2. 今日に行はれぬ教訓
いまにおこなわれぬきょうくん
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私の論語に就ての談話は空論を避け、主として孔夫子の教訓を実地に臨み如何に守り行ふべきかの工夫と、之に伴ふ実験とを申述べるのを主意とするから、私が自身で行はうとして試ても、薄徳の為実行の能きぬやうな事は、前回にも一寸附け加へて御断りして置いたやうに毫も隠し包む処無く能きぬ達せぬと申述べて憚らぬのである。然し実地に臨んで論語にある教訓を其儘実行し来つたところも亦少くないから、この点に就ての談話は、今の青年子弟諸君に多少裨益する処があらうと信ずる。
- デジタル版「実験論語処世談」(3) / 渋沢栄一
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底本:『渋沢栄一伝記資料』別巻第6(渋沢青淵記念財団竜門社, 1968.11)p.657-663
底本の記事タイトル:一九三 竜門雑誌 第三二七号 大正四年八月 : 実験論語処世談(三) / 青淵先生
底本の親本:『竜門雑誌』第327号(竜門社, 1915.08)
初出誌:『実業之世界』第12巻第13号(実業之世界社, 1915.07.01)