デジタル版「実験論語処世談」(66) / 渋沢栄一

6. 士の徳と子路の資質

しのとくとしろのししつ

(66)-6

子路問曰。何如斯可謂之士矣。子曰。切々偲々怡々如也。可謂士矣朋友切々偲々。兄弟怡々。【子路第十三】
(子路問うて曰く。何如なる斯れを士と謂ふべきか。子曰。切々偲怡々如たる、士と謂ふべし。朋友には切々偲々し、兄弟には怡々。)
 本章は、士の徳の如何なるものであるかを説いたものである。切々は懇切、偲々は勉むること、怡々は悦である。
 子路は孔子に如何なることを士と称するかと云ふ問ひに答へて、人には切々、偲々、恰々如でなければならぬと。そして朋友には切々、偲々、怡々如であればよく、兄弟に対しては悦であればよいと。子路の資質はよいけれども修養が足らぬが為に、切、偲、怡を欠くことを注意された。

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デジタル版「実験論語処世談」(66) / 渋沢栄一
底本:『渋沢栄一伝記資料』別巻第7(渋沢青淵記念財団竜門社, 1969.05)p.575-592
底本の記事タイトル:三六六 竜門雑誌 第四三一号 大正一三年八月 : 実験論語処世談(第六十四《(六)》回) / 青淵先生
底本の親本:『竜門雑誌』第431号(竜門社, 1924.08)
初出誌:『実業之世界』第20巻第9,10号,第21巻第1-3号(実業之世界社, 1923.09,11,1924.01,02,03)