デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
1節 学術
10款 大日本文明協会・財団法人文明協会
■綱文

第47巻 p.289-292(DK470068k) ページ画像

大正14年7月22日(1925年)

是日当協会、組織ヲ財団法人ニ改メ、名称ヲ文明協会トス。栄一引続キ評議員トシテ参与ス。在任歿年ニ及ブ。


■資料

財団法人文明協会三十年誌 同協会編 第一五五―一六〇頁昭和一三年六月刊(DK470068k-0001)
第47巻 p.289-292 ページ画像

財団法人文明協会三十年誌 同協会編  第一五五―一六〇頁昭和一三年六月刊
 ○第三期 社会的進出
    財団法人文明協会の設立
 本会を財団組織としてその事業本来の使命を全ふせんとの希望は常に当事者の抱いて居つた事柄であつた。たまたま十三年末明治文化発祥記念会を開催した時に、宮中より御下賜金を頂いた事に鑑み、其必要を感じ、大正十四年四月二十二日華族会館で臨時顧問評議員会を開催して此の事を計り、其の協賛を得て愈々その準備に着手することゝした。其時の決議は左の通りである。
 時代の進運に鑑み、本文明協会は其発展の意味を以て、左の事項を決議す。
 一、大日本文明協会残余財産を以て、財団法人文明協会を設立すること。
 - 第47巻 p.290 -ページ画像 
 二、従来の会長たる侯爵大隈信常君を以て寄附行為者となす事。
 三、前二項の趣旨を全特別賛助会員に通知し其諒解を求むる事。
 右の決議に基き特別賛助会員の諒解を求め、直ちに左の申請書に添へて、予ねて作成してあつた寄附行為書を文部省に提出した。
      法人設立許可申請書
 今般財団法人文明協会設立致度
 右ハ東西文明ヲ研究シ我国文明ノ進歩ニ稗補スルヲ以テ目的トスル公益法人ニ有之候条、格別ノ御詮議ニ依リ設立許可相成度、一件書類ヲ具シ此段申請候也
  大正十四年六月二十九日    財団法人文明協会設立者
                   侯爵 大隈信常
    文部大臣 岡田良平殿

