デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.8.27

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
4款 商業会議所聯合会
■綱文

第22巻 p.486-528(DK220039k) ページ画像

明治32年10月13日(1899年)

是日第八回定期会第三日ノ会議ニ於テ、商業会議所条例改正案上程サレ、委員附託トナル。十八日第五日ノ会議ニ於テ、該案ヲ継続案ト為シ、会長ヲシテ農商務大臣ヲ訪問セシメ、速ニ条例ノ改正ニ著手センコトヲ求ムルト共ニ、政府ニ於テ改正案作成ノ上ハ必ズ商業会議所ニ諮詢セラレタキ旨当会ノ決議トシテ請求セシムルニ決ス。栄一会長トシテ之ニ与リ、十一月六日、農商務大臣曾禰荒助ヲ農商務省ニ訪ヒ、当会決議ノ次第ヲ開陳ス。


■資料

明治三十二年十月開設 第八回商業会議所聯合会報告 第四三―四五頁 刊(DK220039k-0001)
第22巻 p.486-487 ページ画像

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会報告  第四三―四五頁 刊
○議案第十二号            (博多商業会議所提出)
商業会議所条例中改正ノ件
 商業会議所条例中左ノ如ク改正ヲ行ハント欲ス
  一、商法修正ノ結果ニヨリ現法第一条第一項乃至第三項ノ商業者ノ資格ヲ新商法第二百六十三条及第二百六十四条ノ商行為ヲ為スヲ業トスル者ニ改ムル事
    理由
   現行条例ニ於テハ旧商法第四条ノ商取引、及同第五条第一号・第三号・第四号・第六号ニ掲ケタル取引ヲ営業トスル者ヲ商業者ト定メタルモ、新商法施行ノ今日ニ於テハ、新商法第二百六十三条及第二百六十四条ノ商行為ニ依準シテ其資格ヲ定ムル事相当ナリトスルニアリ
 - 第22巻 p.487 -ページ画像 
  二、現法第十九条ノ次ニ左ノ一条ヲ追加スル事
   前条過料ノ処分ニ付テハ明治三十一年法律第十四号非訴事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ヲ準用ス
    理由
   現法第十九条ハ経費滞納者ノ処分ヲ規定スルモノタリ、然レトモ、其処分権ノ所在ニ付テハ頗ル明瞭ヲ欠キ、実際処分ノ場合ニ当リ其制裁ヲ執行スルニ就キ惑ナキ能ハズ、是レ成法ノ不備欠点ト謂ハサルヘカラス、蓋シ本条ノ意タル無論之ガ処分ハ裁判所ノ管轄ニ属セシムルモノニ似タリ、是レ之ノ追加ヲナス所以ナリ
  三、外国人ハ商業会議所ノ会員選挙被選挙権ヲ享有シ得ヘカラサル事ヲ明定スル事
    理由
   商業会議所会員ノ選挙被選挙権ハ公権ナルヤ将タ私権ナリヤ、現在ニ於テハ弥々私権ノ傾向ヲ有スルモノヽ如シ、然ルニ会議所ノ事務権限ニ顧ミレバ、或ハ立法諮問ノ機関トナリ、或ハ行政諮問ノ機関トナリ、其特殊ノ一公益機関タル事疑ヲ容レズ、故ニ其会員ノ選被選挙権タルヤ殆ント公権ト認メ、外国人ノ権利ヲ認メザル事会議所当然ノ性質ナルガ如シ、依テ権利ノ所在ヲ明定セラレン事ヲ欲スル所以ナリ


明治三十二年十月開設 第八回商業会議所聯合会議事速記録 第八五頁 刊(DK220039k-0002)
第22巻 p.487 ページ画像

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会議事速記録  第八五頁 刊
    ○第二日
明治三十二年十月十二日午前十時五十分開議
  出席委員     五十六名 ○氏名略
○上略
○会長(東京、渋沢栄一君) 昨日会議ノ御請求ニ依ツテ、此商業会議所条例ノ改正案ト云フモノハ先頃大坂ニ御開キニナリマシタ委員会デ御取調ベニナツタ案デ、ソレヲ是非印刷シタモノヲ皆様ニ御配付スルヤウニト云フコトデ御配付ヲ今朝致シマシテゴザイマス、然ルニ之ヲ一ツノ議題トシタイト云フテ今日御提出ニナリマシタ、其提出ノ方々ハ岡山・箱館・富山・神戸・佐賀・八王子・金沢・広島・松江・鹿児島・熊本・岐阜・静岡・博多・堺・知多ガ提出者、ソレカラ賛成ガ青森・横浜・豊橋・仙台・大坂・京都、此御連名ノナンデ、御提出ニナリマシタカラ其段ヲ御報告仕リマス


明治三十二年十月開設 第八回商業会議所聯合会報告 第五七―六九頁 刊(DK220039k-0003)
第22巻 p.487-492 ページ画像

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会報告  第五七―六九頁 刊
○議案第二十号
    岡山・函館・富山・神戸・水戸・佐賀・八王子・金沢・広島・松江・鹿児島・津・熊本・岐阜・静岡・堺・知多商業会議所提出
    青森・横浜・豊橋・仙台・大阪・京都・博多商業会議所賛成
商業会議所条例改正案
    第一章 総則
第一条 此条例ニ商業者ト称スルハ左ニ掲クル者ヲ謂フ
 一 自己ノ名ヲ以テ商行為ヲ為スヲ業トスル者
 - 第22巻 p.488 -ページ画像 
 二 商行為ヲ為スヲ業トスル合資会社・株式会社・株式合資会社及取引所
 三 商行為ヲ為スヲ業トスル合名会社ノ社員、合資会社ノ無限責任社員、株式会社ノ取締役、株式合資会社ノ無限責任社員、取引所ノ理事長・理事
 四 商行為ヲ為スヲ業トスル会社及取引所ノ支配人
第二条 商業会議所ノ認立区域《(設)》ハ市町村ノ区域ニ依ル
  但土地商業ノ情況ニ由リ数市町村ノ区域ヲ聯合シテ、其地ニ一会議所ヲ設立スルコトヲ得
第三条 商業会議所ハ法人トシテ財産ヲ所有スルモノトス
    第二章 設立
第四条 商業会議所ヲ設立セントスルトキハ、本条例ノ定ムル所ニ依リ其地ノ商業者中会員タルヲ得ヘキ者二十名以上発起人トナリ、地方長官ヲ経由シ農商務大臣ノ認可ヲ請フヘシ
  但設立地ノ区域数市町村ニ亘ルトキハ、各市町村ニ於テ発起人アルコトヲ要ス
 地方長官ハ前項ノ申請ヲ受ケタルトキハ、郡若クハ市参事会ニ諮問シ其意見ヲ徴シ、尚ホ自己ノ意見ヲ添ヘ農商務大臣ニ進達スヘシ
第五条 商業会議所設立ノ認可申請書ニハ、左ノ事項ヲ記載シ、発起人連署スヘシ
 一 会議所名称・位置
 二 設立地ノ区域
 三 会員ノ定数
 四 区域内ノ商業者中会員ノ選挙権ヲ有スル者、被選挙権ヲ有スル者ノ数
第六条 発起人商業会議所設立ノ認可ヲ得タルトキハ、其旨ヲ設立地ノ商業者ニ広告シ、認可ノ日ヨリ三十日以内ニ初回会員選挙規則及創立費予算ヲ編製シ、地方長官ヲ経由シ農商務大臣ノ認可ヲ申請スヘシ
第七条 発起人初回会員選挙規則及創立費予算認可ヲ得タルトキハ、認可ノ日ヨリ三十日以内ニ会員選挙人及被選挙人ノ名簿ヲ一週間公示シ、其他必要ノ書類ヲ添ヘ、其地ノ郡長若クハ市長ニ選挙ノ施行ヲ請求スヘシ
  但会議所設立地ノ区域数市町村ニ亘ルトキハ、会議所ヲ設立スル地ノ郡長若クハ市長ニ請求スヘシ
第八条 郡長若クハ市長ハ前条ノ請求ヲ受ケタルトキハ、十五日以内ニ選挙委員若干名ヲ命シ、少ナクモ十五日以上ノ予告ヲ為シ、日時及場所ヲ定メテ選挙ヲ施行セシムヘシ
第九条 郡長若クハ市長ハ会員ノ選挙ヲ終リタルトキハ、左ノ手続ヲ為スヘシ
 一 当選者ノ通知ヲ為シ、会社・取引所ニハ通知ヲ為スト同時ニ、其代表人ノ氏名届出ヲ命スヘシ
 二 選挙ニ関スル書類ヲ発起人ニ引継クヘシ
 三 当選確定者ノ氏名ヲ発起人ニ通知シ、発起人ヲシテ、十五日以
 - 第22巻 p.489 -ページ画像 
内ニ日時・場所ヲ定メ、会員ヲ召集シテ初回ノ会議ヲ開カシムヘシ
第十条 当選者当選ノ通知ヲ受ケタルトキハ、三日以内ニ其当選ヲ承諾スルヤ否ヤヲ郡長若クハ市長ニ届出ツヘシ、若シ之ヲ辞セントスル者ハ、第十九《(二十)》条第一項又ハ第二項ノ証明書ヲ添ヘ、期日内ニ郡長又ハ市長ニ届出ヘシ
 郡長又ハ市長ハ前項ノ届出アリタルトキハ、其正当ノ理由ナルヤ否ヤヲ判定シ、正当ト認メタルトキハ次点者ヲ当選者トシ、各其旨ヲ通知スヘシ
 期日間ニ前項ノ手続ヲ為サヽル者アルトキハ、次点者ヲ当選者トシ第二十条ヲ適用ス
第十一条 郡長又ハ市長ハ会員選挙ニ関スル異議ヲ裁決ス
第十二条 発起人ハ郡長若クハ市長ヨリ第九条ノ手続アリタルトキハ初回ノ会議ヲ開キ其執行シタル事務ノ報告ヲ為シ、一切ノ書類物件ヲ会議所ニ引継クヘシ
第十三条 会議所ハ発起人ヨリ前条ノ引継ヲ受ケタルトキハ、其日ヨリ三十日以内ニ定款ヲ議決シ、地方長官ヲ経由シ農商務大臣ノ認可ヲ申請クヘシ、其定款ニ規定スヘキ事項左ノ如シ
 一 名称及位置
 二 設立地ノ区域
 三 会員定数
 四 会員選挙規則
 五 役員選挙及其職務権限
 六 庶務規程
 七 議事規則
 八 仲裁規則
 九 公設営造物若クハ其営業所ノ管理規則
 十 会計規則
 十一 基本財産及維持規則
    第三章 組織
第十四条 会議所設立地ニ於テ第一条第一項・第三項・第四項ニ該当シ所得税ヲ納ムル者、並ニ第一条第二項ノ会社及取引所ハ、其会議所会員ノ選挙権ヲ有ス
第十五条 三箇年以上継続シテ会員ノ選挙権ヲ有スル年齢満三十歳以上ノ男子、並ニ会員ノ選挙権ヲ有スル会社及取引所ハ、会員ノ被選挙権ヲ有ス
 会社及取引所ヲ代表スヘキ者ハ、第一条第三項ニ該当スル其社員・役員ニシテ年齢満三十歳以上ノ男子一人ニ限ル
第十六条 左ニ掲クルモノハ会員選挙権及被選挙権ヲ有セス
 一 瘋癩白痴者
 二 禁治産者、準禁治産者
 三 重禁錮一年以上ノ刑ニ処セラレ、又ハ商業及農工業ヲ妨害スル罪、財産ニ対スル罪、風俗ヲ害スル罪、及信用ヲ害スル罪ヲ犯シ、一ケ月以上ノ刑ニ処セラレ、満期後又ハ赦免後三ケ年ヲ経
 - 第22巻 p.490 -ページ画像 
サル者
 四 公権剥奪若クハ停止中ノ者
第十七条 会員ノ数ハ二十名以上五十名以下各会議所ノ定款ヲ以テ定ムヘシ
第十八条 商業会議所ハ其会員中ヨリ左ノ役員ヲ選挙スヘシ
  会頭      一名
  副会頭     一名或ハ二名
  常議員     若干名
 役員ノ選挙方法並ニ常議員ノ員数ハ定款ノ規定スル所ニ依ル
第十九条 会員ハ無給トス、其任期ハ四ケ年トシ、毎二年其半数ヲ改選ス、初回ノ解任者ハ抽籤ヲ以テ定ムヘシ
第二十条 会員当選者ハ、左ニ掲クル者ヲ除クノ外、会議所ノ議決ヲ経スシテ其就職ヲ辞シ又ハ任期中辞職スルコトヲ得ス
 一 疾病若クハ老衰ニ依リ職務ニ堪ヘサルコトヲ証明スル者
 二 営業ノ為メ常ニ会議所設立地ニ住居スル能ハサルコトヲ証明スル者
第二十一条 前条ノ規定ニ依ルニ非スシテ会員ノ職ヲ辞スル者ハ、会議所ノ議決ヲ以テ弐百円以下ノ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第二十二条 会員資格消滅又ハ辞任ニヨリ其闕員数会員定数五分ノ一ニ至ルマテハ、会議所ノ議決ヲ以テ補闕選挙ヲ行ハサルコトヲ得
 補闕員会員定数三分ノ一以上ニ及ヒタルトキハ、三ケ月以内ニ其選挙ヲ行フヘシ
 補闕選挙ノ場合ニ於テ当選シタル会員ノ任期ハ、先任者ノ残余期間トス
第二十三条 第十九条及前条補闕選挙ハ、会議所ノ請求ニ依リ、郡長又ハ市長ハ選挙委員若干名ヲ命シ、日時及場所ヲ定メテ施行セシム可シ、其費用ハ会議所ノ負担トス
第二十四条 会議所ハ、其議決ニヨリ会員定数ノ五分ノ一ヨリ多カラサル特別会員ヲ置キ、会議ニ参列セシムルコトヲ得
 特別会員ノ資格ハ、学術技芸若クハ商業上ノ経験アルモノタルヘシ
  但特別会員ハ其議決ニ加フルコトヲ得ス
第二十五条 第十三《(四)》条及第十四《(五)》条ニ掲ケタル会員ノ選挙権及被選挙権ニ関スル財産上ノ資格ニ付テハ、農商務大臣ハ地方ノ情況ニ依リ所得税額又ハ会社・取引所資本額ニ基キ特ニ之ヲ規定スルコトヲ得
 所得税法第二十九条但書ニ掲ケタル地方ニ在リテハ、農商務大臣ハ所得税ニ代フルニ他ノ税ヲ以テシ、且ツ其税額ニ基キ財産上ノ資格ヲ定ムルコトヲ得
    第四章 商業会議所ノ任務
第二十六条 商業会議所ノ任務左ノ如シ
 一 商工業ノ発達ヲ図リ、若クハ其衰退ヲ防クニ必要ナル方案ヲ議定シ、其意見ヲ官庁其他ニ開申スルコト
 二 商工業又ハ財政ニ関スル制度ノ創定・改廃及施行方法ニ付キ意見ヲ官庁其他ニ開申シ、且商工業上ノ利害ニ関スル意見ヲ官庁其他ニ表示スルコト
 - 第22巻 p.491 -ページ画像 
 三 仲立人ノ資格・員数及手数料ヲ審査スルコト
 四 区域内ニ在ル商工業組合ヲ監督スルコト
 五 商工業ノ景況及其統計ヲ官庁其他ニ報告スルコト
 六 官庁其他ノ諮問ニ応シ商工業ニ関スル事項ニ付キ意見ヲ答申スルコト
 七 法律・命令・諸条規若クハ官庁其他ノ委任ニ依リ、其地ノ公設営業所仲立人組合及商業用ニ属スル諸建造物ヲ管理スルコト
 八 関係人ノ請求ニ依リ其地ノ商業ニ関スル紛議ヲ仲裁スルコト
 九 他ノ委嘱ヲ受ケ商工業ニ関スル事項ヲ調査報告スルコト
第二十七条 左ノ事項ニ付テハ、政府ハ商業会議所ノ意見ヲ徴スルコトヲ要ス
 一 商工業上ノ習慣ニ関スル法令ノ制定、若クハ廃止ノ件
 二 商業会議所設立地ニ於テ諸商品取引所新設並ニ既設取引所紛議ノ件
 三 重要輸出品組合法ニ依ル組合新設ノ件
 四 商業会議所設立地ニ於テ官許運搬事業ニ関スル運賃及規則ノ件
  但設立地域外ニ在ルモ其設立地ニ利害ヲ及ホスヘキモノアルトキハ亦同シ
第二十八条 商業会議所ハ第二十六条第八項・第九項ノ場合ニ於テハ其関係人又ハ委嘱人ヨリ、相当ノ手数料ヲ徴収スルコトヲ得
    第五章 経費
第二十九条 商業会議所ノ経費ハ会員ノ選挙権ヲ有スル者ヨリ徴収ス
 其方法ハ会議所ノ議決ヲ以テ地方長官ヲ経由シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
 経費ヲ納期ニ納メサル者アルトキハ、其地ノ地方税収入役ニ委託シテ之ヲ徴収スルコトヲ得、収入役ノ督促ヲ受クルモ尚ホ経費ヲ納メサル者ハ、収入役ノ告発ニ依リ四ケ年以上八ケ年以下会員ノ選挙権及被選挙権ヲ停止シ、尚ホ弐百円以下ノ過料ニ処ス
第三十条 商業会議所ノ経費ハ政府ノ会計年度ニ依リ其二ケ月前予算ヲ議定シ、地方長官ヲ経由シテ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第三十一条 商業会議所経費ノ決算ハ、会計年度経過後六ケ月以内ニ議決ヲ経テ、財産明細表ヲ添ヘ、地方長官ヲ経由シ農商務大臣ニ達進スヘシ
    第六章 商業会議所聯合会
第三十二条 各商業会議所ハ其三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ商業会議所聯合会ヲ設立スルコトヲ得
第三十三条 商業会議所聯合会ハ、各商業会議所ヨリ選出セシ会員ヲ以テ之ヲ組織ス
 商業会議所聯合会々員タルニハ各商業会議所会員又ハ特別会員ニ限ル
 商業会議所聯合会々員ニシテ、各商業会議所会員又ハ特別会員ノ資格ヲ失ヒタル者ハ、之ト同時ニ商業会議所聯合会々員ノ資格ヲ失フモノトス
第三十四条 各商業会議所ヨリ選出スヘキ商業会議所聯合会々員数ハ
 - 第22巻 p.492 -ページ画像 
其設立区域内ノ人口十万未満ハ一人、十万以上二十万未満ハ二人、二十万以上三十万未満ハ三人、三十万以上五十万未満ハ四人、五十万以上ハ五人トス
第三十五条 各商業会議所ノ会員及特別会員ハ、商業会議所聯合会ニ出席シテ意見ヲ開陳スルコトヲ得
 但決議ノ数ニ加フルコトヲ得ス
第三十六条 商業会議所聯合会ノ権限ハ第二十六条第一項・第二項・第六項ニ掲クル事項トス
  但第一項及第二項ハ一地方ノミノ事項ニ関スルコトヲ得ス
第三十七条 商業会議所聯合会ハ其議決事項ニ付キ其名ヲ以テ政府又ハ其他ニ対シ意見ヲ開申表示スルコトヲ得
第三十八条 商業会議所聯合会ノ経費ハ各商業会議所ヨリ選出スヘキ会員ノ数ヲ標準トシ、各商業会議所ヨリ徴収ス
 経費ヲ納期ニ納メサル商業会議所アルトキハ、商業会議所聯合会ノ決議ヲ以テ四ケ年以下ノ範囲内ニ於テ会員ノ選出権ヲ停止シ、其旨ヲ新聞紙ニ広告スルコトヲ得
第三十九条 商業会議所聯合会ノ経費予算ハ其年度開始前農商務大臣ノ認可ヲ受ケ、其決算ハ年度閉終後六ケ月以内ニ農商務大臣ニ報告スルコトヲ要ス
第四十条 商業会議所聯合会ニ関スル其他ノ事項ハ、聯合会ノ議決ヲ経、定款ヲ以テ之ヲ定メ、農商務大臣ノ認可ヲ得テ施行ス
    第七章 監督
第四十一条 農商務大臣ハ本条例施行ノ責ニ任シ、之カ為メ必要ナル命令ヲ発スヘシ
第四十二条 農商務大臣ハ、会議所其権限ヲ犯シ又ハ商工業上有害ノ行為アリト認メタルトキハ、会議ヲ停止シ、尚ホ其情況ニ依リ役員若クハ会員ノ幾部又ハ全部ノ改選ヲ命スルコトアルヘシ
    附則
第四十三条 本条例ハ明治三十二年  月  日ヨリ施行ス
第四十四条 商業会議所会員ハ本条例ノ改正ニ依リ被選ノ資格ニ異動ヲ生スルモ、任期中ハ其職ヲ失ハサルモノトス


