デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

6章 対外事業
1節 韓国
9款 日韓瓦斯株式会社
■綱文

第16巻 p.625-628(DK160104k) ページ画像

明治40年11月12日(1907年)

是日栄一、当会社創立委員長ニ推サル。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四〇年(DK160104k-0001)
第16巻 p.625 ページ画像

渋沢栄一日記 明治四〇年(渋沢子爵家所蔵)
九月十日 晴暑                 起床六時三十分
○上略 午後四時銀行集会所ニ抵リ日韓瓦斯会社ノ事ニ関シ出願者及賛成人ノ集会ヲ開キ、会社設立ノ協議ヲ為ス○下略
   ○中略。
十月二十二日 晴冷               起床七時就蓐十二時
○上略 東京瓦斯会社ニ抵リ、重役会ヲ開キ、更ニ日韓瓦斯会社ノ事ヲ談ス○下略
   ○中略。
十一月五日雨冷                 起床七時就蓐十二時
○上略 午前十時東京瓦斯会社ニ抵リ、重役会ヲ開キ、要務ヲ議決ス、畢テ日韓瓦斯会社ノ事ヲ協議ス○下略
   ○十一月十二日附ノ日記ノ中ニハ、日韓瓦斯株式会社ニ関係セル記事ノ記載ナシ。


竜門雑誌 第二三四号・第二六―二七頁 明治四〇年一一月 ○日韓瓦斯会社発起人会(DK160104k-0002)
第16巻 p.625-626 ページ画像

竜門雑誌 第二三四号・第二六―二七頁 明治四〇年一一月
○日韓瓦斯会社発起人会 日韓瓦斯株式会社に於ては申込株数満株以上に達したるに付き、十一月十二日銀行倶楽部に於て創立発起人会を開き、発起人中より創立委員十二名を選挙し、猶委員中より委員長一名、常務委員五名を選挙したり、即ち左の如し
 委員長  渋沢男爵
常務委員  高松博士  久米良作  伊藤幹一
      岡崎遠光  曾禰寛治
 - 第16巻 p.626 -ページ画像 
委員    大倉喜八郎 大橋新太郎 渡辺福三郎
      平沢道次  市原盛宏  山口太兵衛
猶衆議の上左の件々を議決したり
 (一)株式引受払込証拠金額は一株に付き金二円五十銭とし、明治四十年十一月二十五日より十二月五日迄に払込を了すること
 (二)第一回株金払込の時期は大要明治四十一年三月中とし創立委員の決定に任すること
 (三)応募額の既に満株以上に達するも尚締切らずに引続き申込を受くべきこと
因に記す、目下朝鮮及関西地方より申込続々有之由なれば年内には優に三四万株位は超過する見込なりと云ふ


京城電気株式会社 二十年沿革史 第一一―二一頁 昭和四年四月刊(DK160104k-0003)
第16巻 p.626-628 ページ画像

京城電気株式会社 二十年沿革史 第一一―二一頁 昭和四年四月刊
  第三章 創立事務の梗概
 営業権の許可後本社は○中略 創立事務所を四十年九月二十三日より東京市神田区錦町東京瓦斯株式会社内に設置して、発起人及賛成人を勧誘せり。
    一、発起人勧誘と趣意書
 当時本社が発起人を勧誘せる趣意書左の如し。
 韓国経営の事業之を数ふれば其種目甚だ多かるべきも、其文明的施設に由りて彼の在韓国内外の民人に利便を供するの一事は蓋し刻下の急務ならんと存候、京城に瓦斯事業企劃を為すも亦正に之に外ならず候。
 抑も瓦斯の事業たる、其灯火用・炊事用・暖室用・機関動力用及び副生物産出等の点に於て其効果の著大なるは敢て絮説を要せざる処に有之、今此事業を採て其新に啓発指導を要す可き韓国の首都に施すは、事態の固と国家的たるを失はざるは勿論、其将来京城の発展に伴ふ営利的事業としても亦甚だ軽視す可からざるものあるを確信仕候、況んや其特許の条件は事業の経営に対し転々有利の点多きものあるは別記許可命令書の如くなるに於てをや、是れ小生等が日韓瓦斯株式会社の設立を発起し広く世間に御賛同を求むる所以に御座候、幸に其事業の調査並に其工事の設計に至つては多年斯業に経験ある東京瓦斯株式会社の当事者に嘱託して遺漏なきを期し得、尚ほ之が創業の処務に至つては極めて慎重堅確に取扱ひて、聊か韓国に於ける日韓合併事業の範を為し申度、是等は本事業企劃者が当初よりの素懐に有之候、因て別紙貴覧に供し御賛助を希望致候間何卒御賛成被下度候。
 尚序ながら申述度きは、本事業は韓国京城に於ける日韓人合同事業の手初めとして設立致す可き会社に有之候得ば、其発起人並に株主とも単に一地方の人士のみに偏せしめず、可相成は広く之を全国各地の資産家名望家に及ぼし、以て名実相叶ふの意味に副はしめ申度且又昨今に於ける本邦事業界の趨勢に鑑みて、本事業の如きは飽迄堅実の資本家に依りて堅実の企劃を遂げ申度、是等の希望より今般特に貴下の御援助を求むる次第に有之候間、此儀深く御省慮を煩度
 - 第16巻 p.627 -ページ画像 
候 敬具
    二、設立予算書
 一金七拾五万円也(資本金総額金参百万円ノ内第一回払込金ニシテ本社第一期計劃ニ要スル資本ナリ)
   一金十四万七千三百六十円也     建物
    内訳○略ス
   一金五十三万七千三百六十二円也   機械及器具
    内訳○略ス
   三、営業収支予算書○略ス
   四、追加発起人氏名
 右発起人の勧誘に依つて本社事業を賛成し発起人となりたる人々は左の如し
   男爵 渋沢栄一       工学博士 高松豊吉
      久米良作            浅野総一郎
      大橋新太郎           渡辺福三郎
      袴田喜四郎           福島甲子三
      渡部朔             小林藤右衛門
      伊藤幹一            岡崎遠光
      岩下清周            藤田平太郎
      曾禰寛治            伊東祐侃
      市原盛宏            戸叶薫雄
      大村百蔵            大島専蔵
      大藪政             和田常市
      兼古礼蔵            金井善蔵
      田村義次郎           田中常次郎
      曾我勉             中村再造
      中井喜太郎           上野政次郎
      久保田虎介           釘本藤次郎
      山口太兵衛           楊井猶蔵

