デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
1款 株式会社第一銀行
■綱文

第50巻 p.108-110(DK500022k) ページ画像

大正5年1月25日(1916年)

是日栄一、東京銀行集会所ニ於テ開カレタル、当行第三十九期定時株主総会ニ出席シ、議事ヲ司宰ス。


■資料

竜門雑誌 第三三三号・第八五頁大正五年二月 第一銀行総会(DK500022k-0001)
第50巻 p.108 ページ画像

竜門雑誌  第三三三号・第八五頁大正五年二月
○第一銀行総会 第一銀行にては一月二十五日午後一時より、銀行集会所に於て定時株主総会を開きたり。青淵先生会長席に着き、先づ大正四年下半期営業概況を報告せり。其大要左の如し。
○中略
次に当期諸計算書及左の利益配当案○略ス を満場一致可決し、尚ほ取締役佐々木慎思郎氏は重任に決し、午後二時散会せり
○下略


株式会社第一銀行第三十九期 自大正四年七月一日至大正四年十二月三十一日 営業報告書 第三―五頁刊(DK500022k-0002)
第50巻 p.108-109 ページ画像

株式会社第一銀行第三十九期 自大正四年七月一日至大正四年十二月三十一日 営業報告書
                         第三―五頁刊
    営業景況
例ニヨリ当半季金融ノ概況ト、当銀行営業ノ大体ヲ叙述センニ、前季来引続キタル金融ノ大勢ハ、当季ニ入ルモ依然其形勢ヲ持続シ、特殊ノ事業ヲ除キテハ商工業一般ニ不振ヲ極メ、資金ノ需用見ルヘキモノナク、加フルニ米価ノ下落、外国貿易ノ出超等、総テ金融緩慢ノ趨勢ヲ助長シ、各銀行ハ何レモ巨額ノ遊資ヲ抱キテ、之カ放出ノ途ニ苦メリ、此ニ於テ東京及大阪ノ銀行ハ、又々預金利子ノ引下ヲ発表シ、且ツ従来類例ナキ貸出利率ヲ協定シテ、自衛ノ途ヲ講スルニ至レリ、此期ヲ利用シテ各種社債ノ募集続々行ハレタルモ、多クハ借入金ノ整理
 - 第50巻 p.109 -ページ画像 
ニ充当セラレタルモノナルヲ以テ、金融ニ格別ノ影響ナカリキ、此際政府ハ明春満期トナルヘキ英貨鉄道証券参百万磅ノ償還資金ヲ内債ニ求ムルコトヽシ、五分利付鉄道債券参千万円ヲ発行シタルニ、応募申込倍額ニ達シ、価格以上ノ申込ノミヲ以テ猶多額ノ超過ヲ示スノ盛況ヲ呈セリ、但シ旧盆節季ノ決算、又ハ棉花輸入・冬物仕入等ニヨリ、多少資金ノ需用アリタルノミナラス、軍需品ノ注文ニ伴フ各種製造業ハ頗ル好況ニシテ、殊ニ海運界ハ未曾有ノ繁盛ヲ来シ、加フルニ十月ニ入リテ生糸ノ暴騰ト米価ノ騰貴トハ、次第ニ経済界ニ活気ヲ呈シ、株式界ハ頓ニ活躍セシト雖、貨幣市場ニ著シキ変化ヲ来スニ至ラサリキ、十一月ニ於テ曠古ノ御大典ハ滞リナク結了シ、次テ開会セラレタル帝国議会モ一時多少ノ波瀾ナキニアラサリシモ、人心概シテ政界ノ前途ヲ楽観シタルカ為メ、株式界ハ更ニ活況ヲ呈シ、資金ノ移動頻繁トナリ、季末ニ近クニ従ヒ半季決済資金ノ需用ト相待テ金融俄ニ繁忙ヲ来シ、当時発行サレタル大蔵省証券ノ如キ、多額ノ売残ヲ生スルニ至リ、十二月三十一日ニ繰越サレタル日本銀行帳尻ハ、兌換券発行高四億参千六百余万円ノ巨額ヲ示シ、制限外発行高六千七百八拾六万円ニ達セリ
斯ノ如ク季末一時ノ繁忙ヲ除キテハ、当半季ヲ通シ金融極メテ緩慢ニシテ、貸出利率ハ低落ニ低落ヲ重ネタルヲ以テ、銀行経営上頗ル困難ト曰ハサルヲ得ス、此間ニ於テ当銀行ハ細心ノ注意ヲ以テ資金ノ運用ニ勉メタルカ為メ別表○略ス 示スカ如キ純益ヲ挙クルコトヲ得タルハ、当半季トシテハ相当ノ成績ヲ収メタルモノトシテ、株主各位ニ於テモ諒トセラルヘキモノト信ス