明治三十二年十月開設 第八回商業会議所聯合会議事速記録 第一六〇―一六二頁 刊(DK220039k-0004)
第22巻 p.492-493 ページ画像

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会議事速記録  第一六〇―一六二頁 刊
    ○第三日
明治三十二年十月十三日午前十時三十分開議
  出席委員     五十四名 ○氏名略
○上略
○会長(東京、渋沢栄一君) ○中略 デハ此商業会議所条例ヲ爰ニ議題ト致シマシテ是ニ対シテモウ一応ノ議事ヲ御進メ遊バスヤウニナスツタラ宜カロウト考ヘマス、第十二号ヲ議題ト致シマス
○三十番(博多、小河久四郎君) 此十二号議案提出者デゴザイマス、昨日御廻シニナリマシタ条例改正ハ大体ノ条例改正第一項ハ、既ニ昨日御廻ハシニナリマシタ改正案ト同意味デゴザイマス、第二項・第三項丈ケハ全ク別ナモノデアリマス、是ガ第一項丈ケハ提出者自ラ撤回
 - 第22巻 p.493 -ページ画像 
シマスカラ、二項・三項丈ケハ大体ノ改正案ノ御審議ニナルトキニ一度ニ御掛ケ下サルヤウニ致シタイ
○六十二番(東京、中野武営君) 此十二号ト二十号トヲ今合セテ議シマスコトニナリマセウガ、之ニ付テ是非之ハ商法ノ改正ニナリマシタ結果トシテ、今ノ商業会議所条例ノ中直サンナラヌ所ノ必要ガアルニ相違アリマセヌ、分リ切ツテ居ルノモアルノデゴザイマスガ、マダ其外是マデノ精神ヨリモマア少シ広クスルトカ色々何ニモゴザイマセウガ、実ハ今日ノ議ニ上リマスダラウト私ハ考ヘマシテ、農商務省ノ方ヘ相談ヲ致シテ商工局長ニモ打合セヲ致シタノデアリマスガ、目下同省ニテ御調ベニナツテ居、又此案ニ付テノ意見ヲ云フコトハ出テ云フト云フコトデアツタノデ、商工局長ニモ只今マデ出ラレテ居リマシタガ、何カ今日ハ忙シイ事ガアツテサウ長ク爰ニ居レナイト云フコトデアリマシテ、其意蓋シ之ヲ議ス時分ニドウゾ自分ノ意見モ言ヒ出シ、又意見モ聞キタイト云フ御望ミガアツタト思ヒマス、今日是非議サンケレバナラヌケレバ兎モ角モ、明日ナレバト云フコトデゴザイマシタガ、明日ハ既ニ今申上ゲタコトニナツテ、明日ハ本会ハ開カヌト云フコトニナツテ、成ルベク承諾ヲ致シタノデアルガ、望ミヲ達スルコトガ出来マセヌデ帰ラレタ、爰ノ所デ議シテ見テモ是非此分ハ委員附託ニナサランケレバナラヌ問題ダラウト思フノデゴザイマスカラ、爰ノ所デ余リ議ヲ闘ハシテドウ斯ウト言ヒマスルヨリモ、一応私ハ爰ニ建議致シテ、九名ノ委員ヲ置イテ其委員ニ附託シテ丁重ニ御調査ニナツタ方ガ手廻シガ宜カラウカ、サウシテ其間ニ商工局長ニモ打合セモ出来ルダラウト思ヒマス、又其時分ニ商工局長ノ意見ヲ御質シニナツテモ宜イト考ヘマスカラ、委員ヲ此際ニ御設ケニナルコトヲ建議致シマス、サウシテ委員ハ会長ノ指名ニ致シマス
○三番(知多、天野伊左衛門君) 六十二番ニ賛成致シマス
○十三番(神戸、横田孝史君) 此商業会議所条例改正案ニ付キマシテ予テ多少ノ意見ヲ持ツテ居ルモノデアリマスガ、既ニ昨日ノ提案ノミナラズ、此第十二号ハ博多商業会議所カラノ提出案モアリ、一案デゴザイマセヌカラシテ、矢張リ六十二番ノ申サルヽ如ク委員付託ノ方ガ寧ロ進行上便宜ヲ得ルダラウト考ヘマス
○会長(東京、渋沢栄一君) 六十二番ノ此商業会議所改正案ニ対シテ委員付託論ハ段々御賛成モゴザイマス、且十二号ト二十号トガ大分異ツテ居ル所モゴザイマスガ同ジ趣意ナル議案デゴザイマス、サウ致シマスレバ此委員付託説ヲ以テ採決致シテ宜カラウト考ヘマス、六十二番ノ御説ハ此十二号ト二十号ヲ併セテ九名ノ委員ニ付託シタイ、其九名ノ委員ハ議長指名ニ致シタイト云フ此六十二番ノ御説ニ御同意ノ御方ハ御起立ヲ……
  起立者  満場
○会長(東京、渋沢栄一君) 満場一致デ……


