デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第20巻 p.340-352(DK200033k) ページ画像

明治26年8月9日(1893年)

是ヨリ先農商務大臣伯爵後藤象二郎、当会議所ニ対シ、本邦商品ノ販路ヲ拡張スルガ為メ海外ニ調査委員ヲ派遣シ、商品陳列所ヲ設置シ、又ハ商品ノ試売ヲ為スノ得失如何ヲ諮問セシガ、是日栄一当会議所会頭トシテ会議所ノ意見ヲ答申ス。


■資料

東京商業会議所月報 第一一号・第四頁 明治二六年七月 【○同月 ○六月十六日…】(DK200033k-0001)
第20巻 p.341 ページ画像

東京商業会議所月報  第一一号・第四頁 明治二六年七月
○同月 ○六月十六日、本邦商品ノ販路拡張ノ件ニ付農商務大臣ヨリ諮問書ヲ接受ス(該諮問書及之ニ附属セル書類ハ参照ノ部第四号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第一一号・第七―一三頁 明治二六年七月 【○参照第四号 六月十六日本邦商品…】(DK200033k-0002)
第20巻 p.341-348 ページ画像

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東京商業会議所月報 第一二号・第六―七頁 明治二六年八月 【○七月五日午後五時三…】(DK200033k-0003)
第20巻 p.348 ページ画像

東京商業会議所月報  第一二号・第六―七頁 明治二六年八月
○七月五日午後五時三十分、東京銀行集会所ニ於テ臨時会議ヲ開ク、当日出席会員ハ三十四名ニシテ、左ノ件々ヲ審議シ、午後八時四十分閉会ス
 (第一)
  本邦商品ノ販路拡張ノ儀ニ付、農商務大臣ヨリ諮問ノ件
本件ハ全会一致ニテ議長ノ指名ヲ以テ委員五名ヲ選挙シ之ニ調査ヲ附託スベシト決シタルニ付、乃チ議長ハ左ノ諸君ヲ指名ス
                   益田孝君
                   加藤正義君
                   小林善兵衛君
                   辻粂吉君
                   大倉喜八郎君
○中略
○同月 ○七月五日午後八時三十分、東京銀行集会所ニ於テ委員会議ヲ開キ、商品販路拡張ノ件調査委員長ヲ互選シ、午後八時四十分閉会ス、其選挙ノ結果左ノ如シ
                 委員長 益田孝君


東京商業会議所月報 第一三号・第一頁 明治二六年九月 【○同月 ○八月九日、…】(DK200033k-0004)
第20巻 p.348 ページ画像

東京商業会議所月報  第一三号・第一頁 明治二六年九月
○同月 ○八月九日、兼テ農商務大臣ヨリ諮問ニ係ル本邦商品ノ販路拡張ノ件ニ付答申書ヲ差出ス(答申書ノ全文ハ参照ノ部第一号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第一三号・第二頁 明治二六年九月 【○参照第一号 八月九日、本邦商品…】(DK200033k-0005)
第20巻 p.348-351 ページ画像

