デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

5章 教育
1節 実業教育
9款 市立名古屋商業学校付商友会
■綱文

第44巻 p.459-466(DK440098k) ページ画像

大正3年3月15日(1914年)

是日、当校創立三十年記念祝典挙行セラル。栄一、十四日東京ヲ発シテ之ニ臨ミ、祝辞ヲ述ブ。


■資料

渋沢栄一 日記 大正三年(DK440098k-0001)
第44巻 p.459 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正三年         (渋沢子爵家所蔵)
三月十四日 雨 寒気強クシテ厳冬ノ如シ
○上略 午前七時四十分家ヲ発シ名古屋ニ赴ク、新橋マテ自働車ニテ八時三十分同所発ノ汽車ニ搭ス、郷隆三郎・図師民嘉・成瀬隆蔵・中島久万吉ノ数氏同行ス、車中安川敬一郎氏帰国スル為メ同行ス、車中雨天ニテ殊ニ寂蓼ヲ覚フ午後四時名古屋着、迎ノ為メ来ル者頗ル多シ○中略 午後五時商業会議所ニ抵リ名古屋経済会ノ主催ニ係ル歓迎会ニ出席ス食卓上一場ノ経済ニ関スル意見ヲ演説ス、○下略
三月十五日 快晴 風強シ
○上略 午前十時郷隆三郎氏等ト共ニ名古屋商業学校ニ抵リ祝典ニ列ス、○中略 市村校長式辞ノ後各種ノ祝文等アリ、後余ハ一場ノ祝辞ヲ述フ、其趣旨ハ実業教育発展ノ沿革及教師生徒ノ関係、道徳ト殖益ノ一致等ニ付詳細ノ意見ヲ述フ○下略


竜門雑誌 第三一〇号・第九四頁 大正三年三月 青淵先生の名古屋行(DK440098k-0002)
第44巻 p.459 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
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市村先生語集 山崎増二 杉浦太三郎 伊藤惣次郎 編 附録・第九頁 大正一五年一二月再版刊(DK440098k-0003)
第44巻 p.459-460 ページ画像

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市村先生語集 山崎増二 杉浦太三郎 伊藤惣次郎 編 附録・第一〇―一七頁 大正一五年一二月再版刊(DK440098k-0004)
第44巻 p.460-465 ページ画像

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〔参考〕竜門雑誌 第三一一号・第一七―一八頁 大正三年四月 ○学問と社会 青淵先生(DK440098k-0005)
第44巻 p.465-466 ページ画像

竜門雑誌 第三一一号・第一七―一八頁 大正三年四月
    ○学問と社会
                      青淵先生
○上略
 畢竟今日は尚ほ過渡の時代で国家社会の内容が充分に整はず、只々先進国の長所を適用する事に苦心して居た結果、机上の学問を尊ぶに過ぎ修学の目的は単に他人に使はるゝに限るといふ傾向があつたが、
 - 第44巻 p.466 -ページ画像 
此の傾向は社会の進歩と共に次第に改まる事と思ふ、如何しても人各天稟の能力が有る筈だからよくよく自分の才能境遇を考察して、普通教育以上の学問は、自分に適当したるものを選んで自己の為めに研究せねばならぬ。
 此の点に就いては故矢野二郎氏の如きは深い注意を払つてなかなか行き届いたものである。久しい間東京高等商業学校で模範校長と言はれた程で学生との関係は親子兄弟の如きものであつた、然して平常学生と親みて赤誠を以て薫陶感化し其の間に各学生の性格才能を知悉し卒業後適処に就くに於ても行届いた世話をしたものである、寧ろ干渉と思はれた位であつた、学生は何程其の恩情に浴したか知れぬ。
 現名古屋商業学校長市村芳樹氏も其の学生の一人で、矢野氏の薫陶を受けた人である、此の師にして此の弟子ありで、私は先日其三十年紀念祝典に招待されて親しく其の実況を視察したが、実に就職以来今日に到るまで氏が二十年間の苦心は、遂に今日の名古屋商業学校をして、彼の婬靡なる土地に在りながら模範的学校の名を得る如にした、創立以来三十年間に卒業した三千三百人の学生が到る処に真面目な活動をして居るのを聴いて実に頼母しいものであると思ふた、市村氏の教育法は即ち矢野氏の如き周到なる注意に加へて、更に一歩文明的に進められたものである。
 其の師弟間の情誼の温かい事は言ふ迄もなく、全校を一大家庭の如くにして生きた教育を施しつゝある、教育勅語の如きも単に形式に止めずして赤心より奉読すると共に、真に其の精神を体得せしむるに努めると言ふ如な有様である、又其学科の如きも前申した地図の例の如く努めて実際に遠ざからぬ様に、少からず苦心して居るから随つて卒業生の就職先も、銀行会社の雇人となるものは少なくして多数は其家庭で家業を励み、或は独立の準備を為すと言ふ如な有様であるから、学問と社会との関係が都合よく行はれてゐるのである。
 蓋し一校の事は一律に出来るものでは無いが、何れの学校に学び何れの学科を修めらるゝ人にしても、前に述べた事共を参考として十分なる注意を払はれ且完全に勉強せられむことを望む。(雑誌向上掲載)