デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

6章 対外事業
2節 支那・満洲
5款 中日実業株式会社
■綱文

第55巻 p.58-79(DK550021k) ページ画像

大正15年4月1日(1926年)

是ヨリ先、中華民国ニ於ケル相踵グ動乱ノ影響ニヨリ、当会社ノ業績不振ニ陥ル。是年一月二十二日及ビ三月五日、栄一、当会社副総裁高木陸郎ノ来訪ニ接シ、其状況報告ヲ聴取ス。

是日、東京銀行集会所ニ於テ、当会社ノ根本的整理ニ関スル相談役会開カル。栄一出席シテ、之ガ協議ヲナシ、次イデ六日、相談役郷誠之助ト共ニ大蔵次官田健治郎ヲ訪ヒ、当会社ノ沿革及ビ現状ヲ説明シテ、参戦・兵器両借款取立ニ対スル当会社ノ代行手数料収受ニ関シ、政府当局ノ善処方ヲ懇請ス。


■資料

渋沢栄一 日記 大正一五年(DK550021k-0001)
第55巻 p.58 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正一五年       (渋沢子爵家所蔵)
一月二十二日 晴 寒
○上略 十二時過事務所ニ於テ午飧シ、高木陸郎氏来リ、中日会社ノ近状及支那政局ノ現況ヲ詳話ス○下略
   ○中略。
三月五日 朝雪後曇 寒
○上略 九時過中日実業会社高木陸郎・春田茂躬二氏来訪、同会社事業ニ付詳細ノ談話アリ、近日更ニ大橋氏等ト会同ノ事ヲ約ス○下略


集会日時通知表 大正一五年(DK550021k-0002)
第55巻 p.58 ページ画像

集会日時通知表 大正一五年       (渋沢子爵家所蔵)
一月廿二日 金 午后一時 高木陸郎氏来訪(事務所)
   ○中略。
三月五日 金 午前九時 高木陸郎氏来約(飛鳥山邸)


中日実業会社書類(一)(DK550021k-0003)
第55巻 p.58-60 ページ画像

中日実業会社書類(一)         (渋沢子爵家所蔵)
  大正十五年三月九日   中日実業株式会社
                        副総裁 高木陸郎(印)
    渋沢子爵閣下
拝啓 愈々御清祥奉慶賀候、陳者弊社債務整理ニ関シテハ過日拝趨御願申上候次第モ有之候処、玆許整理ニ関スル書類同封御送附申上候間御査覧賜リ度、尚近日中ニ相談役会及重役会開催ノ予定ニ有之、何レ改メテ御案内可申上候間、何卒御出席百事御垂教賜リ度、予メ御願申上候 敬具
 (栄一鉛筆)
 当日出席シテ高木・春田二氏及郷男爵・窪田四郎・加藤辰雄氏来会種々協議《(加藤辰弥)》ノ末、先ツ田大蔵次官ノ了解ヲ得ルニ勉ムル事ヲ決シ、余ト郷男トニ於テ其説明ヲ為ス事トシ、其模様ニ応シ、更ニ協議スヘキ事ト定メテ散会セリ
   ○右栄一書入中ノ「当日出席シテ」云々トアル「当日」トハ、相談役会ノ開カレタル四月一日ヲ指スモノナリ。
 - 第55巻 p.59 -ページ画像 
(別紙)
(表紙)

   中日実業株式会社根本的整理案

    提出書類
一、中日実業株式会社根本的整理案要点
二、中日実業株式会社根本的整理案要領
三、中日実業株式会社根本的整理実行ニ関シ債権者各位ニ懇請シ承認ヲ乞フ可キ事項
四、中日実業株式会社根本的整理案
                         以上
備考 二・三・四ハ既ニ子爵閣下ノ御手許ニ差上置キタルニ付省略致候
(謄写版)
    中日実業株式会社根本的整理案要点
一、総負債ノ内ヨリ資本金及積立金ヲ控除セル純対外負債
                        円
               五、七三九、一〇一、八三
一、右ニ対シ延滞利子ノ一部免除及差入担保ノ処分ニ由リ減額ス可キ見込額
                        円
               一、三五六、四二三、七二
一、差引対外負債
                        円
               四、三八二、六七八、一一
一、右ヲ負債ノ性質ニ従ヒ左ノ二口ニ区分シ、夫々債権者ノ承諾ヲ求ムトス
                     円
         長期 四、三一六、五六〇、五一
                         円
           但右ノ内二一二、七八七、八一ハ、多年ノ懸案トシテ貸借対照表ノ負債ノ部ニ現ハレ居ラザル裕繁別口勘定ナルガ、今回ハ之ヲモ併セ整理スルコトヽシテ追加計上セリ
                   円
         短期 二七八、九〇五、四一
一、右長期負債整理案
           円
  四、三一六、五六〇、五一ヲ無利息十ケ年据置(一部分ハ利付)トスルトキハ、十ケ年後ノ元利ハ
                        円
               五、三五七、四四九、九〇
  トナル
  今回書替調印ヲ了セル参戦・兵器両借款手数料トシテ、支那国庫証券三、三四二、二二一、《円》一三ヲ大蔵省ニ懇請シテ会社ニ収得シ其内二、五〇〇、〇〇〇、《円》〇〇ヲ長期債権者ヲ受益者トシテ信託会社ニ信託シ十ケ年据置クトキハ、其元利ハ
                        円
               五、三九七、三一二、五〇
  トナルニ由リ、右ヲ以テ、前記長期負債十ケ年後ノ元利ヲ完済セムトス
一、短期負債二七八、九〇五、《円》四一及参戦・兵器借款書替ノ為メニ要
 - 第55巻 p.60 -ページ画像 
セシ特別費用(経常費ヲ除ク)合計八九八、九〇五、《円》四一ノ弁済並ニ会社維持費捻出ノ資源トシテハ、特ニ台湾銀行及朝鮮銀行ニ対シ
    交通部借款
    山東省借款
  ノ二借款ニ限リ、今後三ケ年間利子ノ免除ヲ乞ヒ、其間極力利子ノ取立ヲ為シ、一方参兵両借款手数料国庫証券ノ残額約八十万円ヲ活用シテ之ニ充当セムトス
一、以上二口整理案確立シ、是等債務ヲ別勘定ニ移ストキハ、会社ハ資本金積立金以外ノ負債皆無トナリ、資産トシテハ
    一、湖南アンチモニー鉱山、同精煉工場
    二、湖南石炭礦区
    三、博山軽便鉄道借款及同株券
    四、営業什器
    五、浦口土地持分
    六、桃沖鉄山日本向一手輸入権
  ヲ所持スルコトヽナルベク、此等資産ハ何レモ即時換価不能ナルモ、遠キ将来ニハ望ヲ繋グヲ得可ク、一方負債皆無ナルヲ以テ、安ンジテ新規事業ノ開拓ニ努力シ、両国国籍ヲ具備セル会社ノ特徴ヲ発輝スルヲ得可キナリ
   備考
    前記ハ会社負債ノ内
     交通部
     山東省
     漢口造紙廠
     裕繁公司
    ニ関スル分ヲ別箇ノ考慮ニ置キタルモノニシテ、此等借款ハ何レモ貸借相照セリ
    尚会社整理案確立ノ上ハ、右等ハ何レモ代理貸付ノ取扱ニ改メラレンコトヲ出資者ニ懇請セムトス


中日実業会社書類(一)(DK550021k-0004)
第55巻 p.60-62 ページ画像

中日実業会社書類(一)         (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
 (表紙)