明治三十二年十月開設 第八回商業会議所聯合会議事速記録 第一七三―二三一頁 刊(DK220039k-0005)
第22巻 p.493-510 ページ画像

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会議事速記録 第一七三―二三一頁 刊
    ○第四日
明治三十二年十月十六日午前十時二十分開議
 - 第22巻 p.494 -ページ画像 
  出席委員     四十七名 ○氏名略
○副会長(東京、中野武営君) 会長ガ差支ガアリマスカラ私ガ代理ヲ致シマス、議事ニ先立ツテ商工局長ノ出席ガゴザイマシタカラ一応御紹介ヲ申上ゲマス、商工局長ノ木内重四郎君ヲ御紹介申シマス
○商工局長(木内重四郎君) ○中略 ソレカラ序ニ商業会議所条例ノコトニ付テ自分ノ考丈ケヲ申上ゲテ置キマセウ、現行ノ商業会議所条例ハ完全ナモノデアルカ、将来ニ於テ改正ヲセズニ此儘置イテモ宜シイカト申シマスレバ、決シテサウデナイ、随分欠点モアルコトト私ハ信ジテ居リマス、又自分ノ知ラナイ所ニモ欠点ガアルカモ知レマセヌ、極ク大体カラ申シマスルト、商業会議所条例ハ公法ナリ、商業会議所ハ公法人ナリト私ハ信ジテ居リマス、併シ之ニハ反対説ガアツテ、今日マデハマダ解釈ガ一定セヌト云フ有様デアリマス、コレモ畢竟規程ノ完全ナラザル為デアリマセウ
又組織及選挙ニ付テモ、現今ノ規程ノ下デハ、各地ノ実業家中ヨリ適当ナル代表者ガ選出セラルヽニ於テ故障ガナキヤ否ヤ頗ル疑ガアリマス、東京抔ニ於テハ会員ノ選挙ニ関シ随分聞苦シキ風聞ヲ耳ニ致シマスルガ、此等モ主トシテ選挙方法ガ実際ニ適切ナラザル為デアラウカト思ヒマス
又会議所ノ権限ニ付テモ現行ノ規程デハ実際ニ適切ナラザルモノモ見ヘテ居ルヤウニ思ヒマス、是等ノ事モ深ク研究シナケレバナラヌト思ヒマス
次ニ経費徴収ノコト、之モ強制徴収ノ趣旨デハアリマセウガ、市町村ノ如キ完全ノ発達ヲ為シテ居ル自治体ト同様ニ、国税滞納処分法ニ依ルト云フ規程ハ見ヘテ居リマセス、現今ノ実際ニ於テハ、民事裁判所ニ訴ヘテ経費ノ滞納者カラ要求スルト云フ手続ニ致シテ居リマスガ、此等モ其主義ヲ一定シ、規程ヲ明白ニスル必要ガアリマス
此等ハ要スルニ条例其モノガ完全デナイ所以デアリマスガ、扨如何ニ改正スベキカト云フ問題ニナルト容易ニ断定ハ下シカネマス、元来之ハ日本ニ例ノナイ話デ、先達テ渋沢サンガ帝国ホテルデ演説セラレタ通リデアリマスカラ、極ク新シイ発生ノモノデ、此条例モ殆ンド仏蘭西ノ真似ヲシタカト思ハレマスガ、全然其通リニ出来テ居ルト云フデモアリマセヌ、改正スルニ付テハ、仏蘭西ナリ、独逸ナリ、若クハ英吉利ナリ、亜米利加ナリ、此等欧米先進国ノ現在ノ実際ノ有様及既往ノ発達ノ有様ヲ参考ニシナケレバナラヌト思ヒマス、従ツテ此条例丈ケヲ見テ、他国ノ様子ヲ少シモ見ズニ、其所ガ悪ルイ此所ガ悪ルイト云フダケデハ完全ナル修正デハナカラウト思ヒマス、従ツテ私ハ外国ノ例ヲ取調ベヤウト思ヒマスガ、本省ニ従来アルノハ陳腐殆ンド用ヲ為サヌ――ト云フノハ余リ酷スギルカ知レヌガ――サウ云フ気味合ガアルノデ、在外ノ公使館ニ注文ヲシテ取寄スルコトニ昨年カラシテ居ルニモ拘ラズ、中々返事シテ呉レヌニハ困却シテ居リマス、依テ他ノ方法ヲ以テ此等ノ材料ヲ集ムルコトニ努メテ居リマス、サウシテ充分材料ガ集ツタ所デ、ソレ等ヲ彼此対照シテ更ニ考ヲ付ケテ後ニ案ヲ拵ヘタナラバ、重ネテ皆様ノ前ニ提出シテ御相談ヲスルコトガアルカモ知レマセヌガ、今急ノコトデハアリマセヌ
 - 第22巻 p.495 -ページ画像 
若シ今直チニ改正シナケレバ立トコロニ少シモ動キノ取レヌモノガアルナラバ、ソレコソスグニ改正スルノ必要モアリマセウガ、今日ノ所デハ左様ナル廉ハアリマセヌ、此度御会同ノ席上ニ於テモ何所ヤラノ会議所カラ、選挙権及被選挙権ノ資格ニ付テ新商法ノ規定ニ改メヤウト云フ改正案ガ出テ居ルヤウデアリマスガ、是等モ絶対的ニ悪ルイトハ言ハヌガ、此改正ガナクトモ条例ハ依然働イテ居ルノデス、ソレハ商法施行法ノ第三条ニ「特別ノ法令中、旧商法ノ規定ニ依ルベキモノト定メタル場合ニ付テハ、旧商法ハ商法施行ノ後ト雖モ仍ホ効力ヲ存ス」トシテアリマスカラ、商業会議所条例ニ在ル旧商法ノ規定ハ当然効力ガアルノデスカラ、改正ヲシナケレバ動カヌト云フノデハナイ、但シ立法論トシテ、旧商法ニ規定シテ在ル者ヨリモ新商法ニ規定シテアル者ヲ資格者トスル方ガ、事実上宜イト云フ方ノ論ナレバ承ツテ置テ宜イ、併シナガラ立法論トナルト、果シテソレガ事実ニ適当スルヤ否ヤ、如何ナル者ヲ資格者ト定ムルガ宜シキヤ、深ク講究ヲ要スルコトデアリマス
ソレカラ第十九条ノ過料ノコトニ付テモ改正ノ案ガ出テ居リマスガ、是モ非訟事件手続法ニ依ルト云フコトヲ、明文ヲ以テ規定シナケレバ拠レナイデハナイカト云フ懸念ノ為ニ改正案ガ出タト思ヒマス、併シナガラ此過料ト云フモノガドウ云フ所デ処分スルノデアルカ、単ニ学者論トスルハ会議所ニ於テ処分スルモノナリトノ議論モアリマセウ、農商務大臣ノ処分スルモノナリトノ議論モアリマセウ、併シナガラ従来ノ実例ハサウデナクテ、裁判所ニ訴ヘテ裁判所ノ命令デ過料ニ処セラレテ居リマス、此過料処分ハ勿論刑事事項デハナイ、刑事デナケレバ民事デアルカ、民事デモナク刑事デモナケレバ非訟事件デアラウ、然ルニ非訟事件手続法ニハ民事ノ非訟事件、ソレカラ商事ノ非訟事件ト云フ事ニナツテ居ツテ、商業会議所条例ノ如キ特別ノ法律ノ下ニ規定シテアツタモノハ、明文ガナケレバ現行ノ非訟事件手続法ニ依ルコトハ出来ヌ、然ラバ過料ヲ処スル途ハナキカト云フニ実際ニ於テハ差支ナク処分シテ居ル、実例ハ石川県ノ金沢ニ起リマシタガ、爾後裁判所ハ手続法ノ明白ナラザルニ拘ハラズ過料ノ処分ヲ致シテ居ツテ、事実上今日急ニ差支ガアルト云フ次第デハアリマセヌ
然ラバ現行ノ条例ハ完全ナリヤト問ハバ、無論不完全ナリ、無論欠点ガ多イニ違ヒナイ、併シナガラ如何ニ改正シタナラバ宜カラウト云フコトハ一大問題デアル、是等ノ事ハ何レ大改正ヲスルトキニ譲ツテ宜イカラ、今日急ニ改正ヲ主張スル必要ハナカラウト思ヒマス、御参考マデニ申上ゲマス
○中略
○副会長(東京、中野武営君) 局長ノ御出デゴザイマスカラ、実ハ此委員会ヲ今置イテ審議中ナンデ一昨日一回致シマシタガ、兎モ角モ今日ハ貴君方ノ御臨席ノ上、商業会議所ノ条例ノ将来ニ改正ヲナサルト云フヤウナ御方針ノコトノ御話ガアルト云フコトヲ承ツテ居リマシタカラ、先ツソレ等ヲ能ク確メタ以上尚ホ委員会ヲ開カウト申スコトデ一昨日ハ済ンデ居ツタノデ、大体今ノ御演説デ御方針モ分ツタヨウデアリマスガ、要スルニマア廉ヲ分チテ申スト、本年ノ帝国議会ニ改正
 - 第22巻 p.496 -ページ画像 
案ヲ御提出ナサルト云フコトハナイコトデゴザイマスカ
○商工局長(木内重四郎君) 今提出スル考ハアリマセヌ
○副会長(東京、中野武営君) 此商業会議所条例トシテ何処カノ箇条ニ触レテ、是非一箇条デモ此法律ヲ其儘置ケナイト云フヤウナ廉デモアツテ……
○商工局長(木内重四郎君) ソレガアレバ無論出サナケレバナリマセヌガ、ソレハナイ、ソレカラ尚ホ続テ申上ゲテ宜シケレバ今カラ申上ゲテ御相談ヲ願ヒマスノハ、之ハ将来ノ材料ニナルマデ、現在直グニ極メナケレバナラヌト云フ問題デハアリマセヌガ、商業会議所条例ニ於テハ納税ノ資格ガ定メテアリマシテ、所得税ト云フ事ニナツテ居ルノヲ、所得税デハイカヌ、営業税ノ方ガ適当デアルト云フ議論モ或会議所カラ出タヤウデアリマスガ、ソレハ果シテ営業税ニ改メルガ宜イカ若クハ他ニ適当ナ納税資格ガアルカドウカ、又営業税ニ改メルナラバ其方法ハドウスルカト云フヤウナコトニ付テ御意見ヲ承リタイノデアリマス、ソレカラモウ一ツハ選挙方法デアリマス、是ハ東京商業会議所ナドデハ余程困難ヲシテ居ルヤウニ伝聞致シマスガ、法律ノ規定ヲ改メテ選挙方法ヲ改正スベキカ、若クハ商業会議所ノ定款ニ一任スベキカ、又其選挙方法ハ幾ラモアル、或ハ複選モアリマセウ、又業体ニ依テ区別スルト云フコトモデキマセウ、或ハ地区ニ依テ区別スルコトモデキルカモ知レマセヌ、或ハ経費ノ負担ノ差等ニ依ツテ市会議員ヲ三等ニ別ツガ如キ方法モアリマセウ、其他単記トカ聯記トカ制限聯記トカ、選挙方法モ色々アリマセウ、各地ノ状況ニ依ツテ一様デアリマスマイガ、大凡ドウ云フ御意見ガアルカ御参考ノタメニ伺ツテ置キタイト思ヒマス
○副会長(東京、中野武営君) 議会ノ政府委員ト云フ訳デハアリマセヌガ、何カ此事ニ付キマシテ会員中ヨリ伺ヒマスコトガゴザイマシタナラバ御差支ナイ限リ御聴キ下サイマスルヤウニ、会議体ニシテ御尋ネスルコトニ致シマスカラ、左様
○商工局長(木内重四郎君) ハイ
○副会長(東京、中野武営君) 諸君、此商業会議所条例ガ此会ノ問題トナツテ今委員ヲ置カレテ調査中デアリマスガ、幸ニ局長ガ御臨席ニナツテ只今大体ノ御方針ヲ御示シ下スツタノデアリマスガ、尚ホ此以上御考ノアル廉等ヲ仰ツシヤツテサウシテ御差支ノナイ限リ御示シヲ得テ置キマシタナラバ、之ヲ調査シマス上ニ便利デモアルシ、心得ニナルコトト考ヘマスルデ、今局長ニ御願申シテ置キマシタカラ、何カ御尋ノコト又御意見アルコトヲ仰ツシヤツテ宜ウゴザイマス
○十七番(阿波、根本民治君) 唯今局長ノ御話ニ依ツテ略ホ了承ハ致シマシタガ、詰リ此条例ノ改正ト云フコトハ欧米各国等ヘ御照会中デシテ、トテモ今年ノ帝国議会ナリ又来年ノ帝国議会迄ニハ是等ノ事ハ御取調ベガ出来ヌト云フ御考デアリマスカ、尚其期限ト云フコトニ付テモ今日ニ於テ局長ハ御見込ガ付カヌ、即チ御取調中デアルカラ其期ハ分ラヌト見テ宜イノデスカ
○商工局長(木内重四郎君) ソレハ無論怠慢ニシテ居ル訳デハアリマセヌ、急イデ居リマスガ、併シ急イデ改正シナケレバ行キ詰ツタト云
 - 第22巻 p.497 -ページ画像 
フ事柄デモナイ、又斯ウシタイト吾々ガ深ク考ヘ、アナタ方ガ深ク主張スル問題モナイノデアリマスカラ、是ハドウモ善クナイ法律デアルカラモウ少シ善クシナケレバナラヌト云フコトデ、何日迄ニ改正シナケレバナラヌト日ヲ期シテ改正スルノ必要ハ認メヌノデアリマス、併シナガライツ迄モ訳ガ分ラヌト云フコトデハナイ、適当ナ調査ガ出来必要ノ時機ガ来タナラバ提出シヤウト思ヒマス
○五番(水戸、塙七平君) 五番ハ一ツ伺ツテ置キマスガ、五番ハ此水戸デゴザイマスガ、茨城県デハ既ニ江木千之君ノ時ニ続々商業会議所ガ生レ出シテ、今日四ケ所ノ商業会議所ヲ有シテ居リマスガ、早ク申スト茨城県デハソレダケ商業会議所ノ必要ガナイト云フヤウナ有様ニナツテ居ルニ拘ラズ、数箇所ニ商業会議所ガアリナガラ誠ニ微々タルモノヲ拵ヘテ今ヤ殆ンド持余シテ居ルト云フ訳デアルノデス、然ルニ此改正案ノ第二条ニ「土地商業ノ情況ニ由リ数市町村ノ区域ヲ聯合シテ其地ニ一会議所ヲ設立スルコトヲ得」ト斯ウアリマシテ、是ガ改正案ノ希望デゴザイマスケレドモ、斯ウ云フコトガ出来マスルコトニナルト、茨城県ノ水戸市ガ一ノ発起人ニナツテ、石岡・太田・湊、斯ウ云フモノヲ集メテ一ノ商業会議所ト云フモノヲ作リ得ルヤ否ヤ、サウシテ斯ウ云フモノヲ一ツニ集メテ石岡ニ十人、太田ニ十人、湊ニ十人水戸ニ二十人ト云フヤウナ会員ヲ選出シテ、其会員ニ付テハ矢張県会議員ノヤウナ資格ヲ持タシテ、会議所ガ其会員ニ対シテ旅費日当ヲ給シテヤルト云フヤウナコトヲシテモ、現行法律デモ決シテ差支ガナイデゴザイマセウカ、ソレヲ一ツ伺ヒタイ
○商工局長(木内重四郎君) 改正案ノ二条ニ付テノ御質問ニ対シテハ私ハ御答ヘヲスルコトハ出来マセヌガ、御尋ノ事ハ現行ノ省令ニ規定ガアリマスカラ御答ヲ致シマセウ、水戸商業会議所ニ、太田ナリ、石岡ナリヲ合併スルト云フコトハ出来マセヌ、何町トカ何市トカ其隣ノ町ガ接続シテ居ルモノヲ一緒ニスルト云フ場合ハ宜ウゴザイマスガ、五里モ三里モ距ツテ居ル所ノモノヲ合併スルト云フコトハ出来マセヌ従ツテ旅費日当ノコトモ御了解ニナツタト思ヒマス
○十七番(阿波、根本民治君) 先刻段々御説明ガゴザイマシタガ尚伺ヒタイノハ、仮リニ此商業会議所条例ノ改正ヲスルト云フナラバ、商業会議所ノ所謂職務権限ト云フモノハ今日ノ条例ニ示シタモノヨリモ尚一層権利ヲ与ヘルト云フヤウナ御見込ガアルノデアリマセウカ、其辺ニ付テハ其筋ニ於テ御見込ガゴザイマセヌノデスカ、先刻ノ御演説ハ甚ダ了解シ兼マシタ
○商工局長(木内重四郎君) ソレ等ニ付テハ明カニ申上ゲラレマセヌ権限ヲ与ヘルトカ縮メルトカ云フヤウナコトハ口デ言フダケデハ当ニナリマセヌ、唯漠然ト将来権限ヲ与ヘルカ与ヘヌカト云フヤウナコトハ無益ナル質問トナリハセヌカト思ヒマス、又商業会議所ノ権限ガ広過ギルトカ狭過ギルトカ云フコトハ、各自御意見モアリマセウガ、マダ勘考中デアリマスカラ今ドウスルカト云フ明言ハ出来マセヌ
○五番(水戸、塙七平君) 五番ハ尚伺ヒマスガ、只今商工局長ノ御演説ニ依リマスルト、各国ノ商業会議所ノ例ヲ取ツテ御調査中デアルト云フコトデゴザイマスガ、サウ云フコトニナルト予メ伺ツテ置キタイ
 - 第22巻 p.498 -ページ画像 
ノハ、ソレガ出来上ツタ上ハ全国ノ商業会議所ヘ御諮問下サルヤウニナリマスカドウデセウ
○商工局長(木内重四郎君) ソレ等ハ御約束ハ出来マセヌガ、成ルベクヤリタイト思ツテ居リマス、併シ私ガ此職務ニ居ルカ居ラヌカ分ラヌ、イツ役人ヲ罷メラレルカ分リマセヌカラ当テニハナリマセヌ
○十八番(京都、大沢善助君) 今局長カラ御希望ニナリマシタ諸点ニ付キマシテハ、尚取調ヲ致シマスル点モアリ、既ニ腹案ヲ持ツテ居ルヤウナ事モアリマスガ、是ハ別段ニ書面ヲ以テデモ参考ニ供スル手続ニシテモ宜イノデス、デ抑モ此商業会議所聯合会ニ於テ始終条例ノ改正ト云フコトガ出ルト云フノハ大ニ其原因ガアルデアラウ、デ今局長ガ御話ノアツタ通リ、今ノ条例デアルカラドウ云フ差支ガアルトカドウ云フ不自由ガアルトカ云フ事柄デナクシテ、此農商務省ガ商業会議所ヲ見ルコト又商業会議所ニ対シテ施行スル所ノ方法ガ色々ニナツテ出テ参ルト云フ事ハ、農商務省ガ会議所ヲ見ルコトガドウ云フ風ニ思ウテ居ルデアラウカト云フ事ヲ示シ、ソレデソレヲバ文章デ極メテシマハウト云フ諸君ノ御意向デアラウト思フ、私等ノ京都アタリノ田舎カラ見レバドウナサツテモ一向構ヒハ致シマセヌ、自分ノ方ニ先刻モ御話モアツタ通リ、商工業興振ノ策ガアレバ農商務省ガ向イテ呉レナクテモ宜イ、併シナガラ実際ヤツテ見レバ其反対ガ始終起ルト云フノハ変ダ、一例ヲ申シマスレバ、商況視察トカ云フ人間ヲ選ム場合ニデモ、政府ハ一体ドウ云フ手続ヲナサルカ存ジマセヌガ、全国カラピヨイピヨイト勝手ニ御選リニナル、ソレカラ次ニ昨年デゴザイマシタガ支那ヘ視察員ヲ遣ルト云フ時分ニ、会議所ヘ持ツテ来テ誰カ出セト云フコトデゴザイマシタ、ソレハソウ仰ツシヤツテ下サルコトハ会議所ニ取ツテハ満足デゴザイマス、十分好イ人ヲ出シテ商工業一般ニ利益ヲ与ヘルト云フヤウナ思想ノアル人ヲ出シタイ、所ガソレガドウ云ウ風ニナツテ来ルカト云ヘバ、三十日前ニ出テ来ル、ソレカラ会議所デ相談ヲシテヤル、仮リニ私ガ其選ニ当ツテ私ガ喜ンデ取ツテ頂キタイト申シタ所ガ、扨三十日ト六十日ト留守ニナルコトニナリマスレバ、自分ノ商売ヲ其間抜カヌナラヌト云フ訳デアリマスカラ、サウ宜ウゴザイマスト云ツテ御受合ヲスルコトハ出来ナイ、サウスルト其時ニ余リ利益ノアル人ヲヤルコトガ出来ナイト云フ結果ニナル、甚ダ素面デスケレドモ終ニ会議所ノ書記ガ往クヤウナコトニナツテシマウ、サウスルト貰ウタノヤラ貰ハヌノヤラ一向分ラヌ、ソレカラ又其後伊太利ヘ遣ル人間ヲ市長ニ命令シテ市長ニ選メト云フコトニナツタ、今年ハ会議所ニ人選ヲ命ジ明年ハ市ニ選メト云フ訳デ、其時々ノ手加減ニ依ツテ方々ヘ持ツテ往ク、サウ云フ次第デアルカラ、農商務省ハ商業会議所ヲドウ見テ居ルカ疑ヲ有ツテ居ルノデアリマス、先刻長々ト御演説ガアリマシテ私共一々御賛成デアリマスガ、今日実際ニ依ツテ見ルト妙ナコトニナリマスカラ、折角力ヲ入レテ居ルノガ、チヨツト抜ケテシマウヤウナ気味ガアルノデアリマス、此処ヘ御臨席ニナツテ居ルノハ一体ドウ云フ御考デ出テ来ラレマスカ、マルデ御厚意デ折々チヨツト来ルト云フヤウナコトデ、サウ云フコトガ多分色々疑ヲ有ツテ居ル原因デアラウト思フノデアリマス
 - 第22巻 p.499 -ページ画像 
○商工局長(木内重四郎君) 御答致シマスガ、ソレハ御注意ト云フコトナラバ謹ンデ拝聴致シテ置キマス、将来ノ参考ニナルコトダラウト思ヒマス、ソレカラ先達伊太利ヘ人ヲ派遣スルニ付テ言ツテヤツタノハ府県知事ヘ申シテヤツタノデアリマス、市長ニ言ツテヤツタノデハアリマセヌ、京都カラ何人、福井カラ何人、群馬カラ何人、栃木カラ何人ト云フ工合ニ致シマシタユヘ、其人選ヲ知事ニ言ツテヤツタノデス、デ知事ガ、或ハ商業会議所ヘ相談セズニ、市役所ニ言ツテヤツタカ知レマセヌガ、ソコ迄コチラデハ調ベマセズ、ソレカラ支那行キノ人ノ事ニ付テ御話ガアリマシタガ、アレハ私ハ知ラヌノデス、併シ自分ガ知ラヌト云フテ逃ゲル訳デハアリマセヌ、サウ云フコトガアツタカモ知レマセヌガ、急ニ極メタカラ急ニ注文シタンデセウ、ズーツト前カラ、六十日ナリ九十日ナリ前カラサウ云フ事ガ極マツテ居レハ宜ウゴザイマスガ、サウ早ク膳立ハ出来ヌノデアリマス、併シ是カラ成ルベク便利ヲ計ルヤウニ務メマス、サウ云フヤウナ些細ナ事ニ付テ御注意ハ忝ウゴザイマスガ、其タメニ条例改正ト云フコトニドウ云フ関係ガアルカ私ハ解シ兼ネマス、総テ商業会議所ニ諮問セヨ、商業会議所デ議決シタ通リニ必ズセヨト云フノデ、恰モ市長ノ仕事ヲ市参事会ノスル如クセヨト云フコトデアルナラバ、私ハ反対ヲ致シマス、ソレナラバ寧ロ商業会議所ノ聯合会ヲ以テ農商務省ノ政務ヲサセテ宜イノデアリマス、アナタノ御注文ハソコニアルノデゴザイマスカ、併シコレハ強テ御尋ネ申ス訳デハゴザイマセヌガ……
○十八番(京都、大沢善助君) 私ノ御尋ネシタノハ条例ト云フモノニ付テ――農商務省ガ商工業ニ関スル事柄ニ付テ、或場合ニ必要ノ事有益ノ事ヲ商業会議所ニ諮問ナサルトカ、若クハ人選ノ事ナドヲ御任セニナルト云フ御方針デアルナラバ、イツモサウ云フコトニシテ貰ヒタイト思ツテ居リマスカラ……
○商工局長(木内重四郎君) 参考ニ承ツテ置キマス
○十一番(名古屋、鈴木摠兵衛君) 商工局長ニ伺ヒタイ事ハ、此改正案ノ第二十七条ノ事項ハ商工局長ニ於テハ御同意ガ出来マスカ、是ハ固ヨリ大臣ノ御意向モ分ラヌノデアリマセウカラナンデスガ、一個人トシテ如何デゴザイマセウカ
○商工局長(木内重四郎君) ソレハ此改正案ト云フモノハマダ聯合会ノ宿題デ、決議シタ問題デナイト承ツテ居リマス、併シ一読シマシタカラ多少ノ考ハアリマスケレドモ、是ガ改正案トシテ極マツテ何レカノ商業会議所カラ農商務省ヘ提出ニナリマスレバ、農商務省ノ意見モ定メマセウガ、今自分ノ考ヲ極メテ一々意見ヲ示スハ困難ノコトデアリマスカラ、暫ク止メテ置キマス
○十番(名古屋、奥田正香君) 自分ノ商工局長ニ御尋ネシタイコトハ此会議所条例ノ改正ト云フコトニ付テ先刻来局長ノ御演説デ略ボ主務省ノ御意向ノアル所モ分リマシタデ、自分等ハ各項ニ付テ一々御説明ヲ煩ハスト云フ事ハ致シマセヌ、今承ツタ趣旨等ニ依リマシテ自分等ハ会議所ヘ帰ヘツタ上デ本会議所ノ意見ヲ定メテ、書面ヲ以テ開陳シ尚ホ書面ヲ以テ伺ヒマスコトガゴザイマスガ、是ハモウ此位ニ止メテ置カレテ更ニ本会議ヲ開イテ御決定ニナル方ガ宜カラウト思ヒマス
 - 第22巻 p.500 -ページ画像 
○副会長(東京、中野武営君) モウ時刻モナンデゴザイマスガ、格別商工局長ヲ煩ハスコトガナケレバ御苦労ヲイツ迄モ願ウテ置クノハ甚ダ恐縮デゴザイマスカラ、是デ――今日ハ御臨席下サレマシテ段々御話ヲ承リ大キニ有難ウゴザイマス、私ヨリ申上ゲマス
○商工局長(木内重四郎君) 先刻御意見ヲ承ハリタイト申シタ事ニ付イテ、今一々御返事ヲ煩ハスコトハムツカシイコトデアリマセウガ、ナルベクハ一人々々ノ御意見ヲ承ツテ置キタウ存ジマス
○五番(水戸、塙七平君) 若シ御参考ニ御必要デゴザイマスナラバ、ドウカ商工局長カラ御諮問ガアツタナラバ、本会ノ意見ハ皆申上ゲルカモ知レマセヌ
○商工局長(木内重四郎君) 私ノ希望ヲ述ベタコトニ付テ、若シ此会議ノ順序トシテ御差支ガナイナラバ直グニ御答ヘ下サレバ仕合ニ存ジマス、諮問トカ何ントカムヅカシイ名義ヲ出サズトモ、先刻口頭ヲ以テ申上ゲタル疑問ニ付、御意見ヲ承ハリタク存ジマス
○副会長(東京、中野武営君) モウ今日ハ時刻モナンデゴザイマスカラ……チヨツト御報告ヲシテ置クコトガゴザイマス、四日市ノ井島茂作君ガ御不参デゴザイマスルニ依ツテ、平野太七君ガ其代リトシテ御出席ニナリマシテ五十四番ニ御着席デゴザイマス、ソレカラ湊会議所員ノ鹿志村亀吉君ガ御出席ニナリマシテ六十番ノ議席ニ御着キデゴザイマス、ソレカラ赤間関・大垣ノ委員ガ事故ガアツテ共ニ今度ノ会ニハ参会ヲ断ツテ御越シニナリマシタカラ、是ダケヲ御報告致シテ置キマス、ソレト先刻配布シマシタ議案ノ第二十二号ノ印紙税法中改正ノ件デゴザイマスガ、其中同法「第五条第九号」トアルノハ「第七号」デゴザイマス、ソレカラ括弧シマシタ中ニ「一金高五円未満若クハ云云」トアルノヲ「若クハ」カラ下ヲ削ツテ「金五円未満ノ為換手形・約束手形」ノ下ニ「貯金通帳」ノ四字ヲ挿入スルコト、之ヲ御報告致シテ置キマス、時刻ガ参リマシタカラ休憩致シマス
  午後零時十分休憩
  午後零時五十五分開議
○会長(東京、渋沢栄一君) 諸君午前ハ已ムヲ得ヌ、差支ガゴザイマシテ欠席ヲ仕リマシテ甚ダ相済ミマセヌ、是ヨリ此席ヲ穢スヤウニ仕リマス、午前ニ於テ木内商工局長カラ段々此海外商況ノ取調等ニ付テモ色々御意見ヲ御申示シガゴザイマシタ、又経過モ御示シ下スツタ趣ヲ、続イテ此商業会議所条例ノ事ニ付テ本会ノ意見ノコトヲ御承知下スツテ、其御意見ヲ御洩シニナツタ趣デゴザイマスガ、引続キマシテソレニ付テ諸君ノ御意見アル所ヲ議事ト致サズニ協議会ノ如ク御話合ヲ致シマスルヤ、或ハ又此儘玆ニ委員カラ御報告ニナツテ居ル御取調ベニ付テ、問題ノ会議ニ移ルヤウデゴザイマスヤ、何レカヲ諸君ニ御協議ヲ仕リマス
○六十二番(東京、中野武営君) 開期モ期限ト云フモノハゴザリマセヌケレドモ、皆サン御忙カシイコトデゴザイマスカラ此会議ヲ成ルベク早ク纏メルト云フ御工夫ニハスルデアリマスガ、併シ此商業会議所条例ト云フノガ今委員ヲ置カレテアリマスルノデ、委員ハマダ議決ヲシテ居ラナイト云フニ付キマシテハ、少シ時間ハ掛リマスケレドモ委
 - 第22巻 p.501 -ページ画像 
員会トシテ又都合上承リ置イタナラバ宜カラウト思ヒマスカラ、相成ルベクハ今商工局長ニ御尋致シ置クナリ、又意見ノアル所ヲ申上ゲテ置キタイト思ヒマス、御許下サリマスレバ……
○会長(東京、渋沢栄一君) 御異議ゴザイマセネバ、此午前ノ御話続キヲ尚ホ継続致シマス
   (「異議ナシ、々々」ト云フ者アリ)
○六十二番(東京、中野武営君) ソレナラバ申上ケマスガ、商工局長ノ午前ノ御話ニ依レバ急イデ居ラヌヤウナ御話デアリマシタ、マア海外ノコトモ能ク御調ベニナツテ改正スレバ大ニ改正ナサルト云フ事デ併シ差向キ此当年ノ帝国議会ニハ、此改正案ヲ御出シニナルト云フ未ダ御見込ガナイ、又出サニヤナラヌト云フ箇条モナイト云フコトデアリマス、是モ尤デアリマスガ、兎モ角モ吾々商業会議所トシテハ何分今マデノ条例ニハ安ンジテ居リ兼ネルニ付テ、何時ノ会議モ此改正案ガ出テ色々ヤツテ居リマス、ソレ故ニ要スル所農商務省ガ御採用下サルコトニナラヌケレバ相成ラヌノデ、何ノ役ニモ立タヌノデゴザイマスカラ、意志ノアル所ヲ御聞置キヲ願ヒタイ、又将来改正案ヲ御起草ナサル上ニ於テ成ルベク吾々ノ希望シテ居リマスル点ヲ御採リヲ願ウヤウニ、又海外ノ事ヲ調ベラルヽコトニ付テモ、其事柄ニ付テハ殊ニ御注意ヲ願ウテ吾々ノ希望ノ事モ御調ベヲ願ヒタイノデアルガ、要スルニ何時モ此聯合会ニ商業会議所条例ノ改正案ガ出ルト云フノハ聯合会ノ事柄デアリマス、全国商業会議所ノ聯合会ト云フコトデアル、之ハ今日マデノ有様ハ誠ニ有志会ノヤウナコトニナツテ、法律上此事ヲ認メテ居ラレヌノデアリマス、唯ダ全国ノ人ヲ相通ジ、而シテ大問題ハ互ヒニ寄ツテ研究スルノガ宜イト云フ即チ趣意ヨリ成立ツテ居ルノデアリマスガ、一歩進ンデ之ヲ法律上認メテ貰ウヤウナ寸法ニマデ進メテ貰ヒタイト云フノガ先ツ大部分ノ人ノ望ミデアル、随分其方カラ申スト云フト聯合シタモノヲ法律ガ認メテ、ソレデ行ケサフニ思ヒマスケレドモ、又深ク研究スルト随分面倒デアリマス、ソレガ為ニ何時モナガラサウ一般ノ決議ガ出来マセズシテ今日ニ至ツテ居ルノデゴザイマシテ、今日ト雖トモ此問題ニ付テハ面倒ト考ヘテ居リマスガ、要スルニ海外ナドニ在ツテモ斯ウ云フ事ガ何ノヤウニナツテ居リマスカ例ヘバ仏蘭西ナドニハ中央商業会議所ト云フモノガアツテ、各地カラ寄合シテ一ツ団結ヲ為シテ決議スルト云フヤウナ事ガアルサウデゴザイマスガ、其寄合以上ニ於テハ必ズ各地ノ商業会議所ヲ設クルニ恐ラク相当ノ何ニカ規定ノ事ガアラウト思フデ、申シテ見レバ地方ハ此ドウデモ勝手ニ有志ガ議シタラバ、政府ハ許ルシテ商業会議所ト云フモノヲ建ツモノゾト云フヤウナコトニハナツテ居ラズシテ、最モ人口何程以上ナケレバナラヌトカ、或ハ其上ニモ又何ニカノ規定ガアツテ、好キダカラ建テル嫌ヤダカラ建テヌト云フヤウナモノデハナイ、元ノ組立テニ何ニカ少シハ規定ガアルダラウト思フ、左モナイト此結果ニシテ寄合ウト云フコトノ甚ダ基礎ガ立タヌモノニナツテ居ラヌデ、今日ノ日本ノ商業会議所ハ即チソレナンデ、商業会議所ノ起ル源ハ唯ダ地方々々ノ勝手ニ、一県ニ於テ三ツモ四ツモアル所ガアレバ、一ツモナイ所ガアル、又人口ヲ沢山持ツテ居ル所ニナクテ、却テ人口少ナ
 - 第22巻 p.502 -ページ画像 
