デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

昭和4年7月8日（1929年）

是日栄一、島野好平ヲ引見シ、アメリカ合衆国ロス・アンジェルス市ニ教育館建設ノ計画ヲ聴取シ、日米関係委員会ヲシテ之ガ援助ヲ考慮セシメンコトヲ約ス。

（島野好平）書翰　小畑久五郎宛　（昭和四年）六月二二日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
謹啓
先ころは御多忙の処に推参し、在米日本教育館建設の計画に関し渋沢子爵に御面会の義御願ひ申上げ恐縮、其の節御話し申上げし通り、小生義同計画の為め関西地方旅行、実は尚ほ早く帰京の予定なりしに案外に時日を要し、本日漸く帰京、就ては予て御願ひ申上げし通り御都合よろしき折一たび子爵に御面会相願ひたく、甚だ恐入ますが貴下に於て然るべく御取計の程幾重にも願ひあげます、実は参上して御願ひ申上ぐべきはずですが、御多忙の処へ参上御邪魔してはとわざと略式ながら書面を以て申進じます
希はくは御返信相煩はし度、右御願用迄　早々敬具
　　六月二十二日　　　　　　　　帝国教育会一橋寮
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　島野好平
　　　渋沢事務所
　　　　小畑久五郎様
 - 第40巻 p.459 -ページ画像 

（島野好平）書翰　小畑久五郎宛　（昭和四年）七月一〇日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（別筆）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　七月十一日入手
拝啓
一昨日は御多忙の処に推参せしに早速渋沢子爵へ御紹介の栄に与り、予て御聴に入れたかりし在米日本教育館建設の計画に関し陳述する機会を得て、幸慶至極あつく御礼申上げます、其の節子爵より、該計画を日米関係委員会へ謀るから趣旨書を貴下まで差上置くべき旨御申付につき、別封にて御送り申上げますから然るべく御取計くだされ度、尚ほ子爵より貴下が該会の会務を御掌りなさるので、委細御話申上げ置くべき旨御高諭でございましたが、已に最初御聴を願ひし通り、従来在米同胞のことにつきては、母国有志各位に移民問題・土地問題等種々御高配に与りしが、今や時代は一変し、米国生れの児童の将来こそ在米同胞にとり最重要の問題となりましたので、去歳十一月
今上陛下御即位御大典の記念事業として、別紙の如く、領事・日本人会・商業会議所・新聞社等協力一致して彼等児童の将来の為め教育館（Community Center）を建設し、日本の文化を彼等児童は固より広く在米各民族の児童・学生間に紹介し、日米国交の増進に資せんとする次第を然るべく各位へ御伝達相願いたく、くれぐれも御依頼申上げます
先は願用まで　早々敬具
　　　　七月十日　　　　　　　　　　　神田一橋通
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　帝国教育会一橋寮にて
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　島野好平
　　　　渋沢事務所
　　　　　小畑久五郎様
　　　　　　　　　　侍史
　　　○別封ノ趣旨書見当ラズ。