デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
4節 編纂事業
2款 楽翁公伝編纂 付 楽翁公関係資料刊行 付、楽翁公関係資料刊行 [2]むら千鳥編集
■綱文

第48巻 p.17-18(DK480006k) ページ画像

大正15年5月(1926年)

是月栄一、松平定信(楽翁)著、宇下人言巻首一節、自教鑑、座右銘、花月草紙中ノ小品文三篇ヲ書写シ、「むら千鳥」ト題シテ石版印刷ニ付シ、知人ニ頒布ス。


■資料

渋沢栄一 日記 大正一五年(DK480006k-0001)
第48巻 p.17 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正一五年         (渋沢子爵家所蔵)
三月十三日 晴又曇 寒
○上略 午前十時板橋養育院ニ抵リ、田中氏其他ノ諸氏ト要務ヲ談シ、本年ノ楽翁祭経営ニ付其方法ヲ談ス ○下略


むら千鳥贈呈状(DK480006k-0002)
第48巻 p.17 ページ画像

むら千鳥贈呈状               (財団法人竜門社所蔵)
(印刷物)
拝啓 益御清適奉賀候、然ば今般東京市養育院に於て楽翁公祭を挙行するに当り、渋沢子爵自ら筆を執り、故公の遺著宇下人言及花月草紙の一部並に自教鑑及座右銘を書写し「むら千鳥」と題し印行致候に付ては、玆許一部呈上致候間御受領被下度候、右得貴意度如此御座候
                         敬具
  大正十五年五月 日           渋沢事務所


むら千鳥 渋沢栄一編並書 扉裏 大正一五年(五月)刊(DK480006k-0003)
第48巻 p.17 ページ画像

むら千鳥 渋沢栄一編並書 扉裏 大正一五年(五月)刊
(活版)

図表を画像で表示むら千鳥 渋沢栄一編並書 扉裏 大正一五年(五月)刊

   この冊子をむら千鳥と名   づけしは「はるかなる絵   島にかよふむら千鳥声は   心にまかせてぞきく」と   いふ公の歌に因れるなり 




むら千鳥 渋沢栄一編並書 緒言・第一―四丁 大正一五年(五月)刊(DK480006k-0004)
第48巻 p.17-18 ページ画像

むら千鳥 渋沢栄一編並書 緒言・第一―四丁 大正一五年(五月)刊
(石版)
  緒言
余白河楽翁公に私淑すること玆に年あり、殊に過去五十余年間微力を其経営に尽しつゝある我東京市養育院の濫觴が、遠く寛政年度に於け
 - 第48巻 p.18 -ページ画像 
る公が善政の余沢に基づくの関係上、院長としての余は明治四十三年に創設したる巣鴨分院内に大食堂あるを好機として、爾来年々公の忌日たる五月十三日を卜して其記念会を開催することゝ定め、毎回祠官を招じて祭典を執行し、学者に請ふて公の功業逸事若くは佳話美談の講演を聴取し、同時に公の自作に係かる詩文又は書画を複製して来会の同志に頒布するを例としたり、而して今歳玆に其第十七回の祭典を挙行するに当り、余は特に松平子爵家に秘蔵する公の遺著宇下人言巻首の一節と、公が幼時の傑作たる自教鑑の全部及び晩年まで其書斎に存置せられしといふ和漢二様の座右銘並に花月草紙中の寓意的小品文三篇を撰出し、老筆を呵して之を書写し、且つ印行して来会者各位に進呈することゝなしたるなり、蓋し宇下人言は公の自叙伝にして、書名の四字は御諱の定信を分解したるものなるべく、又自教鑑は公十二歳の時の作文にて君臣・父子・夫婦・兄弟・朋友の常道を短かき筆に深き意を籠めて書き綴られたるものにして、其言ふ所極めて平易なるも動すべからざるの真理を寓し、古諺に所謂三尺童子能言之百歳老翁難行得の訓言たるを失はず、又其坐右銘を一読すれば公が謹謙自ら持し、寛容人に接して平素の修養如何に用意の周到なりしを窺ひ知るを得べし、最後の小品文に至りては、公が先見の明を以て天下の憂に先だつの衷情より、卑近の文字にて諷刺中能く当代の世相を道破したるものにして、片言頤を解き寸鉄骨を刺すの概ありといふべし、抑も公は天明の末、田沼秕政の跡を受けて幕府老中の首班となり、将軍の信任甚だ厚からず、奥向の嫌忌頗る強かりしにも拘はらず、毅然として中流の底柱となりて幕政の危殆を拯ひしは、素より偉大の人格と天授の才識とに由るといへども、亦以て忠誠の覚悟に基かずんばあらず、世異り事同じからずと雖も、余は公の事蹟を尋繹して当時を追懐すると同時に、更に目今の政状に見て転た感慨に堪へざるなり、頃日世間に公の人格徳行の跡を慕ふて社会の匡済に資せんとする人士少なからざるを知り、玆に此小冊子を印行して敢て同志の一読を煩はすことゝなせるは、必しも時宜に適せざるの業にあらずと信ずるが為めにして要は公の遺徳を宣揚して以て世道人心に裨補あらんとする余の微衷に外ならざるなり、聊か理由を叙して以て緒言と為す
  大正丙寅四月
                   八十七翁
                    青淵 渋沢栄一識
                         
   ○むら千鳥 一冊(石版)
    製本 和綴 美濃版
    紙員 二六丁(内、緒言四丁)
    表題紙 表 むら千鳥(栄一書石版)
        裏 題名解説(活版)
    題簽 むら千鳥(栄一書石版)
    表紙 行成表紙