デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2017.12.19

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

5章 教育
3節 其他ノ教育関係
2款 財団法人埼玉学生誘掖会
■綱文

第45巻 p.186-193(DK450061k) ページ画像

明治44年6月24日(1911年)

是ヨリ先、当会財団法人設立ノ申請ヲナシ、五月十六日認可セラル。是日、当会第一回評議員会開カレ、栄一会頭ニ推サル。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四三年(DK450061k-0001)
第45巻 p.186 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四三年         (渋沢子爵家所蔵)
十月二十一日 雨 冷
○上略 午後四時王子ニ帰宅シ、埼玉学生誘掖会ノ理事会ヲ開ク、会スル者十名許リナリ、本会附属ノ寄宿舎維持ニ関シテ各自種々ノ意見ヲ討議シ、決局十一月十二日ヲ以テ総会開設ノ事、基金募集方法等ヲ協定シ、十時散宴ス○下略


渋沢栄一 日記 明治四四年(DK450061k-0002)
第45巻 p.186 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四四年         (渋沢子爵家所蔵)
六月七日 晴 軽暑
年前七時起床、入浴シテ朝飧ヲ食ス、後大井台司来リ埼玉学生誘掖会ノ事ヲ談シ、書類ヲ調印シ遣ス○下略
  ○中略。
六月二十四日 曇 暑
○上略
此日午後二時ヨリ埼玉学生誘掖会ニ抵リ、財団法人設立ニ関スル報告ヲ為シ、法人ノ役員ヲ撰定ス○中略午後六時頃散会ス


