デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
1節 学術
12款 其他 5. 応用化学万国会議
■綱文

第47巻 p.338-339(DK470079k) ページ画像

大正元年8月4日(1912年)

是年九月、アメリカ合衆国ワシントン及ビニューヨークニ於テ、第八回応用化学万国会議開催セラルルニツキ、栄一、政府ヨリ派遣ノ委員ノ外、民間ヨリ代表三名ノ派遣ヲ斡旋ス。是日栄一、此等ノ人々ヲ招キテ注意ヲ与フ。


■資料

竜門雑誌 第二九一号・第七七―七八頁大正元年八月 ○応用化学万国会議(DK470079k-0001)
第47巻 p.338 ページ画像

竜門雑誌  第二九一号・第七七―七八頁大正元年八月
○応用化学万国会議 本年九月四日より米国華盛頓及紐育に於て開会せらるゝ第八回応用化学万国会議に付ては、日本政府に於ても昨年春米国政府より公式に委員派遣の勧誘を受けたるを以て、東京工科大学教授博士江守襄吉郎氏を派遣する事に決定したるが、同会議は開催地たる米国人が非常に熱心なると同時に、世界各国に於ても熱心なる賛助を為し、多数の学者を派遣せらるゝ由にて、在紐育高峰譲吉博士は日本に於ても江守博士の外実業側より是非代表的委員を派遣せらるゝ様尽力せられ度とて、青淵先生の許に依頼ありたり、先生に於ても日本の工業発達上其必要を認められたれば、直に其意を諒し、応用化学に最も関係深き東京瓦斯・大日本麦酒・大日本人造肥料の三会社及其他に向つて勧誘を試みられたるが、東京瓦斯にては技師長平松末吉氏大日本麦酒にては工務部長上野金太郎氏、大日本人造肥料にては技師長西川虎之助氏を派遣する事に決したれば、青淵先生は日本化学会々長理学博士桜井錠二氏に協議し、同氏より文部省に交渉の結果、右三氏はジヤパニース・デレゲートの資格を以て同会に参列する事となれり、依て先生には去月四日午前九時前記西川《(マヽ)》・上野・平松の三氏並に桜井錠二氏外に同会に参列せらるゝ鈴木梅太郎・塩原又策の二氏を招き、植村澄三郎氏(江守襄吉郎氏差支あり不参)も亦列席して、同会参列に就て種々注意せらるゝ処あり、尚ほ来会者に於ても種々打合する処ありて、十時半解散したり
 因に右の内江守襄吉郎・上野金太郎・鈴木梅太郎・塩原又策の四氏は四日午後三時横浜出帆の地洋丸にて、又西川虎之助・平松末吉の両氏は十四日同時刻同地出帆の佐渡丸にて出発せられたり。


渋沢栄一書翰控 沼野宛 (大正元年)八月四日(DK470079k-0002)
第47巻 p.338-339 ページ画像

渋沢栄一書翰控  沼野宛(大正元年)八月四日   (渋沢子爵家所蔵)
拝啓 益御清適奉賀候、然者過日一書を以て、成瀬仁蔵と申日本女子大学校長貴地旅行ニ付添書いたし、御助力相願候処、此度ハ又本邦化学者連貴地ニ開催之万国化学会議参列之為出張之事と相成、本日之地洋丸ニて解纜之筈ニ付、貴地着之上ハ種々御高配相願候義と存候、何卒宜御幇助被下度候、右ニ付而ハ、貴地高峰博士より過般詳細ニ来書有之、政府より之派遣員僅少ニ付、民間各工業会社へ申談し一同奮発いたし、夫々出張員撰出相成候義ニ付、会議ニ参列候ハ一同相均しき
 - 第47巻 p.339 -ページ画像 
任務ニ候も、其出処ハ各方面ニ相分れ居、随而貴地滞在中も万一協同一致を欠候様之義無之とも難申候間、今日も各位小生宅へ相会し、其辺申談置候得共、高峰君とも御相談被下、何卒公務上一同戮力協同之態度ニ出候様御心添之程奉願候、各員派出之手続等ニ付而ハ高峰君まて委曲申上置候ニ付、是又御聞取可被下候、右一書拝願まて、匆々如此御坐候 敬具
  八月四日                渋沢栄一
    沼野賢台
       坐下
 尚々九月六日ニハ高峰博士之催しニて、当方より之出張員紹介之為一会有之候由申来居候、且其節ハ珍田大使閣下も御来会之由ニ付而ハ、本書之事情賢台より大使へも御伝言被下度奉願候也