デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

3章 商工業
5節 製糖業
1款 大日本製糖株式会社
■綱文

第52巻 p.499-511(DK520060k) ページ画像

明治42年6月17日(1909年)

是日、日本橋倶楽部ニ於テ、当会社ノ重役三名ノ補充選挙ニ関スル臨時株主総会開カル。栄一出席シ、株主全員一致ノ希望ニ応ジテ、取締役ニ高山長幸・伊沢良立、監査役ニ金平豊太郎ヲ指名ス。玆ニ於テ重役ノ陣容成リ、爾後当会社ノ整理進捗ス。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四二年(DK520060k-0001)
第52巻 p.499 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四二年       (渋沢子爵家所蔵)
六月十五日 晴 風強シ冷
○上略
午後一時藤山雷太氏来リ日糖会社監査役ノ事ヲ談ス
六月十六日 曇 冷
○上略 藤山氏○中略ヨリ電話アリ○中略午後二時○中略藤山雷太氏来リ、日糖会社重役撰定ノ事ヲ談ス○下略
六月十七日 雨 冷
○上略 午後二時日本橋倶楽部ニ抵リ日糖会社株主総会ニ出席ス○下略


大日本製糖株式会社第二八回営業報告 (自明治四二年五月一日至同年一〇月三一日) 刊(DK520060k-0002)
第52巻 p.499-500 ページ画像

大日本製糖株式会社第二八回営業報告 (自明治四二年五月一日至同年一〇月三一日)
                           刊
    株主総会
一臨時株主総会 明治四十二年六月十七日午後一時日本橋倶楽部ニ於テ臨時株主総会ヲ開会ス、出席者委任状ヲ合セテ七百九名、此株数六万二千九百十一株、藤山社長会長席ニ著キ取締役二名・監査役一名ノ補欠選挙ヲ議場ニ諮リシニ、投票ヲ用ヰスシテ前重役以外ノ株主中ヨリ渋沢男爵ノ指名ヲ仰キタシトノ満場ノ希望ヲ容レ、同男爵ハ取締役ニ高山長幸・伊沢良立ノ二氏ヲ、監査役ニ金平豊太郎氏ヲ指名シタルニ、満場拍手シテ参同《(賛)》ノ意ヲ表シ、直ニ確定セリ
 右臨時総会閉会後、取締役互選会ヲ開キ、藤山雷太氏取締役社長ニ高山長幸・伊藤良立《(伊沢良立)》ノ二氏常務取締役ニ就任セリ
    庶務事項
○中略
一明治四十二年六月二十三日
 明治四十二年六月十七日臨時株主総会ニ於テ取締役ニ高山長幸・伊沢良立ノ二氏、監査役ニ金平豊太郎氏当選シ、共ニ同日就任ニ付、本日東京区裁判所小松川出張所ニ於テ其登記ヲ了セリ
○中略
    営業ノ概況
 - 第52巻 p.500 -ページ画像 
前期ニ於テ商況不振ノ一因タリシ在庫品ノ堆積ヲ一掃シタル以来、本期ニ入リテハ専ラ持荷ノ増加ヲ避ケ、需給ヲ衡リテ商況振興ニ努メタルモ其効少ナク、漸ク七・八両月ノ需用季節ニ至リ、例年ヨリモ暑気酷烈ヲ極メタルト、残暑久シキニ渉リタルトニ依リ需用大ニ増加シ、近来ニナキ活動ヲ来タシタリシカ、九・十両月ニ入リテハ商況再ヒ沈衰、例年ニ見サル需用ノ減退ヲ示シ、不況ノ中ニ本期ヲ終レリ
本期ニ於テハ殆ント爪哇白糖並ニ香港糖ノ侵入ヲ受ケスシテ、尚且斯ノ如ク精糖需用ノ減退シタルハ、一ハ原糖ノ騰貴ニ帰因スト雖モ、主トシテ砂糖消費税賦課ノ比較的過重ナルニ因ルモノナルヲ以テ、屡主務官庁ニ愬フルニ実情ヲ以テシ、今ヤ当局者ニ於テモ之カ詮議中ニ属セリ、台湾工場ハ本期ニ入リテモ尚製造ニ従事シ六月中旬終了セリ、而シテ其成績ハ依然好良ニシテ市場ノ称賛ヲ博シ、台湾粗糖中最高値段ヲ維持シツヽアリシハ喜フ可シ
海外輸出ハ原糖ノ騰貴ニ連レ相当ノ成績ヲ収メタリシモ、本期ハ尚ホ当社債務ノ整理中ニ属シ工場運転ノ能力ヲ大ニ発揮スルヲ得サリシハ遺憾トスル所ナリ
台湾粗製糖ト内地精製糖両業者間ノ関係漸次ニ接近ノ傾向ヲ有シ、原料糖需用ノ上ニ於テモ多大ノ利便ヲ得ヘキ形勢トナリタルハ、斯業ノ為メ最モ慶賀スヘキ次第ナリ


日糖最近廿五年史 大日本製糖株式会社編 第三〇―五九頁昭和九年四月刊(DK520060k-0003)
第52巻 p.500-510 ページ画像

日糖最近廿五年史 大日本製糖株式会社編  第三〇―五九頁昭和九年四月刊
 ○第二、整理篇
    一〇、役員の事務分担