埼玉学生誘掖会十年史 同会編 第六九―八五頁大正三年一〇月刊(DK450061k-0003)
第45巻 p.186-190 ページ画像

埼玉学生誘掖会十年史 同会編  第六九―八五頁大正三年一〇月刊
 ○第一篇 埼玉学生誘掖会史
    第一期 会員組織時代
○上略 二十一日○明治四三年一〇月王子渋沢男爵邸に於て特に理事会を開く。理事大川平三郎・諸井恒平・本多静六・原鉄六郎・斎藤安雄、副監督矢作栄蔵・斎藤阿具の諸氏及主事大井台司、舎監古川常吉会議に列す。此会合は即ち本会資金募集に関する件にして、実に本会の興廃に関する重要のものなり。席上凝議の結果、本会の組織を変更して財団法人となし、更に其維持基金を募集するに決し、其実行のため一旦省略に決したる総会を招集して、其承認を求むることとせり。玆に於て更に其準備をなし、十一月十二日を以て通常総会を開く旨全会員に通知せり。○中略
十二日○明治四三年一一月通常総会を開き○中略次に本会の組織を変更して財団法人となすの件を附議したるに、満場一致を以て可決し、且つ財団法人組織に関する一切の件を理事に一任せられたり。此日の列席者は佐野副会頭、竹井・諸井・本多・原・斎藤・野本・田沼・福田の各理事
 - 第45巻 p.187 -ページ画像 
矢作・斎藤の副監督、高木亮助・斎藤仙治郎・望月久知・小沢治郎兵衛・戸矢治平の諸氏なり。○中略十七日○明治四四年一月日本橋区兜町渋沢事務所に於て理事会を開き、曩に作成せる財団法人寄附行為案に付きて討議し之を確定案となせり○中略
之より先、各協賛員に移牒して鋭意進捗を計りたる会員名簿の調製及払込の完了は四月中旬を以て一段落を告げしが故に、二十一日寄附行為案に一切の関係書類を添へ、東京府庁を経由して文部省に進達せり○中略
    第二期 財団法人組織時代
○中略 本会の申請したる財団法人寄附行為は、明治四十四年五月十六日を以て文部大臣より認可の指令を受けたり。因て此月三十一日理事会を開き、之か役員の人選を議せり。其結果男爵渋沢栄一・男爵佐野延勝・竹井澹如・法学博士矢作栄蔵・諸井四郎・石井健吾・斎藤恂の七氏を本財団の理事に、山中隣之助・大川平三郎・諸井恒平・林学博士本多静六・田島竹之助・斎藤安雄・久米良作の七氏を監事に選定し、其承諾を得て民法の規定に従ひ六月六日本財団法人設立の登記を了せり。玆に至りて財団法人埼玉学生誘掖会は全く成立を告げて、創立時代より更に進んで確立時代に入りたり。
左に財団法人寄附行為の全文を掲ぐべし。
 東京市牛込区市谷砂土原町三丁目二十一・二番地埼玉学生誘掖会ハ明治三十五年三月十五日ノ創設ニ係リ、附録寄附者名簿ニ記載スル会員ノ寄附金ニ拠リ、附表第一号ニ記載スル資産ヲ所有セル処、今般右資産ノ所有名義者タル渋沢栄一ハ会員ノ同意ニ因リ、前記一切ノ資産ヲ以テ財団法人ヲ設立シ、其基礎ヲ永遠ニ鞏固ナラシメンコトヲ企図シ、玆ニ寄附行為ヲ為シテ左ノ条項ヲ定ム。
     財団法人埼玉学生誘掖会寄附行為
      第一章 総則
第一条 本財団ハ埼玉県人及ヒ埼玉県出身者子弟ノ在東京学生ノ為メニ寄宿舎事業ヲ経営シ、其他一般修学上ノ便ヲ図リ人才ヲ養成スルヲ以テ目的トス。
第二条 本財団ハ埼玉学生誘掖会ト称ス。
第三条 本財団ノ事務所ハ東京市牛込区市ケ谷砂土原町三丁目二十一・二番地ニ置ク。
第四条 本財団ノ事業執行・資産ノ管理処分、其他ノ事項ニ関スル細則ハ維持員会ノ決議ヲ以テ之ヲ定ム。
      第二章 資産
第五条 本財団ノ資産ハ別表ニ掲ケタル設立者ノ寄附、財産設立後第三者ノ寄附ニ係ル財産、及ヒ其他ノ収入ヲ以テ組織ス。
