公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15
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明治42年8月(1909年)
是月、岩崎勝三郎、栄一ノ論説談話ヲ編集シ「渋沢男爵百話」ト題シテ、東京・大学館ヨリ発行ス。大正六年三月再版刊行。(四六版・一冊・四一九頁)
渋沢男爵百話 岩崎勝三郎著 序明治四二年八月刊 【序 岩崎徂堂識】(DK480035k-0001)
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渋沢男爵百話 岩崎勝三郎著 序明治四二年八月刊
序
男は実業界の泰斗たり、明治六年官を辞して以来三十有余年、此間斯界に尽したる功績の偉大なる、誰れか又之を否議する者あらんや、其常に全国実業界の木鐸となり、時に彼を代表して内外の事に当り、我国をして世界の財界に相伍せしめ、商工業の大発展を現出せしめたる所以のもの、実に男が熱誠なる扶掖誘導と、非凡なる卓識に因らずんばあらず、若し夫れ余輩をして言はしめば、男が偉勲は到底人爵を以て賞彰するの比にあらざるべきを、思ふに維新後に於ける実業界の歴史は、実に渋沢男が半生の歴史たるを信じて疑はず。
然り、男は謹厚徳敬の人にして又頗る博識精力主義に富めり、其今日の成功と輿望を博せる、玆に在りと雖も、又翻つて男が家庭の教訓に因る所多し、然かも其半生の経歴多趣味にして、普く世の青年諸氏を陶化するもの尠なからざるべきを、試みに見よ、男が監督せる銀行・会社其他の百余種に及び、之れに従事す者幾万人、悉く男の教薫導化に浴せざるなく、依つて以て各方面に成功せる者数ふるに遑あらず、蓋し男の如きは真に我昭代の大偉物なり、実業界の覇王たるに恥ぢざるべし、世の青年諸氏男が言行に鑑みんか、其己れを利する多大なるや論を俟たず、著者の男を紹介する豈偶然ならんや、聊か序となす。
岩崎徂堂識
渋沢男爵百話 岩崎勝三郎著 奥付大正六年三月再版刊(DK480035k-0002)
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渋沢男爵百話 岩崎勝三郎著 奥付大正六年三月再版刊