デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第21巻 p.356-365(DK210057k) ページ画像

明治31年12月7日(1898年)

是ヨリ先五月三十日、副会頭中野武営、当会議所ヲ代表シテ、私設鉄道ヲ国有ニセンコトヲ政府ニ建議シ議会ニ請願セシガ、議会解散シ内閣更迭セシ為メ、是日栄一当会議所会頭トシテ、再ビ同件ニツキ内閣総理大臣侯爵山県有朋・大蔵大臣伯爵松方正義・農商務大臣曾禰荒助・逓信大臣子爵芳川顕正ニ建議シ、貴族院議長公爵近衛篤麿・衆議院議長片岡健吉ニ請願ス。


■資料

東京商業会議所月報 第七〇号・第一―二頁 明治三一年六月 【○明治三十一年五月十四日、本…】(DK210057k-0001)
第21巻 p.356-357 ページ画像

東京商業会議所月報  第七〇号・第一―二頁 明治三一年六月
 - 第21巻 p.357 -ページ画像 
○明治三十一年五月十四日、本会議所ニ於テ第七十回臨時会議ヲ開ク当日ノ出席者ハ左ノ如シ
 河村隆実君 ○外三十八名氏名略
午後五時開議、副会頭大江卓君議長席ニ着キ、左ノ件々ヲ議事ニ附シ午後八時三十分閉会ス
○中略
 一鉄道国有ノ義ニ付建議・請願ノ件 (会員提出)
本件ハ会員武田忠臣君外九名ノ提議ニ係リ、其要旨ハ、私設鉄道ヲ買上ケテ国有ト為スコトヲ政府ニ建議シ、議会ニ請願スヘシト云フニ在リ、審議ノ末議長指名ノ委員七名ヲ選挙シテ之ニ其調査ヲ附託スヘシト決シ、議長ハ左ノ諸君ヲ委員ニ指名セリ
                    小林義則君
                    河村隆実君
                    武田忠臣君
                    渡辺洪基君
                    中沢彦吉君
                    説田彦助君
                    山中隣之助君


東京商業会議所月報 第七〇号・第三頁 明治三一年六月 【○同月 ○五月十五日…】(DK210057k-0002)
第21巻 p.357 ページ画像

東京商業会議所月報  第七〇号・第三頁 明治三一年六月
○同月 ○五月十五日午後三時、本会議所ニ於テ鉄道国有ノ件調査委員会議ヲ開キ、委員長ヲ選挙セシニ、其結果左ノ如クニテ、午後四時閉会ス
               委員長 渡辺洪基君
○同月十七日午前十一時、本会議所ニ於テ鉄道国有ノ件調査委員会議ヲ開キ、委員長渡辺洪基君委員ヲ辞任セシニ付更ニ委員長ヲ選挙セシニ、其結果左ノ如クニテ、午後三時閉会ス
               委員長 中沢彦吉君
○同月二十二日午後零時四十分、本会議所ニ於テ委員会議ヲ開キ、鉄道国有ノ件ヲ審議シ、午後三時五十分閉会ス
○同月二十四日午後三時四十分、本会議所ニ於テ鉄道国有ノ件調査委員会議ヲ開キ、委員長中沢彦吉君辞任ニ付後任ヲ選挙セシニ、其結果左ノ如クニテ、午後四時閉会ス
               委員長 小林義則君


東京商業会議所月報 第七〇号・第三頁 明治三一年六月 【同月 ○五月二十五日午前…】(DK210057k-0003)
第21巻 p.357 ページ画像

東京商業会議所月報  第七〇号・第三頁 明治三一年六月
○同月 ○五月二十五日午前十時、本会議所ニ於テ役員会議ヲ開キ、鉄道国有ノ義ニ付臨時会議開設ノ件ヲ審議シ、正午閉会ス


