デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
1節 学術
1款 東京経済学協会
■綱文

第46巻 p.318-319(DK460092k) ページ画像

明治42年12月25日(1909年)

是月十七日、栄一ヲ団長トスル渡米実業団帰国ス。当協会、富士見軒ニ於テ、十二月例会ヲ兼ネ栄一ノ歓迎会ヲ開催ス。栄一出席シテ演説ヲナス。


■資料

東京経済雑誌 第六〇巻第一五二三号・第一二四一頁明治四二年一二月三一日 東京経済学協会十二月例会(DK460092k-0001)
第46巻 p.318 ページ画像

東京経済雑誌  第六〇巻第一五二三号・第一二四一頁明治四二年一二月三一日
    東京経済学協会十二月例会
去る廿五日午後五時より富士見軒に開きたる東京経済学協会十二月例会に於ては、渡米実業団中の会員渋沢男爵・渡瀬寅次郎・小池国三の三君を招きて歓迎の意を表し、更に農商務省工務局工務課長岡実君に請ふて工場法制定に関する説明を聴けり、其の演説筆記は次号に掲載すべし、当夕の出席者は左の如し
 渋沢男爵   渡瀬寅次郎  小池国三   岡実
 阪谷男爵   小松崎吉雄  永田忠吉   簗田𨥆次郎
 佐藤伊三郎  内田原俊吉  河口半瑞   三枝光太郎
 寺本栄太郎  瀬下清通   金子範二   鈴木良輔
 足立太郎   草野門平   本多貞二郎  黒木嘉幸
 高橋正次郎  竹内廉一   西脇健治   田野井多吉
 樋口与三次  野村宗十郎  平野元吉   昆田文治郎
 高倉義雄   北崎進    塩島仁吉   黒沢和雄
 森一兵    山中隣之助  島田三郎   木村亮吉
 照井政太郎  郷隆三郎   諸井四郎   石塚剛毅
 矢野政二   木全良八郎  三浦鉄太郎  小池寛次
 外山貞二郎  神田鐳蔵
  ○渡米実業団ニツイテハ本資料第三十二巻所収「渡米実業団」参照。


竜門雑誌 第二六〇号・第四四頁明治四三年一月 △経済学協会歓迎会(廿五日)(DK460092k-0002)
第46巻 p.318-319 ページ画像

竜門雑誌  第二六〇号・第四四頁明治四三年一月
△経済学協会歓迎会(廿五日) 経済学協会にては、廿五日夜青淵先生を招待して歓迎旁々例会を開きたり、先生は先づ渡米団一行が、能く自我を没して統一を保ちし事と、其待遇の極めて懇篤なりし事を一一例証を挙げて説明し、扨て
 米人は国自慢も激しけれ共同時に日本の商工業の前途に対して非常に恐怖心を抱き、飽迄競争せんとするの決心を示し居れり、或点までは日本を買被り居るかの観なきに非るも、一歩を過ぐれば東洋の将来は総て日本の専有に帰す可しと確心し居れり
とて、米人が先生に向て、日本が米国より買ふ事の少くして売る事の多きを語たるに対し、先生が、米人は国産を海外に売出す手段に於て
 - 第46巻 p.319 -ページ画像 
遥に独逸人に劣る旨を答弁し置きしも、彼の無尽蔵の天産物を抱いて東洋に雄飛せんとしつゝある以上は、決して油断ある可からず、米国が今日の雄勢は固より天産物に富むが為なれ共
 一面に於ては米人の奮発力に帰せざる可からず、何となれば彼等は学理よりも先づ実利を先として、法令あれ共之に束縛されず、苟も利益ありと認むれば直に著手するの一特色を有す、之を日本が学理にのみ走りて事実の反するに注意せず、万事を法律づくめに解釈せんとするに比すれば雲泥の相違あり、日本の現状は決して商工業を発達せしむる所以にあらず
とて彼我企業の相違を指摘し、帰朝早々之に対する方策は容易に画策し得ずと雖も、日本は此際大に啓発するなくんば、米人の蹂躙に甘ぜざるを得ざるに至る可しとて語り、又た排日熱はカルホルニヤ労働協会の存する限り到底々止せざるべきも、日本政府が余りに正直に移民禁止を断行せしため、加洲の開発に一頓挫を来しつゝありとの新事実を添加し、更に内地の道路旅館等が外人を招致するに恥かしく、是等の改善をも試みざれば都市としても国家としても経済上に非常の損失あり、との意見をも追加せり、散会したるは午後九時過なりといふ。