イ所ニ起ツテ居ルト云フヤウナ訳デ、一向商業会議所ノ成立ツタ所ノ元ト云フモノガ甚ダ極リノ附カヌモノデゴザイマス、聯合ト云フコトヲシテ置イテ、之ヲ全国ノ輿論トスルコトニ付テハ甚ダ基礎ガ薄弱デアル、又ソレガ為メニ聯合シタ以上ノ権利ノ上ニ於テモ甚ダ不平均ヲ得ルト云フコトノ恐レモアル、何分望ミハ其所ニ――私ハ一箇ノ考デゴザイマスガ、其所ニ持ツテ居ルケレドモ、之ヲ以テ基礎ニ立テヽ輿論トスルト云フ基礎ガ薄弱ナ為ニ、甚ダ結果ヲ得ラレヌト私ハ思フテ居ルノデゴザイマス、就テハ先刻局長カラノ御話ニモ、海外ノ事ヲ大ニ調ベテ、ソレ等ノ参考ニシテ改正セネバナラヌト致シマスル以上ハドウゾ各国ノ此商業会議所ノ聯合シテ、中央ニ一ツノ聯合会ガ出来得ラレルヤウナ組織ガゴザイマスルモノヽ如キハ、十分ニ調査ヲ下サリサウシテソレ等ノコトモ願クハ吾々ニモ御示シ下サルヤウナコトヲ、予メ此際ニ願ヒ置カナケレバナラヌデ、今日ノ此問題ニ出テ居リマスルノハ委員ハ委員デ如何様ナ決議ハ致シマセウガ、兎モ角モ約マル所ハ農商務省ニ帰着シテ居ル事デアリマスカラ、農商務省ガドウカ其辺ノ希望ガアリトスルナラバ、其希望ハ直シテ議シテ行カナケレバナラヌト云フ御思召ヲ以テ、十分ニ御調査ヲ願ヒタイト思フノデゴザイマス、ソレカラ先刻御尋ネニナリマシタ中ノ経費ノ賦課法ノコトデゴザイマスガ、営業人ニ賦課シタナラバドウカト云フ御尋ネガアツタ、之ハ委員会デモ未ダ決議ト云フ程ニハ至リマセヌケレドモ、一昨日此問題ニ付テハ話ガ出マシテ多数ノ意向ハ伺ツテ居ル、併シ我ガ東京商業会議所ニ於テハ未ダ此問題ヲ議シテ居リマセヌカラ、私ハ此所デ意見ヲ申シタカラト申シテ東京商業会議所ノ意見ヲ代表スルト云フ訳ニハ参ラヌ、又委員会ノ決議ト致シマセヌカラソレヲ代表シタ訳デモゴザリマセヌガ、兎ニ角御尋ニ対シテ私ハ一言申上ゲテ置キタイノハ、営業税ニ賦課スルノハ今日ノ場合不適当ノモノデアル、而シテ実際甚ダ困難ヲ来タスモノデアルト、斯ウ言ヲ進メテ申セバ相成ルノデ、其訳ハマア第一営業税ト申シマスルモノハ、現行ノ法律ハ甚ダ吾々等ノ満足ヲシテ居ラナイ法律デ、曾テ聯合会ナドニ於テハ全廃ノ意見ヲ決定致シテ政府ヘ建議致シタコトモアル、我ガ東京商業会議所ナドモ其意見デ建議ヲ致シタ位ノモノデ、兎ニ角モ今ノ法律ハ甚ダ私共ノ不満足デアルノミナラズ、其施行日ガ浅ク致シテ其当時中々紛乱ヲ致シタコトガアリマスカラ、此税法ガ画一ノ賦課ニナツテ居ルトハ決シテ信ジテ居ラヌ、其税吏ノ緩急手心、或ハ其地方ノ其時分ノ議論ノ喧シイノト弱カツタノトニ依ツテ色々ニナツテ居ル、喧シイ所ハ成ルベク税ヲ引込メテ静カニシマシタ所ハ沢山取ラレタト云フ有様ハ事実ニ現ハレテ居リマスノデ、例ヘ彼ノ法律ヲシテ仮リニ十分宜シイモノトシテ見テモ、之ヲ実行スル所ノモノガ甚ダ正確ナル所ノモノニハナツテ居ラナイ、況ンヤ賃貸価格トカ何トカ云フモノニシテ彼是云フ事ニナツテ居マスノハ、実際営業トシテ将来甚ダ差支ヲ生ジテ来ルニ違ヒナイ、又紛議ノ種ガ消ヘナイモノト思ツテ居リマス、此ノ如キモノニ、又其上ニ賦課スルノニ商業会議所ノ此租税的ノ賦課ヲ加ヘテ行クト云フ事ハ吾々ハ本意ニナイノデ、名ノ上カラ申スト商売ノコトデアリマス、商売人ガ寄ル資金デゴザリマスカラ、営業税ト云フ方ガ、エライ正シ
 - 第22巻 p.503 -ページ画像 
イヤウナ正当ノモノデゴザイマスケレドモ、法律其モノト言ヒ、実際ノ結果其モノト云ヒ、甚ダ之ニ賦課スルノハ今日ハ不適当デアルト考ヘル、ソレカラモウ一ツハ、今日所得税ト申シマスルモノハ商業ノ上カラ申シタ訳デアリマセヌ、又田地カラノ所得モ一緒ニナツテ居ル、総テノモノガ集ツタモノガ一緒ニ所得トナツテ、ソレカラ税ヲ掛ケルノデゴザイマスカラ、申セバ範囲ガ広イノデアル、ソレ故ニドウカ斯ウカ今日ノ所此賦課モ余リ甚ダシキ苦情モナク納ツテ来居ルヤウデゴザリマスケレドモ、若シ之ヲ変ジテ営業税ニ賦課シテ参ルコトニナツタナラバ、此真ニ店ヲ出シテ居リマシテ営業税デモ納メテ居ル者ガ堪ヘラレヌダラウト思ヒマス、何故トナラバ却ツテ此東京市ノ有様ナドヲ考ヘテ見ルト、商売ナリ実業ノ上ニ於テ働カスシテ種々ナコトヲシテ居リマスル人ニシテ、中々有力ナル財産家ト云フ者ハ営業税ヲ納メテ居ル人ハ余計ナイト云フテモ宜イ、営業税ヲ納メテ居ル者ハ却ツテサウ云フ都合ニアラズシテ、小商売ヲシテ居ル方ニ在ル、ソレヲ目安ニ掛ケテ此賦課ヲシテ参ツタナラバ大変大キイモノニナツテ、甚ダシキニ至ルト此東京ノ商業会議所ノ費用ナドハ、或ル部分ニ至ツタ時分ニハ、営業税ヨリ本税ヨリハ余計掛ケナケレバ治リガ附カスト云フコトガ出来ハシナイカト思ヒマス、其場合ニ至ツテハ言フベクシテ決シテ行ハレルコトデハナイノデアリマス、依ツテ営業税ニ賦課スルト云フコトヲ今為サントスルナラバ甚ダ不適当デアル、又其結果ハ言フベクシテ行ハレヌト云フ有様ヲ現ハシテ来ルダラウト私ハ考ヘルノデゴザイマス、是非先ヅ暫ク致シ方ハナイ所得税ニ之ヲ依リマシテ、大ニ此営業税ノ改良ガ――税則ニ改良ガアリ、従ツテ漸次年ヲ重ネマシタ以上宜シク事実ガ公平ヲ得マスルト云フコトニ基礎ガ出来タナラバイザ知ラズ、兎ニ角今日デハ営業税ハ宜シキモノデナイ、ソレカラ会員選挙ノコトデゴザイマスル、是モ東京商業会議所デハ甚ダ頭ヲ悩シマシテ委員ナドヲ置キマシテ選挙法ノ改正草案ナドヲ起シテ色々此二・三年前カラヤツテ居リマスガ、如何センドウセ明法ガナイノデゴザイマス、併シ現行ノモノモ甚ダドウモイケナイ、之ハモウ既ニ輿論ガ悪ルイト認メテ居ル位ノモノト思ツテ居リマスカラ、何トカ致サヌケレバナラヌ、併シ要スルニ此商業会議所ノ議員選挙ト云フモノハ、ドウシテ見テモ法律デ立テルト云フコトハ少シドウモ、却ツテ日本全国一体ナコトニ法律デナサルト云フコトハ寧ロ其宜シキヲ失ウコトニナリハシナイカ、ソレ故ニ法律デ此選挙法ヲ御出シナサルト云フコトハ却ツテ宜シクアルマイ、ソレヨリハ其地方地方ノ会議所ガ是ト認メマスル方法ヲ定款ノ上ニ組立テヽ、ソレデ農商務大臣ノ御許可ヲ得テ施行スルト云フ方ガ兎モ角適当ヲ得ルデアルダラウ、之ヲ法律トナサツテ一様ナルコトニ日本全国ヲナサルト云フコトデアレバ、随分喧シイ、却ツテ実地ニ当嵌ラヌヤウナコトガ出来ハシナイカ、之ハ即チ国会議員ナドノ選挙トハ違ヒマスル事情ノモノデアリマスカラ、成ルベク其地方ノ便利トスル所ノ方法ニ譲ツテナサルト云フコトガ私ハ宜シイ途タラウト思ヒマス、先程御尋ネニナツタ二点ニ対シテハ、此六十二番ガ考ハ只今申述ベマシタ通リナンデゴザイマス
○商工局長(木内重四郎君) 只今中野サンカラ御意見ヲ御述ベ下サツ
 - 第22巻 p.504 -ページ画像 
テ辱ウゴザイマス、其他ノ御方デ中野サンノ御意見ト同様ナレバ其儘デ宜シウゴザイマスガ、若シ違ツタ御意見ガゴザリマスレバ、此席デ直グ御述ベ下スツタナラバ、私ニ取ツテハ非常ニ仕合デゴザイマス
○三十七番(大阪、土居通夫君) 只今局長ノ御尋ネニ対シテ中野サンカラ委シク御述ベニナリマシタガ、我大阪地方ノ如キモ同一ノ感シヲ持ツテ居リマス、営業税ト云ヒ、且ツ選挙ノ事柄ニ付キマシテモ別ニ異ナル考モゴザイマセヌ、矢張同様ナコトヽ存ジマスル、詰リ今日之ヲ改メテドウ斯ウト云フ事ハ実際出来得ラレヌコトダラウト考ヘマス唯選挙ナドハ大阪ノ方ハ余リ競争ナドハアリマセヌガ、市区ヲ交渉シマシテ改選ノ時分ニハ大抵一ド通シマシテ、ソレヲ候補者ニ挙ゲルコトニナツテ居リマスガ、随分希望者モ多ウゴザイマス、ソシテ甚ダ挙ラレタ者ガ会議毎ニ欠席ナク出ルカト申シマスレバ、前ニ希望シタ丈ケ当選ノ後ハ顔出シモスル者ガ少ナイト云フヤウナ傾キガ自然ゴザイマスガ、現今ニ至リマシテハ商業会議所ノ任務モ内地雑居種々進ンデ参リマシテ、欠席ノナイヤウニ本人ニ示メシマシテ、当選ニナルヤウナ運ビデゴザイマスルデ、現今ノ所デハ大キニ欠席モ少ナクナツテ、渋滞ナント云フコトハ余リナイヤウナ次第ニナツテ居ル、兎ニ角中野君ノ述ベマシタ通リ同感デゴザイマスルデ、御参考ノ為メニ一言申シテ置キマス
○六十二番(東京、中野武営君) ソレカラ先刻来此会員中カラ希望ヲ述ベテ、局長ノ御耳ニ達シテ居ルヤウデゴザイマスガ、併ナガラ素ヨリ御約束スベキ事柄デハナイガ、今度農商務省ガ商業会議所条例ヲ改正ナサル場合ニハ、予メ其御起草ヲ以テ商業会議所ヘ御諮問下サラムコトヲ希望シテ居ルノデス、局長ノ御考デハ自分一己トシテ望ム所デアルト仰シヤツタコトデゴザイマスガ、此義ハ独リ局長一己ノ御望ニ止マラズ、幸ニ聯合会ガ開ケテ此処ニ皆集ツテ斯ウ云フ問題ガ出テ来マシタ時分、誰一人此事ニ付テハ希望ヲ持ツテ居ラヌ者ガナイノデゴザイマス、年々斯様ナ議案ヲ出シテ捻ツテ心配ヲシテ玆ニ来ツタ事情デゴザイマスカラ、他ノ事ト違ツテ此会議所直接ニ係ツテ参ル事柄デゴザイマスカラ、吾々モ其場合ニ公平無私ニ研究考案ヲシテ答申ヲ致ス積リナンデスカラ、ドウゾ必ズ此法律ガ制定ニナリマスル即チ改正ニナリマスル場合ニハ、御諮問下サルコトヲ相成ルベクハ商工局長ダケノ考デナクシテ、此希望ヲ農商務大臣ニモ御伝ヘ下サレタイ、又商工局長ガイツ何時変ルカ分ラヌト云フ事デゴザイマスガ、其御心配ガアルナラバ、ドウカ其事ヲ局ノ記録ニ御書留メ下スツテ御引継ヲ願ヒマス、余リ書面デ斯様ナ事ヲ諮問ナサレナドト云フコトヲ、商売人ノ寄合ツテ居ル会議所ガ言フコトハ好マヌ次第デアリマスカラ、ソレヨリハ直接ニ御目ニ懸ツタ場合、又此聯合会ガ集ツテ居ル場合ニ十分ニ其希望ノアル所ヲ述ベ置イタ事ハ、却ツテ書面ヲ以テ陳述致シタコトヨリ厚イコトト御承知下サレタイ、御役所ノ御記録ニ御書キ下サツテ此事ノ徹底致シマスルヤウ希望致シマス
○十三番(神戸、横田孝史君) 幸ヒノ機会デアリマスカラ一言申述ベマス、選挙資格其他ノ事ニ付キマシテハ六十二番等ヨリモ説ガ出マシタガ、私共ノ此機ニ臨ンデ一言当局者トシテノ局長ニ御答ヲ煩ハシテ
 - 第22巻 p.505 -ページ画像 
置キタイト思ウノハ、既ニ今回ノ問題ニモ上ボツテ居リマスル規則ノ改正、其改正ヲ要スル所以ハ唯権能ヲ全クシタイ、権能ヲ広クシタイト云フニ外ナラヌノデアリマス、即チ現行ノ規則ニ依ルト、政府カラ例ヘバ一ノ諮問ヲ――会議所自身カラ申シマスレバ唯或場合ニ建議ヲ為スコトヲ得ト云フ位ナコトニ止マツテ居ル、然ルニ此会議所ノ仕事タル彼ノ市町村制度ニ於ケル地方自治体ト違フテ、多ク此問題ハ各地全体ニ渉ツテ居ル、即チ共通的ノ問題ガ多イノデアリマス、ソレ故ニ或一種ノ問題或一種ノ案件ヲ見出スニ当ツテ各地方各々ノ意見ヲ諮問スル、若クハ区々各地方ニ於テ其異ツタル意見ヲ答申ヲスル、ト云フコトハ是述ブル方ノ方面ニ於テモ、或ハ其所見ヲ聞カントスル当局者モ、甚ダ不便ノコトデアラウト思フ、素ヨリソレ丈ノ理由デハゴザイマセヌガ、先年広島ニ於ケル第六回聯合会ノ際ニ於テ、大多数ト云ハムヨリハ殆ド満場一致ト云フノ有様ヲ以テ此聯合会ヲシテ一層有力ナ働キノ強イモノニシヤウト云フ趣意カラシテ、色々相談ヲ致シマシタ傍ラ、此際ニハ高等会議ヲ廃シテ貰ハウト云フコトヲ併セテ議シマシタタメニ、大多数ノ希望デアルニモ拘ラズ此事ガ宿題ト云フコトニナツタノデアリマス、最早今日ハ会議所ノ設置数五十何箇所、費ス所ノ経費十二・三万ト云フコトニナツテ居ル、固ヨリ農商務省所管費ノ三百幾十万円ニ比較シテ見ルト誠ニ僅少デハゴザイマスガ、去リトテ随分各地ノ実業団体ガ是ダケノ経費ヲ負担スルト云所以ハ、固ヨリ其利益ヲ企図スル上ニ於テ已ムヲ得ヌノデアリマス、ソレデ今ノ此吾々ガ希望シテ居ル所ノ規則ノ改正ト云フ上ニ付テモ、第一先ヅ各個々会議所ニ於テ其働キヲ為シ易イヤウニシタイト云フコトハ固ヨリノコトデゴザイマスガ、之ヲ統一スル一個ノ団体ハ即チ聯合会ト云フモノニナツタ以上ハ、是迄ノ如ク唯其会議ニ当局者ガ慣例ノ如ク臨席セラレ、其御説教ヲ承ツテ見ルトイツデモ御極リ文句デ、吾々ガ此会ニ重キヲ置クトカ、或ハ吾々ハ此会ノ輿論ハ能ク容レルノ考デアルトカト云フ話ニ、毎会大抵活版摺ノヤウニ承ツテ居ル、然ルニモ拘ラズ此七回・八回迄重ナリマシタ此会ノ歴史ヲ試ニ繙イテ見マスルト、殆ド此全国ノ実業団体タル此商業会議所ヲ結ビ付ケタル聯合会デアルトセバ、全国ノ実業会ノ輿論トモ見ルベキ価値アリト信ズルニモ拘ハラズ、殆ド其建議案ト云フモノヲ当局者ガ採用セラレタト云フコトハ、誠ニ寥々暁ノ星ヲ見ルガ如キデアラウト思フ、若クハ或会ノ如キハイツモ其所見ヲ達シタコトガナイカト考ヘル、ソレデ政府ニ於テモ斯ウセラレヽバ当局者ニ於テモ至極御便利デアラウ、恰モ此政治界ニ於ケル帝国議会ノ如キモノニ、此商工業界ニ於ケル聯合会ト云フモノヲ利用ナサルト云フコトニ致シマスレバ、必ズシモ好ンデ是ニ干渉ヲセラレルト云フ訳デハアリマスマイガ、色々複雑ナ御手数モ是ガタメ省ケルコトモアラウシ、又現在ノ如キ個々分裂ト云フコトデアレバ、或ハ諮問案ヲ発スルニモセヨ若クハ各会議所ノ委員ガ個々之レヲ持別レテ答申ヲスルト云フ場合ニナレバ――其ノ節ニ区々マチマチニナル場合ニハ、随分複雑ニシテ困難ナル場合モアラウト思フ、又会議所自身ニ於テモ聯合会デ或案件ヲ可決スル、吾々ガ委員トシテ出席シ又従ツテ可決ノ事項ヲ自家ノ会議所ヘ持帰ツテ諮ル、必ズシモ此処デ可決シタカラ之レ
 - 第22巻 p.506 -ページ画像 
ヲ其ノ神戸ナリ若クハ京都ナリ其ノ他ノ会議所ガ、服従的ニ其事ヲ通過サセナケレバナラヌト云フコトハアリマセヌカラ、一向聯合会デハ通過ヲ見タガ、個々郷里ノ吾々ノ選出区ト云フベキ会議所デハ或ハ反対ノ結果ヲ見ルト云フコトガナイトモ言ヘヌ、要スルニ此聯合会ト云フモノヲ以テ全国実業界ノ一種ノ輿論ト云フコトニナリマシタナラバ啻ニ当局者ニ於テ之レヲ諮問府ト仮シ見ヌニモセヨ、大ナル便利ヲ得ルノミナラズ、又吾々ノ各地方団体ニ於テモ頗ル便利デアラウト思ヒマス、是ハ先年来此聯合会ニ上ホツテ居ル所ノ一ノ希望デアル、ドウカ将来ニ於キマシテハ当局者ハ唯御挨拶デナクシテ、多少此聯合会ト云フモノニ今少シ多ク耳ヲ御傾ケニナルト云フヤウニシタイト云フノガ吾々ノ希望デアル、ソレデ先刻ノ局長ノ御話中ニモ若他日職ヲ去ルヤウナ場合ニハ云々ト云フヤウナコトガアリマシタノデ、吾々ノ信任スル局長ノ御話トシテハ甚ダ遺憾ニ考ヘテ居リマシタ、既ニ六十二番等モ同感ノ意味ヲ御述ベニナリマシタガ、今日ハ局長トシテノ御説トシテ先刻来御高説ヲ拝聴シテ居ルノデ、決シテ御一個ノ説トシテ承ツテ居ルコトデナシ、又吾々モ此希望ヲ述ベルニ付テモ同一ノ話ナンデス、既ニ一昨年デゴザイマシタカ、曾禰大臣ガ御臨席ニナツテ其御演説中ニモ、少シ余計ニ渉ルヤウデスガ其演説ノ一節ヲ玆ニ挙ゲマスレバ、諸君ハ政府ト相調和シテ経済上ノ革新問題ヲ講究シ、各種経済組織ノ設備ヲ十分輔ケテ、即チ商業会議所ヲシテ一層功績ヲ挙ゲシメルコトニ御尽力アランコトヲ希望ス云々ト云フコトヲ御述ベニナリマシタ、デ斯ウ云フ事ハ大抵屡次承ツテ居ルノデ、唯大臣ハ今日ハ暑イトカ寒イトカ、雨ガ降ツタトカ何ントカ云フ御挨拶ノヤウナ按排デハナイカト云フ疑ヲ、吾々ハ起サヾルヲ得ヌノデス、ドウカ将来ニ於テハ今日ノ当局者ハ左様ナ御考デ御述ベニナツタコトデナイトハ思ヒマスガ、既往ノ歴史ニ徴シテ見テ甚ダ気遣ハシク思フ故ニ、拙弁ヲ顧ズ述ベル訳デゴザイマスガ、一昨日ノ大臣ノ御演説若クハ先刻ノ局長ノ御話、ドウカ是ハ将来事実ニ見ルコトノ出来ルヤウニ幸ヒヲ得ラレタナラバ、大変吾々ノ仕合セデアラウト思ヒマス、要ハ唯此聯合会組織ヲ変更シテ尤モ政府ノ干渉ヲ望ムト云フ訳デハナイケレドモ、他ノ御省ト違ツテ農商務省ハ力メテ実業界ト御接近ナサルベキ御省ト思フガ故ニ、幸ヒニ斯カル団体ノアル以上ハ之ヲ何ニ御利用ナサルト云フコトハ、当局者ニ於テモ御便利デアラウシ、又吾々モ此働キノ上ニ付テハ徒ラニ政府ノ干渉ヲ求メル訳デハゴザイマセヌガ、如何セン政府ノ当局者相調和シテヤラナケレバ出来ヌト云フヤウナ問題ガ多イノデアリマスカラ、是非々々此聯合会ヲシテ政府ト相接近スル所ノ機関ニ共用シタイト云フノ趣意ニ外ナラズデス、デ此事ニ付テ果シテ吾々ノ希望ニ対シテ、当局者ハ幸ニ同情ヲ御表シ下サルコトガ出来ルヤ否ヤト云フコトノ一言御答ヲ願ヒマス
○商工局長(木内重四郎君) 段々ノ御意見至極御尤モデアリマスル、併ナガラ一個人ノ話デハ固ヨリナイ、農商務省ノ官吏トシテ、農商務大臣ノ意思ヲ代表シテノ御答デナクテハナラヌト云フ事デアラウト思ヒマスガ、兎ニ角聯合会ハ至極必要ナモノデアル、法律ノ力ヲ以テ……聯合会ニ法律的効力ヲ有セシメルト云フ迄ニ私ハ御返事ハシ兼マス
 - 第22巻 p.507 -ページ画像 
ル、ト云フモノハ大臣ト打合セガシテゴザイマセヌカラ、併シナガラ私一個ノ考トシテハ……又反対セラルヽカ知レマセヌガ……自分ノ考デハ此聯合会、名称ハドウデモ宜イノデスガ、各地ノ商業会議所ガ相当ノ役立テヲシテ居ルニ違ヒナシ、又役立テヲ大キクシテ貰ハナケレバナラヌ、其重モナル方々ガ一堂ニ会合セラレ商工業ニ関スル必要ナル事項ヲ御討論ニナルト云フノデスカラ、其討論ノ結果重要ナル意見ノ発表セラレルコトハ当然ノコトデアラウト思ヒマス、ソレデ農商務省ニ於テハ是ニ深ク重キヲ置クト云フコトハ……又言葉尻ヲツカマヘラレルカ知レマセヌガ……便利デアラウト思ヒマス、ソレデ私ハ幸ニ経済上・実業上経験アル方々ノ此処ニ会同セラレタコトハ大ニ便利ナル会同デアラウト思フノデアリマス、併ナガラ此聯合会ニ法律上ノ効力ヲ与ヘ、或事柄ヲ議決シタ場合ニ政府ノ方針ヲ動カスガ如キ権能ノアルモノ迄ニスルト云フコトハ、私ハ御答ハ出来マセヌ、併シ十三番ノ御希望ハ参考トシテ承ツテ置キマス
番外廿五番(岩村茂君) 要スルニ会議所条例ノ改正ニ付テノ細カイ御話ト云フモノバカリデモナイヤウデゴザイマスル、併シ此細カイ御話ヲ此席デヤツテ居ツタ所ガ到底果テシガナイト思ヒマスカラ、此会議所条例ノ私ハホンノ一・二点ヲ挙ゲマシテ当局者ノ御参考ニ供サウト思ヒマス、商業会議所ノ職権トシテ最モ私ハ重要ナ仕事ハ仲裁裁判ト云フコトデアラウト思フ、然ルニ是ハ一向今日ノ有様デハ行ハレテ居ラヌ、此行ハレテ居ナイノハ会議所ノ罪ニアラズシテ矢張日本ニハサウ云フ習慣ガ余リナイカラシテ、会議所デ仲裁裁判ヲスルト云フコトハナイノデアラウト思ヒマスガ、併シ又会議所ニソレダケノ信任ガナイト云フコトモ自ラ其原因ヲナシテ居ルダラウト思ヒマス、然ルニ実際ニ就テ聞イテ見ルト裁判所ヘ参ツテモ随分時日ガ長イ、訴訟ヲシテ法廷デ争フト云フト随分煩雑ナ手数ト費用ガ掛カルカラ非席ニ厭フテ居ル厭フテ居ルニモ拘ラズ、其事柄ヲ会議所ヘ持ツテ来テ而モ商業上ノ慣習実際ノ事ニ通ジタ会員ノ居ル所デ仲裁ノ判断ヲ請フト云フコトヲシテ来ナイ、是ハ頗ル疑ハシイノデアリマス、併シナガラ是ハ社会進歩ト共ニ追々商業会議所ノ仲裁裁断モ開カナケレバナラヌト云フ事ニナリマセウガ、今ソレヲヤカマシク言フノデハアリマセヌガ、此度会議所条例改正ニ付テ最モ私ハ必要ノ事デアラウト云フノハ、内外人ノ交渉上取引カラ起ツタ仲裁判断、此事柄ガ一ツ十分ニ将来発達スルヤウノ御考デ此商業会議所条例改正ヲ願ヒタイ、元来外国人ガ日本ニ参リマシテ商業ヲシ、日本人ガ外国ヘ行ツテ取引ヲスルニ付テモ第一ニ不安ヲ思フノハ、此取引上カラシテ起ツタ紛議ガ何所ヘ持ツテ行ツテドウ決着スルカト云フ事ハ非常ニ彼等ノ念頭ニ深ク感ジテ居ル、日本デ取引デ内地雑居ニナツタニ付チヤ日本ノ内地ノ商取引ヲ為ニ於テモ若シ一朝契約ヲ履行シナカツタトキニハドウスルカト云フコトヲ第一即チ外国人ノ頭ニ感ズル所デ、デ詰リ仕方ガナイカラ裁判所ニ行ツテ訴ヘルト云フヨリ外ニナイ、デ其裁判ガ内外人ニ関係ノ裁判ガドウナルカト云フコトハ深ク外国人ガ常ニ注意スル所デアリマスガ、神戸若クハ横浜等ニ外国人ニ交渉ノ事モアリマシタガ、ソレ等ハ西洋人ガ耳ヲ立ツテ眼ヲ円ルクシテ居ツタ、幸ニモ日本ノ裁判官ハ公平ノ裁判
 - 第22巻 p.508 -ページ画像 
ヲ与ヘタノデ満足シタ、満足シタニモ拘ラズ社会ハ未ダサウハ行カナイ社会的制裁ト云フモノハ外国人ニ対シテドウモ外国人ノ言フ所ヲ事実ニ於テ行ハサセナイト云フ例モ現ニ横浜ニアツタノデ、外国人ハ日本人トノ取引ニ於テ紛議ノ生ジタトキハ困ルト云フ考ハ決シテ去ラナイソレハドウシタラ宜シイカ、商業ノ発達、外国貿易ノ隆盛ヲ期スルニハドウシタラ宜シイカト云フト、詰リ此仲裁判断、日本ニハ余リ慣例ハアリマセヌケレドモ、外国人ハ仲裁判断ト云フコトハ非常ニ重キヲ置イテ宜ク流行ツテ居ル、大キナ取引ヲスルニモ紛議ノ生ズルトキニハ双方ノ会議所カラ一名宛仲裁談判委員ヲ出シテ判断スル、ソレデ商業ノ発達、外国貿易ノ隆盛ヲ図ルニ付テハ、内外人共ニ会議所ガ裁判所トナツテ、外国人モ其中ニ這入ラレルト云フ途ヲ開クト云フト、大ニ外国人ノ信用ヲ増スノデアリマスカラサウ云フコトハ出来ル、而モソレガ便利ニナルヤウナ工合ニ一ツ改正案ヲ御出シニナランコトヲ望ムノデ、デ終リニ会議所ノ条例御講究中デアルサウデアリマスガ、詰リ此諸外国ノ例モ能ク見ナケレバナラヌ、内地ノ事情ニモ能ク通ジナケレバナラヌノデスカラ、商工局長ハ詰リ商業会議所ヲ一遍御巡回ニナツテ、其意見ヲ大臣ニ御発表ニナツテ、至急ニ御取調ベノ御巡回ノ事ヲ希望スル、内ニ在ツテハ吾々ハ又内地ノ事情ニ付テ顧ミテ会議所ノ事情ヲ講究致シマセウ、管々シイコトハ幾ラモアリマスケレドモ迚テモ此席デ申上ケ切レル訳デハナカラウカト思ヒマスカラ……
○商工局長(木内重四郎君) 外国人ノ意見ヲ問フテ仲裁判決ヲスル材料ニセヨト云フコトハ至極尤モナコトデ、ソレハ今日デモ例ヘバ京都ナリ、神戸ナリ、大坂ナリノ商業会議所ヘ内外人ノ係争事件ヲ以テ判断ヲ依頼シタ場合ニ、外国人ノ然ルベキ者ヲ指名シテ其意見ヲ問フコトハ今日デモ出来マス、此条例ノ下デモソレヲ御実行ニナツテハ如何デアリマスカト云フコトヲ一言申上ゲテ置キマス、尤モソレデハ行カヌノデアル、法律ナリ定款ナリデ外国人ヲ是非入レヨト云フコトニシナケレバナラヌト云フ若シ御意見ナレバ、ソレハ一ノ疑問デアル、現ニ何処カノ会議所カラ外国人云々ト云フ案ガ出テ居ル位デ、其事ニ付テモ私ハ考ガアリマスケレドモ、政府ノ意見ガマダ決定シテ居リマセヌカラ発表ハ出来マセヌ、又早ク条例ヲ改正スルガ宜カラウ、其為ニ海外巡回ガ宜カラウト云フノハ至極有難イコトデ、願クハ聯合会カラ建議アランコトヲ希望致シマス
○六十二番(中野武営君) チヨツト外国人ノ意見ニ付テ事実ノ事ガアリマスカラ、チヨツト私共ノ考ト局長ノ御考ト違ツテ居リハセンカト思フ、横浜ノ居留地ノ商業会議所即チ外国人ノ組織シテ居ル商業会議所カラ東京商業会議所ソレカラ横浜商業会議所ヘ照会シテ寄越シタ事ガアルノデ、ソレハ今ノ仲裁シマスル判断ノ事デアリマスガ、ドウモ此取引上ニ於テ何ガアツテ困ルカラ、横浜ノ居留地ノ商業会議所会員十名トソレカラ東京商業会議所ノ会員十名ト、双方カラ十名宛人ガ出遇フテソレデ仲裁判断ヲスル方法ヲ立テヽヤツテ呉レヌカ、横浜ニモソノ通リ照会ガアツタ様ダデ、私共段々ソレヲ研究ヲ屡々致シテ見タガ、ドウモ今ノ法律デハサウ云フ事ガ出来得ラレヌト自分ハ解釈シタノデゴザイマスル、元来今ノ法律デ此会議所ガ仲裁判断ヲシマスル権
 - 第22巻 p.509 -ページ画像 
能ヲ持ツテ居リマスルニハ、前申スヤウニ其商業会議所ガ自治権ヲ持ツテ議スベキナンデ、他人ト一緒ニナツテヤルト云フ事ハ到底出来ナイノデアル、既ニ此方カラ十人出テ行キ向フカラ十人出テ来ルトナツタナラバ、モウ個人的ノ相談ト見做シテシマツテ此商業会議所ノ条例ノ下ニハ判断等ハ為シ得ラレナイコトニナリハシナイカ、既ニ先刻番外ノ御尋ネ致シタコトハ其通リデ云フデハゴザイマセヌ、局長ノ御答ニナツタコトハ顧問トシテ外国人ヲ置イテ、ソレニ意見ヲ言ハシテ尋ネタ以上ハ差支ナイト私共ハ思ヒマスガ今其横浜ノ居留地ノ商業会議所カラ此方ラヘ申込ンダ事柄ノ如キハ、今ノ私ノ解釈通リ現行ノ条例デハ許サレヌコトヽ思ツテ居リマスガ、如何ナモノデゴザイマセウカ
○商工局長(木内重四郎君) 其通リデゴザイマス、ソレハ東京商業会議所ト横浜ノ居留地ノ西洋人ガ立テヽ居ル商業会議所トノ間ニ起ツタ問題、又神戸ニモ同様ノ問題ガ起リマシタ、此事ハ農商務省ニモ伺書ガ来テ居リマスガ、今ノ法律ノ下デハ商業会議所ト云フモノハ一地方ニ一ツシカナイ、例ヘバ神戸ナラ神戸ニ一ツシカナイ、居留地ニ西洋人ガ拵ヘテ居ルノハ商工倶楽部トモ称スベキ私設ノモノデ、法律ノ眼カラ見タナラバ何ノ権限モナイモノデス、対等ニ法律的効力ノアル二ツノ団体ガ並立テ、双方カラ委員ガ出テ議シ、之ヲ双方ノ会議所ガ議決スルコト恰モ貴族院ト衆議院トガ並立チ双方ヨリ委員ヲ出シテ両院協議会ヲ形成スルガ如クニシヤウト云フコトハ、今ノ法律デハ出来ヌ先刻岩村君ノ質問ニ対シテ申上ゲタノハ、顧問ト云フヨウナコトニ致シ其人ニ対シテ意見ヲ聞クコトナラバ差支ナシト私ハ申上ゲタノデアリマスカラ、私ノ考ト中野君ノ御考トハ同ジコトデアル
○番外二十五番(京都、岩村茂君) 木内サンニチヨツト聞キタイノデスケレドモ、今ノ会議所条例デハ外国人ハ会員トナルコトハ出来ヌト云フコトハナイ、為シテ宜イト云フコトモナイ、之ハ矢張リ通商条約ノ上カラ民法ノ外国人私権云々ト云フヤウナ関係カラ判断シナケレバナラヌト思フ、外国人モ其地ニ居ツテ二年以上トカ三年以上トカ納税ヲシテ居ツタナラバ被選権選挙権ヲ得ラレルト云フ解釈デ御出デニナルカ、今ノ所ハサウハ行カヌト云フ御解釈ニナルカ、其所ヲチヨツト御意見ヲ伺ツテ置キタイ
○商工局長(木内重四郎君) 其問題ハ速記者モナク新聞記者モナキ場合ニハ私ハ自分ノ説ヲ述ベヤウト思ヒマス、併シナガラサウデナキ場合ニハ、私ハ遠慮シタ方ガ宜イト思フ
○十番(名古屋、奥田正香君) 大分各員ノ御説モ出マシテ当局者モ御答ガアリマシタ、吾々モ満足致シテ居リマス、去ナガラ此会議所条例ノ改正ノ件ニ付キマシテ、委員ニ調査ヲ託シマシテ未ダ委員会ノ報告モナイト云フコトデアリマス、何レ各地カラ意見ヲ申上ゲマシタ所ガ唯ダ出席委員ノ各地ノ意見ト云フコトニナリマシテ、成程幾分ノ御参考ニハナリマセウケレドモ、全国大体ガ斯ウデアルト云フヤウナ程ノコトニモアリマスマイト思ヒマスカラ、此ドウ云フコトニ決シマシタカ知レマセヌガ、此会議所ノ条例ノ委員ノ報告ガアル、然ル上ニ議決ヲシタ所ヲ以テ此当局者ニモ御話ヲスル等ノコトガ便宜デアラウト思ヒマス、自分モ此幾ラカ此案ニ付テモ意見ヲ持ツテ居リマスケレドモ
 - 第22巻 p.510 -ページ画像 
願クハ此調査セラレタ委員ノ報告ヲ聞イテ果シテソレニ満足ナル報告デアリマスレバ自分ノ意見モ変リガゴザリマセヌト思フ程デアリマスカラ、此議事ハ最早之ニ止メラレテ委員ノ報告ヲ得テ、然ル後ニ本会ヲ開イタ際ニ自分等ノ意見ヲ述ベタイ、最早之デ閉ヂラレンコトヲ希望致シマス
○会長(東京、渋沢栄一君) 今十番カラ、大概御質議申上ゲタリ、意見ヲ闘ハセルハ稍々足リハセヌカ、結局之ヲ議決スルニハ行カヌコトデアルカラト云フ御意見、別ニ御異議ゴザイマセネバ希望ヲ述ベル若クハ御思入ヲ伺ウト云フコトニ付テノ御問答会ハ是デ止メマスヤウニ致シマス
   (「異議ナシ」ト云フ者アリ)
○会長(東京、渋沢栄一君) 段々有難ウゴザイマス