第三十九期定時株主総会決議録(DK500022k-0003)
第50巻 p.109-110 ページ画像

第三十九期定時株主総会決議録      (株式会社第一銀行所蔵)
    第三十九期定時株主総会決議録
大正五年一月弐拾五日午後一時参拾分、当銀行定時株主総会ヲ東京市日本橋区阪本町東京銀行集会所ニ開ク、株主総数弐千八百四拾壱名、此株数四拾参万株ノ内出席株主百弐拾参名、此株数弐万弐千六百八拾七株、委任状ヲ以テ代理ヲ委托シタルモノ千五百参拾参名、此株数弐拾四万九千弐百八拾四株、合計株主千六百五拾六名、此株数弐拾七万壱千九百七拾壱株ナリ
頭取渋沢栄一議長席ニ就キ、大正四年下半季金融ノ概況ト当銀行営業ノ大体ヲ叙述シ、次テ第三十九期貸借対照表及損益計算書ノ承認ヲ求メタルニ、一同異議ナク之ヲ承認ス、仍テ更ニ利益金分配案ノ決議ヲ求メタルニ、佐々木勇之助氏立テ、曩ニ銀行ヨリ発送ノ分配案ニ於テハ積立金五万円トアルモ、右金額ニテハ定款第二十五条ニ違反スルニ付、左記ノ通リ修正アリタキ旨提議セラレタルニ、満場一致修正案ヲ可決ス
      利益金分配案(原案)
一金百五拾参万八千四百七拾九円九拾銭   当半季利益金
  内
 一金参万九千六拾円         役員賞与金
 一金壱万五千六百弐拾円       行員恩給及退職給与金
 - 第50巻 p.110 -ページ画像 
 一金五万円             積立金
 一金五拾参万七千五百円       旧株配当金壱株ニ付金弐円五拾銭即年壱割
 一金拾参万四千参百七拾五円     新株配当金壱株ニ付金六拾弐銭五厘即年一割
 一金七拾六万千九百弐拾四円九拾銭  後半季繰越金
      修正案
一金百五拾参万八千四百七拾九円九拾銭   当半季利益金
  内
 一金参万九千六拾円         役員賞与金
 一金壱万五千六百弐拾円       行員恩給及退職給与金
 一金拾万円             積立金
 一金五拾参万七千五百円       旧株配当金壱株ニ付金弐円五拾銭即年一割
 一金拾参万四千参百七拾五円     新株配当金壱株ニ付金六拾弐銭五厘即年一割
 一金七拾壱万千九百弐拾四円九拾銭  後半季繰越金
次テ議長ハ取締役佐々木慎思郎任期満了ニ付改選ヲ行フヘキ旨ヲ述ベタルニ、株主中重任ヲ希望スル旨ヲ発議スルモノアリテ、一同之レニ賛成シタルヲ以テ、投票ヲ省略シテ重任ニ決ス
右終ルヤ、議長ハ釧路・根室両支店廃止之件並ニ定款第四条中「釧路町」及「根室町」ヲ削除スルノ件ニ付決議ヲ求メタルニ、満場一致原案ヲ可決シ、右両支店閉鎖ノ時期ニ付テハ、取締役ニ一任スルコトニ決ス
右総会ノ決議ヲ録シ、左ニ署名調印スルモノ也
  大正五年壱月弐拾五日
         株式会社第一銀行
           取締役頭取 男爵渋沢栄一
           取締役   男爵三井八郎次郎(印)
           取締役     佐々木勇之助
           取締役     熊谷辰太郎(印)
           取締役     日下義雄
           取締役     佐々木慎思郎
           監査役     土岐僙
           監査役     尾高次郎(印)


渋沢栄一書翰 明石照男宛(大正五年)二月四日(DK500022k-0004)
第50巻 p.110 ページ画像

渋沢栄一書翰  明石照男宛(大正五年)二月四日   (明石照男氏所蔵)
○上略
第一銀行ニ於て米国と取引開始の件ハ、野口ニ一任し、老生ハ余り立入不申候、尤もシカゴ、ボストン、紐育等ハ、其銀行の首脳者へハ老生より一応申入候義ニ付、先方も心能く承諾いたし候様子ニ御坐候、尚詳細ハ野口帰京の上ニて申上候事と存候
○中略
  二月四日
                     渋沢栄一
    明石照男様
        梧下