      松尾元之助           松浦源治
      増田三穂            松永達太郎
      淵上貞助            藤田謙一
      古城管堂            小杉謹八
      秋吉富太郎           酒井政平
      木村宇一郎           三好和三郎
      宮津一郎            進辰馬
      執行猪太郎           森久兵衛
      関繁太郎            秋田毅
      白寅基             白完赫
      金時鉉             宋鎮憲
    五、創立委員氏名
 発起人確定せるを以て、明治四十年十一月十二日、東京市日本橋区坂本町銀行集会所に於て発起人会を開き、座長に渋沢男を推して経過を報告し、創立委員として左記十二名を選定し、委員は互選を以て渋沢男爵を委員長に挙げたり。
 - 第16巻 p.628 -ページ画像 
     創立委員
            委員長  男爵   渋沢栄一
                 工学博士 高松豊吉
                      久米良作
                      大橋新太郎
                      渡辺福三郎
                      大倉喜八郎
                      伊藤幹一
                      平沢道次
                      市原盛宏
                      山口太兵衛
                      岡崎遠光
                      曾禰寛治


竜門雑誌 第二四二号・第五一―五二頁 明治四一年七月 ○日韓瓦斯会社設立決定(DK160104k-0004)
第16巻 p.628 ページ画像

竜門雑誌 第二四二号・第五一―五二頁 明治四一年七月
○日韓瓦斯会社設立決定 青淵先生の創立委員長たるの日韓瓦斯会社は、八月十日を以て第一回株金払込期日と決定し、各株主に通知したり、同会社が設立に関し特に挙げたる特色左の如し
 第一 内地同業と異り韓国政府より二十五箇年の独占を与へられたる事
 第二 会社の機械器具は関税を免除せらるゝの特点を与へられたる事
 第三 其筋より一万四千坪の地所を特に低廉なる料金を以て貸下げられたる事
 第四 帝国宮内省に於て株式御引受の事に略決定せられたる事
 第五 韓国宮内府より株式三千株御引受の栄を蒙りたる事
 第六 京城及び其附近は近年俄に長足の発達を為し、戸口激増、事業頗る繁盛なるに日常最も必要なる燃料欠乏し、従つて薪炭石油等の市価極めて高く、為に目下彼の地官民より瓦斯営業開始を切に望まれ、現に灯火用及び熱用の予約少からざる状態にある事
 第七 会社は毎年純益金の百分の五を瓦斯管敷設通路の管理者に納付し、而て会社の純益金が払込金額に対し年一割五分を超ゆる時は之を控除したる残額の五分の一を政府に納付する外、政府より一切の公課金を徴収せざる命令に接したる事


東京経済雑誌 第五八巻第一四四九号・第一六八頁明治四一年七月二五日 ○日韓瓦斯株式会社(DK160104k-0005)
第16巻 p.628 ページ画像

東京経済雑誌 第五八巻第一四四九号・第一六八頁明治四一年七月二五日
    ○日韓瓦斯株式会社
同会社は四十年九月、創立事務所を本市神田区錦町東京瓦斯会社内に設け、其の後男爵渋沢栄一氏を創立委員長に、高松豊吉・久米良作・大橋新太郎・大倉喜八郎・渡辺福三郎・平沢道次・伊藤幹一・市原盛宏・山口太兵衛・岡崎遠光・曾禰寛治諸氏を創立委員に選定し、韓国に於ける土地実測及工場建築に関する調査其の他諸事着々進捗し、応募株式も既に定数に達したるを以て、今回来る八月十日を期限とし第一回株式払込を為さしむるに決定せる由なり○下略