   中日実業株式会社根本的整理案要領

    中日実業株式会社根本的整理案要領
大正拾五年壱月末貸借対照表(附属表第一号)ノ内交通部・山東省・漢口造紙廠・裕繁公司ノ四借款(附属表第二号)ハ其資金ノ全部ヲ他ニ仰ケル貸借相照セル特殊借款ナルガ故ニ、仮リニ之ヲ貸借対照表ノ貸借双方ヨリ除外シ、然ル上、先以テ資産ニ対シ最モ厳酷ナル査定ヲ試ミタル処、損失ニ計上スヘキ額九、七七二、六八六、《円》四三ニ達セリ
 - 第55巻 p.61 -ページ画像 
(附属表第四号)、以上査定ノ結果資産九九七、六一五、《円》四〇ニ対シ、負債一〇、七七〇、三〇一、《円》八三アリ、差引前記ノ如ク九、七七二、六八六、《円》四三ノ欠損トナレリ(附属表第五号)、尤モ負債ノ内社内勘定(資本金・積立金)五、〇三一、二〇〇、《円》――ヲ別観念ノモノトシテ、右欠損ヨリ控除スル時ハ、純欠損金ハ四、七四一、四八六、《円》四三トナルヘシ
偖次ニ負債ノ側ニ於テ、負債総額一〇、七七〇、三〇一、《円》八三ノ内ヨリ対内負債ヲ控除セル対外債務合計ハ五、七三九、一〇一、《円》八三ナリ(附属表第六号)、右ノ内ヨリ先以テ台銀・鮮銀両行ヨリ借入レノ電灯並ニ謝重斉資金ニ対シ滞納利息六四六、二四七、《円》九四ノ切捨ヲ乞ヒ、一方九六公債其他ノ担保品ヲ差入アル向ニ対シテハ、夫々之ヲ引渡シテ内入若クハ決済ニ充テ、債務額七一〇、一七五、《円》七八ヲ減シ(合計一、三五六、四二三、《円》七二ノ減額)(附属表第九号)残存債務ハ之ヲ
  長期債務(即チ整理勘定トシテ拾年据置一時払(大部分無利息)ノ条件ニテ承認ヲ求ムル分)
                 四、三一六、五六〇、《円》五一(内二一二、七八七、《円》八一ハ貸借対照表ノ負債ノ部ニ現ハレ居ラサル裕繁別口勘定)
  短期債務(即チ別整理勘定トシ、三ケ年分割弁済ヲ為スヲ要スル分)
                   二七八、九〇五、《円》四一
トノ二口ニ分チ、之レカ整理資源トシテ、長期債務ニ対シテハ、這回弊社ノ手ニヨリ書換調印ヲ了セル参戦・兵器借款ニ関シ弊社手数料トシテ収得セラルヘキ八分利付支那政府国庫証券額面三、三四二、二二一、《円》一三ノ内二、五〇〇、〇〇〇、《円》――ヲ拾ケ年間信託会社ニ信託シ其元利五、三九七、三一二、《円》五〇ヲ以テ、同年間据置後ノ債務元利累計額五、三五七、四四九、《円》九〇ヲ完済セントスルモノナリ(附属表第十号)
次ニ短期債務整理資金及其他ノ所要現金、合計八九八、九〇五、《円》四一(附属表十一・十二号)並ニ経費ノ捻出資源トシテハ、弊社ノ手ヲ経テ支那政府ニ貸付居ル交通部・山東省ノ二借款ニ於ケル正規ノ利鞘ヲ受クルノ外、出資銀行団中大債権者タル台銀・鮮銀両行ノ出資ニ係ル該借款利息ノ一部ヲ三ケ年間免除ヲ受クルコトトシ、月賦取立金中
   交通部借款ニ於テ毎月取立金三〇、〇〇〇、《円》――ニ対シ
                    一五、〇〇〇、《円》――
   山東省借款ニ於テ毎月取立金五〇、〇〇〇、《円》――ニ対シ
                    三四、八九〇、《円》六三
                  計 四九、八九〇、《円》六三
此ノ一ケ年間収得額五九八、六八七、《円》五六ノ内、経費年額二〇〇、〇〇〇、《円》――ヲ控除セル残三九八、六八七、《円》五六ノ三ケ年合計一、一九六、〇六二、《円》六八ヲ以テ、短期債務其他ニ対スル三ケ年間ノ元利合計
 - 第55巻 p.62 -ページ画像 
一、〇九一、八四二、《円》七〇ヲ同年間ニ随時分割弁済セントスル次第ナリ。            以上
   ○付属表略ス。


中日実業会社書類(一)(DK550021k-0005)
第55巻 p.62-63 ページ画像

中日実業会社書類(一)          (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
(表紙)

   中日実業株式会社根本的整理実行ニ関シ債権者各位ニ懇請シ承認ヲ乞フ可キ事項

    中日実業株式会社根本的整理実行ニ関シ
    債権者各位ニ懇請シ承認ヲ乞フ可キ事項
      政府ニ対シ懇請スヘキ事項
  (一)参兵両借款書換手数料ノ事
弊社ノ手ニ由リ今回書換ヲ了セル大正拾四年九月末迄ノ元利合計確認額金七千八百八拾壱万九千参百拾七円参拾弐銭也ノ内、弊社手数料金参百参拾四万弐千弐百弐拾壱円拾参銭ニ相当スル国庫証券額面ノ御交付ヲ受ケ、之レヲ活用シテ徹底的債務整理ヲ遂行セントスル希望ナルニ就テハ、右趣旨御諒承ヲ賜リ、特ニ御援助ノ思召ヲ以テ、右額面ノ国庫証券ヲ急速御下渡賜ハラン事ヲ切ニ冀願ス
  (二)対支借款利鞘並利息一部免除ノコト
交通部・山東省ノ二借款ハ台銀・鮮銀・興銀其他ノ銀行団ヨリ出資ヲ受ケ貸付居ルモノナルカ、短期債務其他ニ対スル三ケ年間ノ元利及経費合計一、六九一、八四二、《円》七〇ノ捻出資源トシテ、該両借款ノ毎月取立額八〇、〇〇〇、《円》――ニ対スル正規ノ利鞘一〇、一八四、《円》一〇ヲ受クルノ外、右取立金中弊社ノ大債権者(総債務ノ六割強ニ当ル)タル台銀・鮮銀両行ニ支払フ可キ金額
  交通部借款毎月取立金三〇、〇〇〇、《円》――ニ対シ
                      一〇、〇〇〇、《円》――
  山東省借款毎月取立金五〇、〇〇〇、《円》――ニ対シ
                      二九、七〇六、五三
                    計 三九、七〇六、五三
ヲ三ケ年間免除乞ヒ、利鞘ト合セ毎月四九、八九〇、《円》六三宛向フ三ケ年間継続合計一、七九六、〇六二、《円》六八ヲ弊社ニ収得シ、以テ前記所要額ニ引当テ度キ希望ナリ。該件ハ今回ノ整理案実行上是非共必要ナル事項ナレハ、特ニ台銀・鮮銀両行ノ御承認ニ預リ度ク、就テハ整理達成ノ為、政府ニ於カレテモ右両行ニ対シ御口添賜リ度希望ス
  (三)純銀貸下金条件変更ノ事
大正三年八月十五日付契約ニヨリ、政府ヨリ横浜正金銀行ヲ通シ弊社ニ貸下ケラレタル純銀未償還残高二、三〇七、《貫》六九二、《匁》三一、此時価元利約日金四拾五万八千六百九拾弐円也ノ現在条件ヲ、前述ノ整理案ニ基キ、左ノ通リ改ムル事ニ御承認ヲ得タシ
      現在条件
 - 第55巻 p.63 -ページ画像 
 利率 年六分五厘
 期限 大正拾五年三月末ニ於テ利息ト共ニ返納スル事
      今後ノ希望条件
 利率 単利年五分
 期限 十ケ年据置一時払
   ○「交通部及山東省借款出資銀行団台湾・朝鮮・興業・古河・住友・第一以上六銀行ニ対シテ懇請スヘキ事項」及ビ其他債権者ヘノ懇請事項略ス。