 藤山社長は就任の挨拶中、専心社務に鞅掌する適当なる同僚を得る事最も肝要なりと述べしが、指田氏の既に監査役として常任たる可き事を諾せし外、今や好個の同僚三氏を得たり。即ち高山長幸氏・伊沢良立氏・金平豊太郎氏是なり。当時高山氏は、三井銀行長崎支店長を辞して愛媛県選出代議士なり、伊沢氏は住友銀行副支配人なり。金平豊太郎氏は日清紡績会社監査役なりき。幸に何れも入社を承諾せしを以て、同年○明治四十二年六月十七日の臨時総会に於て藤山社長《(マヽ)》の指名に依り、左の如く役員全部完きに至りぬ。
  取締役 高山長幸氏  伊沢良立氏
  監査役 金平豊太郎氏
 其の後金平氏は取締役に転じ、同時に役員は左の如く事務を分担する事となれり。
  総務部長  高山取締役
  商務部長  伊沢取締役
  工務部長  金平取締役
  調査部長  指田監査役
 右の中金平取締役は、就任早々、恰も債権者会開催前にして、専ら諸般の調査に任じ、明治四十二年九月、債権者会一時休止となるや、台湾工場製糖期に入り、監督のため渡台の途に就き、十二月一日帰京し、更に翌年二月三日再び渡台せしが、過労の結果健康を損じ、藤山社長は帰京療養を命じたるも、尚ほ台湾に在りて帰京の意なきを以て
 - 第52巻 p.501 -ページ画像 
社長は自ら渡台し、業務を巡視し、帰京の途強て金平氏を伴ひ、同年三月二十八日乗船鎌倉丸が門司湾頭に入らむとするや遂に長逝せり。氏や心血を社務に傾注したるも、不幸短日月にして未だ其の成果を見ざりしは、深く哀惜す可し。
○中略
    一二、会議前の曲折
 偖て藤山社長等は、検挙事件のため帳簿書類は、或は裁判所に押収せられ、或は何れにか散逸し、諸般の調査、頗る困難なりしと雖、社員を督励して日夜精励、就任後未だ一ケ月も経ずして五月三十一日、第二十七回定時総会を迎ふるや、同総会に於て二百五十八万七千三百三十四円八十九銭三厘の損失を発表して承認を得、更に厳密なる調査を重ね、四十三年上半期には延滞利息・対清為替・受取手形・滞貸金売掛金・仮払金・有価証券勘定・特別預金勘定等に於て不確実と認む可きもの、総計金百七十九万七千九百八十四円九十九銭を資産勘定より控除したれば、損失金総額は実に金四百三十八万五千三百十九円八十八銭に達せり。而して従前の債権者会の経過に鑑みる所あり、先づ実際の資産状態に就き、精細の調査を遂げ、七月三十一日現在の貸借対照表及資産負債見合表を調製して各債権者その他に之を発表せり。
 此の見合表に拠れば、一般債務関係に於ては負債合計金四百八十五万二千余円に対し、資産合計金五百四十七万三千余円を有し、滞納税社債等の関係に於ては負債合計一千二百二十六万九千余円に対し、資産合計金一千八百六十六万余円を有せり。尚ほ整理の基本たる可き一ケ年の営業上の利益は、内地・台湾を合せて金一百十六万四百八十九円十銭と予算せり。斯くの如くにして、既に大体の欠損金を発表し、資産状態の調査並に整理に関する諸案の編製着々進捗し来りたるを以て、漸く債権者会を開催す可き時期に到着したれども、尚ほ合名会社鈴木商店との関係は極めて重要にして、且つ甚だ複雑多端なるを以て六月二十六日藤山社長・伊沢常務取締役・指田監査役は大阪市に於て同地方の債権者と会見を遂げ、次で阪神両地に於て鈴木商店の金子直吉氏と会見し、債務整理の大体の方針に付準備的懇談を試み、其の結果金子氏は八月二日上京せられ、本社に於て数回の会見を継続せり。当時同商店に対して交渉したる条件は概ね左の如し。
 一、会社の預り居る鈴木商店関係社債額面百三十五万円を返還して現金百四十余万円の支払を受くる事
 二、大里工場買収の副証書に基き、買戻したる社債券を返還し、金五十万円の返戻を受くる事
 三、今春恒川取締役に於て契約したる原糖代支払手形金二十六万余円を支払金より相殺するの件は之を取消し、右金額は一般無担保債権同様に処理する事
 四、大里工場買収に関する社債の償還方法を改め、三箇年据置き五箇年賦とする事
 五、大里工場買収代金を減額し、社債権の内額面五十万円の無償返附を受くる事
 六、社債利子四十二年上半期分は免除を受くる事
 - 第52巻 p.502 -ページ画像 
 七、消費税納期猶予の利益を会社に還付する事
 八、一手販売契約は満期後継続する事
