4. 人物観察法
じんぶつかんさつほう
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私は斯く誰様にでも厭ふところなく御面会し、誠意誠心を以て御応対申上げ、交りを求められる御方には交り、御談話を聴かうと仰せらるゝ方には不恙ながらも談話を致し、用便を達されようとする方には及ばず乍ら能きる丈けの御便宜を計るやうにはして居るが、其間にも私には又私で、私の人物観察法といふものがあつて、御来訪下さる多くの方々に就て、一々識別を致す事にして居る。然し人物を識別若くは鑑別するといふ事は却〻以て難渋しいもので、古人も人物観察法に就て種々の意見を述べられて居る。
- デジタル版「実験論語処世談」(5) / 渋沢栄一
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底本:『渋沢栄一伝記資料』別巻第6(渋沢青淵記念財団竜門社, 1968.11)p.670-676
底本の記事タイトル:一九七 竜門雑誌 第三二九号 大正四年一〇月 : 実験論語処世談(五) / 青淵先生
底本の親本:『竜門雑誌』第329号(竜門社, 1915.10)
初出誌:『実業之世界』第12巻第15号(実業之世界社, 1915.08.01)