デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

5章 教育
3節 其他ノ教育関係
8款 早稲田大学
■綱文

第45巻 p.362-364(DK450140k) ページ画像

大正11年9月29日(1922年)

是ヨリ先、当大学学長塩沢昌貞ヨリ、維持員会ニ校規改正案提出セラル。是日維持員会ハ、同案審議ノタメ、七名ノ委員ヲ設ケ、栄一等ヲ指名ス。栄一委員長トナリテ審議ノ結果、大正十二年三月十四日ノ臨時維持員会ニ、委員修正案ヲ提出、可決セラル。


■資料

半世紀の早稲田 早稲田大学出版部編 第三五七―三五九頁昭和七年一〇月刊(DK450140k-0001)
第45巻 p.362-363 ページ画像

半世紀の早稲田 早稲田大学出版部編 第三五七―三五九頁昭和七年一〇月刊
 ○第一篇 第五章 昂揚期
    第七節 校規改正と高田総長就任
 これより先き、大隈総長の死んだ後、学園では甦生の道を講じ、世間から『大隈が死んだら早稲田は衰へるだらう』などゝいはれた謬見を一掃する必要に迫られてゐた。学園は実際大正七年以来、諸々の災厄に逢うて、平和の裡にも何となく不安の空気が漂ひ、一部校友の間には其将来を悲観するものさへあつたので、当局は其悲観を杞憂たらしめる覚悟を以て、真先に校規を改正して新らしい道を切り開かうとした。学長塩沢らはこゝに於いて原案を作成し、それを大正十一年九月十五日の臨時維持員会に提出して決議を求め、其理由及び条項について概説を試みたが、決議は審議の後になすべきものだといふので保留に附され、同二十九日、同案審議の為め七名の委員を設け、渋沢栄一から坪内・山田・昆田・坂本・松山・早速を指名し、理事を番外として、原案を委員に附託することを決議した。かうして十月六日・十三日の両度校規改正委員会を開き、更に翌年二月二十五日にも小委員会を開いて討議し、三月十四日の臨時維持員会に於いて、渋沢委員長から委員修正案を提出し、討議の末字句の修正を加へて全部可決したので、十七日改正校規認可願を文部省に提出した。
 そこで三月二十九日の評議員例会と三十日の校友幹事会とに於いて
 - 第45巻 p.363 -ページ画像 
塩沢学長は改正校規を示して諒解を求めたが、四月十二日附で改正校規が認可せられたので、五月五日の臨時維持員会で即日これを実施することに定めた。新校規に依ると、従来学長と称へ来つた学園の代表者は、爾後早稲田大学総長と称することになり、また従来五名を定員とした理事は、七名以内を定員とすることになつたから、十一日の定時維持員会で、理事一名を増加して其選任を行つたところ、高田が当選して新たに理事となつた。そこで予てから辞意を洩らしてゐた塩沢昌貞は正式の辞表を提出した結果、理事六名の互選で高田を総長に推薦し、創立者大隈重信侯の相続者を代々名誉総長と為すといふ新規定に基き、大隈信常を名誉総長に推薦した。
○下略


集会日時通知表 大正一一年(DK450140k-0002)
第45巻 p.363 ページ画像

集会日時通知表 大正一一年       (渋沢子爵家所蔵)
九月十五日 金 午后参時 早稲田大学維持員会(同大学)
   ○中略。
九月廿九日 金 午后弐時 早稲田大学定時維持員会(同大学恩賜館)
   ○中略。
十月六日 金 午后弐時 早稲田大学委員会(恩賜館)
   ○中略。
十月十三日 金 午后壱時 早稲田大学校規改正委員会(同大学恩賜館)
   ○中略。
十二月五日 火 午后弐時 早稲田大学校規改正委員会(永楽クラブ)


集会日時通知表 大正一二年(DK450140k-0003)
第45巻 p.363 ページ画像

集会日時通知表 大正一二年       (渋沢子爵家所蔵)
弐月廿五日 日 午前十時 早稲田大学校規改正委員会(同構内恩賜館)
   ○中略。
参月五日 月 午前十時 早稲田大学校規改正委員会(日清生命保険会社)
   ○中略。
参月七日 水 午前八時 早稲田大学阪本・田中両氏来約(飛鳥山邸)
   ○中略。
参月十四日 水 午后弐時 早稲田大学維持員会(同大学恩賜館)


早稲田学報 第三三八号大正一二年四月 校報 臨時維持員会(DK450140k-0004)
第45巻 p.363 ページ画像

早稲田学報 第三三八号大正一二年四月
 ○校報
    臨時維持員会
 三月十四日午後二時より臨時維持員会を開設し、校規改正に関する件等に就き審議決定する所あり。目下該改正校規の認可申請中なり。
 当日の出席者
 大隈会長、市島・早速・高田・田中・坪内・中島・上原・山田・増田・昆田・寺尾・三枝・阪本・宮田・渋沢子・塩沢の各維持員
 - 第45巻 p.364 -ページ画像 

早稲田学報 第三三九号大正一二年五月 改正校規(DK450140k-0005)
第45巻 p.364 ページ画像

早稲田学報 第三三九号大正一二年五月
    改正校規
 前号所報の如く、三月十四日の臨時維持員会に於て議了したる本大学改定校規は、予て文部大臣に認可申謂中の処、四月十二日附を以て認可せられたり。○下略