第六条 本財団ノ資産ヲ分チテ基本財産及ヒ普通財産ノ二トス。
第七条 基本財産ハ其元本ヲ消費スルヲ許サス。
      第三章 役員
第八条 本財団ニ理事七名以内ヲ置キ、内一名ヲ会頭一名乃至二名ヲ副会頭ト称ス。
第九条 会頭及ヒ副会頭ハ評議員会ニ於テ之ヲ推薦ス。其他ノ理事
 - 第45巻 p.188 -ページ画像 
ハ維持員会ニ於テ之ヲ選挙シ、其任期ヲ三ケ年トス。
第十条 会頭ハ会務ヲ総裁シ、維持員会・評議員会及ヒ寄附者総会ノ議長タル者トス。
 副会頭ハ会頭ヲ補佐シ会頭事故アルトキハ之ヲ代理ス。
 理事ハ会務ヲ処理ス。
第十一条 本財団ニ監事七名以内ヲ置ク。
第十二条 監事ハ維持員会ニ於テ之ヲ選挙シ、其任期ヲ三ケ年トス監事ハ本財団財産ノ状況及ヒ業務ノ執行ヲ監査ス。
      第四章 維持員
第十三条 本財団ニ維持員ヲ置キ、左ニ掲クル者ヲ以テ之ニ充ツ。
 一、設立者
 二、設立者カ指名シタル者三十名以内、但欠員ヲ生シタルトキハ維持員会ニ於テ之ヲ指名補充ス
 三、金五百円以上ノ寄附者
 四、金壱千円以上ノ寄附者ノ家督相続人
第十四条 維持員ノ資格ハ左ノ事由ニ因リ消滅ス。
 一、死亡
 二、禁治産・準禁治産・破産
 三、辞任
 四、除名
第十五条 維持員ノ除名ハ維持会出席者三分ノ二以上ノ同意ヲ経ルコトヲ要ス。
      第五章 維持員会
第十六条 維持員会ハ維持員ヲ以テ組織シ、本財団ニ関スル重要ナル事件ヲ決議ス。
第十七条 維持員会ハ会頭ニ於テ必要ト認ムルトキ、又ハ維持員十分ノ一以上ノ請求ニ依リ会頭之ヲ招集ス。
第十八条 維持員会ノ議事ハ出席員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス。
第十九条 維持員会ノ招集ハ会議ノ目的及ヒ決議事項ヲ記載シ、少クトモ五日以前ニ各維持員ニ通知ヲ発スヘシ。
      第六章 評議員会
第二十条 本財団ニ評議員百名以内ヲ置ク。
第二十一条 評議員ハ寄附者総会ニ於テ金壱百円以上ノ寄附者中ヨリ之ヲ選挙シ、其任期ヲ三ケ年トス。
 寄附者総会ハ会頭之ヲ招集ス。其通知ハ少クトモ七日以前ニ発送スヘシ。
第二十二条 評議員会ハ評議員及ヒ維持員ヲ以テ之ヲ組織ス。
第二十三条 評議員会ハ毎年十月会頭之ヲ招集ス。其他会頭ニ於テ必要ト認ムルトキ又ハ評議員十分ノ一以上ノ請求アリタルトキハ臨時会ヲ招集ス。
第二十四条 評議員会ノ招集ハ会議ノ目的及ビ事項ヲ記載シ、少クトモ七日以前ニ各評議員及ヒ維持員ニ通知ヲ発スヘシ。
第二十五条 会頭ハ毎年十月評議員会ニ前年度ノ会務報告及ヒ会計報告ヲ為シ、其承認ヲ求ムルヲ要ス。
 - 第45巻 p.189 -ページ画像 
第二十六条 評議員会ノ議事ハ出席員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス。
      第七章 協賛員
第二十七条 本財団ノ事業ヲ翼賛シ深厚ナル同情ヲ寄スル人ヲ以テ協賛員トス
第二十八条 協賛員ハ維持員会ノ決議ヲ経テ会頭之ヲ推薦ス。
第二十九条 会頭ハ協賛員ニ対シテ本財団ノ状況ヲ報告シ、必要ノ場合ニハ協賛員会ヲ開キ、其意見ヲ聴クコトヲ得。
      第八章 名誉員
第三十条 学識名望アル人ニシテ本財団ノ目的ヲ賛同スルモノヲ以テ名誉員トス。
第三十一条 名誉員ハ維持員会ノ決議ヲ経テ会頭之ヲ推薦ス。
      第九章 計算
第三十二条 本財団ノ事業年度ハ毎年十月ニ始マリ翌年九月ニ終ル本財団毎事業年度ノ経費ハ前年度末ニ於テ理事其予算ヲ調製シ、維持員会ノ決議ヲ経テ其額ヲ定ム。