東京商業会議所月報  第一三号・第二頁 明治二六年九月
○参照第一号
 八月九日、本邦商品ノ販路拡張ノ儀ニ付、農商務大臣ヘ差出シタル答申書ハ左ノ如シ
  去六月十六日附ヲ以テ御諮問ニ相成候本邦商品ノ販路拡張ニ関スル件遂審議候処、別紙之通リ決議仕候間、此段別紙ヲ添ヘ復申仕候也
  明治二十六年八月九日
            東京商業会議所会頭 渋沢栄一
    農商務大臣 伯爵 後藤象二郎殿
 (別紙)
    決議事項
一我国商品ノ販路ヲ拡張スル為メ海外ニ調査委員ヲ派遣スルコトハ必
 - 第20巻 p.349 -ページ画像 
要ナリ、然レトモ其之ヲ派遣スヘキ土地ノ方面ニ就テハ亦大ニ熟考ヲ要スルモノアリ、清・露両国ハ我邦ト境域ヲ接シ人口衆多・民力富実ニシテ、概スルニ我国貿易上ノ前途最モ多望ノ地ト云フヘシ、然レトモ今熟々世界ノ地勢ヲ案スルニ、露国ノ如キハ欧・亜両洲ニ連亘スルノ一大邦国ニシテ、其所謂欧露ニ向テ我商品ノ販路ヲ拡張セントスルハ実ニ容易ノ業ニアラス、故ニ今調査委員ヲ派遣スルニハ必スシモ清・露両国ヲ問ハス、先ツ地勢上ヨリ観察シ苟モ世界中ニテ、将来我国産ノ需用地トシテ最モ属望スヘキノ土地ヲ撰択スルヲ必要ナリトス、蓋シ我国ニ取リ通商上緊要ノ関係ヲ有スル土地ヲ挙クレハ先ツ米国・清国・亜細亜露国・印度・朝鮮及南洋諸島ニシテ其中米国ノ如キハ従来既ニ商業上ノ気脈貫通セル開明国ナルヲ以テ暫ク之ヲ措キ、其他ノ諸国ハ概ネ半開若シクハ未開ニ属スルヲ以テ今後其国運ノ漸ク開進スルニ従ヒ大ニ我製品ノ需用ヲ増進スヘキハ疑ナク、現ニ我国ノ製造ニ係ル摺付木ノ如キ或ハ洋傘ノ如キ、欧洲製ヲ凌駕シテ此等諸国ノ市場ニ於テ其販路ヲ専ニスルモノア@、左レハ此際能ク其土地ノ実況ヲ探査シテ我当業者ノ参考ニ資スルトキハ将来一層我商品ノ販路ヲ拡張スルノ効アルヘキコトハ本会議所ノ確信スル所ナリ、是本会議所ガ此題案ヲ議スルニ当リ先ツ此等ノ方面ヨリ着手センコトヲ希望スル所以ナリ、然リ而シテ今其調査スヘキ土地ノ方面及順序其他委員選任等ノ手続ニ就キ本会議所ノ意見ヲ陳開スルトキハ左ノ如シ
  一調査委員ハ左ノ方面ニ向テ派遣セラルヽ事
   天津・香港・上海・漢口・福州・厦門・広東・台湾其他清国ニ於ケル貿易繁盛ノ要地(可成ハ各省ニ就キ重立タル土地一二ケ所ツヽヲ調査スルヲ可トス)
   朝鮮及露国ウラジオストツク・ホルシエツト・オルガ・フウチヤン、ニコライヌ・ブラゴヴエスチンスク・ストレテンスク等ノ各要地
   西貢・新嘉坡・ペナン・バンコツク・ラングーン・マドラス・ボムベイ・カルカツタ等其他印度ノ各要地
   南洋諸島・濠洲・新西蘭ノ各要地
  一調査委員ハ凡四人ト定メ、各自受持ヲ定メテ調査スル事
  一調査委員ハ官民何レヲ問ハス農商務省ニ於テ商業会議所ヘ諮問ノ上適任者ヲ選抜シ、農商務大臣之ヲ命セラルヽ事
  一調査委員派遣ノ期限ハ凡一ケ年ト定メ、委員ハ此期限内ニ一旦帰朝復命スベキ事
  一調査委員帰朝ノ上猶調査終了セサルカ、若クハ他ニ必要アルトキハ、更ニ派遣ヲ命セラルヽコトアルベキ事
  一調査委員ノ報告ハ相当ノ方法ヲ以テ之ヲ営業者ニ開示セラルヽ事
  一調査委員ニハ相当ノ旅費及手当ヲ給セラルヽ事
  一調査委員ハ必要ノ場合ニ於テ参考品トシテ商品見本ヲ購入シ、又ハ通弁・案内者等ヲ雇入ルヽヲ得ル事
  一前二条ノ費途ハ共ニ国庫ヨリ支弁セラルヽ事
 - 第20巻 p.350 -ページ画像 
  一調査委員ノ調査スベキ要項ハ農商務大臣ニ於テ必要ト認ムル商業会議所ヘ諮問ノ上之ヲ定メラルヽ事
一我国ノ商品ヲ海外各地ノ人民ニ観覧セシメ、以テ其購買心ヲ喚起スルハ、我国商品ノ販路ヲ拡張スル為メ亦必要ナル一手段ナルベシト雖トモ、海外各地ニ商品陳列所ヲ設置スルカ如キハ実際容易ノ業ニアラズ、何トナレバ之ヲシテ帝国物産ノ陳列所トシテ相当ノ体面ヲ保タシメ且ツ貿易上必要ナル機関タラシムルニハ莫大ノ費途ヲ要シ其得失果シテ相償フベキヤ否ヤハ俄カニ断定シ難キヲ以テナリ、之ヲ要スルニ海外各地ニ商品陳列所ヲ設置スルコトハ本会議所ノ賛成ヲ表スル能ハサル所ナリ、蓋シ其土地ニ商品陳列所若クハ博物館其他別段費用ヲ要スルコトナクシテ見本ヲ開示スルニ便利ナル場所アルニ於テハ、当局ノ斡旋ヲ以テ当業者ノ望ニ依リ可及的其見本ノ出陳ヲ為サシメ、若シ当業者中自ラ其見本ノ出陳ヲ望ム者ナキトキト雖トモ当局ニ於テ必要ト認ラルヽ場合ニ於テハ其品種ヲ購入シテ之ヲ出陳セラルヽヲ可トス
