公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2025.3.16
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明治39年4月1日(1906年)
是日、東京府ニ感化法実施サレ、当校ハ東京府代用感化院ニ指定サル。
渋沢栄一 日記 明治三九年(DK240046k-0001)
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渋沢栄一 日記 明治三九年 (渋沢子爵家所蔵)
二月四日 晴 風寒シ 起床八時 就蓐十二時
○上略 安達憲忠・桜井某来リ、養育院感化部ノ事ヲ協議ス ○下略
東京市育養院月報[東京市養育院月報] 第六二号・第九頁 明治三九年四月 代用感化院(DK240046k-0002)
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東京市育養院月報[東京市養育院月報] 第六二号・第九頁 明治三九年四月
○代用感化院 府下北多摩郡武蔵野村字吉祥寺御料地御殿山に設立したる本院附属感化部井の頭学校は、四月一日より東京府代用感化院に指定せられたり
養育院六十年史 東京市養育院編 第四九八頁 昭和八年三月刊(DK240046k-0003)
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養育院六十年史 東京市養育院編 第四九八頁 昭和八年三月刊
○第六章 学校及分院
第一節 井之頭学校
○上略
井之頭学校開設以来、現今に至る迄の主要事項を摘録すれば左の通りである。
一、明治三十九年四月一日、東京府代用感化院に指定せられ、定員を百名とし、補助金年額五千円交付せらるゝことゝなつた。
一、同四十二年四月一日、定員を百五十名に変更、補助金年額六千円に増額。
○下略
東京市養育院月報 第六二号・第七―八頁 明治三九年四月 ○東京府感化法施行細則(DK240046k-0004)
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東京市養育院月報 第六二号・第七―八頁 明治三九年四月
○東京府感化法施行細則 本年四月一日より東京府に感化法を施行することゝなりたるの結果、千家東京府知事は客月二十七日府令第十号を以て感化法施行細則を公布せり、其条文左の如し
感化法施行細則
第一条 行政庁に於て感化法第十条に依り具申書を提出せんとする
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ときは、左の書類を添付し感化院長を経由すべし、但し左の書類中添付するを得ざるものあるときは、其事由を附記すへし
一 本人の住所・氏名・年齢及経歴・操行並に現在の境遇等に関する調書
二 親権を行ふ父母又は後見人の住所・氏名・身分・職業及経歴操行等に関する調書
三 戸籍謄本
感化院長は前項の書類を受けたるときは、意見を付して知事に進達すへし
第二条 感化法施行規則第一条第二項に依り親権を行ふ父母又は後見人に於て入院願書を提出せんとするときは、裁判決定書の外戸籍謄本及裁判所に提出したる申請書の謄本を添付し、感化院長を経由すへし
感化院長は前項の書類を受けたるときは、意見を付して知事に進達すへし
第三条 入院命令書は感化法第五条第一号・第二号該当者に在ては所轄行政庁を経、同条第三号該当者に在ては親権を行ふ父母又は後見人を経て、之を本人に交付す
第四条 感化院長は感化法施行規則第一条第四項の通知を受けたるときは、入院命令書指定の期日内に引取の手続を為すへし
第五条 感化法第十二条に依り親族又は後見人より退院願書を提出せんとするときは、感化院長を経由すへし
感化院長は前項の書類を受けたるときは、意見を付して知事に進達すへし
第六条 感化院長に於て感化法第七条に依り仮退院を要する者と認めたるときは、条件調書を添付し其旨知事に具申すへし
知事に於て仮退院を命するときは、遵守すへき条件を詳記したる仮退院命令書を作り、感化院長を経て之を本人に交付す
第七条 前条に依り仮退院命令書を交付したるときは、感化院長は感化法第五条第一号・第二号該当者に在ては其旨直に所轄行政庁に、同条第三号該当者に在ては親権を行ふ父母又は後見人に通知すへし
