デジタル版「実験論語処世談」(10) / 渋沢栄一

17. 郷里にある渋沢家

きょうりにあるしぶさわけ

(10)-17

 父の亡くなられた跡の郷里の家は私の妹に須永才三郎といふ親戚の者を婿に貰つて継がせるやうに致し、今日も猶ほ其儘続いて居るが、妹の子の渋沢元治といふのは既う相当の年配で、目下逓信省に奉職し相当の位置に就き電気局の逓信技師として電気の方面を担当し、工学博士にまでなつて居る。格別豪い人物だといふほどでも無からうが、将来のある人物として嘱望せられて居る。父母の墳墓は郷里にあるが私は度々郷里まで展墓に行く暇も無いので、祭祀の便利を得るやうに父の亡くなられた翌年、谷中の墓地に建てたのが前回に申述べて置いた招魂碑である。父の招魂碑に刻んである撰文は尾高惇忠の書いて呉れられたもので、左の通りである。

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郷里, 渋沢家
デジタル版「実験論語処世談」(10) / 渋沢栄一
底本:『渋沢栄一伝記資料』別巻第7(渋沢青淵記念財団竜門社, 1969.05)p.15-22
底本の記事タイトル:二〇六 竜門雑誌 第三三四号 大正五年三月 : 実験論語処世談(一〇) / 青淵先生
底本の親本:『竜門雑誌』第334号(竜門社, 1916.03)
初出誌:『実業之世界』第12巻第20,21,23号(実業之世界社, 1915.10.15,11.01,11.15)