 金子氏は右の申出でに対し即答を与へ難き旨を答へ、八月七日飄然帰神せられ交渉は一頓挫を来したり。是より先き藤本ビルブローカー銀行は当社破綻の余波を受け、事態切迫、他の債権者と歩調を一にし難き故を以て、八月二十五日当社に対し突如として破産を申請し、大阪地方裁判所に為替手形訴訟を提起したり。斯くては一切の苦心水泡に帰し、整理の根柢を破壊せらるゝを以て、指田監査役大阪に急行して同行代表者弁護士平田譲衛氏を有馬温泉の避暑地に追躡し、徹宵懇談を遂げ、次て藤山社長も西下し、他の債権者の後援を求めて兎に角相当期間の猶予を受くるの承諾を与へられ、破産事件は漸く一段落を告ぐるに至れり。
    一三、前債権者会
 債権者会議は愈々九月十五日を期し、其の第一回を日本橋倶楽部に開催し、左の債権者諸氏出席せられたり。
  一、三十四銀行        小山健三氏
  一、山口銀行         滝本得之氏
  一、台湾銀行        {下阪藤太郎氏 山成喬六氏
  一、鈴木商店         金子直吉氏
  一、藤本ビルブローカー銀行 {谷村一太郎氏 平田譲衛氏
  一、三井物産会社      {磯村豊太郎氏 吉野正雄氏
  一、新潟銀行        {藁品槍太郎氏 上田弘教氏
  一、村井銀行        {綾井忠彦氏 後藤久士氏
  一、中井銀行         野島泰次郎氏
  一、安宅商会        {日向利兵衛氏 南俊二氏
 七月三十一日現在の貸借対照表・資産負債見合表を予ねて配布して各債権者諸氏をして充分講究の余日あらしめたる而已ならず、藤山社長は開会劈頭満場に向ひ、貸借対照表及び見合表の金額に誤謬なき事は責任を負ひ之を保証す可し、猶ほ利益予算も亦稍々確実にして、斯業に経験深き三井物産会社の磯村豊太郎氏・鈴木商店の金子直吉氏の肯定を得たる旨を言明して整理案を配布せり。而して右資産勘定中に計上せる鈴木商店より回収す可き金一百四十九万余円は、整理資金の基本たるを以て、小山三十四銀行頭取は先づ金子氏に対して之を質したるに、金子氏自ら会社の計算とは多少の増減あるにせよ、大体に於て右の金額を支払ふ可き義務ある旨を確言せられたるは、先づ会議の前途に一道の光明を投じたるものなりき。
 当社役員に於て調整準備したる整理案は前後通計約百四種の多きに上り、先づ其の中の二案を選択して議題とし、其の後三井物産の磯村
 - 第52巻 p.503 -ページ画像 
豊太郎氏並に台湾銀行の下阪藤太郎氏は、何れも当社の提案を斟酌して、自ら進んで各々一個の整理案を提出せられたり。
 会議は九月十五日より同月二十六日迄十二日間引続き開会せられ、連日連夜殆んど寧日なく、債権者諸氏は遠路上京旅装を解くに遑あらず、本問題のため研鑽せられたる其の労苦実に名状す可からざるものあり。而も各債権者の利害は頗る錯雑紛糾せるを以て、幾多の事実関係を審究し、大体の整理方針を決定し、各債権者の間に決議案成りたれども、独り藤本ビルブローカー銀行に対する弁済方法に関し同銀行は自家の財産整理上到底同意し難き事、特に担保社債券は何れも第三者たる債権者の手に在り、之を受戻すためには巨額の資金を要する旨を以てし、其の決議に服する色なきを以て、先づ此の問題の解決を求むるため十月五日迄休会する事となれり。
    一四、後債権者会
 前債権者会の休会後藤本ビルブローカー銀行に於ては、各地に在る自家債権者の間に交渉尽力する所あり、又当社役員も其の間に斡旋し略々成案を得たるを以て、債権者会は予定期日に後るゝ事旬日、十月十五日に至りて再び日本橋倶楽部に開催せり。出席者は安宅商会主安宅弥吉氏自ら列席し、藤本ビルブローカー銀行の平田譲衛氏が横田義夫氏と交替せられたる外前会に同じかりき。
 本会議に於て最も波瀾を起したる問題は、各債権者が一致して社長に対し、明治四十三年度内に於て株主をして新株一株に付金五円の払込を為す可き事を契約せしめんとするに在りたれども、社長として未だ前途成算充分ならず、且又財産整理の結果巨万の損失を醸し、株主は永く無配当を忍ばざる可からざる時期に於て、斯る要求は到底容るる能はず、深更に至る迄極力論争の結果、債権者に対する契約上の義務と為さずして、役員自発の意思による決義として、左の宣言を為したり。
  会社財産の基礎を鞏固ならしむる為、明治四十三年内適当の時期に於て新株壱株に付金五円の払込を為す事を期す