東京商業会議所月報 第七〇号・第二頁 明治三一年六月 【○同月 ○五月二十八…】(DK210057k-0004)
第21巻 p.357-358 ページ画像

東京商業会議所月報  第七〇号・第二頁 明治三一年六月
○同月 ○五月二十八日、本会議所ニ於テ第七十一回臨時会議ヲ開ク、当日ノ出席者ハ左ノ如シ
 河村隆実君 ○外三十五名氏名略
午後五時開議、副会頭中野武営君議長席ニ着キ、左ノ件々ヲ議事ニ附
 - 第21巻 p.358 -ページ画像 
シ午後八時閉会ス
 一鉄道国有ノ義ニ付建議・請願ノ件 (委員会議提出)
本件ハ委員ノ報告案ニ対シ会員土田政次郎君ヨリ修正意見ノ提出アリ審議ノ末右修正意見ノ如ク可決ス


東京商業会議所月報 第七〇号・第四頁 明治三一年六月 【○同月同日 ○五月三…】(DK210057k-0005)
第21巻 p.358 ページ画像

東京商業会議所月報  第七〇号・第四頁 明治三一年六月
○同月同日 ○五月三〇日私設鉄道国有ノ義ニ付、内閣総理大臣・大蔵大臣・農商務大臣・逓信大臣ヘ建議書ヲ、貴族・衆議両院ヘ請願書ヲ進達ス(建議・請願書ノ全文ハ参照ノ部第四号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第七〇号・第七―一一頁 明治三一年六月 【○参照第四号 明治三十一年五…】(DK210057k-0006)
第21巻 p.358-362 ページ画像