中日実業会社書類(一)(DK550021k-0006)
第55巻 p.63-67 ページ画像

中日実業会社書類(一)         (渋沢子爵家所蔵)
    中日実業会社根本整理案摘要
本案は大正十五年度一月末の貸借対照表によりて立てたるものなれば先づ該表を掲く
      貸借対照表(大正十五年一月三十一日現在)
        貸方ノ部
一金五百万円                  株金
一金参万千弐百円                法定積立金
一金弐千七百弐拾五万弐千弐百六拾壱円四拾四銭  借入金
一金四万弐千四百九拾壱円八拾四銭        預リ金
一金参百五拾弐円参拾八銭            社員積立金
一金壱万四千参百六拾円七拾七銭         仮受金
一金弐百八拾八万千七拾壱円八拾四銭       支払手形
一金拾万七千八百円               当期借越金
一金参拾弐万八百弐拾七円参拾参銭        未払金
 合計金参千五百六拾五万参百六拾五円六拾銭
        借方ノ部
一金四百九拾五万八千七百弐拾弐円七拾四銭    鉱山
一金壱万五千五拾参円弐拾八銭          什器
一金弐千六百七拾六万四千九百弐拾九円五拾弐銭  貸付金
一金五拾九万七千九百七拾七円五拾銭       有価証券
一金参千参百五拾参円六拾九銭          受取手形
一金六千六百八円八拾四銭            預ケ金
一金参万八千八百九拾八円五拾八銭        未決算勘定
一金弐百四拾万四千弐百八拾九円八拾六銭     未収金
一金六拾六万参千参百四拾七円弐拾六銭      前年度繰越金
一金拾九万七千百八拾四円参拾参銭        本年度損失金
 合計金参千五百六拾五万参百六拾五円六拾銭
 備考 右貸借対照表以外の計数左の如し
        貸方ノ部
 一金弐拾壱万弐千七百八拾七円八拾壱銭     裕繁公司預リ金
 一金四拾弐万円                明華銀行借入金
 但今回の国庫証券額面参百参拾万円を支那政府より得る為に支払ひたる手数料にして、資金なき為め同行より借入れたるものなり
 一金拾万円                  支那人債務
 但右と同様にして支那人に証書を交付せるものなり
 - 第55巻 p.64 -ページ画像 
右の内借入金及貸付金両勘定に関係し両立の如き状態にあるものあり即ち交通部・山東省・漢口造紙廠・裕繁公司の四借款にして、其内容は左の如し

  摘要        貸付金未収ノ分         借入金未払ノ分
 交通部元本借款 一〇、〇〇〇、〇〇〇・〇〇   一〇、〇〇〇、〇〇〇・〇〇
 同利息      一、四八五、五六〇・三七    一、四七四、三五三・四四
 交通部仮払借款  一、六九〇、二五四・四五    一、六一五、八一四・五七
 同利息        四三五、八四六・四三      三六七、〇四八・七六
 山東省借款    三、五〇〇、〇〇〇・〇〇    三、五〇〇、〇〇〇・〇〇
 同利息          七、七六〇・〇八        七、七六〇・〇八
 裕繁公司     六、六四六、七四〇・一八    六、六四六、七四〇・一八
 同利息         五一、三五二・九四       五一、三五二・九四
 漢口造紙廠借款    九〇五、三八二・六八      九〇〇、〇〇〇・〇〇
 同利息        二七八、六九七・四四      三三二、五〇六・九六
  合計     二四、九八六、〇八一・四一   二四、八八〇、〇六三・七七

右は特殊の関係なるに付、此等は別に考ふることゝし、此等以外の勘定に付吟味し、厳重なる査定を加ふれば、左の通りの損失を計上せさるを得さるべし
一、金四百九拾五万八千七百弐拾弐円七拾四銭  鉱山
      内
  金五拾参万五千弐拾五円六拾八銭    調査・監督費、炭坑鉱山
  金壱万弐千五百弐円九銭        什器・造作
  金弐百八万四千九百六拾四円七拾七銭  有価証券
  金弐百壱万弐千六百八拾六円六拾五銭  滞貸
  金八万七千六百四拾壱円七拾五銭    社債募集手数料
  金拾参万七千八拾八円参銭       為替損
  金八万八千八百拾参円七拾七銭     大正十一年度損ノ一部
一、金拾万四千参百八円五拾四銭      有価証券
一、金参万八千八百九拾壱円五拾八銭    未決算勘定
 未決算勘定は裕繁公司に請求すべき弐拾五万千六百七拾九円参拾九銭と同公司預金弐拾壱万弐千七百八拾七円八拾壱銭の計算尻なり
 註、鉱山勘定と称するも、実際鉱山に投下したるものは五拾参万五千余円にして、其他は全部鉱山に関係なし、此は高木氏の就任したる大正十一年度の決算に於て種々考慮の結果、桃沖鉱山に冠ふせることゝし、総会の決議を経たるものなり、其論拠は左の通り
 桃沖の鉱石一噸に付弐拾銭の手数料を受くることゝし、年産弐拾九万噸を拾七年間と見、九百八拾六万円の価値ありと見、其半額四百九拾参万円としたり
 其結果、右等各種の実際は損失と見るへきものを繰込みたるなり
 次に貸方の金額に付吟味するに、上記の両立となれる借款関係の金額及内部負債(資本金及積立金)を除きたる額は五百七拾参万九千百壱円八拾参銭なり、此整理は左の方法による
 一、台湾銀行及朝鮮銀行より借入れたる電灯並に謝重斉資金に対する滞納利息六拾四万六千弐百四拾七円九拾四銭の切捨を請ふ
 - 第55巻 p.65 -ページ画像 
 二、担保品夫々引渡し、以て内入若くは決済に当てること左の如し
  一金弐拾九万弐百円        朝鮮銀行借入金ノ内ヘ入金
                 (九六公債額面二九〇、二〇〇)
  一金六万七千五百円        同上(博山電灯債権)
  一金九万九千五百参拾八円八拾七銭 三菱商事会社借入金返却
                    (九六公債九六、〇〇〇)
  一金八万千弐百拾弐円六銭    古河電気工業会社借入金返済
  一金五万参千七百五円八拾九銭   住友販売店同上
           (此二口ニ対シ九六公債額面一三二、九〇〇)
  一金拾万千七百六拾八円九拾六銭 東亜土木企業会社同上
               (東亜企業会社株式一二、五〇〇株)
  一金壱万六千弐百五拾円 中華匯業銀行借入金ノ内入
                  (大正電気会社株式二〇〇株)
  合計金七拾壱万百七拾五円七拾八銭
 三、右二項合計金百参拾壱万六千四百弐拾参円七拾弐銭を差引きたる金四百参拾八万弐千六百七拾八円拾壱銭は左の方法による
     一、長期債務ノ条件にて承諾を求むる分
    イ、無利息十年据置一時払
   一金参拾弐万弐千五百円         朝鮮銀行借入金博山電灯債権担保分残
   一金弐拾九万円             同鉱山債権担保分残
   一金弐百六万弐千参百円         台湾銀行借入金電灯借款
    ロ、年五分単利拾年据置一時払
   一金四拾五万八千六百九拾弐円四拾六銭  横浜正金銀行銀借入
    ハ、年六分単利十年据置一時払
   一金八万五千六百六拾八円六拾壱銭    朝鮮銀行当座借越
   一金参拾九万八千百弐円弐拾銭      東洋拓殖会社借入金
   一金拾四万六千九百八拾五円四拾九銭   三菱商事会社借入金
   一金四万参千八百円           十五銀行借入金
    ニ、年八分単利拾年据置一時払
   一金五万千参百拾九円五拾銭       高砂信託会社借入金
   一金四万五千参百七拾四円弐拾五銭    亜細亜煙草会社借入金
   一金参万参千円             住友銀行上海支店当座借越
   一金九万八千八百弐拾五円拾銭      東洋製鉄会社借入金
   一金壱万五千四百六拾壱円九拾九銭    日本電線会社借入金
   一金壱万弐千八百拾弐円五拾銭      エル・レイボルト商館借入金
   一金参万八千九百参拾円六拾銭      裕繁公司預リ金利息
    以上イ・ロ・ハ・ニ・四項合計金四百拾万参千七百七拾弐円七拾銭
    利息ヲ加算シタル合計金四百九拾万四千参百五拾六円弐拾弐銭
    此資源八分利付国庫証券弐百五拾万円、元利五百四拾万八千九百七拾五円八拾四銭(但下記裕繁公司関係分モ本項ヲ以テ資源トス)
     弐、短期債務即チ別勘定トシテ三年間ニ分割弁済ノ分
 - 第55巻 p.66 -ページ画像 
                        (年八分利付)
   一金参千弐百八拾九円八拾七銭      長谷川信平ヨリ借入金
   一金七万千弐百円七拾参銭        上海浙江実業銀行同
   一金四万弐百九拾五円九拾六銭      浦口土地組合同
   一金八万八千百五円九拾九銭       小島省三同
   一金壱万六千円             日本勧業信託会社同
   一金四万九千六百拾五円九拾弐銭     諸口
   一金参百八拾七円六拾壱銭        社員積立金
   一金参千六百円             朝鮮銀行分
   一金七千四百九円参拾参銭        中華匯業銀行分
      (但担保品所分内入残額)
   合計金弐拾七万八千九百五円四拾壱銭
   右に対する資項《(金)》は交通部・山東省の二借款に於ける利鞘を右借款の出資者たる台湾銀行及朝鮮銀行に支払ふべき利息の一部を三ケ年間免除を請ひたるものゝ内を以て充当す
以上にて貸借対照表に計上したる債務は整理せらるゝ筈なるが、此等以外の勘定は左の通り所置す
 一金弐拾壱万弐千七百八拾七円八拾壱銭  裕繁公司預リ金
   年八分単利拾年据置一時払
 一金四拾弐万円(参拾五万弗)      明華銀行勘定
 一金拾万円               支那人債務
   右二口は短期債務と同様に整理す
合計金七拾参万弐千七百八拾弐円八拾壱銭
備考 短期債務の整理資源の計算左の如し
 交通部借款に於て毎月取立金参万円の内金壱万五千円、山東省借款に於て毎月取立金五万円の内金参万四千八百九拾円六拾参銭
 右二口月額金四万九千八百九拾円六拾参銭、此年額五拾九万八千六百八拾七円五拾六銭を三年間免除を請ひ、此の内経費年額弐拾弐万円を差引金参拾九万八千六百八拾七円五拾六銭宛、三年間合計金百拾九万六千六拾弐円六拾八銭を以てするものなり
以上により、貸方に於ては対外負債を整理し、資本金及積立金のみとなる、貸方に於て右に掲上したる損失と見做すべき九百七拾七万弐千六百八拾六円四拾参銭の他に価値ありと見るへきもの五拾弐万参千四百四拾六円四拾四銭あるに付、此額と上記の九百余万円の内より四百五拾万七千七百五拾参円五拾六銭を残し、之を鉱山勘定とす、即ち先に記したる大正十一年度の整理の時と同様の理由にして、約四百万円は何等価値なし
斯くして整理したる結果、貸借対照表は左の通りとなる
      貸方ノ部
一金五百万円              資本金
一金参万千弐百円            積立金
 合計金五百参万千弐百円
      借方ノ部
一金四百五拾万七千七百五拾参円五拾六銭 鉱山(何等実質ナシ、桃沖鉄ノ手数料ヲ収得スルモノトシテ推算ス)
 - 第55巻 p.67 -ページ画像 
一金拾九万九千五百七拾円  土地組合(浦口土地組合十四万坪ノ十分ノ一権利、中々有望ナリト云フ)
一金五万円     謝重斉借款(アンチモニーノ世界的中心タル同地ノアンチモニー鉱山、確実ト云フ)
一金弐拾壱万七千七百拾四円参拾弐銭 博山軽鉄借款(現ニ運転中ノモノニシテ同額以上ノ価値アリ)
一金壱万五千円         韋明借款(石炭・アンチモニー礦山ニシテ実価充分ナリト云フ)
一金壱万六千五百円           中華電気株式
一金参千円               東洋製鉄株式
一金壱万五千五拾参円弐拾八銭      営業用什器
一金六千六百八円八拾四銭        預ケ金(支那税関供託金)
 合計金五百参万千弐百円
    中日実業会社根本的整理案に就て
本案を見て最注意をひきたるは
(一)借款関係の整理を如何にするかなり、此点に付ては何等記述せずと雖も、寧ろ此点が今回の整理の眼目にあらすやと思はる、此に付て春田茂躬氏の説明によれば、会社は此関係よりぬけ、銀行団と政府との直接交渉に変改する様銀行団に請求し、若し之が承諾を得ること能はさるときは、第二案として元本は其儘とし、利息は銀行団の直接関係とする様交渉すること、勿論此場合に於ても会社は其取立に付ては極力尽瘁す
右は他に方策も無き事かと思はる、只銀行団に於て果して承諾するや甚た掛念に堪えす、当局者の異常なる努力を要すべし
(二)国庫証券を資金化することが此整理案の根幹をなし居るも、此亦至難にして殆んど不可能にはあらさるなきか、此に付ては直に資金化し得るとは思はさるも、十年後には可能なるべき見込なりと云はるるも、亦多大の疑問を有す、而して最も不可解なるは
(三)強て資本金と積立金を残し、之に対応する丈の資産を特別の遁辞を設けて仮作し、以て夫丈の損失を計上せさる点なり、事実会社としては非常の損失を醸し、到底存立の理由なきに拘らず、如何にもして存続せんとするに外ならず、果して当を得たりや、否や、もし存続するとしても、少しの減資をも行はさるは如何や、即ち株主としては何等の損失(会社の内容悪き為め株式の価値は無しとしても、形式上は一株は一株なり)をも蒙らさるは如何のものなりや疑なき能はず
以上三項は根本的の疑義なるが、当局者としては、此方法によるにあらされば如何ともする能はすと云ふを以て、先つ此等の点に就て御一考を請はさるへからす
   ○右ハ渋沢事務所ニ於テ、当会社提出ノ根本的整理案ニ検討ヲ加ヘ、且ツ之ニ対スル意見ヲ述ベタルモノニシテ、栄一ノ閲覧ニ供スルタメ作成セシモノト思料サル。