 其の他、(一)無担保債権に関する利率に関しても、各債権者に混雑せる論争を惹起したるも、結局利息は年六分として、五ケ年後に於て一ケ年の利益が予算金百拾六万円より二割以上超過したる時は年七分とする事に決定し、(二)将来台湾工場増設新設の場合は、之れを増担保に提供す可きや否やに就ても亦各債権者と役員との間に論争ありたれども、『台湾工場の設備に対し、将来保存及び改良修繕の設備を施したる時は本契約の抵当権に包含するものとす。但新設又は増設は此の限りに非ず、尤も其の新設又は増設工事が抵当権者の利益を害する虞ある時は抵当権者の同意を得る事』に妥協調ひ、幾多の波瀾曲折を経て安宅商会を除く各債権者の間に左の如き協商は成立せり。
      △仮契約書
 大日本製糖株式会社と該会社債権者及び合名会社鈴木商店との間に左の契約を締結す。
  鈴木商店に対する会社の債権約金百四拾九万円より同店に対する会社の債務即ち原糖代支払手形金二拾六万九千余円及び度増金・利
 - 第52巻 p.504 -ページ画像 
息・立替金等の計算尻を相殺したる残額約金百拾五万余円は、本年十一月三十日迄に鈴木商店より会社に支払ふものとす。
  会社は前項金額の支払を受くると同時に、鈴木商店より預り居る社債券の全部を同店に引渡すものとす。
  一、鈴木商店社債額面金参百五拾万円の内、金弐拾五万円は前第一、第二項と同時に之を支払ひ、其の残額に対しては償還年限を改正し、明治四十四年以降十箇年賦とし、其の利率及び担保は従前の通りとす
   但社債の形式は当分の内現在の儘据置き、鈴木商店の申込に依り会社は何時にても之を改正するものとす。其の形式は普通貸借証書・担保附信託社債券又は現在と同一の方法中何れにても鈴木商店の希望に同意する事
 一、会社は鈴木商店より前第一項の支払を受けたる時は、藤本ビルブローカー銀行担保附債務に対し、金参拾弐万参千円を弁済し、且同銀行の担保中、興業銀行信託社債金六万弐千参百円を同銀行に交附し、是と同時に同銀行は会社に対して社債券金九拾五万四千円を返還するものとす
  一、藤本ビルブローカー銀行に対する総債務金百拾六万六千余円より前項の金参拾弐万参千円及び興業銀行信託社債時価金四万六千円(額面百円ニ付金七拾五円替)を控除したる残額は他の一般無担保債券と同一に処理すべきものとす
  一、無担保債権元金は十箇年賦とし、前五箇年間に其の総額の三割、後五箇年間に其の七割返還するものとし、明治四十三年より各年に平分し各債権額に按分して之を支払ふものとす
  一、前項の利率は年六分とす
   但五箇年後に於て一箇年の利益が其の予算金百拾六万円より二割以上超過したるときは年七分とす
  一、利息支払期は毎年五月末日、十一月末日の両度とす
   但明治四十三年に限り十一月末日を以て支払期日とす
  一、第六項無担保債権の担保として会社は其の所有する台湾の土地・家屋・工場及び工場内に包含せる機械器具其の他一切の定着物並に鉄道等全部を提供し、右に必要なる抵当権を設立し将来工場又は軌道抵当に関する法令が台湾に施行せられたるときは、直ちに其の規定に従ひ手続を実行すべきものとす
   但政府が未納税金に対する第一順位の抵当権を設定するは一般債権者に於て異議なきものとす
  一、会社が法規上新に社債を発行するも妨げなき場合に達したるときは、債権者の希望に依り、会社は何時にても台湾工場を抵当としたる債務を同工場担保附の社債券に振替ふるものとす
   但社債利率は年六分の利廻り以上とす
  一、会社が総債権者若くは一部の債権者に対し、年賦返済の元金及び利息の支払を怠り、其の他本契約に違背したるときは、会社は総債権に対し年賦期限の利益を失ひ、即時支払の義務を生ずるものとす
 - 第52巻 p.505 -ページ画像 
  一、会社が債権者一部に対し、一般債権者に優越したる元金又は利息の支払をなし、又は担保を供する等特別の恩恵を与ふるときは、会社は其の他の債権者に対する年賦期限の利益を失ひ、即時支払の義務を生ずるものとす
  一、台湾工場現在の設備に対し、将来保存及び改良修繕の設備を施したるときは、本契約の抵当権に包含せしむるものとす
   但新設又は増設は此限に非らず、尤も其の新設又は増設工事が抵当権者の利益を害する虞ある時は、抵当権者の同意を得るものとす
  一、本契約の趣旨に依り会社と債権者は公正証書を以て貸借契約を締結し、遅滞なく第九項の抵当権設定登記をなすものとす
   右結了と同時に各債権者は手形を返還するものとす
