5. 秀吉礼を知らぬ
ひでよしれいをしらぬ
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太田錦城などの意見も此の点に於て私の思ふ所と同じで、秀吉が信長の遺子北畠内大臣信雄及び神戸三七信孝に対する処置は、戦国の事情止むを得ざるものとして責むべきではないが、秀次に対する処置は甚だ其当を得ざるもので、恕すべからずと論じて居る。畢竟皆礼の大本を忘れたるの致すところ也と云はねばならぬ。
- デジタル版「実験論語処世談」(10) / 渋沢栄一
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底本:『渋沢栄一伝記資料』別巻第7(渋沢青淵記念財団竜門社, 1969.05)p.15-22
底本の記事タイトル:二〇六 竜門雑誌 第三三四号 大正五年三月 : 実験論語処世談(一〇) / 青淵先生
底本の親本:『竜門雑誌』第334号(竜門社, 1916.03)
初出誌:『実業之世界』第12巻第20,21,23号(実業之世界社, 1915.10.15,11.01,11.15)