明治三十二年十月開設 第八回商業会議所聯合会報告 第八五頁 刊(DK220039k-0006)
第22巻 p.510 ページ画像

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会報告  第八五頁 刊
○商業会議所条例改正ノ件 議案第十二号・第二十号・協議案第一号ヲ一括シテ九名ノ委員ニ調査ヲ附託シ、鷲田迅雄・根本民治・大沢善助・小河久四郎・香川真一・今西林三郎・中島伊平・若林元四郎・中野武営ノ諸君委員トナリ、審議ノ末左ノ趣旨ヲ報告ス
 商業会議所条例改正ニ関シテハ、現ニ当局者ニ於テ調査中ナルカ上ニ本会ニ於テ急ニ改正案ヲ議決セント欲スルモ到底完全ナル成案ヲ得ヘキニ非ス、仍テ議案第十二号・第二十号・協議案第一号ハ継続案ト為シ、本会ハ会長ヲシテ農商務大臣ヲ訪問セシメ、速ニ条例ノ改正ニ着手セラレンコトヲ求ムルト同時ニ、改正案脱稿ノ上ハ必ス商業会議所ニ諮詢アルヘキ旨ヲ、本会ノ決議トシテ請求セシムル事


明治三十二年十月開設 第八回商業会議所聯合会議事速記録 第三〇八―三四五頁 刊(DK220039k-0007)
第22巻 p.510-528 ページ画像

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会議事速記録  第三〇八―三四五頁 刊
    ○第五日
明治三十二年十月十八日午前十時十分開議
  出席委員     五十名 ○氏名略
○上略
○三十八番(大阪、今西林三郎君) 今日ハ会頭ノ御欠席デゴザイマシテ、副会頭ノ中野君ガ会長席ニ御着ニナリマシタニ付キマシテハ、中野君ノ委員長タル商業会議所条例改正ノ議案ヲ御報告ニナル筈デゴザイマスケレドモ、御差支デ私ヨリ報告セヨト云フ御依頼デ、私ガ委員長ニ代リマシテ御報告ヲ致シマス、其理由ハ之ヨリ申上ゲマス、会議所条例ノ事ニ付キマシテハ、段々モウ既ニ御研究ニナツテモ居リマスシ、且ツ一昨日商工局長ガ出ラレマシテ段々ソレニ付テ御話等モゴザイマシタ、ソレニ付テノ講話等モゴザイマシテ、能ク御承知ノコトデゴザイマス、其事ハドウモ一朝一タニ爰デ此案ヲ決定スルト云フコトモ、出来難イコトノヤウニ考ヘラレマス、之ハ細カイ所ニ立入ツテ調ベマスト云フノモ只今申シマス通リ時日モナキノミナラズ、サウ細カク立入ツテ見タ所ガ、到底今爰デ完全ナモノモ出来マセヌ、又一方其筋デ此改正ノ事ニ付キマシテ御着手ニハナツテ居ルケレドモ、未ダ中中容易ニ出来ナイト云フコトデゴザイマスカラ、之ハ継続問題トシテ
 - 第22巻 p.511 -ページ画像 
尚ホ充分研究ヲシテ、此次回ニ尚ホ御協議ヲ致スト云フコトニシタ方ガ宜カラウ、就キマシテハ其筋ニ向ツテ、此聯合会ノ会頭ヨリ農商務ニ対シテ此条例ノ改正ヲ速カニ御着手ガ願ヒタイト云フコトヲ希望シテ、尚ホ其草案ガ出来マシタナラバ此会ニ是非御諮問ガ願ヒタイト云フノ二箇条ヲ、会頭ヨリ其筋ニ請求ヲスルト云フコトニ委員会ガ決議ヲ致シマシタ、之ハ書面ヲ以テ御報告ヲ致シテモ宜イノデゴザイマスケレドモ、只今申シマス位ノ事デアリマスカラ別段書面ニハ及バヌ、却ツテ親シク会頭カラ其御話ヲシテ下スツタ方ガ趣意ガ徹底シテ宜カラウ、ト云フ考ヲ持チマシテ別ニ書面ヲ作リマセヌデゴザイマスルガ之ハドウカ議事録ニ特筆大書ヲシテ戴キタイト云フ考デゴザイマス、之ヲ御報告致シマス
○三十七番(大坂、土居通夫君) 此議題ハ先日委員会ノ結果ヲ報告致シマシタ事柄デゴザイマスルガ、昨年ノ五月横浜ニ於テ聯合会ノ時分ニ、余程此問題ハ種々ノ意見ガ出マシテ面倒ナコトニ立至リマシタガ詰リ委員ニ託シテ調査ヲスルト云フコトニナリマシテ、昨年十月ニ大坂ニ委員会ヲ開キマシタ、其委員会モ別ニ此改正ヲ求ムルガ必要デナイト云フ趣意デハナク、唯ダ民法ナリ商法ナリ目前ニ発表サレルコトガ分ツテ居リマスシ、サウシテ見マスト云フト、又ソレニ少シ触ルルヤウナ廉モ出テ来マスルデ、寧ロ其民法・商法ノ発表シタ以上ヤル方ガ宜カラウト云フコトデ、一時唯ダ此本案ニ立入ラズシテ委員会ヲ止メタヤウナ訳デゴザイマス、決シテ必要デナイト云フ主義デハナイ、ソレ故ニ此度モ又此問題ガ更ニ現ハレ出マシタノデゴザイマスルデ、是ガ唯尋常ノ宿題トカ何トカ云フヤウナコトニセズシマシテ、矢張リ此委員ニ選バレマシタ人々ノ其地方ノ商業会議所ガ委員会議所ト云フヤウナコトニシテ、又取調ベル時分ニハ此会議所ノ委員ガ寄ツテ調ベルト云フヤウナコトニ御定メ置下スツタナラバ大ニ都合ガ宜カラウト考ヘマス、只今モ商工局長ノ述ベラレマスル所デハ一向差当ツテ改正スル必要モナイヤウニモ聞カレマシタガ、決シテ今日等閑ニシテ置カレル事柄トモ考ヘマセヌ、委員ノ会議所ヲ御設ケニナツテ置キマシタ方ガ、又時トシテ其中デ幹事会議所ト云フモノガ出来マシテ委員ヲ選定スルコトハ必要デアラウト思ヒマス
○八番(金沢、山田清三君) 前回デ第二号議案書留郵便保証ノ件ノ委員ヲ設ケラレマシタ、私モ委員ノ一人デアリマス、其意ヲ御報告シテ置キマシタ通リ……
○副会長(東京、中野武営君) チヨツト御待下サイ、此商業会議所条例ト云フコトニ付テ委員ノ報告ガゴザイマシテ、今三十七番カラ出テ居リマスルガ此事カラ先ヘ結了致シマスルヤウニ致シマス、之ニ付テ御意見ガゴザイマスレバドウゾ……
○十一番(名古屋、鈴木摠兵衛君) チヨツト三十七番ニ伺ヒマスガ、三十八番ノ報告ニナリマシタコトガゴザイマスガ、三十七番ノ御趣意ハ継続ノ委員ヲ設ケテ其委員ガ尚ホ能ク之ヲシテ講究スルト斯ウ云フ風ニ聞取リマシタガ、サウデゴザイマスカ
○副会長(東京、中野武営君) 左様デゴザイマス、此問題モ継続シ、今成立ツテ居ツタ所ノ委員モ継続委員ニシテ、能ク調査ヲシツヽヤツ
 - 第22巻 p.512 -ページ画像 
テ貰ヒタイト其御趣意デゴザイマス
○三十七番(大阪、土居通夫君) 其趣意デアリマスガ、今日選バレテ居ル委員ニ限ラズ其委員ノ地方々々ノ商業会議所ヲ委員会議所ト致シタラバ宜カラウト、斯ウ云フ趣意デ
○十番(名古屋、奥田正香君) 只今此案ニ付キマシテハ全ク委員会ノ御報道通リヲ賛成致シマス、三十七番ノ御説モゴザイマス、之ハサウ致シテモ敢テ差支ヘル程ノコトデモゴザイマセヌガ、去リナガラ継続議案ト云フコトニナリマスレバ、三十七番ノ御述ベニナリマシタヤウナ趣意ヲ以チマシテ、単リ委員会議所ノミナラズ一般ニ於テ此事ハ充分ニ研究ガ届イテ居ラヌヤウニ思ヒマスカラ、自分ノ会議所等ニ於キマシテモ帰リマシタ以上ハ十分此事ニ付テ調査ヲ致シ、且ツ他日委員長御報告デ御請求ニナリマシタ各会議所ニ向ツテモ御諮問ガアラウト思ヒマスカラ、之ハ別段箇所ヲ限ツテ致シマセヌデモ、各会議所共普通ノ宿題是マデノ宿題ナドノ観ヲナサズシテ、到底是非之ハ改正シナケレバナラヌコトハ勿論ノコトデゴザイマス、唯ダ此場合ニ直チニスルノハ少シクドウデアラウカト云フ事カラ継続案ニナツタノデ、怠ラズ各会議所ガ調査スルト云フ趣意ヲ以チマシテ継続案ト云フコトニ賛成致シマス
○三十六番(岡山、香川真一君) 御隣リノ三十七番ヲ賛成致シマス
○五番(水戸、塙七平君) 五番ハ遅刻致シマシタガ、只今ノ何ハ分リマセヌガ、チヨツト……
○副会長(東京、中野武営君) 只今ノハ商業会議所条例ノ委員会ヨリ報告ガゴザイマシテ、其報告ハ此際ニ逐条此ノ如キモノヲ調査スルコトモ容易ナ業デモナイノミナラズ、又農商務ナドニ於テモ其材料ヲ調ベツヽアルト云フコトデアレバ、今爰デ取極メテ直グニ効ヲ為スト云フ訳ニ行カヌカラ、之ハ宿題トシテ即チ継続議案トシテ置イテ、此聯合会ニ於テハ此ノ如ク決定シタイ、即チ農商務ニ向ツテ成ルベク此条例改正ノ進行ヲ速カニシテ下サイ、而シテ其改正案ガ出来タ以上ハ商業会議所ヘ諮問ヲ下サレト云フコトヲ此所デ決議致シテ、而シテ其決議ヲ聯合会ノ会長ヨリ農商務大臣ヘ上申ヲシテ置クト斯ウ云フ……
○三十六番(岡山、香川真一君) 議長ハ三十七番ノ説カラ決ヲ採ルト云フ御宣告ニナツタヤウニ聞キマシタガ
○副会長(東京、中野武営君) サウジヤナイ、未ダサウハ申シテ居ラヌ、ソレデ御議論ガゴザイマセヌケレバ先ヅ第一ニ此委員会ハ今申シタ通リノコトヲ決議シテ置イテ、此議長カラ農商務大臣ヘ上申スルコトガ一ツト、ソレカラ二ツニハ今三十七番ノ御説ノ、委員ヲ継続サセテ置イテ置ク、其会議所ヲ委員トシテ継続サセテ置クト斯ウ云フノガ一ツ、二ツゴザイマスカラ二ツニ分ケテ決ヲ採リマス
○五番(水戸、塙七平君) 五番ハ此条例改正ニ付キマシテハ矢張リ本会ニ於テ多少議シマシテ、決議ヲ政府ニ知ラシメテ置イタ方ガ政府デ改正ヲスルニモ宜カラウト考ヘマス、ソレデ何故サウデアルカト云フト、昨日モ一昨日モ局長ノ御演説ニ依リマスルト云フト、偏ニ外国ノ例ヲ採ツテ御改正ニナルヤウナ御演説デアリマシタガ、外国ノ例ハ今日日本ニハ左程痛痒相感ジナイコトヽ考ヘル、ソレデ日本ノ今日ノ程
 - 第22巻 p.513 -ページ画像 
度カラ致シテ必要ナ所ノ条項ヲ加ヘルノニハ、詰リ分ラヌ所ノ商業会議所ガ言ツテモ参考ニナルダラウト思フ、デ玆ニ出シタモノヲ唯宿題ニシテ終ルト云フノハ如何ニモ残念デゴザイマスルカラ、ドウカ政府ノ参考ニモナル仕事デアルカラ、逐条審議ヲシテ、本会ノ希望ハ此ノ如キモノデアル、ソレヲ政府デ採ルト採ラヌトハ姑ク措イテ問ハズ、吾々ノ希望ハ斯ウデアルト云フコトヲ知ラシムルノハ聯合会ノ力デアルト思フ、偏ニ外国ニバカリ拠ラレテハ吾々日本人ハ甚ダ困ル、ドウカサウ云フ意見デゴザイマスカラ、是非此案ハ逐条審議ヲ致シタイ考デゴザイマス
○三十八番(大阪、今西林三郎君) チヨツト委員会ノコトニ付テ御話ヲ致シテ置キタウゴザイマスガ、詰リ此段々委員会ニ於テモ再三集会ヲ致シテ逐条ニ渉ツテ評議モ致シタノデゴザイマスガ、要スルニ重モナルモノハ選挙法即選挙人ノ資格ト云フコトヽ、ソレカラ聯合会ノ事トガ主眼ニナツテ居ルノデス、其他ノ箇条ハモウドウデモ宜イト云フ訳デモゴザイマセヌガ、左迄重キヲ置イテヤカマシク言フ程ノコトガナイカ知ラヌト思フ、此選挙法ノ事ハ、段々一昨日モ局長カラ御話モアリソレニ御質問モアツタリ、又此方カラ注意モシテ置イタ位デ、聯合会ノコトニ付キマシテハ、余程是ハ研究スルコトデアラウト思ヒマス、是ハ委員会バカリデナク満場諸君ニ於テモ、此聯合会ガ果シテ法律的ノモノニナツテ此条例ニ組入レラレルノハ適当デアルヤ否ヤト云フコトニ付キマシテハ、御研究ノコトデ容易ノコトデハナイ、兎ニ角農商務省ガ今其事ニ御着手ニナツテ居ルコトデゴザイマスカラ、吾々ノ希望ハ成ルタケソレヲ速ニヤツテ頂キタイト云フコトト、先刻申シマシタ通リ是ハ必ズ御諮問下サルト云フコトヲ願ツテ置イタナラバ、其場合ニ十分御研究ガ出来ヤウト思ヒマスカラ、今此処デ条例案ヲ拵ヘテ見タ所ガ、農商務省ニ於テモ色々御調ノ上之ヲ御施行ニナル上ニ於テ御都合モアルコトデアラウト思ヒマスカラ、チヨツトソレヲ申上ゲテ置キマス
○五十八番(太田、西野次郎兵衛君) 三十七番ヲ賛成致シマス
○副会長(東京、中野武営君) モウ御発論者ガゴザイマセヌケレバ採決致シマス
○十三番(神戸、横田孝史君) 本員ハ聊カ遅刻致シマシタガ、只今何ンデス
○副会長(東京、中野武営君) 商業会議所条例ノ問題ニ付キマシテ委員会ノ報告ガアリマシテ、ソレデ其委員会ノ報告ハ、今之ヲ逐条ニ渉ツテ決議シ調査スルト云フコトハ到底出来得ラレヌ、又其時期デナイ依ツテ之ヲ継続案トシマシテ、サウシテ農商務省ニ於テモ此御意向ヲ以テ御調中デアルカラ其御調査ヲ成ルベク御進メヲ願ウ、而シテ其案ガ出来タラ御諮問ニナルヤウニ願ヒタイ、ト云フコトヲ此聯合会ガ決議ヲシテ、議長ヨリ其事ヲ農商務大臣ヘ上申スルト云フ委員会ノ報告デアリマシタ、ソレデ三十七番ハソレハソレデ宜イ、而シテ此問題ガ継続ニナルト同時ニ、此案ノ委員トナツテ居ツタ分ノ商業会議所ガ矢張継続委員トシテ存シテ置キタイト云フ斯フ云フ説ナンデス
○十三番(神戸、横田孝史君) サウスルト、過日此処ニ現ハレテ居リ
 - 第22巻 p.514 -ページ画像 
マスル商業会議所条例改正案ニ対シテ別段立入ツテ御調ベモナク、唯当局者ニ於テモ目下調査中デアルカラ成ルベク急イデシテ貰ヒタイ、付テハ愈々発布セラレル以前ニ当ツテ諮問ヲシテ貰ヒタイト、斯ウ云フコトニ止マルノデスカ
○副会長(東京、中野武営君) 左様デゴザイマス
○十三番(神戸、横田孝史君) サウスルト、イツカ此聯合会ノ臨時会デモ開カナケレバナラヌト云フコトニナリマスカ
○副会長(東京、中野武営君) ソレハ未来ノコトデ一向分ラヌガ、必要ガアツタラサウ云フコトニナルカモ知レマセヌ、農商務省カラ諮問ヲセラレタ場合ニ於テハ必要ガアレバ聯合会ヲ臨時開クカモ知レマセヌ、併シ又其時期ニ依リマシテハ通例ノ会ニ於テスルコトニナルカモ知レマセヌ
○十三番(神戸、横田孝史君) 未来ノコトデハゴザイマスガ、本会ニ諮問シテ貰ヒタイト云フコトヲ言フ以上ハ諮問ヲ受ケベキ機関ガナケレバナラヌ、ソレハ何ンデス、九名ノ委員ト云フモノガ其儘存シテ置クト、委員ニ任シテ置クト云フノデスカ
○副会長(東京、中野武営君) 聯合会ハ各会議所デ代表シテ居ルノデアリマスカラ、諮問ニナル場合ハ各商業会議所ヘ諮問ニナルダラウト思ヒマス、ソレヲ各会議所ガ持ツテ来テ聯合会ヲ開ク……
○十三番(神戸、横田孝史君) 委員長ニ伺ヒマスガ、聯合会組織ト云フコトニ付テハ別段御定見ガナイノデゴザイマスカ
○副会長(東京、中野武営君) 私ハ委員長デアリマスガ、此処ノ席ニ居リマスカラ御報告ハ三十八番ニ御頼申シテ御報告ヲシテ貰ツタノデゴザイマス、今西君ニ御尋ネニナツテ……
○十三番(神戸、横田孝史君) ドナタデモ宜イ、聯合会ノ組織ニ関スル御意見ヲ伺ヒタイ
○三十八番(大阪、今西林三郎君) ドウ云フ御趣意デスカ
○十三番(神戸、横田孝史君) 此問題ニ付テハ、本会ニ於テ十分攻究ヲスベキ価値ノアル問題ト信ズルガ故ニ御尋ネスルノデス、此聯合会ノ組織ニ関スル委員会ノ御意見、又語ヲ約メテ申セバ聯合会ト云フモノハ必要デアルヤ否ヤ、果シテ必要デアル以上ハ是迄ノ如ク有志団体トシテ放任シテ置クヤ、若クハ第六回以来此聯合会ノ輿論トナツテ居ル如クデス、政府ト気脈ヲ通ズルガタメニ公認セシムル方法ニスルヤ否ヤト云フコトニ付テ、委員会ハ如何ナル御意見デゴザイマスカト云フコトヲ伺ヒマス
○三十八番(大阪、今西林三郎君) 御答致シマスガ、実ハ此聯合会ノ必要ト云フコトハ固ヨリ認メテ居ルノデス、聯合会ヲ必要ト認メテ居ルガ故ニ是ハ固ヨリ否決モ致シマセヌシ、其儘継続ヲ致シテ研究ヲスルト云フコトニナツテ居リマス、併ナガラ条例中ニ加ヘテ置イテ唯今ノ姿デ是ガ果シテ完全ナルモノニナリ且ツソレガ有力ナルモノニナルヤ否ヤト云フコトニ付キマシテハ、一ノ疑問トシテ吾々モ十分決定ヲシテ居ラヌノデアリマス、是ダケ申上ゲテ置キマス
○十二番(神戸、坪野平太郎君) 十二番ハ委員ノ方ニ質問ヲシタイ、此改正案ト云フモノハ是ハ御審議ニナラヌモノデスカ、是ガ悪ルイト
 - 第22巻 p.515 -ページ画像 
云フ考ガアツテ農商務省ノ調ヲ待ツト斯ウ云フノデアリマスカ、農商務省ガ未来ニ於テ拵ヘテ出スト云フ改正案ハ是ヨリモ良イモノト云フ御考ガ付イタノデアルカ、ソレヲ伺ヒタイ
○三十八番(大阪、今西林三郎君) 御答致シマスガ、別ニ是ガ悪ルイカライカヌト云フ訳デハナイ、イカヌケレバ否決スルガ、悪ルイトハ思ヒマセヌガ、併シ農商務省デ目下外国ノ例ナドヲ取調ベテ居ル、其他段々其事ニ掛ツテ御調ベニナツテ居ルノデアリマスカラ、願ハクハ此方デ一朝一夕ニ此処デ決議シテ出スト云フヨリハ、サウ云フ実際ヲ調査シタモノト併セテ完全無欠ナモノニシタイト云フ所カラ、之ヲ継続案トシテ十分互ニ研究シヤウト云フ意見ナンデス
○五番(水戸、塙七平君) 五番ハ只今申シマシタ所カラ、今何番デスカ質問ガアツタ其委員ノ御答ニ付テ大ニ不快ヲ感ジテ居リマス、ソレハ何故デアルカト云フノニ、聯合会ノ力ノ如何ハ余リ認メルコトガ出来ヌト申サレマシタガ、此聯合会ト云フモノガ自ラ努メテヤラヌトキニハ力ノ付カヌト云フコトハ明カナコトデアラウト思フ、デ委員自ラ聯合会ヲ軽ンジテヤラレタト云フニ至ツタナラバ此聯合会ヲドウシマセウ、私ハ全此改正案ニ付キマシテハ二・三箇条大ニ議スベキ理由ガアルト考ヘマスカラ是非逐条審議ヲシテ欲シイト云フコトヲ先刻言ヒ出シタノデアリマス、然ルニ委員ノ答ニ依ルト益々之ヲ議サネバナラヌ理屈ニナツテ来タ、聯合会ノ諸君ハ斯ウ云フ事ヲ宿題ニシテ政府ノ方針ニ任シテシマウト云フヤウナコトハ、賢明ナル諸君――或ハソレガ却テ社会ノ風潮カモ知レマセヌガ、決シテサウ云フモノデアルマイト思フ、分ラヌデモ何ンデモドシドシヤツテ、吾々ガ是デ善イト信ジタナラバ是非ヤレト望ムノダ、吾々ガ斯ウヤツタカラ是ニ傚ツテヤツテ呉レ、外国ノ例ニ傚ツテヤツテ呉レトハ言ハヌノデス、ソレカラ又委員諸君ハ此案ハ咄嗟ニ出タモノダト言ハレルガ、決シテ咄嗟デナイノデアル、何モ吾々ガ此位ノモノヲ一年モ二年モ掛ツテヤルニハ及ブマイト思フ、皆サンノ脳髄ニ於テハ聯合会ノ位地ヲ高メタイ、選挙法ハ斯ウシタイト云フコトハ皆考ヘテ居ルノデアリマスカラ、此処デ審議討論シタコトヲ決議シテ政府ニ御注意申シテ置クト云フコトハ、聯合会ニ於テ為スベキコトデアラウト信スルノデアリマス、然ルニ段々是ハ或ハ臆測デアルカモ知レマセヌガ、斯ウ云フ事ヲ承ハル日限ガナイカラ、早ク帰リタイカラ宿題ニシテ置カウト云フコトガ委員会ノ決議ニナツタト云フコトハナイカ、斯ノ如キコトデハ誠ニ委員ハ不親切デアル、聯合会ニ列シテ委員自ラガ聯合会ヲ蔑視スルモノト言ナケレバナラヌト思ヒマス、ドウカ満場諸君、御賛成下スツテ、此議案ニ付テハ今日カラドシドシ議シテ、ドンナ曲ツタナリノモノデモ政府ノ御参考ニ供スルヤウニシタイト考ヘマス
○十三番(神戸、横田孝史君) 只今五番カラモ色々説ガ出マシタガ、全体此案ト云フモノハ既ニ第七回即チ昨年ノ五月ニ横浜デ開イタ時以来ノ宿題デアル、又此聯合会ノ事ニ付キマシテハ、一昨年広島ニ於ケル第六回ノ聯合会ノ際殆ンド満場一致ヲ以テ其希望ヲ定メタノデアル即チ聯合会ヲシテ政府ト直接ニ気脈ヲ通ゼシメムガタメニ之ヲ公認スルト云フ事ニ付テハ其当時或二・三ノ有力ナル団体ガ反対ヲサレテ遂
 - 第22巻 p.516 -ページ画像 
