デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

3章 商工業
15節 倉庫
1款 渋沢倉庫株式会社
■綱文

第53巻 p.505-507(DK530091k) ページ画像

大正2年1月1日(1913年)

是日栄一、渋沢事務所ニ於テ、当会社社員ヨリ年頭ノ祝賀ヲ受ク。


■資料

渋沢栄一 日記 大正二年(DK530091k-0001)
第53巻 p.505 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正二年         (渋沢子爵家所蔵)
一月一日 晴 寒
○上略 午前十一時兜町事務所ニ抵リ、事務所員一同及倉庫会社員其他ノ人々ヨリ新年ノ賀詞ヲ受ク○下略

 - 第53巻 p.506 -ページ画像 

竜門雑誌 第二九七号・第七三頁大正二年二月 渋沢倉庫会社定時総会(DK530091k-0002)
第53巻 p.506 ページ画像

竜門雑誌  第二九七号・第七三頁大正二年二月
○渋沢倉庫会社定時総会 渋沢倉庫株式会社にては二月二十四日午後二時より同会社本店楼上に於て第七回株主定時総会を開かれたるが、内前年下半期の利益金処分案は左の如く決定したり
 一金三千八百四十三円二十七銭  当期純益金
    外に
  一金四千百六十一円五十一銭   前期繰越金
   合計八千四円七十八銭
      此処分如左
  一金五千円           法定準備金
  一金三千四円七十八銭也     後期繰越金


竜門雑誌 第三二九号・第八五頁大正四年一〇月 ○渋沢倉庫株式会社の小樽出張所開設(DK530091k-0003)
第53巻 p.506 ページ画像

竜門雑誌  第三二九号・第八五頁大正四年一〇月
○渋沢倉庫株式会社の小樽出張所開設 渋沢倉庫株式会社に於ては、今回其事業拡張の第一歩として北海道小樽に出張所を開設することゝなりて、本月一日より営業を開始したるよし。右は同地は北海道随一の商業地にして海産物・農産物其他雑貨の呑吐集散頻繁なるに拘はらず、従来の営業倉庫には種々の弊害纏綴し、金融業者其他一般の極めて遺憾とする所なりしに付、今回同地第一銀行支店等の慫慂に依り、愈々出張所を設け漸次弊風を刷新し、完全なる営業法を打立て、同地商業の振興に資するの期念を以て業務を開始するに至りしものなりといふ
尚右開業の披露として、本月一日及び二日の二夕に渡りて、同地銀行会社の代表者を始め有力なる商工業者・新聞記者其他の有力者百五十名を同地開陽亭に招待して、盛なる宴会を催し、特に出張の八十島専務取締役より同社の来歴及出張所開設の謂はれ、並に将来の新期望を述べて来賓の眷顧を乞ひ、之に対して小樽区長及商業会議所会頭等より丁寧なる挨拶あり、盛況を極めたりといふ
尚出張所の事務は、本店営業部長利倉久吉氏に於て当分の間主として之を担当し、尚本店員笠原厚吉・増原周蔵・田川季彦諸氏は出張所員に転任せられたる由


竜門雑誌 第三三八号・第八〇―八一頁大正五年七月 ○渋沢倉庫人夫直営問題(DK530091k-0004)
第53巻 p.506-507 ページ画像

竜門雑誌  第三三八号・第八〇―八一頁大正五年七月
○渋沢倉庫人夫直営問題 渋沢倉庫小樽出張所に於ては、保管貨物の入出庫に要する人夫の直営を為したるに対し、同地に於て種々非難を加ふるものある由なるが、之れに対し利倉支配人は、右は寧ろ倉庫の利害問題に非ずして、所謂社会問題解決に一歩を進めたるものなりとて、左の如く語れりと小樽新聞は報ぜり。
 渋沢倉庫に於ける人夫直営の実行は、主として保管物の取締上より起りたるものなるも、其半面は実に労働者保護の趣旨に基くものにて、倉庫は人夫に代りて荷主より一定の賃金を請求し、之を各人の技倆に依り幾分の等差は設くるも主として最も公平なる平等の分配を得せしめ、且つ一定の最低限度を設けて其日収に保証を与へ(最高は制限を加へず)以て彼等後顧の患を除き、且つ老後の計を為さ
 - 第53巻 p.507 -ページ画像 
しむるの方法にして、倉庫は斯く賃金上の利益を度外視せる結果、資本主対労働者問題を惹起するが如き懸念なし、小樽に於ける従来の人夫制度に拠れば、人夫の供給は各倉庫に附属せる親方なるものの請負に拠り、此請負人と荷主との間に直接賃率の協定及賃金の授受を為し、請負人は先づ幾分の歩合を収得し、残余を適宜分配するものなれば、自然各倉庫の人夫間に貨物争奪の暗闘を生ずるを免れず、従つて賃金に対する割引の競争を惹起して、収入減少の結果は勢ひ実際労働する人夫の所得に影響を及ぼすが故に、之れを或る程度の収入に達せしむる為には、已むを得ず労働者間《(時カ)》の延長によりて之を補足するに至るべし、之れ吾人が識者の一顧を煩すと同時に、我倉庫の主たる保管業務に大打撃を受くるをも意とせず人夫直営を敢行せる次第にて、大方の諒解を望む所なり、元来倉庫の人夫制度は保管の責任上又取締上、主義として直営ならざるべからず、然るに小樽に於ては依然多年の慣習を襲ひ、各倉庫とも若干の手数料の如きものを支出するも、尚ほ人夫請負人の保管上の責任を負担せしむるを便宜とせり、之れ吾人の大に了解に苦しむ所にて、請負人は保管上の義務を負ふと同時に賃金不払の場合に対する欠損の負担を予期せざるを得ず、尚ほ保管料不払の責を分担する場合も生じ、一定の収入を期する上に於て常に不安を免れず、此制度たるや他面に於て倉庫主も亦勢ひ一種の不安に襲はれ、其余波は銀行主にまで累を及ぼすに至れること現状の如し、渋沢倉庫の人夫直営に対する非難は、主として一定の賃率より割引を為さざるの点にあるが如し、思ふに保管料其他商取引に類するものに関しては相当の割引敢て不可なからんも、労役賃の如きものに割引を強ふるは断じて弱者に同情する所以に非ず、尚ほ現行賃率には種類に依り公平を欠き其当を得ざるものゝ如し、故に之に対し早晩取捨折衷を為す要あるは勿論なるも之が為めに引上げを為すの要は当分之を認めず、渋沢倉庫の人夫に対する分配法は、収入賃金の総額より先づ左の諸項に充用する為め一定の額を控除す(人夫供給者の手数料、職務手当、勤続手当、特別手当、季末手当賃金の補足、過失より生ずる弁償、職務上より起る負傷及病気手当、死亡及退職手当、人夫用器具其他の諸手当)是等を控除したる後の残余金額を各人頭に平等に分配す、而して各人の月収に応し毎月一定の身元保証積立金を為さしめ、倉庫は之に対し特別率なる利息を附し、尚ほ収入の多額に達する場合には彼等を奨励して任意貯蓄預金を為さしむ、渋沢倉庫は主として無形の利益と社会問題より見たる理想に一歩を進むるを以て満足す