デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2017.12.19

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

2章 交通・通信
2節 陸運
1款 東京鉄道株式会社
■綱文

第51巻 p.504-508(DK510107k) ページ画像

明治44年7月31日(1911年)

是ヨリ先、東京市、東京鉄道株式会社ノ買収ヲ決定シ、両者間ニ仮契約書締結セラレ、是日政府ノ認可ヲ得。仍ツテ栄一、当会社相談役ヲ辞ス。


■資料

青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編 竜門雑誌第五一九号別刷・第一三頁 昭和六年一二月刊(DK510107k-0001)
第51巻 p.504 ページ画像

青淵先生職任年表 (未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編
               竜門雑誌第五一九号別刷・第一三頁昭和六年一二月刊
    明治年代
  年月
三九  六 東京電車鉄道・東京市街鉄道・東京電気鉄道三社合併裁定。明、三九、九、―東京鉄道株式会社相談役――明、四四、七、(市ニ買収)


竜門雑誌 第二七八号・第二一―二二頁明治四四年七月 ○電車市営に就て 青淵先生(DK510107k-0002)
第51巻 p.504-505 ページ画像

竜門雑誌 第二七八号・第二一―二二頁明治四四年七月
    ○電車市営に就て
                      青淵先生
  本篇は客月中突如として起れる東鉄電車市営問題に就て、朝日新聞記者が青淵先生に就て聞き得たる意見の概要なりとて同紙に掲載せるものなり。(編者識)
 東京市政の実状と東京鉄道会社の内状を知らざるを以て、今回の電車市営問題の是非を俄に判断する能はざるも、主義としては本邦に於ける市営には反対なり、欧米の先進国にありては電車の如き公共的事業は之を国家又は市の如き公共団体に於て経営するもの尠からず、中にも英国グラスゴーは市政善美にして、其市営事業は能く市民の幸福を尊重する点に於て寸毫の遺憾なしと聞く、若し夫れ他国に於ける先例をのみ引用して、万事市営が結構なりと言はゞ既に議論の余地なし併し市は時に或は必ずしも全市民の市に非ずして、往々実際の市政は少数者に依つて左右せらるゝこと決して珍らしからず、我東京市が果して能くグラスゴーの如き善政を施し得るや否や。
 由来本邦に官営又は市営の事業は兎角『乗せて遣はす』とか『買はせて遣はす』とかの営業方針にして、或公共的独占事業の営業振に不親切の嫌ひあるのみか、其経営には当局者が直接痛切の利害関係なきを以て、経費の節減及び事業の改良に兎角迂闊なるの恐れあり、之が私営ならば当事者は其事業と痛切なる利害関係あるを以て、経営改良に余念なく、且又営業振りの不親切に対しては監督官庁又は輿論の鞭達は大に効果ありて、之を矯正すること容易なるべし。
 尚又電車の市営が財源に供せらるゝ目的ならば、大に注意を払はざる可らず、従来の先例と反対に、市の当局者が私営の折よりも更に経費を節約し得て、而も改良を加へたる上にて収益を増大せしめたる過
 - 第51巻 p.505 -ページ画像 
剰の益金を、市の一般会計又は他の特別会計に繰入るゝは何等の不可なしと雖も、恐らく此希望は一片の空想に過ぎざるべし、而して市は将来単に電車の収益を以て市の行政費に繰込み、而も乗車賃を引上ぐる事あらんか、屡電車を利用する中流以下市民の負担が独り増率を来して、上流市民の負担を増加せざるの不公平に陥る、人或は現在の乗車賃を人力車又は馬車の乗車賃と比較して低率なりと言ふものあらんも、之は汽車の乗車賃を同一里程に於ける人力車又は馬車の乗車賃と比較して低率なりと称ふると異なる所なく、議論として取るに足らず汽車又は電車は公共的事業にして、公衆の便益を主として経営せざる可らず、余は前述の理由に拠り、主義として電車の市営には反対する所以也。



〔参考〕市電気事業検査資料 電車編 第一一―一四頁(DK510107k-0003)
第51巻 p.505-506 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
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〔参考〕電気事業五十年史 原田登著 第三七四―三七五頁大正一一年一〇月刊(DK510107k-0004)
第51巻 p.507-508 ページ画像

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