ニ継続ト云フヤウナ曖昧ナ事ニ立至ツタノデス、一年前ニ横浜ニ於ケル第七聯合会、二年前ノ広島ニ於ケル第六聯合会、抑モ此案ニ於ケル歴史ニ依ツテ将来ヲ考ヘテ見ルト、或ハ委員会ノ方針ハ例ニ依ツテ矢張リ握リ潰サウト云フヤウナ手段デハナカラウカト思ヒマス、然ラザレバ委員トシテノ任務ヲ御尽シニナツテ居ラナイト云フ嫌ノアルモノノ如ク本員ハ存ズル、如何トナレバ年々歳々吾々ガ希望シツヽアル所ノ案件ニ対シテ未ダドウモ好意見ガナイカラ、若クハ当局者ガトウカ編製スルラシク考ヘルカラシテソレヲ待ツ方ガ完全ナモノガ出来ルダラウ、何モ当局者ヲ信ズルナラバ決シテ是等ノ案件ヲ討議スル必要モナシ、又総テノ事ヲ挙ゲテ当局者ニ任セバ聯合会ノ必要モナケレバ各地方ノ商業会議所ノ必要モナイ、何ガ為メニ各地方ノ商業会議所ガ其銘々ノ仕事ニ満足シナイデ、多数ノ智識ヲ集メテ実業ノ発達其他ノ利害得失ヲ講究審議スル必要ガアルデゴザイマセウ、農商務省ハ一箇年ニ三百何十万円ト云フ金ヲ使ツテ居ルカラ此金ノ比較上沢山ニ仕事ガ出来テ居ル、聯合会ハサウハナイ、此各地方ノ商業会議所ハ五十一箇所ニ対シテ年々十二万円シカ金ヲ使ツテ居ラヌカラ、農商務省ニ於テ三百何十万円ト云フ金ニ対スル三十分ノ一ノ仕事ヲシテ居レバ吾々ハ宜イノデアルト云フヤウナ、数理上カラ算盤カラ割出シタ或ハ考ヲスレバ殆ント何モ仕事ヲシナクテモ宜イカモ知レマセヌケレドモ、サウ云フ訳ノモノデハナイト思フ、況ンヤ過日来ノ総テ案件ニ対シテモ爰デ決議ヲシテ吾々ガ其施政府トモ見ルベキ所ノ各商業会議所ニ持ツテ帰リ、此聯合会其モノハ公認セラレテ居ラヌガ為ニ命令的ニ各会議所ニ爰デ通過シタモノハ必ズヤ格守セシムル権能モナケレバ、又各地ノ商業会議所モ服従的ニ爰デ通過シ若クハ可決シタモノニ対シテ必ズシモ決議ヲシナケレバナラヌト云フコトハナイノデ、果シテ然ラバ聯合会ナルモノガ右セント欲シ、各地ノ商業会議所ノ所見ハ左セント欲スト云フヤウナ場合ナキニシモアラズ、ソレ故ニ私ハ公認ト云フコトヲ希望シテ居ルノデ、決シテ実業上ノ所謂商工業利害得失ヲ講究スルニ対シテハ必ズシモ当局者ノ干渉ヲ除クト云フ趣意デハ決シテナイ、要スルニ政府ガ或ル案件ニ対シテ諮問ヲスルト云フテモ既ニ五十何箇所今日ニ於テ設立ガ出来テ居ル、是カラ段々殖エルコトガアリマセウガ減ズルコトハアリマスマイ、ソレガ区々ナル意見ヲ政府ノ諮問ニ対シテスルト云フ場合ニハ随分当局者モ困ルデアラウ、或ル場合ニハ又都合ノ良イ答申ヲ取ルト云フコトモ出来マセウガ、折角此聯合会ト云フモノガアルニモ拘ラズ、五十何箇所ニ向ツテ諮問ヲシナケレバナラヌ斯ウ云フ不便ガアル、現ニ何番カノ委員トシテノ御答中ニモアリマシタ、此今政府ガ編纂スルラシク思フト云フコトニ対シテドウ云フ場合ニ其吾々ニ諮問ヲスルト云フノデアルカト云フコトニ付テハ、何レ政府ハ各商業会議所ニ対シテ意見ヲ聞クダラウ、斯ウ云フヤウナ御答デアツタ、実ニ不便極ツタ話デアル、ソレデ以テ吾々ガ満足スルナラバ宜シク速カニ此聯合会ト云フモノハ解散ノ勝レルニ如カヌノデ、苟クモ此聯合会ヲ組織シタ以上ハ宜シク聯合会トシテノ行為行動ノ出来ルヤウニシタイト云フコトハ吾々多年ノ希望デ、ソレデ甚ダ御気ノ毒デアリマスガ、私共ノ所見デハ未ダ委員ハ此案ニ対スルノ調査ニ付イテ
 - 第22巻 p.517 -ページ画像 
居ナイト存ジマスルガ故ニ、今一度ビ此事ヲ最モ慎重ニ最モ親切ニ御調査アランコトヲ希望致シマス
○十二番(神戸、坪野平太郎君) 十二番ハ五番ノ意見ニ賛成デアリマス、ドウモ其委員ノ報告ハ不本意デアルノデ、農商務省ニ申出シテ速カニドウゾ改正案ヲ出シテ呉レロ、斯ウ云フテ自分ハ何ヲシテ居ルカ己ハ此ノ如キ改正案ヲマデ出シテサウシテ置イテ之ヲ速カニ議スルコトヲシナイデ此儘帰ツテシマウ、人ニ責ムルニハ速カニシロ、己ハ之デ以テ宿題ニシテ帰ラウ、甚ダ聯合会ノ面目トシテ潔クナイ、此問題ハソンナニ六ケシクナイ、苦情ヲ言ヘバ沢山アルヤウダケレドモ本当ニ力ヲ注ガウト云フコトハ選挙・任務、或ハ聯合会、此三箇条許リノ事柄シカアリハシナイデハナイカ、文章ノ此章句ノ点ニ至ツテハ吾々実業者ガ余リ喧シク言ハヌデモ、其所等ノ辺ハ其方ノ人ニ任カシテ置イテ宜カラウ、僅ツタ三点是丈ケノモノニ出張シテサウシテ己ガ議サナイデ宿題トシテ帰ル、農商務省ニハ何ト言フカト言ヘバ速カニドウゾ改正案ヲ出シテ呉レ、実ニ吾々ハ斯ウ云フ詰ラナイコトヲ言ツテ止メタクハナイ、願クハドウゾ勇気ヲ出シテ此事ヲ一ツ問題ニシテ戴キタイ
○十七番(阿波、根本民治君) 既ニ私モ委員ノ一人デアリマスガ、段段委員長カラ説明ヲシテアリマスカラ別ニ十七番トシテ述ベルノ要ヲ感ジマセヌガ、此案ニ対シテ委員ノ調査ガ甚ダ軽忽デアル、或ハ此聯合会ヲ蔑視シテ居ル云フヤウナ御論ガ出マスルガ、委員ニ於キマシテハ決シテ此聯合会ヲ蔑視シテ只今ノ報告ヲシタト云フノデハナイ、現ニ此条例ノ一条ヨリ末項ニ至リマスルマデモ各条ニ付テ合議モ遂ゲテ見タ、又所謂十七番ノ如キモ此商業会議所ノ条例ヲ改正シテ大ニ商業会議所ノ権限ヲ拡張シタイト云フコトノ希望ハ、実ニ宿昔ノ希望ニシテ今日ノ希望デハナイ、ソレデ成ルベク当聯合会ニ於テ為シ得ラルヽモノデアルナラバ為シタイト云フ考ハ十分アルノデゴザイマスケレドモ、今ヤ農商務省ハ此条例改正ト云フコトニ対シテ御調査ニナリ居ル場合、又之ヲ外国ノ事例ニ徴シテ見マスレバ、吾々ノ考ヘテ居ル所ヨリハ又モウチツト権利ノ伸ビ得ラルヽコトナキニシモアラヌ場合ガアラウト考ヘマス、ソレデ第一ニ不自由ヲ感ジテ居ルノハ聯合会ガ此条例ニ於テ認メテナイト云フ、之ヲ其認メルコトニスル場合ニ又一ツノ講究ヲシテ見ルト苦シイ場合ガアル、ト云フモノハ、現ニ此聯合会ヲ開キマスニ付テモ或ル商業会議所ノ如キハ諾否未ダ答ヘナイト云フヤウナモノモアル、ソレハ最モ商業会議所トシテ最モ力ノ弱イノモアル是非之ハソレ等ノモノニデモ纏メテ此聯合会ニ出席ヲサスト云フコトニスルガ宜イノデアラウカ、又ソレ等ノ事ハ一方ノ任意ニスルノガ宜イノデアラウカト云フコトノ一ツ講究問題モ起ツテ、ソレ等ノタメニハ殆ント二時間余ノ時間ヲ費シテ講究ヲシタヤウナ場合、敢テ此委員ガ職責ヲ曠フスルナドヽ云フ御批評ハ甚ダ委員トシテ迷惑スルノデ、決シテサウ云フ事デナイ、ソレト今一ツ委員トシテ委員ノ此調ベヲシツヽアルト云フ御論ガアル、随分其横浜ノ聯合会デ決定ヲセラレマシタト云フ事ハ此条例ノ改正ヲスルノガ宜イト云フノガ大体ノ決議デアル、サウシテ大阪ニ会ヲ開イタ場合ニハ民法・商法ノ最早実施ノ期モ
 - 第22巻 p.518 -ページ画像 
迫ツテ居ル場合デアルカラ、今案ヲ起スヨリハ尚ホ其民法・商法ノ実施ヲ待ツテ而シテ案ヲ起ス方ガ宜イト云フノデ解散セラレタ、其時ニ寄合ツタ或一・二ノ者ガ唯ダ此参考トシテ此諸君ニ御配付ニナツテ居ル所ノ条例ノ改正案ト云フモノハ斯ンナモノデアルカト云フ位ノモノデ、此条例ヲ骨子ニ見テ論ズルト云フコトハ恐ラク誤ツタ御論ト私ハ論断ヲ下スノデ、右ノ様ナ内儀デアリマスカラ、今日爰デ之ヲ決定ヲシマセヌト云フコトハ十七番ノ如キモ甚ダ遺憾ト思ヒマスケレドモ、却ツテ事ヲ急イデ宜クナイモノガ出来マスヨリモ、今暫ク貸スニ時日ヲ与ヘテ講究ヲシタモノガ却ツテ完全ノモノヲ得ラレル、此聯合会ノ面目モ充分保存シ得ラルヽト云フ考デ、ト云フテ之ヲ唯ダ捨テルト云フノデハナイ、一方ニハ即チ会長ヲシテ此聯合会ノ希望即チ速カニ商業会議所条例ヲ改正シテ呉レ、大ニ商業会議所ニ対シテハ権利ヲ与ヘルコトニセヨ、聯合会ノ如キモ大ニ此法律ニ認メテ貰ウヤウナコトニシテ戴キタイト云フコトハ、即チ本会ヲ代表シ農商務大臣ヘ述ベルノデスカラ、唯ダ之ガ希望ヲ述ベ放シデアル無責任デアルト云フコトデハナイ、即チ本会ノ希望各地商業会議所ノ希望ヲ即チ述ベルノデスカラ、敢テ之ガ至ツテ軽イモノデアルト云フコトニハ私ハ存セヌ、私ハ全国ノ輿論トシテ農商務大臣ハ之ヲ聞クコトヽ考ヘル、唯止ナク之ヲ今日聯合会デ編纂スルト云フコトハ、ドウモ時ノ得タルモノデナイカラ、少シク此時日ヲ延バシテヤツテ行クト云フコトニ外ナラヌ、敢テ不親切トカ軽蔑シタト云フノデハナイ、即チ吾々ハ大ニ此事ニ付テ講究ヲ積ンデ御報告致シタ訳デアリマス、ソレ丈ケノコトハ大ニ御了承アランコトヲ一言爰デ弁ジマス
○十番(名古屋、奥田正香君) 十番ハ委員ノ報告ヲ賛成シタノデアリマスガ一言述ベテ置キマス、五番デアリマシタカ御述ベ中ニハ、或ハ推測スレバ委員ハ最早帰郷ヲ急グ会員ガ多イカラ、斯ウ云フコトヲ議シテ居ツテハ何デアルカラト云フコトヲ思ヒ図ツテ、不親切ニ斯ウ云フ決議ヲシハシナイカト云フ御説ガアリマシテ、甚ダ其意ヲ得ヌト思フ、自分等ノ之ヲ賛成シタノハ、決シテ自分等ハ単ニ帰郷ヲ急グデナシ、自分等未ダ他ニ要事ガアルカラ是カラ二・三日掛ツタトテ敢テ厭フ所デハアリマセヌ、併シナガラ是等ノ事ヲ単ニ修正意見トシテ提出ニナツタモノヲ、直チニ決議ヲシタカラトテ立派ナト云フモノデモナイ、成程反対意見者カラ御論ニナリマスレバ、甚ダ無能デアル、是等ノ事ガ分ラヌカト云フ御攻撃ガアルカ知レマセヌガ、自分等ハ未ダ此選挙ナドニ付テモ充分ニ考ガ付イテ居リマセヌ、其選挙ノコトナドモ余程慎重ヲ要シテ考ナケレバナラヌト思ヒマス、サウシテ又此経費ノ徴収方ニ於キマシテモ、或ハ営業税ニ課スルト言ヒ、若クハ今日マデノ如ク所得税ニ課スルガ宜イト言ヒ、之ニモ一得一失アル、余程此経費ノ課シ方ニ付キマシテモ将来非常ナ差支ヲ生ズル、今日ノ儘ニ置イテモ差支ヲ生ジナイ、去リトテ営業税ノ如キニ課スルト云フコトハ過日或ル議員カラ御述ベニナリマシタ如ク何デモアリマセウ、何レニシテモ成程此条項ヲヤツテ見マスレバ他ニ聯合会、委員ノ選挙、権能ト之ハ二ツ三ツデアリマスケレドモ、此二ツカ三ツカ非常ニ重モイコトデアラウ、成程吾々モ斯ク聯合会員トシテ出席スル以上ハ此事ヲ実行
 - 第22巻 p.519 -ページ画像 
スルト否トハ各商業会議所ノ意向ニ在ル、斯ウ云フヤウナ訳デ甚ダ見ヤウニ依ツテ《(コノ一行マヽ)》一面カラ見ヘルガ、去リトテ之ヲ決議スルモノデアル、必ズ聯合会ノ決議ハ是非其土地地方ノ状況ノ異ナルニモ拘ラズ、過半数ノ決議デアレバ服従セネバナラヌト云フコトニナリマスレバ、如何ナル結果ヲ来シマスルカ、ソレガ為ニ聯合会ニハ出席ノ出来ヌヤウナコトニナリハセヌカ、或ハ加盟スルコトヲ否マヌナラヌヤウナコトニナリハシナイカト云フ点ガアル、去リトテサウ云フ点ガアルカラシテ聯合会ガ無用ダト云フノデハナイ、是非聯合会ノ高尚ニナルヤウニシタイ、公認ノアルヤウニシタイ、然ラバドウ云フ顛末ニシタナラバサウ云フ不都合ヲ醸サナイ、苟クモ全国ノ会議所ガ聯合会ニ会シテハ固ヨリ議会ノ有様トシテモ満場一致ハ望マシイコトデアリマスケレドモ各項毎ニ満場一致ト云フコトハ得ラレマセヌ、多数決ヲ以テシナケレバナラヌト云フ場合デ、実業上トハ申シナガラ大都会若クハ小都会、又地方ノ有様ニ依ツテ利害ノ異ナルコトモアリマスケレドモ、単ニ聊カノ比較的ノ多数ニ依ツテ決セラレタモノデ、ソレヲ是非其会議所ガ服従セネバナラヌト云フコトニナリマスレバ、少シク種々ナ感覚ヲ致サヌケレバナラヌト思ヒマス、其辺ノ所ヲ講究スルコトヽスルト、随分此自分等ハ聯合会ヲ公認セラルヽノヲ好ムノデアル、此聯合会ト云フモノヽ権利ノアルヤウニシタイト云フ論者ニモ拘ラズ種々ナ感ジヲ致シマス、サウ致シマシタナラバ全ク充分ナ目的ヲ遂ゲ得ラレヌト云フコトニ付テハ充分ナ考ヲ致シタイト思フ所、委員ノ御報道ガアリマシテ、至極是等ハ貸スニ時日ヲ以テスルト云フノハ宜シイ御考デアルト云フノデ賛成ヲシタ訳デアリマス、固ヨリ此政府ニ向ツテ此条例ノ改正ヲセラルヽナラバ早クシテ貰ヒタイ、早ク御示シナサレタイノハ成程他ヲ信ズルノ厚キ、唯自カラハ到底出来ナイカラ主務省カラ改正案トシテ御出シニナツタモノガ始メテ吾々ガ甘心スベキモノデアルカラ捨テヽ置クト云フノデハナイ、又海外ノ事情等ヲ調ベルニ付テハ或ハ各会議所自ラガ調ベルヨリハ主務省ノ御調ベニナツタ方ガ、此点ニ付テハ遺憾ナガラ吾々ヨリモ幾分カ御便利デアラウ、又仮ンバ其為ニ御斡旋ナサルト云フコトノ為メニ各会議所カラ之ヲ派出員等ヲ出スト云フコトハ随分難イコトデアリマス、各会議所カラ是レハ難イコトデアルカラ此点ニ付テハ主務省ニ注意ヲシタラ宜カラウ、固ヨリ此商業会議所ノ条例ヲ編纂スルニ当ツテ単ニソレニ拠ラナケレバナラヌト云フコトハナイガ、元ト元ト会議所ノ起ツタコトハ外国ノ事例カラ起ツタノデアリマスカラ、十分ニ取調ベタナラバ採ツテ以テ我国ノ会議所条例改正ニ益ヲ与ヘルコトモアラウ、依テ是等ノ取調ベモ必要デアラウト思フ、固ヨリ各国自ラ事情ガ異リマセウガ、各国共ニ斯カル場所ニハ斯ウ云フ仕組ガアル、或ハ聯合会ト云フモノハ斯ウ云フ権能ノアルモノデアルト云フコトガ分ツタナラバ自分ノ大キニ参考ニモナラウ又主務省ガ御差出ナサルコトナラバ完全無欠ト思ハナケレバ諮問ヲ請フ必要モナイケレドモ、単ニ外国ノ事例ヲ取調ベテ条例ノ改正案ガ出来タカラソレ発布セヨト云フコトニナツタナラバ非常ナ迷惑ヲ醸スカモ知レマセヌ、依ツテ此点ニ付テハ吾々モ十分ニ研究シ、主務省ニ於テモ海外ノ事例ヲ取調ベ、又日本ノ事例ヲ調ベテ自ラ十分ノモノト信
 - 第22巻 p.520 -ページ画像 
ズル改正案ヲ出ス、又其諮問案ニ対シテハ吾々十分ノ意見ヲ開陳スル又其意見ヲ開陳シタラバ、是非御用ヰヲ願ヒタタイト云フコトヲ其時ニ主務省ニ云フ、決シテ盲従スルコトハナイ、又此条例ト云フモノハ吾々ハ斯ノ如クスベシト決議シタ所ガ兎ニ角主務省カラ――政府カラ発令ニナルモノデ、吾々ガ直チニ改正ノ出来ルモノデナイカラ、何レガ軽ク何レガ重キト云フコトハ暫ク置キマシタ所ガ、兎ニ角当局者ハ改正ノ必要ガアラウト思フノデ、吾々ノ希望ノアル所ハ斯ノ如クデアルト、口頭ニアレ書面ニアレ申シテ置クノガ必要デアル、又主務省ニ於キマシテモ、今日商業会議所条例ノ改正ヲスルニ当ツテ会議所ノ意見ハドウデアラウトモ条例サヘ改正スレバ宜イト云フコトハナカラウ当局者ガ改正スルノニモ会議所ノ権限ヲ増スト云ツタ所ガ権能ヲ左迄与ヘロト云フコトハ出来ヌ、先ヅ権能ノ十分アル会議所ガ決議シテ御答ヲスル時ニナツタナラバ至極便利デアラウ、要スルニ政府当局者ト雖モ会議所ノ迷惑ニナルヤウナコト会議所ノ権能ヲ殺グヤウナコトハ断シテナカラウト思フ、又アツタラ大変ナコト、此等ノコトハ他ニ関聯スルコトデアリマスカラ、商業会議所ノタメニ商業会議所ガ条例ヲ改正スルト云フコトデアリマスカラ、是迄ノ不便ノ箇条又先年ノ聯合会ニ於テ論ジタ趣意モ略ボ御承知デアリマシヤウカラ、十分ナ事ニナリマセズトモ、其辺ハ定メシ材料トシテ取調ベニナルダラウト思ヒマスカラ、委員ノ御報道ニ賛成デゴザイマス、決シテ自分等ハ不親切ト云フヤウナ考ハ持ツテ居リマセヌ、又諸君モ御調査ノ上宛モ吾々ノ希望スルガ如キ御報道ヲ得タト信ズルノデアリマスカラ、飽迄委員ノ説ヲ賛成致シマス
○副会長(東京、中野武営君) 会長ガ出席サレマシタカラ私ハ退席致シマス
   (会長渋沢栄一君着席)
○会長(東京、渋沢栄一君) ドウモイツモ遅刻ヲ致シテ相済ミマセヌ又代リ合ヒマシテ此席ヲ汚シマス
○三十六番(岡山、香川真一君) 三十六番モ委員ノ一人デゴザイマス只今段々御叱リヲ蒙リマシテ甚ダ恐縮致シテ居リマス、併シソレガタメニ決シテ調査ヲ等閑ニシタト云フ訳デハゴザイマセヌ、ソレハ十七番ガ申シマシタカラ私ハ述ベルノ必要ハゴザイマセヌ、抑モ此改正ヲ横浜デ言ヒ出シマシタノハ即チ岡山デゴザイマス、私デゴザイマス、幸ニ採用セラレテ今回ニ運ンダノデアリマスル、故ニ岡山会議所ハ最モ熱心ナ会議所デアリマス、既ニ修正ノ意見モ報告シタ訳デアリマスガ、今朝ノ委員会ニハ私ハ他ノ委員会ガアリマシタカラ出席致シマセヌデシタガ、只今報告デ承レバ宿題ト云フコトニナツテ至極満足シタ満足シタカラニ十七番ヲ賛成シタノデス、私ガ何故満足ヲシタカト云フト、如何ニモ是ハ鄭重ノ上ニ鄭重ヲ尽サナケレバナラヌ、ドウカ局長ノ御話ニハ十四議会ニハ出セヌト仰有ツタ、サウスルトマダ余程時日ガアル、若シ是ガ此議会ニデモ掛ルト云フコトデアレバ此処ニ出会ツテ居ル人々ガ善イトカ悪イトカ之ヲ逐条審議ヲシテ、善イト認ムルモノヲ可決シテ御参考ニ供スルト云フコトハ已ムヲ得ヌノデアリマスガ、一両年後ノ議会デナケレバ出テ来ヌ、如何デゴザイマスカ、段々
 - 第22巻 p.521 -ページ画像 
御説ガゴザイマシテ、決シテ反駁スルノデハナイ御相談デゴザイマスガ、何レ此条例ノ改正ハ非常ニ大切ナモノデアルカラト云フ御説ニ違ヒナイ、所ガ此改正案ト云フモノハ、即チ最初私ガ申シタ大阪案ト云フモノガ始メテ此議場ヘ出テ、御承知ノナイ方ハ過半デアル、岡山ハ色々調ベテ居リマスガマダ各地ノ会議所ハ夢ニモ知ラヌ是ハ議案デアル、サスレバ是ハサウ急ガズトモ之ヲ各地ヘ持チ還テ、サウシテ各地ノ商業会議所デ能ク御研究ニナツタナラバ一層完全ノモノガ出来ハセヌカ、サウシテモ間ニ合ハヌト云フコトハ決シテナイデアラウト思ヒマスカラ、如何デスカ、是ハ御相談デアリマスガ、各地ヘ御持チ帰リニナツテ能ク御調査ヲナサルト云フコトニシテハ、是ハ私ノ御相談ノ要点デゴザイマス
○六十二番(東京、中野武営君) 本員ハ此問題ノ委員長ヲ致シテ居リマシタガ、議長ノ代理ヲ致シテ居ツテ能ウ発言ハ致シマセヌガ、段々御論ガアリ、甚ダシキハ委員会ガ甚ダ冷淡デアルトカ粗略ダトカ云フヤウナ事マデ御咎メヲ蒙リマシタガ、此問題ヲ能ク結了ヲ致シマセヌノガ抑モ鄭重ナ所以ナンデス、之ヲ委員会ガ何故軽卒ナ決議ヲシタカ何故斯ンナ決議ヲシタカト云フト、却テ軽卒ナ御咎メニナルダラウト思フ、此問題ニ付テハ研究センナラヌ事ハ多々アル、是ハ委員会デモ其調査ガ容易ナラヌト信ジタノデアリマス、唯此聯合会デ人ガ寄ツテ来タカラ其決議ト云フモノヲヱライ力ノアルモノニシヤウ、ソレハ皆望ム所ニ相違ナイ、ソレデコソ皆寄ツテ骨ヲ折ツテ議シテ居ルノデアル、此点ニ付イテハドナタモ異論ノアラウ筈ハナイト思フデ、私ハ其希望ヲ達スルト同時ニ根拠ト云フモノヲ堅固ニセヌケレバナラヌ、此処ヘ寄ツテ来ルト云フニモ其寄ツテ来ル源ヲ一ツ調ベテ、サウシテ堅固ニシタモノガゴザイマセヌケレバ基礎ガ立タヌノデアル、此商業会議所条例ヲ議スル場合ニハ、我日本ノ商業会議所ト云フモノヲドウ云フ方式デ建テタナラバ、其結果ガ宜シキヲ得ラレルカト云フコトヲ源ニ溯ツテ考ヘテ見ナケレバナラヌト思フ、今日マデノ有様ハ如何デゴザイマセウ、全国ニ商業会議所ノ数ガ五十余箇所ゴザイマスカラソレヲ建テルニハドウ云フ方式ニ建テルカ、資格上ノ事ト云フモノハナイノデアル、唯其地方ノ有志ガ寄ツテ協議ヲシテ農商務省ノ許可ヲ得テ建テタト云フ趣デアルノデアル、夫故ニ一県ノ中ニ四箇所モ五箇所モ建ツテ居ル所ガアルカト云ヘバ、又商業会議所ノ一モ出来テ居ラヌ県モ沢山アルノデアル、デ先ヅ此膳立ト云フモノハドウ云フ風ニシタラ全国ニ皆行亘ルデアラウカ、全国ノ人ヲ集メテ真ノ商工業ノ機関トスルコトガ出来ルデアラウカ、同ジク法律ニスルナラ其事迄モ研究セヌケレバドウシテモ行カヌノデアル、外国ニモ中央ニ商業会議所ト云フモノガ出来テ居ル所ト、唯ダ区々ニ所々ニ出来テ居ルノト、法律上出来テ居ルノトガアル、銘々ヤツテ居ルノハ区々デゴザイマスガ、此間商工局長ニ対ツテ私ガ希望ヲ述ベタコトガアリマス、其時ノ御話ニハ仏蘭西デハ中央商業会議所ガアツテ諸方カラ寄ツテ来テ中央デ団結ヲシテ居ル所ガアルサウダガ、ソレニ付イテ各商業会議所ノ組織ト云ヒ位置ト云ヒ、資格ト云フモノガドウ云フ所カラサウ云フモノガ出来テ居ルカ、必ズヤ其源ト云フモノガ出来テ居ラナケレバナラヌ筈ダ、此
 - 第22巻 p.522 -ページ画像 