東京商業会議所月報  第七〇号・第七―一一頁 明治三一年六月
○参照第四号
 明治三十一年五月三十日、第七十一回臨時会議ノ決議ニ依リ、私設鉄道ヲ国有ト為スノ義ニ付内閣総理大臣・大蔵大臣・農商務大臣・逓信大臣ヘ進達セシ建議書、貴族・衆議両院ヘ進達セシ請願書ノ全文ハ左ノ如シ
    私設鉄道ヲ国有トナスノ建議(請願)
鉄道ハ国家ノ最大交通機関ナリ、其能ク貫聯統一シテ整然タル運転ヲ為シ得ルト否トハ直チニ国運ノ隆替ニ関スルモノアリ、之ヲ国防ノ上ヨリ観ルモ、将タ其事業ノ性質ヨリ言フモ、断シテ国有ト為サヽル可ラス、然ルニ我国鉄道事業ノ現況ヲ観ルニ、創設以来今日ニ至ル迄官私両線ヲ合シテ其延長ハ三千哩ニ過キス、而カモ其私設鉄道ニ至テハ幾多ノ小会社之ヲ分有シ、啻ニ統一ノ実ヲ挙クルニ由ナキノミナラス其設備亦完カラスシテ、貨物ノ停滞、行旅ノ不便勝ケテ言フ可ラサルモノアリ、加フルニ輓近民間資金ノ欠乏セル結果、既成鉄道ハ纔ニ其経済ヲ維持シ得ルモ、未成鉄道ニ在テハ或ハ之ヲ中止スルアリ、甚シキハ工事已ニ成テ其運転ヲ開始スル能ハサルモノ亦之ナキニ非ス、苟クモ是クノ如クンハ何ニ縁テ国家ノ最大交通機関タル実ヲ完フシ、国防上遺憾ナキノ域ニ達スルヲ得ンヤ、本会議所ハ此際我政府ニ於テ速ニ私設鉄道ヲ買収シテ之ヲ国有ト為スノ議ヲ決セラレンコトヲ希望スルモノナリ
本会議所ノ見ル所ヲ以テスレハ、今日ハ実ニ私設鉄道ヲ国有ト為スノ好時機ナリト信ス、何ヲ以テ之ヲ言フ、蓋シ今日ハ私設鉄道ノ哩数未タ甚シク延長セス、其資金ノ如キハ悉ク忠愛ナル我国民ノ放下スル所ニシテ、外人ノ其私権ヲ享有スルモノ絶無ナルコト其一ナリ、民間資金ノ欠乏日ヲ追テ益々甚シク、既成鉄道ノ改良ト云ヒ未成鉄道ノ敷設ト云ヒ、共ニ其資金ヲ得ルニ苦ムノ状アルコト第二ナリ、顧フニ改正条約一タヒ実施セラレ、外人内地ニ雑居シテ、彼レノ低利ナル資金ヲ我鉄道ニ注入スルニ至ラバ、其事業ノ著シク発達スルト同時ニ、諸種ノ事情綜合シテ容易ニ之ヲ買収スル能ハサルニ至ルヘキハ理ノ覩易キ所ナリ、今ヤ幸ニ此種ノ事情アルコトナク、而シテ一面ニ於テハ民間ニ於ケル資金ノ運転ヲ円滑ナラシムルニ非サレハ、独リ鉄道ノミナラス、前途有望ナル諸般ノ事業ヲシテ全ク衰頽ニ帰セシメサルヲ得サルノ趨勢アリ、是本会議所カ今日ヲ以テ私設鉄道ヲ国有ト為スノ好時機
 - 第21巻 p.359 -ページ画像 
ナリト明言スル所以ナリ、欧洲諸国カ私設鉄道ヲ国有ト為サントシテ容易ニ其目的ヲ達スル能ハサルモノアルハ、畢竟歳月ヲ経ルノ久シキ其事業ノ膨大ヲ来シ、其資金ノ巨額ニ上ホリ、国家ノ財政上復之ヲ奈何トモスル能ハサルニ至リシカ為メニ外ナラス、我国若シ今日ノ好時機ヲ看過スルアラハ、他年之ヲ買収シテ国有ト為サント欲スルモ得テ其目的ヲ達スル能ハサルヤ明ナリトス、但事自カラ緩急アリ、故ニ本会議所ハ此際先ツ国防上必要ナル既設私設鉄道ヨリ買収シ、以テ漸次他ニ及ハンコトヲ希望スルモノナリ、而シテ之ヲ買収スルカ為メニ要スル経費ハ外債ヲ募集シテ以テ支弁セラレンコトヲ望ム、蓋シ鉄道ハ之ヲ国内ニ普及セシムルニ於テ国情ノ許ス限リ急速ナルヲ貴フカ上ニ之ニ要スル資金亦巨大ナルヲ以テ、欧米諸国ト雖モ概シテ外資ニ依テ之ヲ敷設セサルハナシ、此際我国ニ於テ外債ヲ募集シテ以テ私設鉄道買収ノ資ト為スモ何ノ不可カ之アランヤ、況ンヤ外債ニ依テ之ヲ買収スルアラハ、其債務ハ鉄道ヨリ収ムル利益ヲ以テ之ヲ償却シテ余リアリ、容易ニ鉄道国有ノ目的ヲ達シ得ルニ止ラズ、現時ノ如ク欠乏ニ苦メル民間ノ資金ヲシテ其運転ヲ円滑ナラシメ、将ニ廃絶ニ属セントスル諸般ノ事業ハ為メニ蘇息スルヲ得テ、国家経済ノ基礎正ニ始メテ安固ナルニ至ラン、是豈一挙両得ノ策ニ非スヤ、願クハ閣下(貴院)速ニ本建議(請願)ヲ採納セラレンコトヲ、若夫本件ニ附帯セル参考書類ハ之ヲ別紙ニ具セリ、謹テ閣下(貴院)ノ採択ヲ請フ
右本会議所ノ決議ニ依リ建議(請願)仕候也
  明治三十一年五月三十日
                東京商業会議所会頭代理
                  副会頭 中野武営
    内閣総理大臣
    大蔵大臣
    農商務大臣 宛各通
    貴族院議長
    衆議院議長
(参考書)
    凡例
   第一表
一本表ハ鉄道買収外国公債額面弐億万円ヲ募集シ、一ケ年ノ利子三朱据置年限五十ケ年トシテ、年限後ハ日本政府ノ都合ヲ以テ其元金ヲ還済スルモノトシタリ、而シテ其募集実収額ハ百円ニ対シ最低八拾五円即壱割五分ノ割引ヲ以テ募集スルモノトシテ計算シタリ
一本表ハ公債実収額ヲ以テ四朱乃至五朱ノ利率ヲ以テ既成私設鉄道ヲ買収スルノ資ニ当ルヲ以テ、将来鉄道ノ純益ハ仮ニ平均四朱五毛ヨリ進マサルモノトシテ消極ノ計算ヲシタリ
一本表ノ積立金ハ鉄道ノ収益ヨリ公債ノ利子ヲ控除シタル残額ニシテ毎年積立ツルモノ百六十五万円、第二表ニ依ルトキハ毎年百二拾万円、第三表ニ依ルモ尚毎年九拾七万五千円トナル、此金額ヲ以テ勧業銀行ノ債券ニ応スルカ又ハ地方公債(府県ニ於テ発行スル水道若クハ港湾等)ヲ買入ルトスルモ額面五朱利率ノ殖利方法多々アルベキヲ以テ、壱年五朱ノ
 - 第21巻 p.360 -ページ画像 
重利法ニ依テ計算ヲ立テタリ(或ハ朝鮮・支那ノ国債ニ応スルトスルモ然ランカ)
一前記本表収支ノ差額計算下ノ如シ
 六百万円 公債額面二億万円ノ壱ケ年支払利子三朱ノ割
 七百六拾五万円 同上実収額壱億七千万円ノ壱ケ年ノ収入利子四朱五毛ノ割
 百六十五万円 壱ケ年収支ノ差額
一本表ハ鉄道公債据置年限五十ケ年ヲ以テ終尾トス
   第二表
一壱ケ年ノ利子三朱、募集実収額最低八拾円トシテ収支計算ヲ立タルモノニシテ、他ハ第一表ニ同シ
   第三表
一壱ケ年ノ利子三朱、実収額最低七拾七円五拾銭トシテ収支計算ヲ立タルモノニシテ、他ハ第一表ニ同シ
   第一表 (公債募集最低額八拾五円)
 本表ハ年末毎ニ金壱百六拾五万円ヲ元金ニ加算シ、壱ケ年一回五歩ノ重利ヲ以テ計算ス(但円未満ハ四捨五入)