 予算外ノ支出及予算超過ノ支出ヲ要スルトキハ維持員会ノ決議ヲ経ルコトヲ要ス。但シ緊急ノ場合ニハ支出後維持員会ノ承認ヲ経ベシ。
第三十三条 本財団ノ会計ハ維持員ノ決議ヲ以テ定メタル会計規定ニ拠リ之ヲ処理ス。
      第十章 寄附行為条項ノ変更
第三十四条 此寄附行為ノ条項ハ会頭ノ発議ニ因リ、評議員会ノ決議ヲ経タル後主務官庁ノ認可ヲ得テ之ヲ変更スルコトヲ得。此場合ニ於テハ評議員ノ半数以上出席シ其出席員ノ三分ノ二以上ノ同意アルニ非レバ決議ヲ為スコトヲ得ズ。但シ出席員ノ定数ニ満タザルトキハ仮決議ヲ為シ、更ニ評議員会ヲ招集シ其出席員三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ確定ス。
      附則
 本財団設立ノ際ニ於テハ、理事・監事及ヒ評議員ハ、設立者之ヲ選定ス。
○中略 六月二十四日、第一回評議員会を召集して財団設立の経過を報告し、次て寄附行為第九条に拠り正副会頭の推薦に移りしに、全会一致を以て会頭に男爵渋沢栄一氏、副会頭に男爵佐野延勝及び竹井澹如の二氏を推薦して其承諾を得たり。此に於て渋沢会頭は衆議に諮り、矢作栄蔵・諸井四郎両氏を専務理事に選定し、矢作氏に寄宿舎監督を、諸井氏に本会会計主任を嘱托し、何れも其承諾を得たり。評議員会終了後会頭は全舎生を集め財団成立を機として左の訓示を下せり。
 我埼玉学生誘掖会寄宿舎々生ノ準拠スベキモノハ寄宿舎要義之ヲ説明シテ又余薀ナシ。惟フニ寄宿舎開設以来既ニ七年、舎生ノ出入三百五十有余名ヲ算ス。諸子此舎ニアルノ日能ク要義ノ趣旨ヲ遵守シテ切磋琢磨学業ヲ懈ラザルハ予ノ欣喜ニ堪ヘザル所ナリ。然リト雖モ予ハ猶望蜀ノ念禁ズル能ハザルモノアリ。一言以テ諸子ニ告グル所アラントス。
 抑モ寄宿舎ニ尚ブ所ハ、穏健ナル気象ヲ養ヒ、真摯ナル舎風ヲ作リ
 - 第45巻 p.190 -ページ画像 
幾多ノ舎生悉ク此風ニ化シ、涵養ノ効諸子ノ性格ヲシテ所謂志操堅確ニシテ、威武モ屈スル能ハズ、富貴モ蕩スル能ハズ、終始一貫能ク処世ノ要ヲ尽サシムルニアリ。是レ予等此寄宿舎設立者ノ期スル所ナリト雖モ、歳月ノ推移スル、舎生出入ノ頻繁ナル、時ニ或ハ隆替ノ恐レナシト云フベカラズ。是ヲ以テ予ハ常ニ此趣旨ヲ反覆シテ舎生諸子万一ニモ遺失スルコトナカラシメントス。
 今ヤ本会ハ財団法人トナリ、基礎ノ鞏固ヲ加フルニ従ツテ、朝野ノ注視漸ク深カラントス。本会ノ責任益々重大ニシテ、諸子ノ注意ヲ要スル愈々切実ナルヲ覚ユ。諸子能ク思ヲ此ニ致シ、拳々要義ノ精神ヲ服膺シテ、舎風ヲ振粛シ、一誠以テ県民多数ノ企待ニ背カザランコトヲ期スベシ。
本会の組織変更玆に全く成り、而して前理事一同退任せるを以て、特に謝状を贈りて感謝の意を表し、又本財団寄附行為。財団設立経過報告。役員。維持員。評議員人名表。維持基金寄附人名等を印刷に附して左記謝状と共に全会員に配布せり。
       全会員に贈りし謝状
 拝啓愈々御清適奉賀候、陳者本会事業之儀多年各位の深厚なる御同情に依り今日之盛況に達し候段感謝の至りに不堪候、昨年通常総会に於て会の組織を改め財団法人となすことに決議相成り候に付ては右決議の主旨に基き財団法人寄附行為の成案を文部大臣に提出致候処、五月十六日認可を得候に付、右寄附行為の規定に拠り理事監事維持員及ひ評議員を選定し、六月二十四日評議員会を招集致し、正副会頭の推薦を了へ、玆に本財団の成立を告け候、従て従来の会員の名称は自然消滅致し候に付、今後は寄附行為の規定に拠り本財団寄附者として一層の御援助被成下候様切望の至りに不堪候、玆に本財団成立の御報告を為すに当り、多年の御厚情を謝し旁右御願迄得貴意度如此に御座候 敬具
○下略