中日実業会社書類(一)(DK550021k-0007)
第55巻 p.67-68 ページ画像

中日実業会社書類(一)         (渋沢子爵家所蔵)
  大正十五年三月二十九日
              中日実業株式会社
                        副総裁 高木陸郎(印)
    渋沢子爵閣下
 - 第55巻 p.68 -ページ画像 
拝啓 益々御清祥奉慶賀候、陳者当社整理案ニ関シ御協議相願度候ニ付テハ、御繁忙中乍御迷惑、来ル四月一日(木曜日)午前十時迄ニ丸之内銀行集会所ヘ御来駕被成下度、右御案内申上候 敬具
 追而当日ハ渋沢子爵閣下ノ御名義ニテ席ヲ設ケ置候間、御含置被下度候


渋沢栄一 日記 大正一五年(DK550021k-0008)
第55巻 p.68 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正一五年       (渋沢子爵家所蔵)
四月一日 晴 寒
午前七時起床、風邪気全快セサルニヨリ入浴ヲ止メ、洗面後直ニ朝飧ス、白石喜太郎来リ、諸方ヨリノ来書ニ回答ヲ指示シ、中日実業会社整理案ヲ点検ス○中略午前十時銀行集会所ニ抵リ、中日実業会社営業整理ニ付郷・高木・春田・窪田其他ノ諸氏ト協議ス、畢テ午飧ヲ共ニシ近日中郷氏ト共ニ田大蔵次官訪問ノ事ヲ約ス
○下略


集会日時通知表 大正一五年(DK550021k-0009)
第55巻 p.68 ページ画像

集会日時通知表 大正一五年       (渋沢子爵家所蔵)
四月一日 午前十時 中日実業会社相談役会(銀行クラブ)
四月六日 午前十時 田大蔵次官ヲ御訪問ノ約(大蔵省)
          (郷男爵前十時迄ニ同省ニテ待合セノ約)


中日実業会社書類(一)(DK550021k-0010)
第55巻 p.68-75 ページ画像

中日実業会社書類(一)         (渋沢子爵家所蔵)
(表紙)
  (栄一鉛筆)
  十五年四月初旬郷男爵ト共ニ大蔵省ニ田次官ヲ訪ヒ、本会社創立ニ付テノ沿革ヲ説明シ、日支経済事業ニ付テ大ニ資スル所アルヲ予期シタルモ、事志ト一致セスシテ今日ニ及ヘルヲ縷述シ、郷氏ヨリハ会社ノ経済上ノ現況ヲ陳述シテ辞去シタル其翌日、高木睦郎氏本書類持参ニテ爾来ノ計算等ニ付逐項詳細ノ説明アリタリ