図表を画像で表示第一表 (公債募集最低額八拾五円)

 年数       金高          年数      金高                  円                    円 初年       一、六五〇、〇〇〇   七年      一三、四三四、三一四 二年       三、三八二、五〇〇   八年      一五、七五六、〇三〇 三年       五、二〇一、六二五   九年      一八、一九三、八三一 四年       七、一一一、七〇六   十年      二〇、七五三、五二三 五年       九、一一七、二九二   十一年     二三、四四一、一九九 六年      一一、二二三、一五六   十二年     二六、二六三、二五九 十三年     二九、二二六、四二二   三十二年   一二四、二四三、〇六八 十四年     三二、三三七、七四三   三十三年   一三二、一〇五、二二二 十五年     三五、六〇四、六三〇   三十四年   一四〇、三六〇、四八三 十六年     三九、〇三四、八六一   三十五年   一四九、〇二八、五〇七 十七年     四二、六三六、六〇四   三十六年   一五八、一二九、九三二 十八年     四六、四一八、四三五   三十七年   一六七、六八六、四二九 十九年     五〇、三八九、三五六   三十八年   一七七、七二〇、七五一 二十年     五四、五五八、八二四   三十九年   一八八、二五六、七八八 二十一年    五八、九三六、七六五   四十年    一九九、三一九、六二七 二十二年    六三、五三三、六〇四   四十一年   二一〇、九三五、六〇九 二十三年    六八、三六〇、二八四   四十二年   二二三、一三二、三八九 二十四年    七三、四二八、二九八   四十三年   二三五、九三九、〇〇九 二十五年    七八、七四九、七一三   四十四年   二四九、三八五、九五九 二十六年    八四、三三七、一九九   四十五年   二六三、五〇五、二五七 二十七年    九〇、二〇四、〇五九   四十六年   二七八、三三〇、五二〇 二十八年    九六、三六四、二六二   四十七年   二九三、八九七、〇四六 二十九年   一〇二、八三二、四七五   四十八年   三一〇、二四一、八九八 三十年    一〇九、六二四、〇九八   四十九年   三二七、四〇三、九九三 三十一年   一一六、七五五、三〇三   五十年    三四五、四二四、一九三 



   第二表 (公債募集最低額八拾円)
 本表ハ年末毎ニ金壱百弐拾万円ヲ元金ニ加算シ、一ケ年一回五歩ノ重利ヲ以テ計算ス(但円未満ハ四捨五入)

