5. 礼の要は精神にあり
れいのかなめはせいしんにあり
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かく孔夫子が論語に於て訓へられてあるので、私は野人礼に慣はぬ所もあるが、他人に対して成るべく粗末なる言葉など使はず、衷心より如何なる人にも敬意を表することに致して居る。又、祖先を祀ることなどに就ても、敢て外形を整へるといふやうな事に力を致さず、世間普通の事だけを致し、精神に重きを置く事に致して居る。
- デジタル版「実験論語処世談」(9) / 渋沢栄一
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底本:『渋沢栄一伝記資料』別巻第7(渋沢青淵記念財団竜門社, 1969.05)p.10-13
底本の記事タイトル:二〇四 竜門雑誌 第三三三号 大正五年二月 : 実験論語処世談(九) / 青淵先生
底本の親本:『竜門雑誌』第333号(竜門社, 1916.02)
初出誌:『実業之世界』第12巻第19号(実業之世界社, 1915.10.01)