・新鎮県・文安県・大城県及び天津附近の天津県・静海県の一部を救済することに熊督辦との協議を遂げたり、而して高梁の放賑数量に至りては専ら其県治の大小、人口の寡多並に災情の軽重に依り之を決定せり
      二、高梁の買入並に其配分
 前章にて決定せる支那側救済資金拾万円を当時の銀相場に換算する
 - 第40巻 p.26 -ページ画像 
時は、行市の変動如何により多少の増減あるも約銀六万弗となる見込なりしを以て、銀五万元を高梁買入資金とし、残額約一万元を運賃其他一切の費用に充当する予算にて三井物産会社天津支店に依頼し、大連市場にて高梁上物壱万七千五百九十五担を買入れ、之を左の通り配分したり
  任邱県      二千八百担
  雄県       二千担
  新鎮県      千二百担
  文安県      四千三百担
  大城県      四千二百担
  天津附近     三千九十五担
   計  一万七千五百九十五担
○下略