図表を画像で表示第二表 (公債募集最低額八拾円)

 年数      金高          年数     金高                 円                   円 初年      一、二〇〇、〇〇〇   三年      三、七八三、〇〇〇 二年      二、四六〇、〇〇〇   四年      五、一七二、一五〇  以下p.361 ページ画像  五年      六、六三〇、七五八   二十八年   七〇、〇八三、〇九九 六年      八、一六二、二九五   二十九年   七四、七八七、二五四 七年      九、七七〇、四一〇   三十年    七九、七二六、六一七 八年     一一、四五八、九三一   三十一年    八四、九一二、九四八 九年     一三、二三一、八七七   三十二年    九〇、三五八、五九五 十年     一五、〇九三、四七一   三十三年    九六、〇七六、五二五 十一年    一七、〇四八、一四五   三十四年   一〇二、〇八〇、三五一 十二年    一九、一〇〇、五五二   三十五年   一〇八、三八四、三六九 十三年    二一、二五五、五七九   三十六年   一一五、〇〇三、五八七 十四年    二三、五一八、三五八   三十七年   一二一、九五五、七六七 十五年    二五、八九四、二七六   三十八年   一二九、二五一、四五五 十六年    二八、三八八、九九〇   三十九年   一三六、九一四、〇二八 十七年    三一、〇〇八、四四〇   四十年    一四四、九五九、七二九 十八年    三三、七五八、八六二   四十一年   一五三、四〇七、七一六 十九年    三六、六四六、八〇五   四十二年   一六二、二七八、一〇一 二十年    三九、六七九、一四五   四十三年   一七一、五九二、〇〇六 二十一年   四二、八六三、一〇二   四十四年   一八一、三七一、六〇七 二十二年   四六、二〇六、二五七   四十五年   一九一、六四〇、一八七 二十三年   四九、七一六、五七〇   四十六年   二〇二、四二二、一九六 二十四年   五三、四〇二、三九九   四十七年   二一三、七四三、三〇六 二十五年   五七、二七二、五一九   四十八年   二二五、六三〇、四七一 二十六年   六一、三三六、一四五   四十九年   二三八、一一一、九九五 二十七年   六五、六〇二、九五二   五十年    二五一、二一七、五九五 



   第三表 (公債募集最低額七拾七円五拾銭)
 本表ハ年末毎ニ金九拾七万五千円ヲ元金ニ加算シ、一ケ年一回五歩ノ重利ヲ以テ計算ス(但円未満ハ四捨五入)

図表を画像で表示第三表 (公債募集最低額七拾七円五拾銭)

 年数      金高         年数      金高                 円                   円 初年        九七五、〇〇〇   二十五年   四六、五三二、九二一 二年      一、九九八、七五〇   二十六年   四九、八三五、六一七 三年      三、〇七三、六八八   二十七年   五三、三〇二、三九八 四年      四、二〇二、三七二   二十八年   五六、九四二、五六〇 五年      五、三八七、四九〇   二十九年   六〇、七六四、六四四 六年      六、六三一、八六五   三十年    六四、七七七、八七六 七年      七、九三八、四五八   三十一年   六八、九九一、七七〇 八年      九、三一〇、三八一   三十二年   七三、四一六、三五九 九年     一〇、七五〇、九〇〇   三十三年   七八、〇六二、一七六 十年     一二、二六三、四四五   三十四年   八二、九四〇、二八五 十一年    一三、八五一、六一七   三十五年   八八、〇六二、三〇〇 十二年    一五、五一九、一九八   三十六年   九三、四四〇、四一五 十三年    一七、二七〇、一五八   三十七年   九九、〇八七、四三五 十四年    一九、一〇八、六六六   三十八年  一〇五、〇一六、八〇七 十五年    二一、〇三九、〇九九   三十九年  一一一、二四四、二六五 十六年    二三、〇六六、〇五四   四十年   一一七、七七九、七八〇 十七年    二五、一九四、三五七   四十一年  一二四、六四三、七六九 十八年    二七、四二九、〇七五   四十二年  一三一、八五〇、九五七 十九年    二九、七七五、五二九   四十三年  一三九、四一八、五〇五 二十年    三二、二三九、三〇五   四十四年  一四七、三六四、四三〇 二十一年   三四、八二六、二七一   四十五年  一五五、七〇七、六五二 二十二年   三七、五四二、五八四   四十六年  一六四、四六八、〇三五 二十三年   四〇、三九四、七一三   四十七年  一七三、六六六、四三六 二十四年   四三、三八九、四四九   四十八年  一八三、三二四、七五八 四十九年  一九三、四六五、九九六   五十年   二〇四、一一四、二九六 