一商品試売ノ事タル強テ之ヲ誘導スルモ到底其実行ヲ期シ得ベキモノニアラズ、特ニ当局ニ於テ自ラ其事ニ当ラルヽカ如キハ決シテ策ノ得タルモノニアラズ、是従来ノ実験ニ徴シテ明カナル所ナリ、左レハ此事タル全ク当業者ノ見込ニ一任セラルヽノ勝レルニ若カザルナリ、而シテ若シ当業者中自ラ進ンデ商品ノ試売ヲ為サンコトヲ望ミ其照会等ノ手続ヲ求ムル者アラバ、当局ニ於テ其望ニ応ジ可及的其便利ヲ与ヘラレンコトヲ望ム
一左記ノ二項ハ御諮問ノ事項外ニ渉ルノ嫌ナキニアラスト雖トモ、亦海外貿易ノ発達上至大ノ関係ヲ有スルモノニ付、玆ニ附記シテ聊カ御参考ノ一端ニ供ス
      領事ノ任用ニ注意ヲ要スル事
 政府カ海外各要地ニ領事ヲ駐在セシメラルヽモノハ其意蓋シ我貿易交通及航海ノ利益ヲ保護奨励セラルヽニ在ラン、然ルニ今熟々既往ノ成績ニ徴スルニ未ダ充分其実効ヲ奏セザルヤノ憾アリ、夫レ現任帝国領事中ニハ学識ニ富ミ且ツ海外ノ事情ニ精通スル者決シテ其人ニ乏シカラズ、然ルニ猶ホ実際ニ於テ未タ我実業者ヲシテ充分満足セシムルノ成績ヲ致スヲ得ザルモノハ、畢竟其任用ノ途ニ於テ未タ尽サヾル所ナクンバアラズ、故ニ今後政府ガ領事ヲ任用セラルヽニハ主トシテ実業教育ヲ受ケ、若クハ実業ニ充分ノ経験ヲ有シ、特ニ商業ノ思想ニ富ム者ヲ撰択セラレンコトヲ望ム、蓋シ商品販売上ノ実況ヲ調査スルコトノ如キハ本来領事タル者ノ当然ノ職務ナルノミ若シ果シテ領事ノ調査スル所ニシテ能ク実況ヲ悉スモノトセハ今回ノ調査委員ノ如キ領事駐在ノ土地ニ向テハ之ヲ派遣スルノ必要ナカルベシ、然ルニ今ヤ実際ニ於テ之ガ必要ヲ感スルハ本会議所ノ聊カ遺憾トスル所ナリ、願ハクハ今後領事ノ任用ニ一層ノ注意ヲ加ヘテ以テ我貿易・交通及航海上ノ利益ヲ進捗スルノ実効ヲ企図セラレ、将来ニ於テハ復タ斯ノ如キ調査委員ノ派遣ヲ領事駐在地ニ要セザルノ程度ニ達センコトヲ
      高等商業学校ノ卒業生ヲ海外ニ派遣シ商業ヲ実
 - 第20巻 p.351 -ページ画像 
修セシムルコトヲ要スル事
 海外貿易拡張ノ方法タル其手段固ヨリ一ナラサル可シト雖トモ、玆ニ最モ緊切ニシテ特ニ急施ヲ要スル一事アリ、即チ有為ナル貿易家ヲ養成スルコト是ナリ、蓋シ今日ノ如ク居留外国商人ヲシテ海外貿易ノ全権ヲ掌握セシムルニ於テハ到底海外ニ向テ充分ニ我国商品ノ販路ヲ拡張スルヲ得ズ、故ニ此目的ヲ達セントスルニハ今後我商人ヲシテ自ラ海外ニ渡航セシメ、彼ノ商人ト直接取引ヲ為サシムルノ道ヲ開キ、以テ我海外貿易ヲ根底ヨリ振起スルヲ肝要ナリトス、然ルニ此事タル現時我商人ノ老成輩ニ向テ容易ニ之ヲ望ム可ラザルガ故ニ、今日ニ於テハ先ッ其段階トシテ他日其事ニ当ル可キ貿易家ヲ養成スルヲ以テ最モ急務ナリトス、而シテ今熟々其方法ヲ案ズルニ毎年高等商業学校ノ卒業生中最モ優等ナル者少クモ五人ヲ撰抜シ、之ヲ印度・支那・南洋等将来我国産ノ販売市場トスベキ望アル地方ヘ派遣シ、相当ノ条件ヲ附シ或年限ノ間此等各地ノ有力ナル商家ニ奉公シテ其商業ヲ実修セシムルニアリ、而シテ其奉公口ハ当局ニ於テ周旋ノ労ヲ取ラルヽハ勿論、奉公中ハ相当ノ補助ヲ要スベク、例バ第一年ニハ若干ノ手当ヲ給シ、第二年ニハ其一半ヲ給シ、第三年ニハ其三分ノ一ヲ給スト云フカ如ク、当初二三年ノ間ハ其費用ノ幾分ヲ補給スルモノトセバ、其以後ハ本人一身ノ力ヲ以テ自ラ其資給ヲ得ルニ至ル可ク、斯クテ此等ノ輩ガ数年其実地ヲ経験スルニ於テハ、其地取引ノ方法、貨物運転ノ手続、其需要嗜好ノ趨勢ヨリ土地ノ人情・風俗・習慣・法律ノ細事ニ至ルマテ能ク諸般ノ事情ヲ詳ニシテ外国商人ト比シテ聊カ相下ラザルノ人物タルヲ得ベシ、此時ニ当リ若シ此等ノ輩ガ其実修中ニ得タル技倆ヲ以テ奮@海外ニ商業ヲ試ムルニ於テハ、遂ニ外国商人ヲ凌駕スル事決シテ難キニアラズ、是実ニ我海外貿易ヲ根底ヨリ振起スルノ策ニシテ、海外ニ向テ充分ニ我国商品ノ販路ヲ拡張スルコト玆ニ至リテ始メテ之ヲ期スルヲ得ベキナリ、此事タル頗ル迂遠ナルガ如シト雖トモ、将来海外貿易ヲ伸張スルニ於テハ却テ著大ノ実効ヲ奏スベキニ付、結局其目的ヲ達スルノ捷径ナリト信ズ、是本会議所ガ今日ニ於テ速ニ之ヲ実行セラレンコトヲ切望シテ已マサル所ナリ