等ノ事モ政府ニ於テ十分調査ヲシテ、サウシテ吾々ニ示シテ貰ヒタイ吾々モ又是カラ先キ考案ヲシテドウ云フ組織ニシタラ完全ナモノガ出来ルカ研究シテ見ナケレバナラヌ、而シテソレガ成立ツト同時ニ此聯合会ニ加ハリマセヌトカ加ハリマセウトカ云フヤウナ随意ナコトデハイカヌカラ、之ヲ一ツ法律デ撿束シナケレバナラヌト云フ必要モ出来テ来ル、実際ノ有様ヲ今日考ヘテ見ルノニ、経済ノ上ニ於キマシテモ左程ノ権利権能ヲ持ツト同時ニ、組織ヲ善クシヤウトスレバ経費モ尠カラザル額ヲ要スルコトニナラウト思フ、殊ニ僅カナ経費ヲ徴収シテヤツテ来テ居ルモノヲ無理ニ年々聯合会ヲ開イテ、サウシテ会議モ長イ間掛ツテシナケレバナラヌト云フコトニナルト、果シテ其経費ノ徴収ハ出来ルヤ否ヤ、是等モ考ヘテ見ナケレバナラヌ、夫レ是ヲ考ヘテ見ルト唯権能ヲ持ツダケデハイカヌ、権能ヲ取ラントスレバ組織ヲ堅固ニシナケレバナラヌノデアル、ソレ故ニナカナカ私共一朝一夕ニ此処ヘ自分ノ考案トシテ差出スコトハ容易ニ出来ヌノデアリリマス、若シサウデナクシテ、左様ナ手数ハ要ラヌノデアル、今迄出来テ居ル聯合会デ決議ヲシタモノニ権能ヲ持タシテ呉レ、是ニ能力ヲ持タシテ呉レト云フコトデアルナラバ是ハ甚ダ強キヲ人ニ求メルコトデアリハセヌカ、先程十番カラモ段々述ベタ通リ、若シ是迄ノモノヲ以テ継続シテ、東京商業会議所デ決議シタコトニ、各商業会議所ガ服従シナケレバナラヌト云フコトデアルナラバ、必ズ異論者ガ出来テ来ルニ違ヒナイ、聯合会ニ寄ツテ審議討論シテ、其結果ト云フモノガ我商業会議所ヘ持帰ツテ是ハ如何ニモ尤モデアル、同意デアルト云フコトデ、其上審議攷究シテ決議ヲシテ、政府ヘ建議ナリ請願ナリスルト云フノデアルカラ、今日ハソレデ納マツテ居ルノデアル、多クノ説ヲ聞キ集メルト云フコトハ好イ機関ニナツテ居ルノデアルガ、之ヲ道具ニ使フト云フコトデアレバ私ハ現ニ反対デアル、此処デ審議攷究シタモノヲ、又地方ノ商業会議所ヘ持帰ツテ其上研究シテ、ソレカラ其筋ヘ建議スルナリ請願スルナリスルト云フノガ今日ノ有様デハ当然ナコトデアルノデス、ソレヲ此儘デ以テ直グニ権能ヲ持タス、直グニ力ヲ得サセヤウト云フノハ、私ハ少シ順序トシテ違ツテ居ルト思フ、ソレ故ニ若シ之ヲ法律ニ依ツテ組織ヲセヤウト云フニハ、私ハ十分ナ審査ヲシテ根拠カラ確実ナモノヲ拵ヘナケレバナラヌト考ヘル、ソレ等ノ事モ委員会デハ同感デアルノデス、唯筋ダケヲ往クト云フコトハ出来ヌノデアル故ニ此問題ハ重大ナ問題デアリマスカラ、種ヲソロソロ蒔イテ往ツテ好イモノヲ拵ハナケレバナラヌノデアル、ト云ツテ棄テヽシマウヤウナコトノナイヤウニ、玆ニ一ツ問題ガ出タノヲ継続トシテ宿題トシテ研究シ、官民一致シテ十分ナモノガ出来タナラバ議会モソレデ難ナク通過スルニ至ルデアラウ、独リ農商務省ダケヲ的ニシテ居ルノデハナイノデアリマス、之ヲ継続問題トシテ、而シテ一方ニ其材料ヲ得ントスルガタメ政府ニ成ルベク進ンデ早ク調査ヲシテ貰フ、併シ政府バカリデヤツテ呉レテハイカヌカラ諮問ヲシテ呉レト云フコトニナルノデアル、要スルニ委員会デハ心配テ全ク大事ト思ヘバコソサウシタノデアリマス、此案ヲ此儘決議シテ往ク位不親切ナコトハナイト思フノデアリマス、斯ノ如ク商業会議所ノ大問題デアルモノヲ唯愉快ニ爽快ニ
 - 第22巻 p.523 -ページ画像 
議論ヲシタカラソレデ宜イト云フコトハ、却テ軽躁ト云フ私ノ考デアリマス、是ダケ申シテ置キマス
○十三番(神戸、横田孝史君) 段々委員ノ側カラ御説モ出マシタガ、殊ニ遉スガハ中野君、六十二番ヨリ更ニ詳細ナル御話ヲ承ツテ大キニ参考ニ益ヲ得タコトデアリマスガ、如何ニ巧ニ御述ベニナツテモ、矢張事ノ真相ト云フモノハ奪フベカラザルコトデアルト思フ、唯委員等ノ云フ所ハ、事ノ鄭重ト云フコトハナイノデアル、丁重ト云フコトガ左様大事デアルトスレバ、過日来此議場デ決議シタ事ハ悉ク軽躁デアルカト言ハナケレバナラヌ(「ノウ、ノウ」ト呼ブモノアリ)例ヘバ富山・直江津間ノ鉄道敷設ノ如キ、必要ト言ヘバ無論必要デアルガ、又何ガ為メニ政府ハ愚図愚図シテ其必要ノ線路ヲ敷設シナイカト云フ事ニ付テハ、必ズヤ相当ノ理由ガナクンバアラズ、又戦争ノ如キハ国家ノ興亡ノ繋ガル所デアル、中々以テ支那ヲ相手ニシテ戦サヲスルコトハ容易ナ事デハナイ、能ク慎重ニシナケレバナラヌ、又特ニ第七議会ノ場合ニ於テモ壱億五千万円金ノ要ルコトハ非常ナ事デアル、宜シク事ノ慎重ヲ図ランケレバナラヌト云フコトデアリマスレバ、彼ノ二十七・八年ノ戦争ハ如何デアリマシタラウ、抑モ此会議所条例ノ如キハ即チ此会議所ノ憲法デアル、此聯合会ノ事ニ付イテモ最早答弁ハ費シマセヌガ是マデ態々遠方カラ多数ノ人ガ寄集ツテ会議ヲスルニ臨ンデモ、当局者ハ恐ル恐ル遠慮シツヽ此会場ニ臨ムト云フノガマア既往ノ歴史デ、其証拠ニハ例ヘバ金子堅太郎サンガ……地ノ聯合会ニ臨ミ、若シクハ武富時敏君ガ広島ノ聯合会ニ臨ミ、何時デモ岡山県並ニ何県ニ出張ヲ命ズト云フノデ、此会ハ私ノ団体デアル、ソレデマア此聯合会ナリ、此ノ事ノ必要ガ、今カラ多弁ヲ費ヤシテ議シマセズトモ、此結合団体四十ニ足ル足ラズノ中デ過日提出者トナツテ署名ヲセラレタ会議所ガ二十何箇所、又如何ニモ尤モデアル同感デアルト云フ所ノ趣意ニ依ツテ賛成ヲセラレタ団体ガ三・四ケ所モアツタカト思フ、既ニ此案ニ付テハ取リモ直サズ過半数ノ同意ヲ得テ居ルノデアルガ故ニ、最早委員会決議ノ如ク既往ノ歴史ノ如ク、之ヲ握リ潰サント欲シテモ今日ノ事実ハ即チ握リ潰ス事ノ出来ヌ場合デアラウト思フノデ、又三十六番之ハ我ガ岡山ノ商業会議所ガ希望シテ居ツタノデアツテ、恐ラクハ此公会ニ於テ此案ニ対シテ歴史上同縁ヲ解カレル必要ハナカラウト云フ御話ガアツタヤウデ、怪カラヌ御議論デアル、之ハ決シテ御一個ノ御提案デナイ、即チ此聯合会ノ輿論デアル、希望デアル、其証拠ニハ昨年大坂ニ於テ是ガタメニ態々委員会ガ開カレ其結果ハドウデアツタカト云フニ、一種ノ委員ガ出来タ上此案ハ必要デアル、決シテ不必要デアルト云フコトヲ主体《(張)》シタ団体ハ一ツモナカツタノデアル、唯ダ眼前ニ民法・商法ノ発布ヲ見ル場合デアルカラシテ、ドウカ将サニ分娩セラルベキ民法乃至商法ノ部ヲ見タ上デ之ヲ出ス方ガ宜カラウ、若シヤ新民法・新商法ノ発布ノタメニ更ニ調査ヲシナケレバナラヌコトガ出ルカモ知レヌ、サウ云フ丈ケノ理由ヲ以テ宿題ニシタノデアル又委員会ハ私ノ考デナイト云フ証拠ガアル、一両日前デアリマシタガ大阪ノ土居君カラ此委員会ノ費用ヲ承認セヨト云フ御話ガアツテ吾々ハ満場一致ヲ以テ御請求ノ通リニ御同意申上ゲタ事実ガアル、若シ是
 - 第22巻 p.524 -ページ画像 
ガ一・二団体ノ提案デ若シクハ私ノ考デアリマシタナラバ箇様ナコトノアルベキ筈ハナカラウト思フ、徹頭徹尾吾々ハ、此聯合会ノ輿論ニ依テ生レタ案デアル、此委員会モ亦吾々ノ有志トシテ御集リニナツタノデハナイ、此聯合会ヲ代表シタ所ノ委員諸氏ガ御集リニナツタノデアル、ト云フコトハ飽マデモ認メテ疑ハヌノデアル、唯徒ラニ此案ニ限ツテ当局者ヲ信ズル、此案ニ単リ限ツテ慎重ニシナケレバナラヌト云フコトガ甚ダ安心ガ出来ヌノデアリマス、左程当局者ヲ信ズルナラバ最早費用ヲ費ヒ時間ヲ費ヤシテ徒ラニ事ヲ論議スル必要ハナカラウ此規約デアルカラ当局者ニ信用ガアル、直江津鉄道ナリ、書留郵便ナリ、一円紙幣ニ対シテハ当局者ニ信用ガナイ、サウ云フ訳ノモノデハナイ、決シテナカラウト思ヒマス、又慎重ニ名ヲ藉ツテ徒ラニ時日ヲ延バスト云フヤウナコトハ最モ取ラザル所デ、改正ト云フモノハ一回シカ出来ナイモノダト云フヤウナ御考ノヤウデアリマスガ、本員ノ考デハ若シ行ケナケレバ年々歳々出シテモ差支ナイ、既ニ不便デアル不都合デアルガ故ニ此議ヲ申出シタ以上ハ、一日モ早ク其不便ノ点ヲ転ジテサウシテ便利ノ点ニ引直スト云フコトハ無論シナケレバナラヌ、今日ノ商業会議所ノ条例ノ不便不都合ト云フコトハ言フ必要ハナイノデアリマス、ドウカ諸君ニ於キマシテハ既ニ過半数ノ同意ヲ得テ提出シマシタル以上ハ、最早ヤ少数ノ委員案ノ為メニ握リ潰サレルト云フコトハ万々ナカラウト思ヒマスケレドモ、若シアリマシタナラバ聯合会ソレ自身ガ聯合会ヲ軽蔑スルト云フ所ノ譏リハ決シテ免レナイノデアラウト考ヘル
○十二番(神戸、坪野平太郎君) チヨツト唯今十三番カラ段々懇篤ニ言ハレタカラ、大体ハモウ反対論者ノ論ハソレデ充分ニ潰シテ居ルダラウト思ヒマスガ、尚ホ私ガ附加ヘテ一言述ベテ置キタイト思フ、其六十二番其他委員ノ御話ヲ聞イテ見ルト、ドウ云フ何ダカ此改正ト云フコトハ御急ギニナラナイノデアル、速カニドウゾ改正案ヲ出シテ呉レト云フコトヲ主務省ニ迫リタイ、斯ウ云フコトヲ先程委員カラシテ報告ガアツテ、早ク改正ヲシナケレバナラヌト云フコトハ其言葉ノ中ニ現ハレテ居ル、然ルニ今六十二番ノ言フ所ヲ聞クト、之ハ大切ナコトデアルカラ緩クリ考ヘナケレバナラヌ、殆ント六十二番ナドハ此改正ノ大要眼目ノコトニ付テハ未ダ意見ガ確定シテ居ナイヤウニ見ヘル其他十番ノ意見ヲ聞イテモ、又私ナドガ判断ノ付カヌモノガ大分アルト斯ウ云フヤウニ聞ヘル、ソレカラ之ハ急グダケレドモ農商務省ガ十四議会ニ出サヌカラ、仕方ガナイカラモウチツト持ツテ行ツテ考ヘナケレバナラヌ、斯ウ云フノデ急グノデアルカ急ガヌノデアルカト云フト甚ダ其処ノ所ガ曖昧トシテ、段々究追シテ行ツタ所デ分ラナイト云フ話デ、十番ナドモ皆サンガ泳ギガ知ラナイ、泳ギガ覚ヘルマデ泳グコトヲ止メヤウヂヤナイカ、ト云フ論ニシカ結着シナイト思ヒマス、ソンナコトヲシテ待ツテ居ツタ日ニハ仕方ガナイ、水ノ三杯モ飲マナクチヤ泳ギハ覚ヘラレナイ、然ルニ考ガ付カナイカラ持ツテ帰ラウト云フノハ何タル考カ甚ダ迷フノデ、此位ノ案ハ疾ウニ付イテ居ル、失礼ナガラ完全完全ト云フ話ガ聞クト恐ロシイ、善ササウナ話デアルガ何処ノ家デモ完全ニシヤウトスレバ百万円掛ケテモ完全ニ六ツカシイ
 - 第22巻 p.525 -ページ画像 
カ知レナイ、吾々僅カノ稼ギニ百万円掛ケナクテモ宜イ、庭園ニ何万坪ノ地所ガ欲シイト思フケレドモ差当ツテソレ丈ノモノハ要ラヌ、兎モ角モ差当ツテ吾々ガ必要ト思フ不便ノ所ヲ直サナケレバナラヌト云フコトナレバ、極ク着実ノモノデ、其処ガ不都合デナイヤウニ差当リ直シテ仕舞ヘバソレデ宜イジヤナイカ、未来ノ事ハ長ク言フニハ及バヌ、百年ノ後ニ至ルマデ考ヘテ居ルニハ及バヌ、其処ノ所デハ完全ト云フコトニハ余リ重キヲ措カヌ、之ハ委員ガ横着デ完全ノ文字ノ中ニ入レテシマウ、又欧洲ノ実例欧羅巴ナドト云フノハ凡ソ吾々ガ今日迷惑ヲ被ツテ居ル人、欧洲ノ実例ヲ余リ余計用ヰラレタカラト思フ、吾吾ニ適切ノコトニシテ置イテ貰ヘバ斯ンナ迷惑ハナイ、余リ飛ビ離レタコトヲヤラレタタメニ吾々ガ幾ラ実業界ニ於テ迷惑ヲシテ居ルカ分ラヌ、之ニハ殆ント閉口シテ居ルト思ウ、欧洲ト云フトエライモノニ見ヘル、日本ニソレガ果シテ適切デアルヤ否ヤハ問題外デアル、吾々ヲ瞞着シテハ困ル、ソンナ事デ瞞着ハサレナイ、私ガ聞イタコトハ此商業会議所条例ノコトニ付キマシテハ欧羅巴ノ実例ヲ調ベテ呉レト云フテヤツタラ一向返事ガ来ナイ、ソレハ甚ダ不都合ナコトデアルケレドモ、一向ソレハドウナツテ此欧羅巴ノ実例ガ取調ベテ来ルヤラ分ラヌ、又先達或ル人ガ此所ノ所デ以テ洋行シテ戴イチヤドウダト云ツタラ、ソレハドウゾ洋行サセテ貰ライタイト云フヤウナ話モアツタヤウニ、其洋行ハ何時出来ル、取調ベガ附カヌト洋行ガ出来ル、サウ云フコトノ出来ルマデ待ツテ居テ吾々ガ此商業会議所ノ不便ヲヤツテ居ルカドウデアルカ、之ハマア御一考願ヒタイ、私共ドノ点カラ考ヘテモ諸君ガ分ラナイ、能ク考ガ附イテ居ナイ、完全ト云フコトハ御免蒙リタイ、欧洲ノ実例モ大抵ニシテ、之ハモウドウデモ宜イノデアルカラソレデ私ハドウゾ此処ノ所デ三時間モ論ジタナラバ直グ極マルト思ヒマスカラ、直チニ玆ニ議シテシマイタイト云フノデ
○三十六番(岡山、香川真一君) 段々論ガ面倒ニナリマシタガ、モウチヨツト休憩ニシテハ如何デアリマスカ
○十八番(京都、大沢善助君) 之ハ御採決ニナツテ止ムガ宜カラウト思ヒマス、委員ト云フモノガ、此案ヲ一問題ノ数十条アル条項等ヲ同一ニ見テ居ラヌ、之ハ数十条アル条例ニシテ商業会議所ノ憲法ニナルモノデアルカラ、ソレニハ慎重ノ態度ヲ取ツテ居ル、ソレガ行カナケレバ、議スト云フナラバ、何ニモソンナニ苦シガツテギウギウ言フニハ及バナイ
  (「決シテギウギウ言ハナイ、弁ヲ慎メ」ト云フモノアリ)
○五番(水戸、塙七平君) 五番ハ此案ヲ議スルト云フ発頭人デゴザリマシテ、大分諸方ノ委員諸君カラ頭ヲ打レテ頭ガ痛クナツタノデアルガ、一番酷イ反撃ヲ被ツタノハ十番、チヨツト本員ガ舌ガ滑ツタカ知レマセヌケレドモ、委員諸君ハ此会員ガ帰リヲ急ガレル所ヲ御察シラレテ之ヲマア宿題ニサレタト云フコトヲ申シタ所ガ、十番ハ己ハ帰リハ急ガヌ、急ガヌケレドモ之ハ大切ナ案デアルカラ宿題ト云フコトニ賛成ヲシタノデアルカラト云フ御言葉ガアリマシタ、之ハ本員ハ或ハ過言デゴザイマシタラウト思ヒマスカラ十番ニ謝シテ置キマス、デ此案ヲ議スルト云フコトニ付イテハ十二番・十三番アタリカラ頻リニ悉
 - 第22巻 p.526 -ページ画像 
シイ御説明モアリマシタカラ、切ニ私ガ述ベマス事ハコサイマセヌガ唯今何番カ十八番カラ又一層ナ御攻撃ガ出マシテ、ギウギウ言フナト云フコトモアリマシタガ、決シテギウギウハ言ハヌノデス、全体委員諸君ガ老練デ瞞着的ト云フモノデハアリマスマイケレドモ、余リ老練過ギテ御大人シ過ギテ政府ニ阿ルト云フヤウナ傾キニナルノデゴザイマスデ、私ハ固ヨリ単純ナ考デ、之ハ固ヨリ爰デ議シタ所ガ是ガ天下ノ法律トハナラヌ、只ダ銘々ノ希望ヲ政府ニ入レルト云フダケニ過ギナイノデ、デ何番ダカ先刻御説明中ニ十七番ガ御説明ニ此案ガ確定案デハナイト云フコトヲ言ハレタケレドモ、固ヨリ確定案トモ何トモ見ハシナイ、爰デ議シタ所ガ、是丈ノモノヲ商業会議所ニ権限ヲ与ヘテ呉レト云ツテモ与ヘナケレバ仕方ガナイ、政府ガヤラレナイニハ仕方ガナイ、ケレドモ其処ガ即チ赤誠、赤誠ヲ取レバ人間幾分カ其希望ヲ達スルコトガ出来ルダラウト思ヒマス、政府ニモ不必要ノ人許リ居ナイカラ、成程今日ノ民度ニシテ此位ガ相当デアラウ、単ニ欧羅巴ノダケ持ツテ来テハ分ラヌ、日本ノ実業家ハ誠ニ仕方ガナイケレドモ斯ウシヤウト云フ位ニ拵ヘテ呉レルガ宜イノデ、東京アタリハズツト進ンデ居ルカラ単ニ外国ノ事ヲ持ツテ来テモ当嵌ルカ知レマセヌガ、吾々地方ニ置イチヤ外国ノ事ヲ持ツテ来ラレテハ甚ダ困ルノデ、分ラヌデモ何デモ多数ノ望ム処ヲ議決シテ政府ニ言ツタラ宜イデハナイカ、此聯合会ノ会議ノ名ヲ以テ政府ノ御参考マデニ斯ウナサツテ下サイト云フコトヲ出スノデ、ソレデ政府ガ何デモ彼デモ商人共ガ云ツタコトダカラ別ニ用ヰナイト云フナラバ何トカ手段ヲ求ムル方ハ《(外カ)》仕方ガナイ、併シサウハ言ハレマイト思フ、サウ計リ押付ケテモ此方カラヤラセルト云フ考ヲ以テ此商業会議所ノ聯合会諸君ガヤツテ下スツタナラバ、幾ラカ吾々ノ説ヲ徹底スルコトガ出来ルダラウ、所ガ六十二番ノ如キハ大切ナモノデアルカラ延ベタト云フ御話モゴザイマシタ、一応尤モデアリマス、ソラ成程大切ナモノニ付テハ慎重ニ何ヲスルト云フコトハ御尤モデハゴザリマスケレドモ、ドウ致シテモ此案ニ付テハ先刻モ何番カカラ、十三番カカラ述ベラレマシタ通リ、既ニ全会ノ過半数ガ提出シテ議サウト致シタモノヲ、会長ノ全会一致ヲ以テ指名サレテ、老練ナル委員諸君ニ御任セニナツテ調査ヲ願ツタ処ガ、其委員諸君ガボンヤリシテ先ヅ丁重ト云フ文字ノ下ニ隠レテ攫ミ潰サウト云フ御考ハゴザイマセヌケレドモ、ナイデセウケレドモ、吾々ガ思フ処ニハサウ云フ御考デハナイカト云フヤウナ感情モ起ルノデス、ドウ致シテモ本員ハ此議案ニ付テ、矢張リ今カラ今日一日掛レバ大抵議論ガ纏ルダラウト思ヒマスカラ、議サレンコトヲ希望致シマス
○十番(名古屋、奥田正香君) 五番カラ先刻御辞ガアリマシテ御断リダケハ了シマシタ、既ニ此案ニ付キマシテハ種々御論弁モアリ、又十三番・十二番等カラ御述ベニナリマシタカラ、敢テソレニ対シテ駁撃ヲ試ムルト云フノデモ弁解スルト云フノデモアリマセヌガ、十二番等ノ如キハ十分ニ分ツテ居ル、是等ノコトヲ十番ノ如キハ分ラヌト見ルノデス、最モ分リマセヌノデスト云フモノハドウ云フ結果ニ至ルカト云フコトガ分ラヌ、尚ホ余リ当局者ヲ信ジ過ギル何ト云フ説ガアリマシタガ、ソウ当局者モ無用ナ人バカリデナイト自分ハ信ジテ居ル、私
 - 第22巻 p.527 -ページ画像 
ハ丁度水泳ヲ知ラヌノデ、セメテ水泳ヲ知ツテ溺レテシマハヌヤウニシテ泳ギタイト云フ論者ナンデス、デ詰リ到底此案ト云フモノハ善イカ悪イカト云フコトハ十分慎重ニ考ヘナケレバナラヌ、仮ンバ委員ガ直チニ議スルモノト報告ニナリマシテモ、自分等ハ継続案ニスルト云フ説ヲ持チ出シタイ考デアツタノデス、何分此案ノコトニ付キマシテハ十分ニ自分等ハ調査ガ立タナイ、分ラヌト云フ筈ハナイト云フ説ガアツタガ、分ラヌモノハ何ント仰ツテモ仕方ガナイ、ドウシテモ十分ニ考ヘナケレバナラヌ、考ヘナクテモ分ルト云フ十二番ガアリ、是ハ社会ノ状態デ仕方ガナイ、詰リ御採決ニナツタラ分ルモノガ多イカ分ラヌ者ガ多イカ分カリマスカラ、早ク御採決ニナリタウゴザイマス
   (「採決、採決」ト呼ブモノアリ)
○会長(東京、渋沢栄一君) 本案ニ付キマシテハ段々御討論ガゴザイマスヤウデスガ、モウ大抵討論ガ終結シタヤウデスカラ採決シヤウト思ヒマスガ、詰リ委員会ノ御報道ノ趣意ハ此案ヲ継続案トシテ置ク、而シテ之ハ今既ニ政府ニ於テモ取調ベラレテ居ル趣デアルカラ、聯合会長ノ名ヲ以テ十分其政府ノ取調手続等モ審ラカニ聞キ、且ツ其議案ガ出来タ上ハ必ズ諮問ヲシテ欲シイト云フコトヲ請求スル、斯ウ云ウ……
○六十二番(東京、中野武営君) ソレカラ三十七番カラソレハソレデ宜イ、而シテ此案ガ継続ニナルト同時ニ今度ノ案ニ付イテ調査委員トナツタ人ノ商業会議所、其会議所ヲ矢張此案ノ継続委員ニシテ置イテ能ク調査ヲシテ貰ツタガ宜イト云フ説ガ出テ居ルノデス
○会長(東京、渋沢栄一君) ト云フノガ此案ニ付テ設ケラレタ委員会ノ御報告デアツタ、是ニ対シテ反対説ガアツテ、即チ之ヲ逐条ニ議シテ議決シテ仕舞ハウト云フノデアリマス、サウスルト此委員会ノ説ヲ承認スルヤ否ヤ、若クハ之ヲ否認スルヤ否ヤト云フノガ此採決ノ要点ト思ヒマスカラ、委員会ノ報告ニ御不同意ト云フ方ノ御方カラ起立ヲ採リマス、委員会ノ報道ニ御不同意、即チ速ニ議スルト云フ御希望ノ御方ノ御起立ヲ願ヒマス
  起立者  少数
○会長(東京、渋沢栄一君) 少数デゴザイマス、然ラバ委員会ノ報道ニ御同意ノ御方ノ御起立ヲ請ヒマス
  起立者  多数
○会長(東京、渋沢栄一君) 多数デゴザイマス、即チ本案ハ継続ト云フコトニ極マリマシタ
○二十七番(熊本、下田耕造君) 起立ニ付イテ疑ヲ起シマス、二十七番ハ熊本デ此条例改正案提出者ノ一人デゴザイマス、マダ多数ノ提出者ガアツタト思ヒマスガ唯ダ四・五人ホカ立タヌ、或ハ此条例改正ヲ希望スルト云ツテ賛成ノ名前ヲ表ハシテ置イテ立タヌ人ガ多数アルト思フ、実ニ此案ニ付テハ沢山ノ御議論ガ出テドツチニ付イテ宜イカト云フ疑ガ起ル、本員ナドモ既ニ六十二番ノ説ニ八分通リハ兜ヲ脱イデ居ツタ、併シナガラ改正ヲ希望スルノ一人デアル以上ハ仮令倒レテモ賛成スル訳ニイカヌ、然ルニ僅カ三人カ五人ホカ起立セヌト云フノハ或ハ変心シタ方ガアリハセヌカト云フ疑ヲ起スカラ此事ヲ一言シテ置
 - 第22巻 p.528 -ページ画像 
キマス
   〔「徹頭徹尾分ラヌ」又「変節ダ握リ潰スノミ」ト呼ブモノアリ〕
○会長(東京、渋沢栄一君) ソレカラ尚ホ三十七番ノ御説ガアリマス三十七番ノ此案ニ付イテ引続イテ委員ヲ置クヤ否ヤト云フノガ未ダ決ヲ採リマセヌ、此三十七番ノ此継続案ニ対シテ引続イテ此九会議所ヲ委員トシテ置クヤ否ヤト云フコトニ付イテ決ヲ採リマス、前橋商業会議所・京都商業会議所・徳島商業会議所・博多商業会議所・岡山商業会議所・大阪商業会議所・高崎商業会議所・東京商業会議所・富山商業会議所、此九会議所ヲ継続委員トシテ置カウト云フ三十七番ノ説ニ御同意ノ御方ノ御起立ヲ請ヒマス
  起立者  少数
○会長(東京、渋沢栄一君) 少数デゴザイマス、ソレデハ暫時休憩仕リマス


