9. 古俗を保存せよ
こぞくをほぞんせよ
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血洗島の鎮守は、諏訪神社と申すのだが、昔からササラ舞と称して祭礼には獅子舞をする古俗がある。私もまだ若くつて郷里に在つた頃には、矢張村の若い者と一緒になつて此の獅子舞を奉つて廻つたものである。斯る古俗は一見甚だ愚の如くに考へられもするが、一村の純朴なる風俗を維持しようとするには、古俗を保存してゆくやうにするのが必要の事であると思つたので、維新後一時廃れて居つたササラ舞を再興して、再び獅子舞をする事のできるやうに私が世話を焼いてやつたのである。
- デジタル版「実験論語処世談」(13) / 渋沢栄一
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底本:『渋沢栄一伝記資料』別巻第7(渋沢青淵記念財団竜門社, 1969.05)p.45-54
底本の記事タイトル:二一〇 竜門雑誌 第三三七号 大正五年六月 : 実験論語処世談(一三) / 青淵先生
底本の親本:『竜門雑誌』第337号(竜門社, 1916.06)
初出誌:『実業之世界』第13巻第6,8,9号(実業之世界社, 1916.03.15,04.15,05.01)