第三回東京商業会議所事務報告 第一五―二九頁 明治二七年四月刊(DK200033k-0006)
第20巻 p.351-352 ページ画像

第三回東京商業会議所事務報告  第一五―二九頁 明治二七年四月刊
一本邦商品ノ販路拡張ノ儀ニ付、農商務大臣ヨリ諮問ノ件
 本件ハ明治二十六年六月十六日附ヲ以テ後藤農商務大臣ヨリノ諮問ニ係リ、其要旨ハ本邦商品ノ販路ヲ拡張スル為メ海外ニ調査委員ヲ派遣シ及商品陳列所ヲ設置シ、又ハ商品ノ試売ヲ為スノ得失如何ント云フニ在リ、依テ之ヲ同年七月五日第二十六回ノ臨時会議ニ附シタルニ、委員五名ヲ選挙シ之ニ調査ヲ附托ス可シト決シ、乃チ議長ノ指名ヲ以テ左ノ諸君ヲ委員ニ選挙シタリ
              (委員長) 益田孝君
                    加藤正義君
                    小林善兵衛君
                    辻粂吉君
 - 第20巻 p.352 -ページ画像 
                    大倉喜八郎君
 其後委員ハ審議ノ末其答申書案ヲ草シ報告シタルニ付、同年八月八日第二十七回ノ臨時会議ニ附シ其可決ヲ経、同月九日附ヲ以テ左ノ如ク後藤農商務大臣ヘ答申シタリ
   ○答申書ハ月報所載ノモノト同一ニツキ略ス。