〔参考〕渋沢栄一 日記 明治四四年(DK450061k-0004)
第45巻 p.190-191 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四四年       (渋沢子爵家所蔵)
六月二十七日 雨 暑
午前六時半起床、入浴シテ朝飧ヲ食シ、後山口氏ノ来訪ニ接ス、誘掖会学生任用ノ事ニ付依頼セラル○下略
  ○中略。
七月十二日 晴 暑
○上略 諸井四郎氏来リ、埼玉誘掖会ノ事ヲ談ス○下略
  ○中略。
八月二十三日 晴 暑
○上略 古川常吉・高橋隆道二氏来ル、埼玉学生誘掖会ノ事ヲ談ス○下略
  ○中略。
九月二十日 晴 暑
○上略 諸井恒平氏来リ○中略埼玉学生誘掖会ノ件等ヲ談ス○下略
  ○中略。
九月二十四日 晴 冷
 - 第45巻 p.191 -ページ画像 
午前七時起床、半身浴ヲ為シテ後朝飧ヲ食ス、畢テ埼玉学生寄宿舎ノ委員ニ面話ス○下略



〔参考〕埼玉学生誘掖会十年史 同会編 第八五―八九頁大正三年一〇月刊(DK450061k-0005)
第45巻 p.191-192 ページ画像

埼玉学生誘掖会十年史 同会編  第八五―八九頁大正三年一〇月刊
 ○第一篇 埼玉学生誘掖会史
    第二期 財団法人組織時代
○上略 十二月九日○明治四四年第一回維持員会を開き、寄附行為第四条及第三十二条に拠り、明治四十五年度本会経費及本会会則を議定せり。
○中略
本会組織変更に伴ふて本会々則も亦自ら改定する必要ありて、左の如く改正せられたり
      埼玉学生誘掖会会則
       第一章 総則
 第一条 本会ハ寄附行為第一条ノ目的ヲ達スル為メ、寄宿舎ヲ設ケ学生ノ保護監督ヲ為シ、併セテ左ノ事業ヲ行フ。
  一、入学者ノ為メ諸般ノ便宜ヲ計リ、又父兄ノ依頼ニヨリ在京学生ノ監督ヲナス事。
  二、貸費ノ制ヲ設ケ、学資乏シキ有望ノ学生ヲ養成スル事。
  三、優秀学生表彰ノ法ヲ設ケ、学生ヲ奨励スル事。
       第二章 職務
 第二条 会頭ハ本会ヲ代表シ会務ヲ総裁シ、維持員会・評議員会及寄附者総会ノ議長タルモノトス。
  副会頭ハ会頭ヲ輔佐シ会頭事故アルトキハ之ヲ代理ス。
 第三条 理事ノ内二名ヲ専務トシ、理事会ノ決議ニヨリ本会一切ノ事務ヲ管掌セシム。専務理事ハ会頭之ヲ嘱託ス。
 第四条 監事ハ寄附行為第十二条第二項執行ノ為メ、何時タリトモ会計ノ状況ヲ調査シ、又報告ヲ求ムルコトヲ得。
 第五条 寄宿舎ニ監督及副監督ヲ置キ之ヲ管理セシム。
  監督・副監督ハ名誉職トシ、会頭之ヲ嘱託ス。
 第六条 本会ニ主事ヲ置キ、理事及監督・副監督ノ命ヲ受ケ、本会及寄宿舎ニ関スル庶務及会計ノ事務ヲ取扱ハシム。
  寄宿舎ニ舎監ヲ置キ、理事及監督・副監督ノ命ヲ受ケ、専ラ舎生取締リノ任ニ当ラシム。
  主事及舎監ハ有給トシ、会頭之ヲ任免ス。
       第三章 寄附金
 第七条 本会ハ本会則第一条ノ目的ヲ達スル為メ寄附金ヲ募集シ、若クハ金品ノ寄附ヲ受クルモノトス。
 第八条 寄附金ハ左ノ三種トス。
  一 維持基金
  二 貸費基金
  三 普通寄附金
