1. 父に無断で百二十両
ちちにむだんでひゃくにじゅうりょう
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私が江戸へ出発した後で父は定めし帳面尻の合はぬのに不審を起すことだらうと思つたから、出発前、右の次第を自邸の近所に住つてた伯父に打明けて話し、私が発足したら其後でよろしく之を父に打明けてくれるやうにと依頼したのである。これは普通の借金と少し性質が違ふが、私が金を借りた最初である。
- デジタル版「実験論語処世談」(27) / 渋沢栄一
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底本:『渋沢栄一伝記資料』別巻第7(渋沢青淵記念財団竜門社, 1969.05)p.181-182
底本の記事タイトル:二四一 竜門雑誌 第三五一号 大正六年八月 : 実験論語処世談(二七) / 青淵先生
底本の親本:『竜門雑誌』第351号(竜門社, 1917.08)
初出誌:『実業之世界』第14巻第11号(実業之世界社, 1917.06.01)*「実験論語処世談」連載記事ではない。