デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正15年9月1日（1926年）

是ヨリ先、大正十二年九月一日、当校関東大震火災ニ罹災シ、同年十一月以降芝区芝尋常小学校ニ於テ仮授業ヲ開始セシガ、十四年十一月麻布区新堀町七番地ニ校舎新築ノ工ヲ起ス。是日竣工シ校名ヲ東京工業専修学校ト改ム。栄一協調会副会長トシテ之ニ参与ス。

協調会　蔵前工業専修学校書類　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（表紙）
　　　　　（栄一墨書）
　　　　　十五年十月六日実地巡覧済同日床次竹次郎・添田敬一郎両氏同伴現校長案内シテ詳細説明アリタリ
　　　　東京工業専修学校々舎新築概要

　　　　　東京工業専修学校々舎新築概要「大正十五年九月現在」
（一）沿革
　　一、明治三十二年五月東京高等工業学校長手島精一氏ノ唱導ニヨリ同校附設工業教員養成所附属工業補習学校トシテ設置、明治四十三年三月東京高等工業学校附属ニ移管、大正十年四月協調会経営ニ移管財団法人協調会蔵前工業専修学校ト称シ、引続キ東京高等工業校校舎ニテ授業ス
 - 第44巻 p.519 -ページ画像 
　　一、大正十二年九月一日大震火災ニ遭ヒ、校舎焼失ノ為メ同年十一月ヨリ芝区芝尋常小学校舎ヲ借受ケ授業ヲ開始ス
　　一、大正十四年十一月麻布区新堀町七番地ニ校舎新築起工、同十五年九月竣工移転、同月一日校名ヲ東京工業専修学校ト改ム
（二）目的
　　　　主トシテ業務ノ余暇修学セントスル者ニ工業上必要ナル知識技能ヲ授ケ、併セテ其徳操及社会的常識ヲ涵養スルニ在リ
（三）敷地
　　　　位置　東京市麻布区新堀町七番地
　　　　敷地坪数　八六五坪八四
（四）校舎
　　　　総延坪　八六九坪
　　　　内訳
　　一、本館
　　　　鉄筋コンクリート造四階建一棟
　　　　　内
　　　　　　　第一階　二一九坪二五
○中略
　　　　　　　第二階　二一七坪二五
○中略
　　　　　　　第三階　二一七坪二五
○中略
　　　　　　　第四階　二一五坪二五
○中略
　　　　　　　外屋上庭園二〇三坪二五
　　二、附属建物　一二九坪〇五
　　　　　内
　　　　1　生徒控所
　　　　　　木造二階建一棟八〇坪
　　　　　　内訳
　　　　　　第一階　四〇坪
　　　　　　第二階　四〇坪（初等教室）
　　　　2　物置
　　　　　　木造平家建一棟三〇坪
　　　　3　木造自転車置場一ケ所八坪三合
　　　　4　木造附属便所一棟一〇坪七合五勺
　　　　　　　　　　　　　　円
（五）新築費　三五一、一四四・四五〇
　　　　　内訳
　　　　　　　　　　　　　　　　　円
　　　　敷地費　　　一一五、七〇九・八〇〇
　　　　建築費　　　二〇一、八七一・二九〇
　　　　（諸調度）
　　　　初度調弁費　　一七、一八三・〇〇〇
　　　　設計監督費　　一二、〇〇〇・〇〇〇
　　　　雑費　　　　　　四、三八〇・三六〇
（六）工事着手
 - 第44巻 p.520 -ページ画像 
　　　大正十四年十一月十日
　　竣工
　　　大正十五年九月十八日
（七）設計監督主任
　　　前田松韻
　　工事請負者
　　　浅野同族株式会社
（八）生徒数
　　　収容見込　二、〇〇〇人
　　　現在　　　一、九八五人（大正十五年七月調）
　　　　　部名　　　　　人員
　　　初等工業部　　　　三一八
　　　中等工業部　　　　七〇三
　　　高等工業部予科　　三八五
　　　高等工業部　　　　五七九
　東京工業専修学校各階平面略図（大正十五年九月）○略ス

協調会蔵前工業専修学校書類　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
蔵前工業専修学校独立経営案
一組織
　協調会ヨリ分離シ財団法人ニ組織ヲ変更シテ独立経営トスルコト
　此ノ財団法人ハ会長・評議員・理事等ノ役員ヲ置キ普通法人ノ組織トスルコト
一経営方法
　一、協調会ニ於テ校舎ヲ建築シ、財団法人成立後之ヲ引継クコト
　二、建築費ハ敷地ヲ含ミ少クモ三十万円ヲ要ス、但内十万円ハ政府ヨリ低利資金ヲ借入ルヽコト
　三、授業料ハ内部各種ノ設備稍々整頓スヘキ第三年度及大体完成スヘキ第六年度ノ二回五十銭乃至一円五十銭ヲ増徴シ第六年度ヨリ入学試験料・入学金ヲ徴収スルコト
　四、独立経営後第六年度ニ至リテ自給自足シ得ルモノトシ、五ケ年間収支不足額毎年一万二千円乃至三万円合計拾万〇百五十四円ハ特志家ノ寄附ニヨリ補塡スルコト
　五、学級編成、校舎建築計画、将来経費支弁ノ見込等ニ関スル事項別紙ノ通リ
　　　○別紙略ス。