デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

昭和4年4月23日（1929年）

是年二月八日、当大学維持員会ニ於テ、校規其他諸規定改正ノ件ヲ議シ、松平頼寿ヨリ右ハ欠席セル栄一ト懇談ノ要アリトノ動議出ヅ。是日高田早苗、栄一ニ宛テ該件結了ヲ報ジ謝意ヲ表スル書翰ヲ発ス。

早稲田大学書類（二）　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
拝啓、左記ノ通リ定時維持員会開会致候間御出席被成下度、此段御通知申上候　敬具
　　昭和四年二月三日
　　　　　　　　　　　　早稲田大学総長　高田早苗印
　　　　（宛名手書）
　　　　維持員　子爵渋沢栄一殿
　一、日時　昭和四年二月八日（金曜）午後一時
　一、会場　早稲田大学恩賜館
 - 第45巻 p.387 -ページ画像 
　一、会議目的　一、校規其他諸規程改正ノ件
　　　　　　　　二、其他

早稲田大学書類（二）　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
　　　　定時維持員会報告書
　　　　　　　　　　（昭和四年二月八日午後一時）
出席維持員
　侯爵大隈　市島　五十嵐　埴原　徳永　渡辺　高田　田中　坪内　上原　山田　山本　伯爵松平○頼寿　増田　寺尾　浅野　坂本　宮田　平沼　鈴木　以上二十氏
○中略
　一、校規其他諸規程改正ニ関スルコト
　ヲ議題ニ供シ、各維持員ヨリ意見ノ陳述アリ、松平維持員ヨリ本日渋沢維持員欠席ニ付、大隈会長並高田総長同道ニテ同子爵ト懇談ヲ遂ゲ、近日中ニ臨時維持員会ヲ開キテ決定スルコトニシテハ如何トノ動議アリ、一同之ニ同意シ、午後三時四十分散会シタリ
○下略

（高田早苗）書翰　渋沢栄一宛（昭和四年）四月二三日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（別筆朱書）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　昭和四年四月二十三日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高田早苗氏来状
拝啓、春和之候ニ御坐候処御健康漸次御恢復被遊居候趣伝承誠に慶賀罷在候、陳ハ昨年来不一方御配慮相煩し居候当大学校規其他諸規程改正之儀、去月十五日開会仕候臨時維持員会に於て、維持員中より特別委員七名を選びて改正案を作製致候事と相成、会長の指名にて大隈・高田両総長ニ山田・市島・松平・田中・上原の諸氏委員となり、二回委員会開会致候結果漸く一致、委員会案出来致候ニ付、昨二十二日臨時維持員会を開き、数時間審議を遂げ別紙之通議決相成候間御諒承被成下度、此上ハ文部省の認可有之次第実施之運と相成候次第ニ御坐候右ニ付一応老生参上御見舞申陳旁経過御報告申上度存候処、未だ御面会相叶はざる趣拝承罷在候ニ付、甚だ乍略儀書中御挨拶迄如此ニ御坐候、尚久敷此事ニ関し御賢慮を煩はし候段誠ニ赤面之至、且は深く御礼申上候、何れ御面接相叶候機を待ちて、親敷縷陳可仕存意ニ御坐候へとも、宜敷御諒恕被成下度御願申上候
尚々乍筆末此上とも切ニ御自愛御加餐奉祈上候　敬具
　　四月廿三日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高田早苗
　　　　渋沢子爵閣下
　　　○別紙略ス。
　　　○栄一、是年二月末ヨリ風邪ノ気味ニテ在邸静養ス。五月中旬回復ス。