  一、鈴木商店社債及び前記債権に対する延滞利息は、明治四十三年以降平等に無利息十箇年賦とし、其の支払時期は第八項及び其の但書に依る
   但鈴木社債は明治四十二年六月迄、其の他の債権は同年九月迄分を以て延滞利息とす
  一、会社が政府若くは他の債権者より強制執行を受けたるとき、若くは会社が解散の決議を為したるときは、会社は年賦期限の利益を失ひ、即時支払の義務を生ずるものとす
以上は、大日本製糖株式会社取締役社長藤山雷太が取締役会の一致の決議に基き、財務整理の必要上債権者一同及び合名会社鈴木商店と協議の上、関係者一同の同意を得て締結したるもの也。
  明治四十二年十月二十三日
    一五、閉会前の一波瀾
 前後債権者会に於て出席債権者との協商案件を大体決定したるに付十月二十三日最終の債権者会を開き、当日は前記の仮契約書案の承認を求め、玆に債権者会を完了し、引続き午後二時より柳橋亀清楼に於て慰労の小宴を催す可く予定したるに拘らず、当日に至り安宅弥吉氏自ら出席し、安宅商会は到底他の債権者と同一に律し能はずとて、前記協商の条件に同意し難き旨を主張せられたれば、端なくも会議の進行に一頓挫を来し、容易に決定するに至らず、暮色蒼然たるも猶ほ一同は午餐を執る暇なし、故に仮に席を亀清楼に移して会議を継続し、午餐を執りたるは午後九時頃なりき。而かも諸氏は一債権者のため全体の協商の不成立に了らんことを痛心し、斡旋大に努められ、終に金子直吉氏は安宅氏を別室に誘ひて懇談数時に及び、漸くにして安宅商会に対しては特に左の如き協定を見るに至れり。
      △覚書
 本日付仮契約書の趣旨に基き、総ての債権関係を円満に解決するため左の条項を協定す。
一、仮契約書第十五項に依る鈴木商店社債延滞利息は明治四十二年六月迄とし、同年十月迄即ち四ケ月分の利息に相当する金額は合名会社鈴木商店より会社に対し無利息にて貸渡す事、但貸付期間は来る十一月一日より満二年間とす
 - 第52巻 p.506 -ページ画像 
二、其の他の債権に対する延滞利息は明治四十二年九月迄とし、同年十月迄即ち一ケ月分の利息に相当する金額は該債権者より会社に対し無利息を以て貸渡す事
三、会社は前二項の借入金を以て安宅商会に対する債権整理の資金に供し、安宅商会は前項の債権者に対し、該金額の債権を譲渡する事
  明治四十二年十月二十三日
                    各債権者署名
尚ほ社長より別に『本日付契約証書及び覚書の趣旨に依り貴商会に於て受領す可き金額は実際の過不足に拘らず金六万七千五百円及び貴商会に対する本年十月分一箇月間の利息年六分に相当する金額と定め本年十一月を以て支払期日と致候』との念証を安宅氏に出し漸く終了せしが、債権者が整理に関する契約の調印を了りて散会せしは翌二十四日午前三時にして対安宅氏交渉は実に債権者会掉尾の一大波瀾なりき
 此の如くして前後債権者会議は二ケ月に亘り、回を重ぬる事二十、多くは午前より深更に継続し、各関係者は多大の労苦を意とせず、終始誠意を以てせられたるため円満解決を見たるものにして、当社再興の基礎全く此の間に決せられたりと云ふ可し。
 当時或人は謡ふて曰く
 打たれても日糖笑つて義経は
       安宅の関を無事に越しけり
藤山社長は前後の事情を詳知せる男爵阪谷芳郎氏に之れを示したるに同男爵は左の返歌を与へられたり。
 ふじ山の高きにまさる困難を
       日糖笑つてよくもこ雷太
以て其の実情を窺知するに足らん。
    一六、各債権者関係
 債権者会議の結果、各債権の整理方法を摘要すれば左の如し。
(一)、鈴木商店回収金関係
 一、鈴木商店より会社に回収すべき金額は金百四拾九万余円にして会社より同商店に対しては、原糖買入代支払手形金二拾六万九千余円及び度増金・利息・立替金等営業取引より生ずる債務を有するを以て計算の上之を相殺し、其の残額約百十五万余円は本年十一月末日迄に支払を受くる筈なり(仮契約第一項)
 二、会社は前項金額の支払を受くると同時に、予て預り居る鈴木商店社債券額面百三拾五万四千円を同商店に返還すべきものにして、該社債は政府未納税及び藤本ビルブローカー銀行の債務担保に提供しあるものなり(同上第二項)
(ニ)、鈴木商店所有社債関係
 一、鈴木商店所有に係る大里工場買収社債は金四百万円にして、内金五拾万円は既に買戻の形式に依り弁済し、残金三百五拾万円を現在せり