    私設鉄道買収案
一国防上国家ノ必要ト認ムル既成私設鉄道ハ其会社ト合議シ、政府ニ買収シ国有トナスモノトス
二私設鉄道ヲ政府ニ買収スル価格ヲ定ムルニハ、既往三ケ年間ノ会社純益ヲ平均シ、其一ケ年ノ純益額ヲ一ケ年四朱乃至五朱ノ利率ヲ以テ控除シタル程度ヲ超ザルモノトス
 未ダ前項ノ純益ヲ有スルニ至ラザルモノハ相当ノ価格ヲ評定シ、其会社ニ合議シテ買収スルコトヲ得
三私設鉄道買収ノ支払ニ充ツル為メ、政府ハ二億万円以内ノ外国債ヲ募集スルモノトス
 此公債ハ買収シタル支払金額ニ応シ漸次募集スルコトヲ得
四鉄道買収公債ノ利子ハ一ケ年百分ノ三トス、其償還据置年限ハ五十ケ年以内トス
五公債募集ノ実収額ハ鉄道買収ニ支払タル金額ヨリ生ズル収入ヲ以テ公債ノ元利金額ヲ返還スルノ範囲内ニ於テ割引スルコトヲ得ルモノトス
六鉄道買収公債ニ関シ本法ニ規定ナキモノハ明治十九年勅令第十六号整理公債条例ヲ準用ス
七政府ハ会社ト鉄道買収ノ合議成リタル日ヨリ一ケ年以内ニ、短期随意支払債券ヲ発行シ、其代金支払ニ充ツルモノトス
 短期随意支払債券ニハ一ケ年百分ノ五以内ノ利子ヲ付スルコトヲ得
八短期随意支払債券ハ私設鉄道買収公債ノ募集金ヲ以テ発行ノ日ヨリ五ケ年以内ニ償却スルモノトス
九短期随意支払債券ニ関スル規定ハ大蔵大臣省令ヲ以テ定ムルモノトス
十本法ニ関スル会計ハ経常歳出入以外ニ置キ、毎年度帝国議会ニ報告スルモノトス
本案備考
買収事務ニ主要トスルハ第二項ニアリ、而シテ四朱若クハ五朱ト定ムルガ如キハ、当局者宜シク之ヲ実際ニ徴シテ、其各会社ニ交渉シテ合議スベキ権能内ニ属スルヲ可トス
公債募集ニ関シテハ第四項ヲ以テ骨子トス、即チ利子及年限ノ規定是レナリ、而シテ其第五項ハ割引法ノ範囲ヲ定メ、当局者随時適当ノ措置ヲ為スヲ可トス
凡ソ代金収受ノ方法ハ売買成立ニ主要ナル条件ノ一ナリ、是レ第七項以下ヲ規定スル所以ニシテ、其之ナケレバ売買成立ニ於テ合意ノ結了ヲ完フスルニ難カラムトス、故ニ欧米各国ノ事例ヲ斟酌シテ此規定ヲ立テタリ、蓋シ此方法ハ政府ハ何時外資ヲ入ルヽモ一時ニ全額ヲ支払ハズシテ、経済市場ニ通貨膨脹ノ劇変ヲ避ケ適宜ノ処置ヲ為スヲ得ベキヲ以テ、其支払年限ヲ五ケ年以内ト定メ、或ハ之ヲ七ケ年ト為スモ可ナラン、但シ其債券額ノ幾部分ハ二十円又ハ五十円ノ少額面トシテ発行スルハ一層便利ナラン、其形式ハ最モ小ナルヲ可トス
   ○栄一是年四月二十三日出発、韓国視察ニ赴キ、五月三十日帰京セリ。
 - 第21巻 p.363 -ページ画像 