   ○右ハ次掲ノ郷誠之助書翰及ビ「中日実業株式会社ガ参戦・兵器両借款ノ書替ヲ大蔵省ヨリ受託シ、之ガ調印ヲ了セル径路」ニ関スル文書ヲ一括袋綴セルモノノ表紙(白紙)ニ記セラレシモノナリ。
拝啓
時下益々御清祥奉賀候、然者過日渋沢子爵ト同伴煩貴慮候中日実業会社ノ件ニ関シ、別紙中日ノ申出及添付ノ関係書類仔細ニ調査致候処、大体正確ナルヤニ被愚考候、御多用中御迷惑トハ拝察申上候得共、篤ト御一覧ノ上可然御配慮願上候
右事情ヲ具シ関係書類相添奉煩清鑑候 敬具
  大正拾五年四月九日
                      郷誠之助
    田大蔵次官閣下
 - 第55巻 p.69 -ページ画像 
(別紙、謄写版)
    中日実業株式会社ガ参戦・兵器両借款ノ書替
    ヲ大蔵省ヨリ受託シ、之カ調印ヲ了セル径路
一、大正十二年三月十四日、中日会社副総裁高木陸郎ハ、市来大蔵大臣ヨリ口頭ヲ以テ左ノ通リ依託ヲ受ケタリ
 一、中日会社ハ両借款ノ書替ニ努力ス可キコト
 一、書替成立ノ上ハ、延滞利息ハ大蔵省ハ年七分ノ利率ニテ宜敷ニ付キ、七分以上ノ分ハ中日会社ニ於テ自由処分差支ヘ無シ
一、大正十三年一月ニ至リ、右口約ヲ文書ニ依リ確定シ置ク為メ、当事者間交換文書ノ形式及内容ニ付キ大蔵省内ニ於テ慎重審議セラレタル結果
 一、泰平組合及朝鮮銀行ヨリ大蔵大臣宛伺書提出ノ事
 ト定メラレ、該伺書原稿ヲ大蔵省ヨリ中日ニ交付セラレタリ(該原稿ハ大蔵省用箋ニ認メラレタルモノニシテ中日会社ニ現存ス)
 該文書ニ依ル時ハ、大蔵省ハ七分ノ利率ニテ延滞利子ヲ収得ス可ク夫レ以上ノ利子ハ大蔵省ノ関スル所ニ非ルノ趣旨明白ナリ
一、大正十三年一月二十三日、中日ノ申出ニ由リ、泰平組合及朝鮮銀行ハ、夫々前記伺書ニ調印シテ大蔵省ニ提出セリ(写別紙甲号)但泰平組合ハ右伺書提出ニ先立チ、直接大蔵省ノ当局ト打合セヲ為シタリ(別紙乙号参照)
一、大正十三年二月二十六日、大蔵省理財局長富田勇太郎氏ヨリ泰平組合及朝鮮銀行ニ対シ、伺書ノ趣旨ハ大蔵大臣ニ於テ承認セラレタル旨指令アリ(写別紙丙号)
一、泰平組合ハ大正十三年三月二十六日、朝鮮銀行ハ大正十三年十月十八日、前記大蔵省指令ニ基キ中日会社トノ間ニ覚書ヲ交換シ、委任状ヲ発行セリ(写別紙丁号)
一、大正十四年九月四日、中日会社ハ北京日本公使館トモ協議ヲ遂ケ右委任状ニ由リ中華民国政府トノ間ニ書替ニ関スル正式文書各通ニ調印シ(写別紙戊号)
                         円
   元本          五二、〇八一、五四八・〇二
   五ケ年間延滞利子七分  二三、三九五、五四八・一七
   同上手数料年一分     三、三四二、二二一・一三
   合計          七八、八一九、三一七・三二
 ニ対スル新国庫証券ヲ発行セシメタリ
一、右正式調印ノ条文ハ大蔵省ヨリ指令セラレタル原案ニ多少ノ変更ヲ加ヘタルモノナルガ、其異ナル、主要ノ点ハ担保条項ニ存ス
即チ
 利払契約ニ於テ原案第四条ニ
  甲(支那政府)ハ第一条ニ依ル国庫証券ノ支払保証トシテ関税剰余ヲ乙(債権者)ニ提供ス
 トアルヲ削除シ、其代リ原案第七条ヲ訂正シ
  甲(支那政府)カ本契約調印後関税ヲ担保トスル公債ヲ発行シ、或ハ其他ノ方法ニ依リ各借款ヲ整理スルトキハ、本借款ハ期限前
 - 第55巻 p.70 -ページ画像 
ト雖モ其資金ヲ以テ元利償還ヲ受クルコトニ均霑シ得ルモノトス
 トセルニ在リ
 右訂正ハ
 一、該借款ハ、支那国内ニ於テハ所謂売国借款ト称セラレ、在野各派政客ノ激烈ニ反対スル所ナルノミナラス、閣僚ノ一部ニ於テモ之ガ書替ニ極力反対スルモノアリ、従テ中日会社ノ要求ニ応シ、元本ノ書替、延滞利子ノ利払契約ヲ締結スルニ当リ、支那政府当局者ノ取扱上ノ難易ハ、到底他ノ西原借款(興業銀行関係ノ借款ハ経済借款ノ形体ヲ具備シ、且国論左迄ニ之ニ反対ナラス)ニ比ス可カラス、之ヲ敢行スルニハ非常ノ危険ト困難ヲ犯サザル可カラザリシコト
 二、該借款書替ニ先立チ、興業銀行関係借款ハ全部第七条ノ訂正文言通リノ条項ニテ書替ヲ了シ居リ、支那政府ハ此前例ヲ以テ中日ニ対抗シ、独リ此両借款ノミニ特例ヲ設クルハ第一項ノ如キ危険ヲ犯シテ書替ヲ行フ手前モアリ、旁々実行不可能ナルヲ力説シ、中日会社モ止ムヲ得ス遂ニ之ヲ容レ、北京公使館トモ協議シ其了解ヲ得テ調印セリ
 以上ノ次第ナルヲ以テ、該条項ノ変更ハ実際ノ交渉上止ムヲ得ザリシモノト認ムルノ外無ク、又右ニ由リ発行セシ国庫証券ハ二ケ年ノ期限付ナルヲ以テ、一旦之ヲ発行セシムルニ於テハ、期限ニ至リ不払ノ場合ハ、独リ関税剰余ニ留マラス、他ノ何種ノ担保提供ヲ延期ノ条件トシテ要求スルモ亦債権者ノ自由タル可キナリ、尚該条項ノ変更ニ先立チ中日会社ガ之ヲ大蔵省ニ伺ハザリシハ、右書替ニ対シ三ケ年間努力ヲ続ケタル中日会社ガ、会々捉ヘ得タル突嗟ノ好機ヲ逸スルヲ懼レ、大蔵省指令ノ精神ヲ躰シ、小異ヲ捨テテ大同ニツキタルニ依ルモノナリ
(別紙)
 (表紙)

  朝鮮銀行及泰平組合ヨリ提出セル願書
  (朱書)
  甲号

(表紙)

  参戦借款ニ関スル願書

(謄写版)
大正八年九月弐拾七日政府ニ御買上ヲ願ヒタル弊行等引受ニ係ル支那参戦借款国庫証券弐千万円ハ、大正九年九月弐拾六日満期トナレルモ之ガ借換ニ関スル支那政府トノ交渉成立セズ、其儘ト相成居候処、今回中日実業株式会社ヲ介シ、之ガ借換方支那政府ト内交渉ヲ重ネタル結果、大体別紙契約案ニ依リ借換ノコトニ協議略纏マリ候ニ付テハ、
 - 第55巻 p.71 -ページ画像 
右案ニ依リ本件ノ交渉及実行方ヲ同社ニ委任スルコトヽシ、尚ホ本件成立ノ上ハ、左記事項御聴許相願フコトヽ致度、右何分ノ御詮議相煩度、此段及御願候也
一、政府所有ノ国庫証券額面弐千万円ハ、此額面価額ニ自大正九年九月弐拾六日至同拾弐年九月弐拾参日、参ケ年間利子金四百九拾七万参千六百九拾九円参拾五銭ヲ加算シタル金弐千四百九拾七万参千六百九拾九円参拾五銭ヲ以テ参銀行ヘ売下ゲラルヽコト(計算別紙ノ通リ)
二、新ニ発行セラルベキ元金ニ対スル国庫証券額面弐千万円、及利子ニ対スル国庫証券中、額面四百九拾七万参千六百九拾九円参拾五銭ハ、何レモ額面ヲ以テ政府ニ於テ買上ラルヽコト 以上
  年 月 日
              参銀行代表
               朝鮮銀行総裁
    大蔵大臣       閣下

