デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正13年10月7日（1924年）

是日栄一、当協会幹事会ニ出席シ、漢口居留民会及ビ行政委員会ヨリ政府ニ対シ請願ノ低利資金貸下ニ関スル件、中華民国ニ対スル時局問題等ニツキ協議ス。

八日、日本工業倶楽部ニ於テ開カレタル、有志実業家ノ会合ニハ、栄一病気ノタメ、当協会幹事白岩竜平ヲ代理トシテ出席セシメ、対中時局問題ニ関スル意見ヲ伝達セシム。

集会日時通知表　　大正一三年　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
十月四日　土　午後一時　宝妻寿作・油谷恭一両氏来約（飛鳥山）

日華実業協会往復（一）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
拝啓
来ル十月七日（火曜日）正午ヨリ、当事務所ニ於テ幹事会相開キ、先般御廻付申上置候漢口居留民団低利資金貸下請願ノ件ニ関シ、上京中
 - 第55巻 p.299 -ページ画像 
ノ民団行政委員長宝妻氏ヨリ本件ニ関スル説明聴取ノ上、民団ヨリノ申入ニ対シ御協議願度、渋沢会長ニハ同氏ニ御会見ノ上説明ヲ聴取サレ候モ、幹事会ニ於テ御協議ノ事ニ相成候、尚当日ハ支那時局問題ニツキテモ御意見ノ御交換願度、何卒右御含ミノ上、御多用中乍ラ御繰合セ御臨席奉願候　敬具
　　大正十三年十月四日　　　　　　　　　　　日華実業協会

日華実業協会往復（一）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　幹事会（十月七日正午）
　出席者　渋沢会長・伊東幹事・荻野幹事・倉知幹事・白岩幹事・森幹事・森幹事
一、漢口居留民会及行政委員会ヨリ政府ニ対シ請願ノ低利資金貸下ニ関シ、代表者宝妻氏ノ説明及右ニ関スル協議
二、対支時局問題ニツキ
三、日華学会発起ノ昨秋大震災ニ惨死セル民国学生招魂碑建設ニ対シ協会並ニ協会関係有志ノ士ヨリ寄附方申入ノ件
報告
一、支那共和国政府ヨリ本会役員藤田副会長外四名ニ対シ叙勲ノ件
一、上海中華学芸社何熙曾君（帝大工学士）学芸大学資金募集赴東代表トシテ上京ノ件
一、雑誌「支那時報」会員及関係向ニ配布セシ残部約二十部配布先ノ件

集会日時通知表　　大正一三年　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
十月七日　火　正午　日華実業協会幹事会（同会）

日華実業協会第四回総会報告書　　第三一頁大正一三年一二月刊
　　　　大正十二年六月以降
　　　　　　役員会及諸会合報告
○上略
役員会　十月七日○大正一三年正午、役員会ヲ開キ、渋沢会長、白岩・倉知・荻野・森・森（広蔵）・黒川諸幹事出席、左ノ事項ニツキ協議ス
　　一、在漢口居留民会及行政委員会ヨリ政府ニ対シ請願ノ低利資金貸下ニ関シ、代表者宝妻氏ヨリ説明ヲ聴取シ、之カ対策ヲ協議ス
　　一、対支時局問題ニツキ意見ノ交換ヲナス
○下略

日華実業協会往復（一）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　幹事　伊東・児玉・安川・奥村・荻野・倉知・森・森・白岩各位
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　親展
拝啓
去ル七日幹事会ニ於テ渋沢会長ヨリ御話有之候対支時局問題ニ関シ、八日正午工業倶楽部ニ於ケル有志実業家ノ会合ニハ、当日会長御微恙
 - 第55巻 p.300 -ページ画像 
ノ為メ白岩竜平氏代理トシテ御出席相成候趣之処、会長ヨリ当日会合ノ申合セ要旨ニツキ、左記ノ通リ各位ヘ御伝達方御下命有之候
　左記
　「支那時局ニツキ此際実業家トシテ何等カノ行動ヲ採ルニハ、暫ク時局ノ推移ヲ見タル上、必要ト認ムルニ到ラハ、相当ノ行動ニ出ツル方可ナルヘシト思ハルモ、今ハ其時機ニ非ス」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
尚当日会合ニ出席者ハ左記各位ニ候
　大橋新太郎氏・郷誠之助《（氏脱）》・木村久寿弥太氏・宮島清次郎氏・内藤久寛氏・中島久万吉氏・白岩竜平氏
右御報告申上候　敬具
　　大正十三年十月十日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会

（白岩竜平）　書翰　　渋沢栄一宛大正一三年一〇月九日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（別筆）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大正十三年十月九日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　白岩竜平氏来状
拝啓
昨日正午御指図之通リ銀行クラブニ出席、大橋氏紹介ニテ食卓ニ於テ御一同ニ事ノ成行詳述、子爵之御言葉モ相伝、評議相願候処、郷男其他ヨリ今日ノ処実業家トシテ暫ク推移ヲ見、慎重ノ体度ヲ取ル事可然カトノ意見有之、団氏其他異見無之、大体右ノ意向ニ一致ノ模様ニ付其旨子爵ニ御伝可申上候ヲ小生ハ辞去仕候、尤事ノ成行上実業界ガ現ニ蒙リツツアル影響等ニ付テハ、日華協会ニ於テ随時日本政府ニ報告参考ニ供シ置ク事可然トノ付言有之、之ハ一同同意ノ様ニ見受小生ハ承リ置候
右ノ通リニ有之、本日参邸親敷右御報告可申上処、用事ノ都合ニテ甚タ失礼ナガラ玆ニ書中ヲ以テ要領及陳達候、御病気御珍摂奉万祷候
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　頓首謹具
　　十月九日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　竜平
　　　　青淵先生前輩
　　　　　　　　　道安