デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

1章 社会事業
2節 中央社会事業協会其他
2款 社会事業協会 = 財団法人中央社会事業協会
■綱文

第30巻 p.554-556(DK300068k) ページ画像

大正13年3月20日(1924年)

是ヨリ先前年八月七日、当協会財団法人設立許可ノ申請ヲナシ、是日許可セラル。爾後財団法人中央社会事業協会ト称ス。栄一会長トシテ之ニ与ル。


■資料

(財団法人中央社会事業協会) 書翰 渋沢栄一宛 大正一三年四月二一日(DK300068k-0001)
第30巻 p.554 ページ画像

(財団法人中央社会事業協会) 書翰  渋沢栄一宛 大正一三年四月二一日
                     (渋沢子爵家所蔵)
(葉書謄写)
拝啓、然者今般内務大臣の許可を得、当社会事業協会を「財団法人中央社会事業協会」と改称登記を了し候条、此段御通知申上候 敬具
  大正十三年四月二十一日
           東京市麹町紀尾井町三番地
                 財団法人 中央社会事業協会
 - 第30巻 p.555 -ページ画像 


財団法人中央社会事業協会三十年史 同協会編 第一五〇―一五二頁 昭和一〇年一〇月刊(DK300068k-0002)
第30巻 p.555-556 ページ画像

財団法人中央社会事業協会三十年史 同協会編
                      第一五〇―一五二頁 昭和一〇年一〇月刊
 ○第一部
    第十四章 社会事業協会改組して財団法人となる
 大正十三年四月の発行に係る「社会事業」第八巻第一号は其の巻尾に
 本協会は予て組織を改め、財団法人中央社会事業協会として法人認可申請中の処、去月二十日附を以て内務大臣より右認可の指令に接し候に付、目下登記手続進行中に有之候、右不取敢及御報告候
 との広告がある。単なる事業団体として改廃常なき状態を脱し、財団法人として成立するに至れるは、当時の気運これを促がしたには相違なきも、其の直接の動機は大正十二及十三の両年度に於て、財団法人安田修徳会より各壱万円の寄附の申込を受けたると、本協会が財団法人原田積善会より大正十一年度以降毎年金参万六千円宛百ケ年に亘るの寄附申込を受け、之を協会の特別会計として共済組合部の事業を経営するの計画が確立せると、内務省より金五万円の補助を受け之を元資として地方改善事業を経営せんとしたるに在る。而して必要の書類を添附し、東京府を経て財団法人設立許可の申請を為せるは実に大正十二年八月七日の事であつた。
 翌五月発行の社会事業第八巻第二号には其の巻頭に「法人組織成立に際して」と題する一篇を掲載し、広く之を江湖に周知せしむる処があつた。即左の通りである。
  法人組織成立に際して
               中央社会事業協会副会長 窪田静太郎
 従来の社会事業協会が今回法人組織となり、財団法人中央社会事業協会となつたのは、私共の多年の希望に一歩を進めたことであつて、会員諸君と共に大に慶賀しようと思ふ。
 我が協会は創立以来已に十数年を閲した。この間に於て世態の変遷は頗る激しく、就中一般の思想は大に面目を革むるに至り、惹いて社会事業界は劃期的の進展を遂げた。本協会は之に対して特に貢献する所はなかつたが、幸ひ大方の援助に依りて、消極的ながらもその存在の意義を尽くし来つた。
 昨秋関東地方に襲ひし大震火災に際しては、本協会も不幸災禍に遭ひ乍ら、直ちに臨時救護部を置いて社会事業団体の被害調査を遂げたのを始めとし、救護施設に要する資金、材料の下附を当局に求め、或は社会事業復興資金の下附に努力し、且、日本赤十字社その他よりの寄贈金品の分配等に当り、又毎週社会局に於て開催せる震災救護打合会に関して種々なる斡旋をなし、其他社会事業関係の団体・個人等に関する各種の相談に応ずる等、聊か微力を致して来た。更に一方に於ては地方融和促進部を置いて、困難なる斯業に向つて、講演に講習に鋭意力を致して居る。
 幸ひ今回法人組織の許可を得、事業の基礎も愈々堅固となりたるを以て、漸次事業の内容を充実せしめ、会本来の目的達成に努力する決心である。
 - 第30巻 p.556 -ページ画像 
 寔に簡潔にして要を得た宣言である。此には寄附行為中に記載せる本協会の目的及事業を抄出し、中央慈善協会及社会事業協会当時のものと参照するの便に供する。
  寄附行為第三章 目的及事業
 第三条 本会ハ社会事業ニ関スル知識ノ普及ヲ図リ、其ノ事業ノ健全ナル発達ヲ期スルヲ以テ目的トス
 第四条 前条ノ目的ヲ達スル為メ、本会ニ於テ行フ事業ノ概目左ノ如シ
  一 社会事業ニ関スル経営者相互ノ聯絡ヲ図ルコト
  二 社会事業ノ奨励援助ヲ為スコト
  三 社会事業ニ関シ功労アル者ノ表彰ヲナスコト
  四 社会事業従事者ノ共済事業ニ関スルコト
  五 政府ノ諮問ニ応ジ、若クハ建議ヲ為スコト
  六 内外ニ於ケル社会事業ニ関スル調査研究ヲナスコト
  七 社会事業ニ関スル雑誌其ノ他印刷物ヲ発行スルコト
  八 全国社会事業大会・講習会・講演会等ヲ開催スルコト
  九 其ノ他評議員会ノ決議ニ依リ必要ト認メタル事項
 烏兎匆々として歳月流る。創業参拾年たる本年は財団法人としての本協会の改組以後、正しく其の十一年に該当する。