第八条 前条の通知を受けたる行政庁若は親権を行ふ父母又は後見人は、本人の操行等を監視し、其状況を三十日毎に感化院長に通報すへし、但し仮退院命令書指定の条件に違背したる者あるときは其旨直に感化院長に通報すへし
感化院長に於て復院を要する者と認めたるときは、其旨直に知事に具申すへし
第九条 感化院長退院を要する者と認めたるときは、其成績調書を添付し知事に具申すへし
第十条 知事に於て退院を命するときは、退院命令書を作り、感化院長を経て之を本人に交付す
第十一条 前条に依り退院命令書を交付したるときは、感化院長は感化法第五条第一号・第二号該当者に在ては其旨直に所轄行政庁
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に、同条第三号該当者に在ては親族又は後見人に通知すへし
第十二条 感化生の教化は教育に関する勅語に基きて之を施し、其年齢及学力に応し小学校又は中学校の程度に準拠し、普通教育及男子には農業・工業等を、女子には家事・裁縫等を授くるものとす
第十三条 前条教化に関する細則は感化院長之を定め、知事の認可を受くへし
第十四条 感化法施行規則第六条但書に依り感化院長に於て管外委托教化の認可を申請せんとするときは、左の書類を添付すへし
一 本人の成績調書
二 被委托者公私の施設なるときは其位置・名称及業務の状況、並に代表者の住所・氏名・身分・職業、又私人なるときは其住所氏名・身分・職業・資産及経歴・操行等に関する調書
第十五条 感化法施行規則第六条に依り感化院長に於て感化生を公私の施設又は私人に託し教育を施さしめ、又は労務に就かしめたるときは、其旨直に知事に報告し、同時に感化法第五条第一号・第二号該当者に在ては所轄行政庁に、同条第三号該当者に在ては親族又は後見人に通知すへし、其之を止めたるとき亦同し
第十六条 感化生の懲戒及検束の方法は別に之を定む
第十七条 感化院長は処務細則其他必要なる院内諸規程を定め、知事の認可を受くへし
第十八条 前各条の規定は代用感化院に之を準用す
第十九条 代用感化院に指定したる団体又は私人の施設に於て、代用に移すの際現在する感化生にして感化法第五条第一号に該当し且つ知事に於て入院の必要ありと認めたる者は、入院命令書を交付す
前項入院者に対しては本細則を適用す
第二十条 本細則は明治三十九年四月一日より施行す
〔参考〕感化事業回顧三十年 社会局編 第二一―二三頁 昭和五年三月刊(DK240046k-0005)
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感化事業回顧三十年 社会局編 第二一―二三頁 昭和五年三月刊
○第一章 感化事業の沿革
四、明治四十年に至るまでの状況
感化法の制定されるや、政府当局は着々其の実施準備を為し、屡通牒を発して施設上の手続等につき注意を為し、切に其の実施を奨励したが、実際に於ては容易に行はれず、全国中之が施行を見た府県は、実に寥々たるものであつた、而して其の障礙の最大なものは、謂ふ迄もなく曩に掲げた附則第十四条であつた。即ち其の施行の期日は府県会の決議を経、云々とあつた為め、政府が如何に其の施行を奨むるとも積極的に如何ともなし得ず、多くの府県は経費等の事由によつて府県会の決議を経ることを得なかつたのである。
右の事情の為め明治四十一年感化法が第一次改正を経るまでに、之が実施を見た府県は次に表示する如く二府三県に過ぎなかつた。
府県名 感化法施行年月 備考
東京府 明治三十九年四月 東京市養育院感化部ヲ代用
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大阪府 明治四十年四月 (当時院舎建築中)
神奈川県 明治三十五年四月 (三十五年新築)
埼玉県 明治三十八年四月 (三十八年新築)
秋田県 明治三十七年四月 (民屋使用)
之等府県に於ける感化院の明治四十一年までの状況を表示すると次の如くである。
名 称 創立以来ノ収容者 改悛退院 徒弟ニ出シタル者 逃走シタル者 其他ノ退院 死亡 四十一年十月一日現在 東京府代用感化院 二四五 二一 一三 一〇四 三八 五 六五 東京市養育院井頭学校 神奈川県立薫育院 五〇 二 ― 一四 一〇 一 二四 埼玉県立埼玉学園 二〇 ― ― ― ― ― 二〇 秋田県立陶育院 一八 二 六 ― ― ― 一〇 大阪府立修徳館 当時院舎新築中
○下略