渋沢栄一書翰 萩原源太郎宛 (明治三一年)六月五日(DK210057k-0007)
第21巻 p.363 ページ画像

渋沢栄一書翰  萩原源太郎宛 (明治三一年)六月五日   (萩原英一氏所蔵)
拝啓然者過日御廻被下候会議所議事録拝見之上返上仕候、右之中鉄道国有之建議ハ小生ハ大ニ異見有之、不在中ニ右様之御取扱有之候ハ不満足千万ニ候得共、今更致方無之候、尚近日拝眉夫々相伺可申候得共別紙返上此段申上候 匆々不一
  六月五日
                      渋沢栄一
    萩原源太郎様


東京商業会議所月報 第七七号・第一三―一四頁 明治三二年一月 【○明治三十一年十二月…】(DK210057k-0008)
第21巻 p.363 ページ画像

東京商業会議所月報  第七七号・第一三―一四頁 明治三二年一月
○明治三十一年十二月三日、本会議所ニ於テ第七十五回ノ臨時会議ヲ開ク、当日ノ出席者ハ左ノ如シ
 河村隆実君 ○外三十名氏名略
午後五時開議、会頭渋沢栄一君議長席ニ就キ、左ノ件々ヲ議事ニ附シ午後八時閉会セリ
○中略
 一鉄道国有ノ義ニ付建議ノ件 (会員提出)
本件ハ会員小林義則君外三名ノ建議ニ係リ、其要旨ハ、鉄道国有ノ義ニ付本年五月中建議・請願スル所アリシモ未タ実行セラレス、就テハ再応建議・請願ヲ為シ、其実行ヲ促スヘシト云フニ在リ、審議ノ末文案字句ノ修正ヲ渋沢栄一・中野武営・大江卓・井上角五郎・武田忠臣ノ五君ニ一任シ、修正ノ上ハ直ニ建議又ハ請願ノ手続ヲ為スコトニ決セリ


東京商業会議所月報 第七七号・第一七頁 明治三二年一月 【○同月 ○明治三一年…】(DK210057k-0009)
第21巻 p.363 ページ画像

東京商業会議所月報  第七七号・第一七頁 明治三二年一月
○同月 ○明治三一年一二月七日、鉄道国有ニ関スル建議書ヲ内閣総理大臣及ヒ大蔵・農商務・逓信諸大臣ニ進達シ、同請願書ヲ貴族・衆議両院ニ呈出セリ(建議書・請願書ノ全文ハ参照ノ部第二号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第七七号・第一九頁 明治三二年一月 【○参照第二号 明治三十一年十…】(DK210057k-0010)
第21巻 p.363-364 ページ画像

東京商業会議所月報  第七七号・第一九頁 明治三二年一月
○参照第二号
 明治三十一年十二月三日第七十五回臨時会議ノ決議ニ依リ、鉄道国有ノ義ニ付、内閣総理大臣及ヒ大蔵・農商務・逓信諸大臣ニ進達セシ建議書、貴族・衆議両院ニ呈出セシ請願書ノ全文ハ左ノ如シ
    鉄道国有ニ関スル義ニ付建議(請願)
私設鉄道ヲ買収シテ国有トナスハ我国現時ノ急務タルヲ信シ、本年五月本会議所ハ政府ニ建議シ、帝国議会ニ請願セリト雖トモ、不幸ニシテ当時議会ハ解散セラレ内閣亦更迭シ、本会議所ノ希望ハ貫徹ヲ看ルニ至ラスシテ已メリ、然ルニ今ヤ時機益々迫リ、其議ヲ決セラルヽニ於テ一日ヲ緩フス可ラサルモノアリ、願クハ閣下(貴院)速ニ本会議所ノ希望ヲ採納シ、鉄道国有ノ実ヲ挙ケラレンコトヲ、曩ニ呈出シタル建議書(請願書)ハ参考ノ為メ別紙ニ具ス
右本会議所ノ決議ニ依リ建議(請願)仕候也
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  明治三十一年十二月七日
            東京商業会議所会頭 渋沢栄一
    内閣総理大臣 侯爵 山県有朋殿
    大蔵大臣   伯爵 松方正義殿
    農商務大臣     曾禰荒助殿
                    (各通)
    逓信大臣   子爵 芳川顕正殿
    貴族院議長  公爵 近衛篤麿殿
    衆議院議長     片岡健吉殿
   ○別紙五月三十日附ノ建議書(請願書)ハ前掲ニツキ略ス。
   ○本巻明治三十一年五月二十日、同三十四年二月六日、同年九月十五日、同年十一月七日、同年十二月二十五日ノ各条、本資料第二十二巻所収「商業会議所聯合会」明治三十二年十月十一日、同三十三年五月二十三日ノ各条並ニ第九巻所収「鉄道国有問題」参照。