    支那参戦借款国庫証券借換計算(割引料七分手数料一分)○略ス。

    参戦借款利払契約書
大正七年九月弐拾八日(中華民国七年九月弐拾八日)附ヲ以テ、中華民国政府(以下単ニ甲ト称ス)ト日本帝国朝鮮銀行ヲ代表トスル日本帝国株式会社日本興業銀行・株式会社台湾銀行及朝鮮銀行ノ参銀行トノ間ニ締結シタル日本金弐千万円ニ対スル借款契約ハ、大正八年九月弐拾七日(中華民国八年九月弐拾七日)ノ期日ニ於テ償還不能ナリシ為メ、同日附ヲ以テ更ニ期限壱ケ年ノ追加借款契約ヲ締結シ、中華民国政府ハ新国庫証券ヲ発行シテ、旧契約ニ拠リ発行シタル国庫証券額面日本金弐千万円ト引換ヲ為シタル処、大正九年九月弐拾六日(中華民国九年九月弐拾六日)ノ期日ニ於テ、元本ノ償還ヲ為サズ、且ツ同年九月弐拾六日以後利息未払ノ儘ト為リ居ル為メ、今回債権者代表日本帝国朝鮮銀行ヨリ中日実業株式会社(以下乙ト称ス)ニ対シ、本借款元本及利息ノ取立ヲ委任シ、乙ハ之ヲ引受ケタリ
依テ甲乙間ニ協議ヲ遂ゲ、元本借款ニ就キテハ別ニ公文交換ヲ行フ外其延滞利息ニ付キ甲乙間ニ左ノ契約ヲ締結ス
第一条 甲ハ本借款元金ニ対スル利息(自民国九年九月弐拾六日至民国拾弐年九月弐拾参日)合計金五百六拾八万四千弐百弐拾七円八拾壱銭也ノ国庫証表ヲ発行スルモノトス
第二条 前条ニ依ル国庫証券ノ期限ハ民国大正拾弐年九月弐拾参日ヨリ満弐ケ年即チ民国大正拾四年九月弐拾弐日トス
第三条 第一条ニ依ル国庫証券ノ利率ハ年八歩トシ、発行ノ日ヨリ起算シテ半ケ年毎ニ前半ケ年分ヲ支払フモノトス
第四条 甲ハ第一条ニ依ル国庫証券ノ支払保証トシテ関税剰余ヲ乙ニ提供ス
第五条 第二条ノ期限ニ於テ償還不能ナル場合ハ年八歩ノ割合ニ依リ利息ヲ附スルモノトス
 - 第55巻 p.72 -ページ画像 
第六条 本契約ニ依ル国庫証券ハ甲ノ都合ニ依リ償還期限前ト雖全部又ハ一部ノ償還ヲ為スコトヲ得ルモノトス
第七条 甲ガ外債整理ノ新借款ヲ起ス場合ニ於テハ、其借款金ノ内ヨリ本国庫証券ヲ償還スルモノトス
第八条 甲ハ本契約調印後直チニ第一条ノ国庫証券ヲ発行シ、乙ニ交付スルモノトス
 但シ国庫証券調製ニ要スル費用ハ乙ノ負担トス
本契約ハ華日両文各弐通ヲ《(作製シ脱カ)》甲乙各壱通ヲ保有スルモノトス
  中華民国  年 月 日
  日本大正  年 月 日
       中華民国政府代表財政総長

       日本帝国朝鮮銀行代表中日実業株式会社代表

   ○中略。
   ○別紙乙号・丙号略ス。
(別紙)
 (表紙)

  朝鮮銀行及泰平組合ト中日会社
  トノ覚書及委任状
  (朱書)
  丁号

    覚書
株式会社日本興業銀行・株式会社台湾銀行及朝鮮銀行ノ参銀行(以下銀行ト称ス)ノ取扱ニ係ル支那政府ニ対スル借款(参戦借款ト称セラル)ノ償還又ハ書換ニ関スル交渉ヲ、中日実業株式会社副総裁高木陸郎ニ委任シタルニ付、左記二項ヲ協約シ覚書ヲ交換スルモノトス
第壱条 大蔵省ニ於テ適当ト認メタル条件ヲ以テ書換出来タル場合ニハ其ノ成功報酬トシテ、書換出来タル元利ニ対スル支那政府発行国庫証券ノ内、利息並ニ延滞利息ニ相当スル国庫証券総額ノ八分ノ一ヲ銀行ヨリ中日実業株式会社ニ支払フモノトス
 現金其他ノ代物ヲ以テ元利ノ償還出来タル場合ニ於テハ、前項ノ成功報酬ハ支那政府ヨリ受取リタル現金其他ノ代物ヲ以テ中日実業株式会社ニ支払フモノトス
第弐条 償還又ハ書換ニ関聯シテ要シタル運動費其他一切ノ諸費用ハ中日実業株式会社ノ負担トス
  大正拾参年拾月拾八日

            株式会社日本興業銀行・株式会社台湾銀行及朝鮮銀行代表
               朝鮮銀行総裁 野中清
            中日実業株式会社
               副総裁 高木陸郎
   ○中略。
(別紙)
 - 第55巻 p.73 -ページ画像 
(表紙)

  書替調印済ノ契約書
  (朱書)
  戊号

(謄写版)
 (表紙)

  参戦借款利払契約

    参戦借款利払契約
日本大正中華民国七年九月弐拾八日附ヲ以テ、中華民国政府(以下単ニ甲ト称ス)ト日本帝国朝鮮銀行ヲ代表トスル日本帝国株式会社日本興業銀行株式会社台湾銀行及朝鮮銀行ノ参銀行トノ間ニ締結シタル日本金弐千万円ニ対スル借款契約ハ、大正民国八年九月弐拾七日ノ期日ニ於テ償還不能ナリシ為メ、同年九月弐拾八日附ヲ以テ更ニ期限壱箇年ノ借款延期契約ヲ締結シ、中華民国政府ハ新国庫証券ヲ発行シテ旧契約ニ拠リ発行シタル国庫証券額面日本金弐千万円ト引換ヲ為シタル処、大正民国九年九月弐拾七日ノ期日ニ於テ元本ノ償還ヲ為サス、且ツ同年九月弐拾八日以後利息未払ノ儘ト為リ居ル為メ、今回債権者代表日本帝国朝鮮銀行ヨリ中日実業株式会社(以下乙ト称ス)ニ対シ本借款元本及利息ノ取立ヲ委任シ、乙ハ之ヲ引受ケタリ
依テ甲乙間ニ協議ヲ遂ケ、元本ニ就キテハ別ニ公文交換ヲ行ヒ、其延滞利息ニ付キテハ甲乙間ニ左ノ各項ヲ協定ス
第壱条 甲ハ本借款元金ニ対スル自九年九月弐拾八日至拾四年九月弐拾七日利息トシテ総額金壱千零弐拾六万七千六百五拾五円参拾七銭也ノ国庫証券ヲ発行スルモノトス
第弐条 前条ニ依ル国庫証券ノ期限ハ満弐箇年トシ、大正民国拾四年九月弐拾八日ヨリ同拾六年九月弐拾七日迄トス
第参条 前条ニ依ル国庫証券ノ利率ハ年八歩トシ、大正民国拾四年九月弐拾八日ヨリ起算シ、壱箇年毎ニ前壱箇年分ヲ支払フモノトス
第四条 前条ニ依ル国庫証券ニシテ第弐条規定ノ期日ニ於テ若シ償還不能ナル場合ハ、依然年八歩ノ利率ニ依リ利息ヲ附スルモノトス
第五条 本契約ニ依ル国庫証券ハ甲ノ都合ニ依リ償還期限前ト雖全部又ハ一部ノ償還ヲ為スコトヲ得ルモノトス
第六条 甲ハ本契約調印後関税ヲ担保トスル公債ヲ発行シ、或ハ其他ノ方法ニヨリ各借款ヲ整理スルトキハ、本借款ハ期限前ト雖モ其資金ヲ以テ元利償還ヲ為ス事ニ均霑シ得ルモノトス
第七条 甲ハ本契約調印後直チニ第壱条規定ノ国庫証券ヲ発行シ、乙ニ交付スルモノトス
 但シ国庫証券調製ニ要スル費用ハ乙ノ負担トス
第八条 本契約ハ日華両文各弐通ヲ作製シ、甲乙各壱通ヲ保有スルモ
 - 第55巻 p.74 -ページ画像 
ノトス
  日本大正拾四年九月四日
  中華民国拾四年九月四日
        中華民国政府代表財政総長 李思浩
    日本帝国朝鮮銀行代表中日実業株式会社
      副総裁高木陸郎代表在支取締役 江藤豊二
(謄写版)
 (表紙)