 二、依て右残額の内金二拾五万円は前項の支払を受くる際之を弁済し、其の余の金三百二拾五万円は明治四十四年より十箇年賦とし、一箇年金三拾二万五千円宛之を償還するものとす
 - 第52巻 p.507 -ページ画像 
 三、右残額金三百二拾五万円の社債の形式は当分の内之を据置き、鈴木商店の要求あるときは、普通貸借証書又は担保附社債券等の形式に変換するものとす、但利率及び担保は従前の通りとす
   (以上仮契約第三項)
(三)、藤本ビルブローカー銀行関係
 一、藤本銀行に対し本会社社債券を担保とせる債務は金六拾四万六千余円にして、無担保債務は金五十二万円なり、而して担保社債九拾五万四千円は鈴木商店より預りたるものに係り同商店より前記金額の弁済を受くるに付ては、該社債券を同商店に返還するを要す、依て右債務に対し金三拾二万三千円を支払ひ且担保に供しある日本興業銀行信託社債額面六万二千三百円を時価額面百円に付金七拾五円替に見積り此の金四万六千円として弁済に充当し、其の他の社債額面金九拾五万四千円の返還を受くるものとす(同上第四項)
 二、前項の金三拾二万三千円及び金四万六千円を控除したる債務残額約七拾九万七千余円は他の一般無担保債権と同一の方法にて弁済する筈なり(同上第五項)
(四)、安宅商会関係
 一、安宅商会に対する債務は金三拾五万七千余円にして、之に対し金六万七千五百円と、明治四十二年十月分の利息約金一千八百円を支払ひ、其の残額は他の一般債権と同一方法にて弁済する筈なり(覚書及び念証)
 二、前項の金六万七千五百円の弁済資金としては、会社の支払ふべき鈴木商店社債に対する明治四十二年七月より十月迄四箇月分の利息約金五万円、並に其の他の一般債権に対する同年十月分一箇月の利息約金一万七千円を借入れ、依て前項の支払に充つるものとす
 三、前項鈴木社債の利子四箇月分借入金は無利息とし、満二箇年間据置き二箇年末に於て返金の筈なり、而して他の一般債権の利子一箇月分は同じく無利息とし、十箇年賦返済の筈なり(覚書)
(五)、延滞利息債務関係
 一、鈴木商店所有社債に対する明治四十一年十二月以降同四十二年六月迄の延滞利息は、無利息にて明治四十三年以降十箇年間平等に分割支払ふ筈なり、其の他の債権に対する明治四十二年一月以降同年九月迄の延滞利息も亦同じ(仮契約書第十五項)
 二、鈴木社債分明治四十二年七月より同年十月迄四箇月分の利息は満二年間無利息を以て借入れ、其他の債権に対する同年十月分の利息は十箇年賦無利息を以て借入れ、依て安宅商会の債務内に充当するものとす(覚書)
(六)、一般無担保債権関係
 一、一般無担保債権として処理すべき債務元金左の如し
    一金三万二千九百四拾四円也   山口銀行
    一金二拾三万五百九拾四円也   同上(定期預金証書分)
    一金六拾九万七千二百八拾二円也 藤本ビルブローカー銀行
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    一金拾万円也          同上(定期預金証書分)
    一金四拾七万六千六百八拾四円也 台湾銀行
    一金五万円也          村井銀行
    一金五万円也          中井銀行
    一金二拾六万六千三百八拾七円也 三十四銀行
    一金六拾六万三百二拾円也    同上(定期預金証書分)
    一金二拾八万九千八百拾円也   安宅商会
    一金拾三万百八拾七円也     第百銀行
    一金二万七千五百五拾七円也   剌賀商会
    一金五拾三万六千六百二拾九円也 三井物産合名会社
    一金二拾三万円也        新潟銀行(定期預金証書分)
   合計三百七拾七万八千三百九拾四円也
 二、前記債務は明治四十三年より十箇年賦とし、其の支払金額の割合は前五年間に総額の三割、後五年間に其の七割を各年に平分し債権額に按分して完済するものとす(仮契約書第六項)
 三、前項の利率は年六分とし、五箇年後に於て一箇年の利益が其の予算金百拾六万円より二割以上超過したるときは、年七分に改定するものとす(同上第七項)
 四、利息支払期は毎年五月末日、十一月末日の両度と定め、明治四十三年に限り十一月末日の一度とす(同上第八項)
