デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
3節 美術
3款 其他 1. 伝教大師絵巻
■綱文

第47巻 p.484-488(DK470123k) ページ画像

大正13年11月(1924年)

是月栄一、土屋秀禾画伝教大師絵巻ノ副本頒布ニ関シテ、竹内喜太郎・長沢徳玄ノ懇請ニヨリ、古河虎之助等ニ、又同十四年二月中川末吉等ニ宛テ大倉喜八郎ト連署シテ紹介ノ労ヲ執ル。


■資料

伝教大師絵巻物副本頒布趣意書(DK470123k-0001)
第47巻 p.484-485 ページ画像

伝教大師絵巻物副本頒布趣意書       (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
天台宗祖伝教大師の日本中興の大宗として徳化中外に冠絶せるは児童走卒亦能く之を知れり。不肖、曩に恰も大師一千百年遠忌に当る一年前大正九年叡山に詣て、大師の廟を拝し、時の教学部長長沢徳玄師に面し、初めて大師の芳躅を千載に飾るべき絵伝の伝るなきを知るや、憾慨転た禁じ難く、即ち絵伝の作成を発願し、誓つて之れが奉納の志を果すべきを約して退きぬ。帰東直ちに現代画壇に於ける人格伎倆双備の土屋秀禾画伯に絵画の揮毫を依嘱したるに、同画伯は爾来五星霜殆寝食を忘れて之れが作製に熱注し、屡叡山に登りて親しく霊跡を巡拝し、京都・奈良の間を往来して其資料を探索し専ら之れが完成に努め、縁起考証に関しては大森亮順・菊岡義衷・福田尭穎・正木美術学校長・故森博物館長・大村西崖・関保之助氏等斯道大家の指導を乞ひ今や漸く其完成を告ぐるに至れり。絵巻物は第一図父母祈願より大師号宣下に至るまで全二十九図三巻の大作より成り、絵詞は曾て大師の伝記を編纂せし半井桃水氏の記述に係り、表題は天台座主吉田大僧正浄書の巻頭は竹田宮大妃昌子内親王殿下特に令筆を染めさせられ、第一巻は畔柳完道師、第二巻・第三巻は跡見花蹊女史の健筆に成れるものにて創意崇高筆致絶妙実に容易に得難き逸品たるを失はさる、蓋し正木美術学校長が一展「作者の丹誠に同情して涙下る」と言はれ、文部省の中川忠順氏が「隠れたる獲物を得たる哉」と三嘆せられ、同省図書監修官が挿絵として之を国定教科書中に編入せられたるに徴するも、恐らく大正の美術として其優秀を千載に誇るに足らむ歟。かくて此の業の完成を見んとするに当り、図らずも昨秋大震火災は悉く我家財を焼尽して灰燼に帰せしめたり。当時不肖は辛ふじて大師の絵巻物を奉じ僅に身を以て免れ得たるが、此の刹那に於て切に念頭に刻しけるは「今此の絵伝を完成し一度叡山の宝庫に納むるも、他日又もや此の如き恐るべき災禍の襲来を見むか、諸賢の労苦一朝にして空しく灰燼の裡に葬り去られむ、須らく数多の副本を調製し之を汎く江湖に頒布し、一は以て現代思潮の善導に資せざる可らず」と、然るに不肖元赤貧、加ふるに震災の瘡痍未だ癒へず、恨むらくはそれ等の費途を支
 - 第47巻 p.485 -ページ画像 
ふるに由なし、仍て玆に大方特志有力の諸彦に向つて我衷情を披瀝し偏へに後援を乞はむと欲す、冀くば諸彦幸に副本の予約を諾せられ、不肖をして一日も早く此の挙の完成を遂げ素願を果すの光栄を荷はしめられむことを、聊か玆に経過を叙し次第を縷して、諸彦の同情に訴ふと爾云
  大正十三年十月
                       竹内喜太郎敬白


紹介状(一) 【(別筆朱書) 大正十三年十一月 竹内喜太郎・長沢徳玄両氏紹介状】(DK470123k-0002)
第47巻 p.485 ページ画像

紹介状(一)               (渋沢子爵家所蔵)
               (別筆朱書)
               大正十三年十一月
               竹内喜太郎・長沢徳玄両氏紹介状
(印刷物)
拝啓 益益御清適奉賀候、然ハ竹内喜太郎氏儀去る大正九年感する所有之、天台宗前教学部長長沢徳玄師と謀り比叡山延暦寺の開祖伝教大師の絵伝を作りて同寺に奉納せんことを企て、爾来画伯土屋秀禾氏と倶に苦辛惨澹、大師一代の筆蹟を考覈して二十九図を撰定致し、土屋氏をして著色密画に絵かしめ候処、頃日漸く完成致し候ニ付、之を三巻に分ち既に装潢をも了し候、就てハ長沢・竹内両氏ハ更に之を精巧なる玻璃版に複製して汎く有志者に頒ち、一ハ以て国家的仏教を創建して国民性の開発に努められたる大師の偉徳を顕彰し、一ハ以て現時の混乱せる思想善導の資に供し度希望に有之、近日中参堂拝眉の上、相当部数御引受方御予約相願度と申居候、右ハ至極時宜に適したる企と被存候ニ付、御多忙中御迷惑にハ御座候へとも、何卒御引見趣旨御聴取の上、御賛助被成遣候ハヽ老生等に於ても本懐の至りに御座候
右得貴意度如此ニ御座候 敬具
  大正十三年十一月
                      渋沢栄一
                      大倉喜八郎


紹介状往翰(一)(DK470123k-0003)
第47巻 p.485-487 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

(増田明六)日誌 大正一四年(DK470123k-0004)
第47巻 p.487 ページ画像

(増田明六)日誌 大正一四年      (増田正純氏所蔵)
十五日○十月 木 出勤
○上略
本日の来訪者及其用件
一長沢徳玄 伝教大師絵巻物販売の件
○下略


紹介状往翰(一)(DK470123k-0005)
第47巻 p.487-488 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
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集会日時通知表 昭和二年(DK470123k-0006)
第47巻 p.488 ページ画像

集会日時通知表 昭和二年        (渋沢子爵家所蔵)
十一月廿七日 午後一時 寛永寺ニ御出向(伝教大師絵巻物ノ件)