  参戦借款提出公文

拝啓
陳者 中華民国日本大正七年九月弐拾八日附ヲ以テ貴国政府ト日本帝国朝鮮銀行ヲ代表トスル日本帝国株式会社日本興業銀行・株式会社台湾銀行及朝鮮銀行ノ参銀行トノ間ニ締結シタル日本金弐千万円也ニ対スル借款契約ハ、民国大正八年九月弐拾七日ノ期日ニ於テ償還不能ナリシ為メ、八年九月弐拾八日附ヲ以テ更ニ期限壱箇年ノ延期契約ヲ締結シ、貴国政府ハ新国庫証券ヲ発行シ、旧国庫証券弐千万円也ト引換ヘ申候処、民国大正九年九月弐拾七日ノ償還期限後元本利息トモ未払ノ儘ト相成居候為メ今回債権者代表日本帝国朝鮮銀行ハ当社ニ対シ、右契約ニ依ル借款元本及利息ノ取立ヲ委任シ、当社之ヲ承諾致候ニ就テハ、左記各項協定ノ上延期ノ事ト致度玆ニ声明致候
一、民国大正拾四年九月弐拾八日ヨリ弐箇年期限ノ日本金弐千万円新国庫証券ヲ発行シテ、曩ニ発行シタル日本金弐千万円ノ旧国庫証券ト交換スルコト
二、前項ノ新国庫証券ハ該国庫証券発行後貴国政府カ外債整理ノ新借款ヲ起ス場合ニ於テハ、期限前ト雖モ其借款金ノ内ヨリ本国庫証券ヲ償還スルコト
三、前項ノ新国庫証券ハ、貴国政府及弊社相互間ニ公文ヲ交換シテ後直チニ貴国政府之ヲ発行シ弊社ニ交附スルコト
 但シ新国庫証券発行ニ要スル費用ハ弊社ノ負担トス
四、前項新国庫証券ノ利息ハ年八歩トシ、民国大正拾四年九月弐拾八日ヨリ起算シテ壱箇年毎ニ前壱箇年分ノ利子ヲ支払フモノトス
 前項ノ国庫証券ニシテ期限ニ至リ全部ヲ償還シ得サル時ハ、期日以後モ仍ホ年八歩ノ利息ヲ附スルモノトス
五、本参戦借款日本金弐千万円ニ対スル九年九月弐拾八日ヨリ拾四年九月弐拾七日ニ至ル未払利息ニ付キテハ、別ニ利払契約ヲ締結スルコト
以上ノ各条項ニ対シテ貴国政府ノ正式回答文ヲ御下附被下度此段得貴意候
  中華民国拾四年九月四日
  日本大正拾四年九月四日
      日本帝国朝鮮銀行代表中日実業株式会社
 - 第55巻 p.75 -ページ画像 
      副総裁高木陸郎代理駐京董事 江藤豊二
    中華民国政府代表財政総長 李思浩閣下
(謄写版)
 (表紙)

  参戦借款回答公文

拝復
民国拾四年九月四日附参戦借款元金延期ニ関スル貴翰正ニ拝誦仕候、御来示ノ各条項ニ対シテ玆ニ本国政府ハ左ノ通リ御回答申上候
一、民国拾四年九月弐拾八日ヨリ弐ケ年期限ノ日本金弐千万円新国庫証券ヲ発行シ、本政府ノ曩ニ交附シタル日本金弐千万円旧国庫証券ト交換スルコト
二、前項ノ新国庫証券ハ、該国庫証券発行後本政府カ外債整理ノ新借款ヲ起ス場合ニ於テハ、期限前ト雖、其借款金ノ内ヨリ本国庫証券ヲ償還スルコトヲ承諾ス
三、前項ノ新国庫証券ハ本政府ニ於テ本回答公文ヲ手交シタル後直チニ貴社ニ交附スルコト承諾ス
 但シ新国庫証券発行ニ要スル費用ハ貴社ノ負担トス
四、前項新国庫証券ノ利息ハ年八歩トシ、民国拾四年九月弐拾八日ヨリ起算シテ、壱箇年毎ニ前壱箇年分ノ利子ヲ支払フコトヲ本政府ニ於テ承諾ス
 前項ノ国庫証券ニシテ期限ニ至リ全部ヲ償還シ得サル時ハ、期日以後モ仍ホ年八歩ノ利息ヲ附スルコト
五、本参戦借款日本金弐千万円ニ対スル九年九月弐拾八日ヨリ拾四年九月弐拾七日ニ至ル滞納利息ニ付テハ、本政府ト貴公司トノ間ニ別ニ利払契約ヲ締結シテ之ヲ処理スルコト
本政府ハ以上各条項ノ通リ施行スルコトヲ承諾シ、本回答公文日附当日ヨリ効力ヲ発生スルコトヲ声明致候、玆ニ特ニ公文ヲ以テ御回答申上候 敬具
  中華民国拾四年九月四日
        中華民国政府代表財政総長 李思浩
    日本帝国朝鮮銀行代表中日実業株式会社 御中
   ○兵器借款ニ関スル書類略ス。


(中日実業株式会社)第拾参回営業報告書 自大正拾四年四月至大正拾五年参月 第一―一八頁刊(DK550021k-0011)
第55巻 p.75-77 ページ画像

(中日実業株式会社)第拾参回営業報告書
              自大正拾四年四月至大正拾五年参月 第一―一八頁刊
    営業報告書
      第一業務ノ概況
大正拾四年四月壱日ヨリ大正拾五年参月参拾壱日ニ至ル当社第拾参回営業年度ニ於テハ、前期以降極力債権ノ回収ニ努メ、一方債務ノ負担ヲ減少スルコトニ力ヲ竭シタルモ、一般財政経済ノ状況未ダ梗塞ノ域ヲ脱セズ、特ニ民国ニ於ケル中央・地方ノ混乱セル状態ハ、吾社最善
 - 第55巻 p.76 -ページ画像 
ノ努力ニ対シテ常ニ不良ナル影響ヲ及ボシ、未ダ満足ナル実蹟ヲ挙グル能ハザルハ、頗ル遺憾トスル所ナリ。
○中略
    第拾参回自大正十四年四月一日至大正十五年三月三十一日決算報告
      第一 財産目録○略ス
      第二 貸借対照表 (大正十五年三月三十一日現在)
        貸方 負債之部
                          円
 株金              五、〇〇〇、〇〇〇・〇〇
 法定積立金              三一、二〇〇・〇〇
 借入金            三〇、六九二、八〇三・四二
 預リ金                四三、一一九・八二
 社員在職積立金             三、〇三二・三二
 仮受金                七五、八一八・二三
 支払手形            三、〇六五、七四六・一五
 銀行当座借越金            二六、四〇五・三六
 未払金               五八七、三五七・四八
 当期利益金              二九、〇四五・四七
  合計            三九、五五四、五二八・二五
        借方 資産之部
                          円
 鉱山              五、一四一、二四八・二〇
 営業用什器              三二、八〇二・八五
 貸付金            三〇、三三七、四八二・二〇
 有価証券              五九七、九七七・五〇
 受取手形               一六、四七二・八六
 預ケ金                 六、六〇八・八四
 仮払金                 二、八〇〇・七九
 未収金             二、七二八、二八二・四二
 未決算勘定              二三、五六〇・七七
 銀行預金                一、三七〇・二一
 現金                  二、五七四・三五
 前期繰越金             六六三、三四七・二六
  合計            三九、五五四、五二八・二五
      第三 損益計算書○略ス
      第四 利益金処分案
 金六拾六万参千参百四拾七円弐拾六銭   前期繰越損失金
 金弐万九千四拾五円四拾七銭       当期利益金
        差引
 金六拾参万四千参百壱円七拾九銭     後期繰越損失金
右之通候也
  大正十五年五月
              中日実業株式会社
               取締役総裁  袁乃寛
               取締役副総裁 高木陸郎
               専務取締役  春田茂躬
 - 第55巻 p.77 -ページ画像 
               専務取締役  呂均
               取締役    倉知鉄吉
               取締役    文群
               取締役    窪田四郎
               取締役    楊毓瑊
               取締役    江藤豊二
               取締役    鄭廷璽
前記各項書類ヲ調査シ其ノ正確ナルヲ認メ玆ニ報告候也
               監査役    加藤辰弥
               監査役    于振宗
               監査役    袁永廉
    中日実業株式会社株主名簿(大正拾五年参月参拾壱日現在)