 五、台湾の土地・家屋・工場及工場内に包含せる機械・器具其の他一切の定着物、並に鉄道等全部に付、政府の滞納税金に対し第一順位抵当権の優先権利を設定し、而して前記債務に対し次位の抵当権設定をなすべき筈、猶将来台湾に工場又は軌道抵当に関する法令の施行せられたるときは、直に其の手続を実行すべきものとす(同上第九項)
 六、前項の抵当物件に対し将来保存改良等の設備をなしたるときは新設又は増設を除き増担保となすものとす(同上第十三項)
 七、前記債権は時宜に依り台湾工場を担保とし、且年利六分の利廻以上の利率を以て社債券発行をなすことあるべき筈なり(同上第十項)
 当初より債権者会議に出席せざりし第百銀行・剌賀商会に対しては以上の結果を齎らし数回交渉の末、同一条件を承認せられたり。
    一七、債権者団
 各債権者は、将来一致の歩調を執るの必要を認められ、債権者団を組織し、左の契約を締結せられたり。
      △契約書
 大日本製糖株式会社に対する債権者(但明治四十二年十月二十三日付にて、該会社と仮契約を協定したる債権者を指す)は将来同会社に対し一致の行動を採らんため、玆に債権者団体を組織し左の条項を契約す。
 第一条 同会社に対し、明治四十二年十月二十三日付の仮契約に基き同会社をして台湾工場に対する抵当権の設定登記を為さしめ、又は社債を発行交付せしめ、若くは同会社が年賦期限の利益を失
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ひたる場合に債権の執行を為すに付ては、凡て本債権者団体の決議を経るを要す。同契約書以外の事項に付き同会社に対し一般債権者の利害に関係する交渉、若くは行動を採る場合も亦同じ。
 第二条 本債権者団体には常設委員三名を置き、其の任期を二箇年とし、債権者集会に於て選挙す。
  常設委員は集会の招集を為し、及び本債権者団体を代表して同会社に対し交渉、若くは決議に基く行動を為すものとす。
第三条 総債権額十分の一に当る債権者は債権者集会の招集を常設委員に請求するを得。常設委員が該請求を受けたる後一週間以内に招集を為さゞる時は、該請求者自ら之を招集することを得。
第四条 各債権者は、決議の場合に有する債権額壱万円毎に、一個の議決権を有す。但之によりて控除したる債権の端数、又は債権額壱万円に達せざる債権者と雖も、亦一個の議決権を有す。
第五条 債権者集会は、総債権者の有する議決権の五分の三以上の出席にあらざれば成立せざるものとす。
  第一条に規定したる事項の決議は、出席債権者の有する五分の三以上の多数決による。常設委員の選任は、其二分の一以上の多数決によるものとす。
第六条 債権者集会は、招集者に於て開会の代りに書面を以て採決することを得。此の場合に於ては直に其の結果を各債権者に報告することを要す。前項の議決権は第五条を適用す。
第七条 債権者集会は、会期前少くとも一週間前に招集の通知を発することを要す。
第八条 本契約は、債権者全部の承認あるにあらざれは改廃するを得ず。各債権者が本団体より脱離するとき亦同じ。
第九条 債権は譲渡することを得ざるものとす。但譲受人に於て本契約を変更せる契約に服従すべきことを約したるときは此の限にあらず。
第十条 大日本製糖株式会社は、本契約に同意す。
    一八、滞納税金
 明治四十二年七月三十一日現在資産負債見合表に計上したる対政府滞納税金は消費税金参百五拾万千弐百六拾参円八拾四銭、酒精税参万五千七百八拾円六拾五銭、所得税四万九千参百七拾五円四拾銭、合計参百五拾八万六千四百拾九円八拾九銭にして、其の担保として山口・藤本ビルブローカー・三十四・新潟等各銀行の定期預金証書を提供せるもの合計金百弐拾弐万九百拾四円四拾弐銭なり。而して此の金額は債権者会議の結果藤本関係の金拾万円を除き他は総て無担保債権として十ケ年賦に編入する事となり、其の結果各債権銀行は一時に右の定期証書額面金額を現金にて政府に上納したれば、当社の滞納税金として処理す可き金額は、右定期預金証書を控除したる金弐百四拾六万五千五百五円五拾弐銭となれり。然るに藤本関係の金拾万円は仮契約に依り現金を以て之を支払ひ、猶ほ未納税担保品中本社社債、又は東洋製糖株等処分し得可き分、或は定期預金証書の振替を為し得る分等は総て整理を為したる結果、明治四十三年十一月三十日迄に償却したる