 第九条 維持基金ハ寄附行為第六条ノ基本財産ニ繰込ミ、其利子ヲ以テ本会事業ノ経費ニ充ツルモノトス。
 第十条 貸費基金ハ寄附行為第六条ニ定メタル普通財産ニ繰込ミ、
 - 第45巻 p.192 -ページ画像 
本会則第一条第二項ノ事業ニ使用スルモノトス。
 第十一条 普通寄附金ハ寄附行為第六条ニ定メタル普通財産ニ繰込ミ、維持員会ノ決議ニ拠リ本会事業ノ経費ニ充ツルモノトス。
 第十二条 寄附金ハ一時ニ金額ノ払込ヲ受クルモノトス。但シ分割払込ノ申込アルタルトキハ此限ニアラズ。
 第十三条 本会ニ寄附金原簿ヲ備ヘ、寄附者ノ姓名及金額ヲ記入シ何時タリトモ寄附者ノ閲覧ニ供スルモノトス。
       第四章 会計
 第十四条 本会会計ハ寄附行為第三十三条ニ基キ、本章ノ規定ニ拠リテ処理スルモノトス。
 第十五条 本会ニ会計主任ヲ置キ、専務理事ノ内一名ヲ以テ之ニ充ツ。
 第十六条 会計主任ハ本会資産ノ管理及金銭出納ヲ掌リ寄宿舎会計ヲ監督ス。
 第十七条 基本財産ノ保管運用ハ維持員会ノ決議ヲ以テ之ヲ定ムルモノトス。
  利殖ノ為メ基本財産ヲ以テ買入ルベキ有価証券ハ、公債又ハ予メ維持員会ニ於テ定メタルモノニ限ル。
 第十八条 普通財産ハ維持員会ニ於テ定メタル銀行ニ預入レ之ヲ管埋スルモノトス。
  普通財産ニ余裕ヲ生ジタルトキハ、維持員会ノ決議ニヨリ基本財産ニ組入ルモノトス。
 第十九条 経費ハ寄附行為第三十二条第二項ニ定メタル予算ノ範囲ニ於テ処理シ、必要アルトキハ各項ノ流用ヲ為スコトヲ得。
 第二十条 本会所有建物ノ増築又ハ改築ハ予メ維持員会ノ決議ヲ経ルコトヲ要ス。本会ノ所有ニ属スル不動産ノ上ニ負担トナルヘキ契約ヲ為サントスルトキ又同ジ。
 第二十一条 本会所有ノ建物ハ理事会ニ於テ確実ト認メタル会社ノ火災保険ニ付スベシ。
 第二十二条 新ニ負債ヲ起サントスルトキハ、維持員会ノ決議ヲ得ルコトヲ要ス。
       附則
 第二十三条 本会則ヲ変更セントスルトキハ維持員会ニ於テ決議シ会頭ノ認可ヲ経ルコトヲ要ス。
○下略
  ○後掲資料ニヨレバ第三回維持員会ニハ栄一出席セルモ、右ノ第一回ニハ栄一ノ出席明確ナラズ。
   尚、改正前ノ埼玉学生誘掖会会則ニツイテハ本資料第二十七巻所収「埼玉学生誘掖会」明治三十五年三月十五日ノ条参照。



〔参考〕渋沢栄一書翰 諸井四郎宛(明治四四年)一二月三〇日(DK450061k-0006)
第45巻 p.192-193 ページ画像

渋沢栄一書翰  諸井四郎宛(明治四四年)一二月三〇日  (諸井四郎氏所蔵)
拝読、益御清適奉賀候、然者埼玉学生誘掖会財産状態御取調被下、別紙御廻送相成一覧仕候、右ニて従来支出せし分も現今基本財産と可相成分も明亮ニ相成候義ハ重畳之事ニ候得共、目下集合之基金のミにて
 - 第45巻 p.193 -ページ画像 
ハ将来安全ニ本会持続難仕事と存候間、此上幾分之募集必要と存候ニ付、来春にも相成候ハヽ御同志之諸君御協力被下、何とか増額之御工夫頼上候、右不取敢拝答如此御坐候 不宣
  十二月三十日               渋沢栄一
    諸井四郎様
  ○別紙見当ラズ。