明治三十二年十月開設 第八回商業会議所聯合会報告 第一〇〇頁 刊(DK220039k-0008)
第22巻 p.528 ページ画像

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会報告  第一〇〇頁 刊
    ○会長ノ農商務大臣訪問
明治三十二年十一月六日、聯合会々長タリシ東京商業会議所会頭渋沢栄一君ハ曾禰農商務大臣ヲ農商務省ニ訪問シ、商業会議所条例改正ニ関スル聯合会決議ノ次第ヲ開陳セシニ、同大臣ハ、商業会議所条例改正ノ件ハ目下調査中ナレト到底本年ノ議会ニハ提出スルニ由ナキニ依リ、来年早々海外各国ノ実例等ヲモ取調ヘ、第十五議会ニハ政正案ヲ提出シタキ考ナリ、右提出ニ先タチ同案ヲ各商業会議所ニ諮問スルヤ否ヤノ点ハ只今明言シ難シト雖モ、聯合会決議ノ趣旨ハ承リ置クヘシトノ旨ヲ挨拶セラレタリ


渋沢栄一 日記 明治三二年(DK220039k-0009)
第22巻 p.528 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治三二年     (渋沢子爵家所蔵)
十一日六日 晴風
午前農商務省ニ抵リ、曾根大臣ニ面会シテ《(曾禰)》、聯合商業会議所ニ於テ協議セシ商業会議所条例改正ノ事ヲ請求シ ○下略
  ○本資料第二十一巻所収「東京商業会議所」明治三十四年九月十五日、同年十一月七日、同三十五年四月十二日ノ各条、並ニ本巻明治三十三年五月十九日、同三十五年十二月九日ノ両条参照。