      財団法人文明協会寄附行為
      第一章 目的及事業
第一条 本会ハ東西ノ文明ヲ研究シ我国文明ノ進歩ニ裨補スル事ヲ以テ目的トス
第二条 前条ノ目的ヲ達スル為メ左ノ事業ヲ行フ
 (一)東西文明ノ調査及比較研究
 (二)時局問題ノ調査及研究
 (三)内外名著ノ翻訳
 (四)其ノ他評議員会ニ於テ適当ト認ムル事項
      第二章 名称及事務所
第三条 本会ハ財団法人文明協会ト称ス
第四条 本会ハ事務所ヲ東京市牛込区早稲田町三十四番地ニ置ク
      第三章 資産及会計
第五条 本会ノ資産左ノ如シ
 (一)大日本文明協会ノ寄附シタル別紙目録記載ノ財産
 (二)特志者ヨリノ寄附金品
 (三)本会ノ事業又ハ財産ヨリ生スル収入
 (四)雑収入
第六条 本会ノ資産ハ之ヲ左ノ二種ニ分ツ
 (一)基本財産 前条第一号第二号ニ依ル寄附金又ハ有価証券
 (二)常用財産 前条第一号第二号ニ依ル寄附物件並第三号及第四号ニ依ル諸収入
第七条 基本財産ハ之ヲ費消スルコトヲ得ス、但シ評議員四分ノ三以上ノ同意ヲ得タル場合ハ此限ニ非ス
第八条 基本財産ハ確実ナル銀行又ハ逓信官署ニ預入ルルモノトス
第九条 常用財産ハ本会ノ事業及本会事務所ノ使用並経費ニ充ツルモノトス
第十条 理事会ハ毎年度開始前ニ経費予算書ヲ編成スルコトヲ要シ、年度終了後ハ遅滞ナク収支決算書ヲ調製シ、之ヲ評議員ニ報告スルコトヲ要ス
第十一条 会計年度末ニ生シタル剰余金ハ監事ノ承認ヲ経テ基本財産
 - 第47巻 p.291 -ページ画像 
ニ編入スルコトヲ得
第十二条 会計年度ハ毎年四月一日ニ始マリ翌年三月三十一日ニ終ル
      第四章 役員
第十三条 本会ニ左ノ役員ヲ置ク
  理事 九名以内   監事 三名以内
  顧問 若干名    評議員 若干名
第十四条 理事及監事ハ評議員会ニ於テ之ヲ推挙ス
 顧問ハ学識名望アル士ニ会長之ヲ嘱託ス
 評議員ハ賛助員中ヨリ会長之ヲ推挙ス
第十五条 理事ハ其ノ互選ニ依リ会長・理事長及編輯長各一名ヲ選定ス
第十六条 会長タル理事ハ会務ヲ統理シ且ツ本会ヲ代表ス
 理事長ハ会長ヲ補佐シ会長事故アルトキハ之ヲ代理ス
 編輯長ハ編輯事務ヲ掌ル 其ノ他ノ理事ハ会務ヲ執行ス
第十七条 監事ハ本会ノ資産並ニ業務執行ノ状況ヲ監査ス
第十八条 顧問ハ重要事項ニ関シ本会ノ諮問ニ応ス
 顧問ハ随時役員会ニ出席シテ意見ヲ開陳スルコトヲ得
第十九条 評議員ハ評議員会ヲ組織シ本会ノ重要事項ヲ審議ス
第二十条 役員ノ件期ハ総ヘテ三年トス、但シ再任ヲ妨ケス
 補欠役員ノ任期ハ前任者ノ残存期間トス
 役員ハ任期満了後ト雖其ノ後任者ノ就職スル迄仍ホ其ノ職務ヲ行フ
      第五章 役員会
第二十一条 役員会ヲ分チテ理事会及評議員会ノ二種トス
第二十二条 理事会ハ随時会長之ヲ召集ス
 理事会ハ理事半数以上出席スルニ非レハ開会スルコトヲ得ス
 理事会ノ議事ハ出席者ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス 可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第二十三条 評議員会ハ之ヲ分チテ定時及臨時ノ二種トス
 定時評議員会ハ毎年一回四月之ヲ開キ、臨時評議員会ハ会長又ハ監事ニ於テ必要ト認メタルトキ又ハ評議員五名以上ヨリ会議ノ目的タル事項ヲ示シテ請求シタルトキ之ヲ開ク
第二十四条 評議員会ハ会長之ヲ召集ス
 会長ハ会議ノ目的タル事項・日時及場所ヲ示シ少ナクトモ開会七日前ニ各評議員ニ通告スルヲ要ス
第二十五条 評議員会ハ評議員三分ノ一以上出席スルニ非レハ開会スルコトヲ得ス
 評議員会ノ議事ハ出席者ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス、可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第二十六条 役員会ノ議長ハ会長トス
 会長事故アルトキハ第十六条ノ場合ノ外年長ノ理事又ハ評議員順次之ヲ代理ス
第二十七条 役員会ニ出席スルコト能ハサル者ハ書面又ハ他ノ理事及評議員ニ委任シテ表決ヲ為スコトヲ得 前項ノ表決ハ之ヲ出席者ト看做ス
 - 第47巻 p.292 -ページ画像 
      第六章 賛助員及会員
第二十八条 本会ニ対シ特ニ功労アル者又ハ援助ヲ与フル者ニシテ本会ノ推薦シタル者ヲ賛助員トナス
 本会ノ趣旨ニ賛成シ之ニ加盟スル者ヲ会員トス
 賛助員及会員ニ関スル規定ハ別ニ之ヲ定ム
      第七章 支部
第二十九条 本会ハ必要ニ応シ支部ヲ設置スルコトヲ得
      第八章 寄附行為変更及解散
第三十条 本寄附行為ハ評議員二分ノ一以上ノ同意ヲ得且主務官庁ノ認可ヲ得テ変更スルコトヲ得
第三十一条 本会解散ノ場合ニ於ケル残余財産ハ評議員ノ議決及主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ処分スルモノトス
 前条ノ評議員会ハ評議員三分ノ二以上ノ同意アルコトヲ要ス
      附則
第三十二条 本寄附行為施行ニ必要ナル細則ハ理事之ヲ定ム
第三十三条 本会設立当初ニ於ケル理事及監事ハ設立者之ヲ定ム
                   (大正十四年七月制定)
    文明協会支部設置規定(昭和三年四月十六日制定)
一、会員三十名以上ヲ有スル地方ニ支部ヲ設置スルコトヲ得
一、支部ニ於テハ支部規則ヲ作成シ、支部会員名簿ト共ニ本部ニ届ケ出テ其ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス
一、本会ハ支部ノ状況ニヨリ支部費ノ一部ヲ補助スルコト得

七月廿三日文部省より左記の指令が到達した。
               財団法人文明協会設立者
                  侯爵 大隈信常
 大正十四年六月廿九日付申請財団法人文明協会設立ノ件民法第三十四条ニ依リ許可ス
  大正十四年七月廿二日  文部大臣 岡田良平
 玆に目出度本会永遠の計がなつた訳である。その当時の理事並に評議員・顧問は左の通りであつた。
  理事 大隈信常  市島謙吉 浮田和民 大鳥居弃三
     並木覚太郎 森脇美樹 杉山重義
  監事 ○二名氏名略ス
  顧問 ○二五名氏名略ス
  (評議員)子爵渋沢栄一○外七九名氏名略ス
 而して設立当時の財産は左の通りであつた。
 一金壱千円也 恩賜金
 一金弐千拾五円也 定期預金
 一金壱万五千壱百八拾五円也 有価証券
 一金壱万四千八百円也 不動産
 折から財団法人安田修徳会より五ケ年賦で本会の事業資金として金壱万円寄贈の申込があつた、この事は新財団としての幸先を祝福したものである。