      日本側株主
  株数   府県    株主姓名
 一、四〇〇 台湾  株式会社台湾銀行
 一、四〇〇 東京  三井合名会社
 一、四〇〇 同   三菱合資会社
○中略
   五〇〇 東京  子爵渋沢栄一
○中略
合計 日本人員 九拾壱名
   株数   弐万五千株
      支那側株主
  株数   府県    株主姓名
 二、〇〇〇 北京     王毓芝
○中略
合計 支那人員 四拾八名
   株数   弐万五千株
総計 日支人員 壱百参拾九名 株数 五万株 払込金額 五百万円




〔参考〕中日実業会社書類(一)(DK550021k-0012)
第55巻 p.77-79 ページ画像

中日実業会社書類(一)          (渋沢子爵家所蔵)
    参戦兵器両借款ノ整理ニ就テ
第一、借款ノ内容
 一、参戦借款元本 二〇、〇〇〇、〇〇〇円
 一、兵器借款元本 三二、〇八一、五四八円
 一、借款資源
   両借款共大蔵省ノ出資ニ係リ、大蔵省ハ両借款元本合計五二、〇八一、五四八円ノ支那政府発行ノ国庫証券ヲ所持ス、但シ借款契約ノ表面上ノ貸主名義ハ、参戦ハ朝鮮銀行(台銀・興銀・鮮銀三行代表)、兵器ハ泰平組合ナリ
 一、担保 両借款共無担保
 一、償還期日 両借款共大正九年九月
 一、滞リ利息 年七分
    (大正十二年九月現在)
 - 第55巻 p.78 -ページ画像 
      参戦借款   四、九七三、六九九円
      兵器借款   七、九七八、一九八円
       合計   一二、九五一、八九七円
 一、滞リ手数料 年一分
    (大正十二年九月現在)
      参戦借款     七一〇、五二八円
      兵器借款   一、一三九、七四二円
       合計    一、八五〇、二七〇円
 一、借款ノ現状
   大正九年九月期日到来セルモ、其後元本ノ書替モセズ、滞リ利子ニ対スル文書ノ往復モ無シ、右ハ支那国会及国民ノ輿論ガ、均シク本借款ヲ以テ段祺瑞氏ノ私借款ト看做シ、之ガ否認ヲ高唱シ、歴代ノ内閣亦其意ヲ蔵セシニ由ル
第二、中日実業株式会社ト両借款トノ関係
 一、中日実業会社ガ之ニ関与シタル動機
   中日実業会社ハ別冊所録ノ如キ日支折半合辦会社ナルガ、如何ニ好個ノ投資物件ヲ支那ニ於テ漁リ獲ルモ、内地資本家ハ之ヲ顧ル遑無キノ現況ニ処シ、社運ノ挽回ヲ計ル唯一ノ途ハ、他者ノ既成借款ニシテ整理渋滞シ迷惑甚敷シキモノヲ引請ケ、合辦会社(該社半数ノ株式ハ支那政府ノ所有)タルノ特質ヲ善用シテ之ニ解決ヲ与ヘ、仍テ以テ相当ノ手数料ヲ収得スルニアルノミト思惟シ、先ツ以テ西原借款壱億七千万円全部ノ整理引請ヲ為サントシ、大正十二年ノ初メ市来大蔵大臣閣下ニ之ヲ進言セシガ、御詮議ノ結果、西原借款中興業銀行ノ関与シ居ル部分ハ直チニ之ヲ中日会社ニ托シ難キモ、大蔵省所管ノ参戦・兵器両借款ハ、先ツ以テ之ヲ中日ニ依托シ、整理セシムルヲ可トストノ議纏リ、玆ニ初メテ中日会社ハ政府ノ依頼ヲ受ケテ両借款取立交渉ノ第一歩ニ入リタル次第ナリ
 二、整理条件
   中日会社ガ政府ヨリ依頼ヲ受ケタル整理条件左ノ如シ
   (一)元本ニ対スル国庫証券ヲ書替ヘ復活スルコト(無担保タルハ止ムヲ得ザルモ、整理外債成立ノ場合ニハ之ニ由リテ解決スルコトヲ約セシムルコト)
   (二)滞リ利息約壱千参百万円ニ対シテハ、新ニ国庫証券ヲ取付ケ該国庫証券ニハ関税剰余ヲ担保トスルコトヲ明記セシメ、且年八分ノ利子ヲ附セシムルコト
   (三)手数料約百八拾五万円ニ対シテモ、前項同様ノ国庫証券ヲ取付クルコトヽナル可キガ、右国庫証券ハ中日会社ノ自由処分ニ任ス
 三、其後ノ経過
   爾来今日ニ至ル迄一ケ年半ノ間、中日会社ハ社力ノ総テヲ挙ゲ支那政府ト交渉ヲ続ケ来リ、尚現内閣成立後ニ於テモ、中日会社副総裁高木陸郎ハ小野大蔵次官ト本件ノ打合ヲ為シタル上北京ニ赴キ、百方奔走ノ結果、愈々最近ニ至リ、大蔵省ノ要求通
 - 第55巻 p.79 -ページ画像 
リノ条件ニテ之ガ整理ヲ遂ゲルヲ得ルノ域ニ達シタリ
第三、日本政府ト中日会社トノ関係
   右ハ左ノ二点ニ尽ク
   (一)本件ハ政府ヨリ中日会社ニ依頼セラレタル事項ニシテ、市来大蔵大臣ノ時ニ於テ省議決定シ、其後ノ各内閣悉ク此省議ニ基キ中日会社ニ対スル依頼ヲ継続シ来ラレタルコト
   (二)交渉一年有余ニ亘リ、其間中日会社ノ要セシ費用鮮少ナラザルヲ以テ、中日会社ノ自由処分ニ帰ス可キ国庫証券ノ内五拾万円タケヲ八四替ニテ大蔵省ニ買上グルコトヲ約セラレタルコト
第四、中日実業会社ノ立場
    以上ノ如ク中日会社ハ政府ヨリ依頼サレタル本件ノ解決ニ由リ約百参拾万円ノ支那政府担保付国庫証券ト現金四拾弐万円(国庫証券五拾万円、八四替)ヲ獲ル次第ニシテ、該社ハ此約束ニ信頼シ、約一年半ノ間政府ヨリ半銭ノ補給ヲモ受ケズ、全ク自弁ニテ事ニ衝リ来リ、一方多数ノ債権者ニ対シテハ、国庫証券ノ入手ニ由リ万事ヲ解決ス可キヲ約シ、難局ヲ支持シ来レル次第ナリ、而シテ今ヤ苦辛ノ功顕レ漸ク解決ノ瀬戸際ニ達セシモノナルガ、万一政府ニ於テ前約ヲ覆サルヽガ如キ事アランカ、永キニ亘ル中日会社ノ苦辛水泡ニ帰スルノミナラズ、多大ノ失費(約四拾万円)ト債権者ニ対スル違約トニ由リ、当事者ハ不信ノ罪ヲ負ヒ会社ハ遂ニ壊滅ノ悲運ニ際会ス可ク、斯ル場合日本政府ハ本件ノ依頼者タルノ立場上傍観スルヲ得ザル可キナリ


〔参考〕集会日時通知表 大正一五年(DK550021k-0013)
第55巻 p.79 ページ画像

集会日時通知表 大正一五年        (渋沢子爵家所蔵)
四月十四日 水 午後二時 高木陸郎氏来約(事務所)