7. 論語に九ケ所の「天」
ろんごにきゅうかしょのてん
(1)-7
之に対し、阪谷博士は、総じて宗教には礼拝祈祷等の形式を具備せねばならぬのを法とするに拘らず、孔子教には此の形式が無い。故に孔子教は目して以て宗教なりと云ひ得られるものだと反駁するのであるが、私は今俄に其の何れが是であるか非であるかを申述べ得ざるにしても、孔子教を以て宗教であるとは思つても居らぬ。実際、世に処するに当つての規矩準縄を説き示されたものとして孔子教を遵奉し、論語によつて之が実践躬行を努めつゝあるのである。
- キーワード
- 論語, 九ケ所, 天
- 論語章句
- 【為政第二】 子曰、吾十有五而志于学。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。六十而耳順。七十而従心所欲不踰矩。
【八佾第三】 王孫賈問曰、与其媚於奥、寧媚於竈。何謂也。子曰、不然。獲罪於天、無所禱也。
【公冶長第五】 子貢曰、夫子之文章可得而聞也。夫子之言性与天道、不可得而聞也。
【雍也第六】 子見南子。子路不説。夫子矢之曰、予所否者、天厭之。天厭之。
【述而第七】 子曰、天生徳於予。桓魋其如予何。
【泰伯第八】 子曰、大哉、堯之為君也。巍巍乎、唯天為大。唯堯則之。蕩蕩乎、民無能名焉。巍巍乎、其有成功也。煥乎、其有文章。
【憲問第十四】 子曰、莫我知也夫。子貢曰、何為其莫知子也。子曰、不怨天、不尤人。下学而上達。知我者其天乎。
【陽貨第十七】 子曰、予欲無言。子貢曰、子如不言、則小子何述焉。子曰、天何言哉。四時行焉、百物生焉。天何言哉。
- デジタル版「実験論語処世談」(1) / 渋沢栄一
-
底本:『渋沢栄一伝記資料』別巻第6(渋沢青淵記念財団竜門社, 1968.11)p.638-645
底本の記事タイトル:一八八 竜門雑誌 第三二五号 大正四年六月 : 実験論語処世談(一) / 青淵先生
底本の親本:『竜門雑誌』第325号(竜門社, 1915.06)*記事タイトル:実験論語処世訓(一)
初出誌:『実業之世界』第12巻第11号(実業之世界社, 1915.06.01)