〔参考〕時事新報 第五三一一号 明治三一年八月三〇日 渋沢栄一氏の非鉄道官有論(DK210057k-0011)
第21巻 p.364-365 ページ画像

時事新報  第五三一一号 明治三一年八月三〇日
    渋沢栄一氏の非鉄道官有論
軍事上よりの立論で鉄道を官有にするが宜しいと云ふことに就ては、余は軍事にかけては全くの素人であるから彼れ此れは申さないが、日本の地形は独逸や仏蘭西抔と違て居る、既に違つて居るとすれば、国防上の攻守にも自から違はなければならぬ、だからして独逸が官有であるから日本も其通りにするが可いと云ふ論は立たない、併し軍人としては、参謀本部の人々も、陸軍省の人々も、鉄道の官有を主張するであらう、是れは当り前のことで、軍人は予ての持論であるから時機さへあれば然うしやうとの念慮で、今度民間の人々がヤツヤと云ふから、軍人は其れを利用して年来の本願を達しやうと云ふのですから無理はないが、民間の人々と云ふ中には真の実業家も幾分かはあるか知らんか、大概株屋連中であるから、其れ等の人々は軍人を利用し又政治家を利用して株の値を上げようと云ふのが本心で、外に何もない、株屋連中は随分熱心であらうが、私は官有論には全く反対である、其れだから先年吾れ吾れは官設鉄道の払下を願ひ出たことで、今日も同論である、其次第は、日本の鉄道は幸ひに残らず官設でなかつた為に今日の発達を為し、延長三千二百哩にもなつたのである、若し万一にも私設を許さなかつたならば、恐らく今日其半数即ち千六百哩にもならぬであらう、而して大体に於て斯ふ云ふことを考へねばならぬ、国の進歩発達に大関係ある運輸交通の機関は、軍隊の輸送を目的とすべきか、将た商工業の平時輸送を目的とすべきかと云ふことである、日本の地形は前にも申した通りであるから、戦時でも違つて居る上に、目的は確かに旅客貨物の運輸に在て、国の進歩発達を期する外はない然うでないとすれば、東海道の線路を廃し首府も甲州の山の中へ移さねばならぬと云ふことにならう、其んな馬鹿気たことがあるものですか、鉄道の目的は商工業の発達に在つて、昼夜間断なく之に由るものであるから、五十年に一度か百年に一度かある軍事の為めに国の進歩発達を妨げるやうなことがあつてはならぬ、之を妨げたなら軍備の拡張も何も出来はしない、妨げずに苟も発達さする手段があればズンズ
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ン便宜を与へて発達さすれは軍備の拡張でも何でも出来る、其れが充分出来るやうになれば、其国力に依りて戦争はせずに済むこともあろう、其れを官有にしたら国の進歩か鈍くても戦争をせずに済むことかあろうか、又た外資を入れなくても済むことがあろうか、却て急ぎ外資を入れさせ其上に国の進歩が鈍い為めに、せずとも宜い戦争までもせなければならぬことになろう、斯んな可笑しな咄はない、余は先年も今日も同じことで鉄道官有論に全く反対である。



〔参考〕東京経済雑誌 第四四巻第一一一三号・第一二九七頁 明治三四年一二月二八日 ○鉄道国有問題と渋沢男(DK210057k-0012)
第21巻 p.365 ページ画像

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冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。