デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
1節 学術
12款 其他 1. 三田理財学会
■綱文

第47巻 p.310-311(DK470073k) ページ画像

明治42年5月29日(1909年)

是日栄一、慶応義塾教堂ニ於テ開催セラレタル、当学会総会ニ出席シ「外資輸入に就て」ト題スル講演ヲナス。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四二年(DK470073k-0001)
第47巻 p.310 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四二年          (渋沢子爵家所蔵)
五月二十九日 晴 暑
○上略 四時三田慶応義塾ニ抵リ、理財学会ノ総会ニ於テ外資輸入ニ関スル一場ノ講話ヲ為ス ○下略


竜門雑誌 第二五三号・第四四頁明治四二年六月 ○三田理財学会(DK470073k-0002)
第47巻 p.310-311 ページ画像

竜門雑誌  第二五三号・第四四頁明治四二年六月
○三田理財学会 三田理財学会にては、去月三十日午後一時《(二十九)》より慶応義塾教堂に於て春季講演会を開きたるに、来会者五百余名なり、法学博士矢作米蔵氏の講話に次で、青淵先生は「外資輸入に就て」と題し大要左の講演を為されたり。
 我国開国以来既に五十余年、方に青年時代に入らんとす、此期に及で吾人は相携へて益々此国運を発展せしめざるべからず、而して文明の今日金融に国境なしと雖も、尚ほ我国と英仏の間に著しき金利の相違を見る、我国産業の進歩国運の発展を計らんとせば、此等低利の資金を借入れて、巧みに利用するの右に出づるものあるべからず、吾人は夙に此処に見る処ありて、明治卅五年の昔之を唱導し、殊に最も信用ある鉄道会社の外資輸入を唱へたれ共、当時尚ほ種々の反対異論を唱ふる者ありて容易に行はれざりしが、遂に鉄道抵当法の制定を見しも、間もなくして鉄道は国有となりたれば、差したる効を見ざりしと雖も、其後鉄道公債の海外に輸出せらるゝもの多きに至れり、而して一般工業会社に於ても、確実なるものは社債の方法にて漸次外資を輸入するに至れり、然れ共是等は何れも四角四面なる借入方法にして、彼の二分乃至二分五厘なる金利は我国に入りて五分乃至六分ならざるを得ず、従て吾人の望む所は、我事業家が仲介者なく直接資本家より借入るゝに至らん事是なり、尤も既に今日にても二、三の工業会社は、手形の形式にて比較的簡単に借入れたる者なきにあらず、而も尚ほ一、二のブローカーの手を経る者なりと雖も、稍や吾人の理想に近きものなり、斯くして簡単に外資を輸入し得るに至らば、我国の金利は漸く低減して彼に近くと同時に、事業の発達著しき者あるべきか、玆に注意すべきは、斯くして愈々金融に国境なき事を実現するに至らば、又世界の一隅に起りし恐慌の如きも、直に響て我国の財界に及ぶに至るべき事是なり、然れ共斯る影響を蒙るに至るは、我国が愈々世界的に進歩発達したる
 - 第47巻 p.311 -ページ画像 
を証する者に外ならず、吾人は一日も早く斯る微妙なる影響を苦にする境遇に進まん事を希望す。



〔参考〕(富田正文) 書翰 松浦総蔵宛 (昭和一六年)一〇月一一日(DK470073k-0003)
第47巻 p.311 ページ画像

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冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

〔参考〕慶応義塾学報 第二号・第六一頁明治三一年四月 【三田理財協会 は昨年三月…】(DK470073k-0004)
第47巻 p.311 ページ画像

慶応義塾学報  第二号・第六一頁明治三一年四月
○三田理財協会 は昨年三月二十二日慶応義塾大学部理財科学生の創立する所にして、其目的は専ら経済に関する諸問題を研究するにあり会員は同塾理財学士及理財科学生より成り、同年四月十八日慶応義塾演説館に於て大会を開き、同科主任講師ドロツパース氏の経済学新派及旧派比較論、桜田助作氏の経済学に付きて、小手川豊次郎氏の我大学部理財科に対する評論及米国関税案の改正に付き、同理財科及法律科講師阪谷芳郎氏の勧業銀行に付ての講演あり、了りて階上の大広間に、塾長小幡篤次郎氏をはじめ講演されたる諸氏、及会員等の懇話会を開き、大に将来同会の為めに計る処あり、次で一回の臨時会ありて後、六月十九日第二回例会を開きシー・ヰー・ガースト氏の単税論の講演あり、同日は次て会見一同の質議其外会員数名の演説ありて散会したるが、爾来数回の例会ありて、常に経済問題の研究上大に得る所あるとなり、其向後益発達して日本経済界に重きをなさんこと希望に堪えざるなり、因に云ふ、同塾に関係ある人は会員二名の紹介あれば入会するを得るよし