10. 知行合一を欠く今日の政党
ちぎょうごういつをかくこんにちのせいとう
(65)-10
若しも今日、政党にして、真に正しき考へや正しき知を以て之れを行はんことに心掛けたならば、日本の今日の政治は正しき政治が行はれて居ねばならぬ筈である。正しくないことによつて党の利益を図り党利の為に正しくないことを行ふことは、日本の政党界の現状ではないか。即ち党利の為にある利権を与へ、そして正しくないことを行ふのであるから、何時までも政党は正しきことを行ふことが出来ないやうになる。
之れは独り政治界はかうであるばかりでなく、経済界にもある。政治に道徳が行はれず、経済にも道徳が行はれて居ない。即ち政治にも経済にも道徳が離れて居つては、政治も経済も順調に進んで行くものでないと思ふ。
- デジタル版「実験論語処世談」(65) / 渋沢栄一
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底本:『渋沢栄一伝記資料』別巻第7(渋沢青淵記念財団竜門社, 1969.05)p.561-575
底本の記事タイトル:三六五 竜門雑誌 第四三〇号 大正一三年七月 : 実験論語処世談(第六十三《(五)》回) / 青淵先生
底本の親本:『竜門雑誌』第430号(竜門社, 1924.07)
初出誌:『実業之世界』第20巻第4-8号(実業之世界社, 1923.04,05,06,07,08)