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合計金百参拾万九千百七拾弐円五拾壱銭となり、其の残額は金百拾五万六千参百拾参円〇壱銭となれり。
 債権者会の仮契約に依り、台湾工場は対政府の税金関係の為め第一順位の抵当権を設定し得可き筈なりしも、未だ法令の準拠す可きものを具備せざりし処、明治四十三年五月十日勅令第二百二十四号を以て砂糖消費税施行規則を改正せられ、消費税の担保として工場財団を提供し得可き事、且つ此の場合に於て台湾工場に在りては胎権設定の手続を為す可き事を定められ、台湾に於ても亦続て之れに関する律令・府令の発布ありたれば、当社は台湾総督府に於て明治四十四年一月十八日台湾工場に工場財団設定の登録を経て、更に同月二十三日東京工場の納入す可き砂糖消費税金百拾六万円のため、大蔵省に対し胎権設定の登録手続を完結せり。
 右工場財団に設定したる胎権を以て、現在の納税担保に供し、現に提供せる納税担保を以て前記滞納税納入を了り、滞納税金関係は玆に消滅せり。最初九月十五日第一回の債権者会議の節、大蔵大臣に対し情を具して滞納税金一部分納の儀を出願し、更に債権者会議結了を俟つて同年十一月中追願を出して十ケ年賦分納の儀を求めしも、前記勅令律令発布の結果は本件に付予期以上円満なる解決を告げたり、是れ当時内閣の首班として財政整理を標榜し、自ら大蔵大臣を兼摂して其の大綱を統べられたる故公爵桂太郎氏、次官たる現男爵若槻礼次郎氏其の他大蔵省当局各位が最も深厚なる同情を以て対せられたる賜物にして、当社の感荷措く能はざる所なり。


東京経済雑誌 第六〇巻第一五一三号・第二―三頁明治四二年一〇月 日糖会社の債務弁済方法(DK520060k-0004)
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東京経済雑誌  第六〇巻第一五一三号・第二―三頁明治四二年一〇月
    日糖会社の債務弁済方法
去月十五日以来本月十九日まで一ケ月以上に亘り、会議を重ぬること十有六回にして、日糖会社に対する債権者会議は終了を告げ、日糖会社の負へる債務の弁済方法は左の如く協定せられたり、
 △年賦償還方法 無担保債権金額は十ケ年賦とし、前五ケ年に三割後五ケ年に七割を償還す、其の支払は四十三年十二月より始むること、
 △鈴木商店 大里精糖関係の社債は之を更改し、三百廿五万円を四十四年より十ケ年賦とし支払ひ、又鈴木商店より日糖へ支払ふべき売払ひ代金は八十七万円強を現金にて日糖会社へ支払ふべく、凭て密約云々の件は交渉の結果消滅す、
 △藤本銀行 日糖整理案計上額三十二万三千円及び興銀信托社債券六万二千余円を時価に換算し、四万六千円とし、合計三十六万九千円を本年中に現金支払を為し、藤本銀行よりは社債九十五万余円分を日糖に返附す、而して総債権残額八十九万余円は普通債権額に編入し、同一の取扱となすこと、
 △利率 無担保債権額に対する利率は年六朱とし、鈴木商店の社債は七朱とす、又延滞利子概算四十万円(無利子)は十ケ年賦とし支払ふこと、
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此の債権者会議は去月十五日より開始し、藤山社長は先づ債務を引直して優先株を発行するの提議を為せしも法律上不可能の点多く、為に根底より協議方法を変更し、一方政府の意嚮を確め、又普通債権者に対し下阪氏及び日糖会社にて十ケ年賦償還案等を立て、且鈴木商店との交渉も開かれ新株払込み問題も起り、此等の諸案漸次解決を来せしも、藤本問題に入りては代表者の意見強硬にして、玆に両者の交渉殆ど破裂の域に達し遂に一旦会議を閉ぢ、本月十五日再会の上漸次進行して右の如き結果を得たるものなり、是れ畢竟已むを得ずして玆に至りたるものなりと雖、余輩は各債権者の寛洪以て事を処したるを諒とし、日糖会社の為に之を祝せずんばあらず、而して日糖会社が其の営業を継続して此等の債務を弁済し、更に繁栄することを得ると否とは夫の過重なる砂糖消費税の存廃如何に依りて決せずんばあらず、即ち過重なる消費税の廃止、若しくは軽減せられざるに於ては砂糖の需要は増加せざるべく、需要増加せざれば其の供給者たる日糖会社は繁栄することを得ざるべし、故に日糖会社は勿論のこと、其の債権者等も砂糖消費税の廃止軽減に協力して尽さゞるべからざることなり、